円山スクランブルエッグス『円山町再開発』
かもめんたる、さらば青春の光、ラブレターズの3組からなる合同コントユニットの旗揚げ公演。円山スクランブルエッグス。どうしたって、同じく渋谷の地名を冠した「宇田川フリーコースターズ」を想起してしまう。バナナマンとおぎやはぎのコントユニットだ。”3”という数字にこだわるのであれば、そこにラーメンズを加えた「君の席」でもいいだろう。
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全体の構成である種の文学性を漂わせながらも、細部に目を向けると、下ネタまみれのどこまでもバカバカしいコントの数々。中でも秀逸だったのはラブホテルでのデリヘル嬢とのやり取りを描いた1本。複雑に絡まった自意識がそれと比例するにようにこんがらがった性的趣向がグルーヴしていく。これを観てしまうと、廣木隆一『さよなら歌舞伎町』の風俗描写がいかにペラペラだったかを痛感する。これは岩崎う大(かもめんたる)のペンに違いない。風俗嬢を演じた溜口佑太郎も素晴らしかった。今公演はほぼ出ずっぱり。演じ手としてのオールラウンダーぶりを見せつけまくっておりました。円山町のホテル街に、何故かポツンとある神社(実在します)に童貞たちが集う様を描いた「ビヨンド」も最高。超越した者としての塚本直殻(ラブレターズ)のビヨンドとしてのルックスの説得力、そのインパクトを食いにかかる岩崎のイキ芸。それに巻き込まれる森田哲矢(さらば青春の光)がまたいい。かもめんたるやラブレターズのコントではあまり明確なツッコミがいないので新鮮だ。しかし、森田のツッコミの反復ってなんであんなに面白いんでしょう。声が原口あきまさの真似する明石家さんまに似ているからでしょうか。ゴッドボイスなのである。東口宜隆(さらば青春の光)の軽さも、ややナード寄りなメンバーの中でいいスパイスになっていたし、槇尾ユースケ(かもめんたる)も見せ場は強烈な歌くらいでしたが、高い演技力でどのコントにも馴染み、公演全体を支えていた。メンバーの個性がぶつかり合わず溶け合っていて、ユニットコントライブの第1回としては出色の出来だったのではないでしょうか。今後の活動にも期待。いつか、この円山スクランブルエッグスのライブの記憶が伝説として語り継がれる事を信じて止みません。