青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

しいねはるか『桜の新芽を愛でる会』


そのスウィンギーでファンキーかつメロウなプレイでGORO GOLO、ジャポニカソングサンバンチ、MAHOΩ、と音楽前夜社のサウンドの中核を担う鍵盤弾きハルカさんのソロ音源がSoundCluodで公開されております。フリーDLも可能。これがとてもいい。内容は西荻窪のレコードショップ「雨と休日」でロングセラーを記録しそうなピアノアンビエント。ハードコア出自の人が歌モノを始める、みたいのに非常に弱い。いつもファストにスウィングしたプレイを魅せてくれる彼女にも徹底的にチルする時間があるのだ、という当然の事なのだけど、その多面性に何だかワクワクしてしまう。


「春」「桜の新芽を愛でる会」「あたらしい商店街」「祝いのごはん」「手紙」「地元の桜」「百歳になった昼と夜」「かぜを経過した後に」「住み慣れた家」・・・と曲名からも推し量れるようにそのサウンドには、生活を慈しむ態度というものがじんわりと焼きつけられている。i-phoneで録音されたというこのアルバムはピアノの音色以外にも空間の響きがたっぷりと詰められ、生活の音が記録されている。数年前であったら、「『ku:nel』じゃあるまいし」などと鼻で笑って聞き流していたかもしれないが、ここ数年間で個人的にも社会的にも状況は大きく変わり、それらがいかに強度のある事か、再認識させられている。生活の音、に耳をすませてみる必要性を感じています。しかし、どうにもこの街はノイズが大きすぎてたまにその音が聞こえなくなる事がある。そんな時はしいねはるかのピアノ音源を耳に流し込む事にしようと思う。


※現在はCD-R『桜の新芽を愛でる会』としてもまとめられ、発売中