青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ロロ『夏も』


ロロ本公演『夏も』を鑑賞。相変わらず、つめこみ過ぎでいびつで不細工で(役者のルックスは男の子も女の子もみんなとってもかわいい)、とにかく観づらい。しかし、どうにも憎めない。いや、むしろ好きだ。すっきりと体裁を整えてしまったらロロではないと思う。『夏も』で描かれているのは「わかり合う事」ではなく「わかり合えない事」の許容や肯定だ。相手が何を言っているかよくわからなくても「うん、うん」と一生懸命相槌を打つ少女。いつしかその音は素敵なメロディーになる。


劇中で大林宣彦『転校生』よろしく男の子と女の子の魂が入れ替わってしまう。文字通りの魂の交流があってもなお、2人は交わらない。永遠の片想い。でも、しっかりと「バイバイ」という2人に受け入れるという行為の力強さを感じた。劇中ではチープなJ-POPが流れたり、歌われたりするのだけど、

君と過ごす夏は倍以上アツイ! FEEL MY HEART

なんて歌詞だって私は受け入れる。72℃くらいという事でしょうか。役者に負荷をかけて、そのグルーヴによって一人の魂が全員に憑依していくシークエンスは確かにハイライトなのだが、この手法ではマームとジプシーに軍配が上がってしまう。若い同世代が切磋琢磨していく現在の演劇界は非常に興味深い。