
事実や倫理がひたすらに揺らぎながら、ドラマが進んでいく。これが『Tシャツが乾くまで』という作品のグルーヴであり、魅力だ。であるから、「不倫しているのか/いないのか」「充とあずさの本当の関係とは・・・」といった明かされていない真実を推察するのではなく、この揺れに身を任せるのが最も効果的な鑑賞法なのように思う。真実の捜査は、樹生と咲子に任せよう。
一緒に証明しましょ
こっちで証拠集めて すっきりしましょ
彼らは、まるで探偵もののようにコンビを組み、無実(もしくは有罪)の証拠集めの捜査に飛び出す。しかし、調査対象の直人(高橋文哉)や古本屋の主人(リリー・フランキー)には、嘘をつかれ、煙に巻かれ、捜査は難航に乗り出してしまう。いや、そもそも捜査そのものを否定されてしまう。
知らないけど 知ってても教えないよ
だってさ 夫に 言いたくなかったことなわけでしょ
死んだってプライバシーは守られるべきだと思いますよ
そして、不倫調査の果て、“ミイラ取りがミイラになる”かのように、探偵と助手の間に異様な親密さが発生してしまう。煙草というどこか罪悪感をまとった香りを巡っての抱擁、と呼ぶにはあまりにぎこちない接触が、2話のハイライトだろう。愛する者と同じ香りがした、ただそれだけで人は簡単にも惹かれ合ってしまう。中島歩と蒼井優のどこか昭和の名優たちのような佇まいが、触れたい/けど触れてはいけない、という古典的なラブストーリーを盛り立てる。ああいう緊張感こそを、“エッチだ…”と評したい。
2話(と言うよりも今作全体のかもしれない)の主題は、「人の抱く想いや築きあげる関係性に、ふさわしい言葉なんてそうそう見つからない」ということではないだろうか。これは脚本家の生方美久が『silent』から挑んでいるテーマだ。しかし、樹生は“ちょうどいい”が好き。Tシャツはジャストサイズを選ぶ。縮んだり、伸びたりすることを想定していない。であるから、「さくっと説明すると」や「ね!」というように、あまりに簡単に言葉でまとめあげようとしてしまう。“羨ましい”と“憎たらしい”が混ざり合った複雑な感情を、簡単に「嫉妬です」と言葉にしてしまう。
言わないって 言えないってことです
言えないような いけないことしてたってことです
と樹生は言う。しかし、決してそんなことはないはずだ。それはあまりに簡単な決めつけだ。「いい人は倫理に反しません」という咲子の言葉も短絡的と言えるだろう。そんなちょうどいい格言みたいなものは疑ってかかるべきだろう。
“ね”・・・ってひと文字で同意 もとめないでください
という咲子の指摘が、この2話の最大のメッセージであるように思う。人の想いは簡単に言葉でまとめられない。
ちょっとずれちゃったり余っちゃったり
そういうのもああだこうだ言いながら楽しみたいんですけどね
とあずさが言うように、この世界には言葉という器から溢れてしまう“想い”や“関係性”というものが確かに存在する。そのことを証明するために、生方美久は物語を紡いでいく。皮肉なことに、“言葉”でもって。