青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/12/24~12/31)


“年末年始”と一括りにされているけども、気持ちとしては“年末/年始”であって、年末と年始の間には大きな分断がある。もう全くの別物なのだ。そして、わたしはいつだって年末の側に立っていたい。それは「休みがまだまだたくさん残っている状態だから」というのがもちろん第一。街行く人の顔にも余裕がある。でも、わたしの年末への偏愛はそれだけではない気がするので、グッと考えてみる。年末と年始では色が違うように思う。年始は漂白されたような美しい“白”で、年末は少し濁ったような濃紺だ。年末には、一年間のあらゆる想い(そこには罪や罰も含まれる)がパンパンに積み重なっていて、なおかつそのすべてがあたかも許されてしまうかのような甘やかでだらしない空気感がある。そこがたまらなく好きなのだと思う。年始はすべてが浄化され爽やかで、ツルっとしていて物足りないのだ。

“年末”の音楽と言えばベートーヴェン交響曲第9番。わたしは残念ながらこの年末に開催される「歓喜の歌」のコンサートというのを体感したことがないので、どうしても思い出されるのは朝間義隆『俺たちの交響楽』(1979)というB級映画だ。武田鉄矢の初主演映画で、これがなかなか味わい深い。『ウォーターボーイズ』(2001)以降のやや奇抜なモチーフに一丸となって奮闘する青春コメディ邦画(『がんばっていきまっしょい』『ロボコン』『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』など)の先駆けと言えるかもしれない。何と言っても、武田鉄矢の存在感が素晴らしく、冴えない青年のしみったれたブルース、それに付随する人間のみっともなさ、愛おしさというものを身体性と底抜けの明るさで表現できる稀有な役者であった。

ポップソングであればどうだろう。ユニコーンの「雪の降る町」くらいしか思いつかないので、他にどんなものがあるのか調べてみた。[Alexandros]に「12/26以降の年末ソング」というズバリなタイトルの曲があるらしい。それよりも、タイピングしてみることで、改めてバンド名に鍵括弧がついていることのほうが気になってしまった。さらにはレミオロメンに『水曜日のダウンタウン』でも紹介された「大晦日の歌」というのがある。「等々力から年越しそば買って帰って」という歌い出しが味わい深い。ときに、Wikipediaに記載されていたレミオロメンのバンド名の由来、はじめて知りました。

バンド名は、メンバーでジャンケンをし、勝った順に1文字、2文字、3文字好きな文字を選び繋げたものである。藤巻はイギリス出身のロックバンド、レディオヘッドが好きなことから「レ」、神宮司は当時の彼女の名前と自分の名前の頭文字をとって「ミオ」、前田は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の表紙に描かれている路面電車から「ロメン」を取り、それらを繋げて「レミオロメン」とした

神宮寺・・・今は何をやってんだろと調べてみたら、ディーン・フジオカのバックバンドを務めているらしい。エピソードに隙がない。とまぁ、パラパラとあるようだけどもどれも小粒。やはり「雪の降る町」が至高だろう。年末の空気感をあまりに見事にくみ取った音色。わたしは、この曲のベースラインのようにして生きたい。

だから嫌いだよ
こんな日に出掛けるの
人がやたら歩いてて 用もないのに

大名曲であるのに、文句から始まるところも好き。「世の中は色々あるから どうか元気で お気をつけて」という締めも泣けるではないか。

12月24日土曜日

クリスマスイブである。妻は仕事にでかけてしまったので、自宅に籠って、溜まったコンテンツを消化していく。佐久間宣之がさらば青春の光とともに仕掛けるバラエティ『インシデンツ』をDMM TVで3話まで視聴。

Netflixでの『トークサバイバー』は構造にいまいち乗り切れなったけども、これはエモーションが構造を超えていて、おもしろい。演者としてのみなみかわ・ヒコロヒーもバッチリ。2022年の顔と言っていい2人だ。続けて、『小西康陽小西康陽を歌う』のアンコール配信。「動物園にて」「連載小説」「悲しい歌」・・・どれもグッときたけどもやはり、嗚咽しながら「マジック・カーペット・ライド」を歌う姿にもらい泣き。これまでの小西康陽のソングライティングのフィーリングが束になって押し寄せてくるようだった。思わず、夏木マリ印象派コレクション』を聴き直す。

古着屋の通販で注文していたU.S.ARMY ECWCS GEN3 LEVEL3が届いたので、奇しくも自分へのクリスマスプレゼントとなった。軍物のポーラテックのフリースジャケットでとても暖かい。これを下に着れば、真冬でも薄手のコートで問題なしなのだ。さっそく着て、散歩に出掛けてみる。堺筋本町まで歩き、紀伊国屋書店を覗く。『silent』のシナリオ集が大きく展開されていた。いきなりシナリオ集が出せるなんて。コメディを書きたいとインタビューで答えていた生方美久の次回作が心から楽しみだ。最後のほうでイチャモンはついたものの(題材選びの時点で覚悟済みだとは思う)、『silent』は快心の一作だったと思う。切なさを含んだ笑顔、すなわち単一ではない感情表現を完璧にこなしてみせた目黒蓮。そして、クノールカップスープの印象しかなかった川口春奈の好演にも心撃たれ、もうすっかりファンだ。「清原果耶で見たかった」とかいってしまい申し訳ない気持ちなので、YouTube「はーちゃんねる」をチャンネル登録。185cmの目黒蓮の横にいたので気づかなかったが166㎝と高身長で、ファッションも男前。comoliやDESCENDANTのスウェットを大きめに着ていてかっこよい。

歩きながらMICHELLEの2ndアルバム『AFTER DINNER WE TALK ABOUT DREAMS』を聞く。

こんなにも自分の好みにジャストな音楽のリリースを12月になるまで気づけなかったことを悔やむ。タイトルも最高ではないか。夜ご飯は『ホーム・アローン』を観ながら、鳥鍋をつつく。ひさしぶりに字幕で観たのだけど、泥棒ハリーを演じるジョー・ペシと吹き替えを担当している青野武のシンクロぶりに驚く。青野武は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクの声も吹き替えしており、実に偉大なる声優だ。お風呂でiPhoneから 『Merry Christmas From Jose James』を流して聞いた。「My Favorite Things」が珠玉。

12月25日日曜日

メリークリスマス。営業先で訪れた阪急宝塚線岡町駅が妙に印象に残っていたので、「次の住まい候補としてどうだろう?」と妻と散策に出掛けた。昭和-平成の良き部分を残した商店街と町並みがとても好みだ。ネオンの外観がノスタルジーを誘う「カフェ ドラン」という喫茶店でカレードリアを食べる。2階の窓際の席から木々を見下ろせるのが落ち着く。日曜日なので閉まっていたけども、他にもよさそうな喫茶店がチラホラ。古くから営業していそうなうどん屋やケーキ屋があるのも気に入った。駅から周辺1キロを歩き回ってみると神社や古墳にも出会える。手頃なマンションがあればいいけども、引っ越しのことを考えると越しが重い。帰りの車窓から立派な球場が見えた。調べてみると「豊中ローズ球場」というそうな。大阪であることだし、近鉄バファローズのあの偉大なる助っ人タフィ・ローズの業績を称えてのことか!?と思ったら、豊中市の市花が薔薇であるからとのこと。そして、わたしはローズよりラルフ・ブライアントのほうが好き。

夜ご飯にチキンやピザなどクリスマスっぽい食事をとりながら、昼に放送していた『サ道~2022年冬~』を観る。サウナ施設の情報性などを完全に捨てたことで、作品としての質が高まった。時代の空気を循環させたサウナドラマだった。とにかくゲストの岡山天音が絶品。腹の底が見えないというか、微小な感情の揺れ動きだけで人物像を作り上げている。ナカちゃんさん(原田泰造)の身体がカリカリに絞れられていた。前シーズンの少しだけ脂が乗っている頃合いのほうがサウナーとしての見栄えはよかったように思う。愛車がトヨタスプリンターカリブなのは最高。カリブとか日産ラシーンとか四角い日本の旧車への強い憧れがある。

渡辺京二の訃報。90歳を超えていたので覚悟はしていたものの、かなり影響を受けてきた思想家なので寂しい。『万象の訪れ わが思索』『無名の人生』『細部にやどる夢 私と西洋文学』『ファンタジーの周辺 夢ひらく彼方へ』など付箋だらけの本がたくさんあるけども、1冊だけ選べと言われたら、やはり代表作の『逝きし世の面影』だろう。

江戸のイメージが一変する。かといって、パトリオティズムの本ではなく、渡辺京二が一貫して書き続けてきた“名もなきもの”もしくは“小さきもの”へのまなざしがに満ちた名著だ。

12月26日月曜日

仕事で明石-須磨を回る。海の見える街で暮らすのにも憧れる。「海の見える街」といえば久石譲による『魔女の宅急便』のサウンドトラックの名曲ですが、この曲のコード進行とhydeのソロ曲が酷似していると騒いでいるクラスメイトがいたのを妙に覚えているのだけど、どんな曲だったか完全に忘れた。神戸方面はもともと車が混雑するのだけど、年末なのでひとしお。渋滞の時間潰しに『ダイアンのTOKYO STYLE』ユースケ復帰回を聞く。2人ともうれしそうでなにより。『ナインティナインのオールナイトニッポン』の「岡-1グランプリ」も聞いた。ミキ晃生とランジャタイの絡みが絶品。

仕事終わりに喫茶店に寄って、『silent』最終話についてのエントリーを書き上げる。

物語の骨組みのようなものを掬い上げることはできたかなと思うのだけども、枠からはみ出す細部の魅力についての言及を捨ててしまっている。物語全体の骨組みやフィーリングを拾い上げつつ、「あそこの役者の表情がよかった」「あのシーンの構図が!」というような画面を観る者の躍動を、1本の文章の中に綺麗に組み込んでみたい。すごく難しい気がするけど。帰宅して『エルピス-希望、あるいは災い-』最終話を観る。“詩”みたいな作劇が好きなので、このすべてのことに真っ当な”意味”と怒りがある作風が好みかと言えばそんなことはないのだけど、抜群におもしろかった。眞栄田郷敦という役者のジャンプアップを観届けられたこと、そして岡部たかしのテレビでのブレイクスルーがなにより。

12月27日火曜日

歯ブラシをシステマに変えてみたら、その磨きやすさに感動。薄型ヘッド、すばらしいではないか。完全に年末気分で、仕事はほとんどやる気なし。田中ヤコブ『IN NEUTRAL』を聞きながら、八尾方面を回る。

「八尾グランドホテル」を横目に、サウナに入りたい気持ちをグッと堪える。帰宅して『川島の穴』と『ファミリーヒストリー川島明回を観る。2022年とは川島明の年であった。『マルコヴィッチの穴』オマージュの前者もバカバカしい素晴らしさだったが、『ファミリーヒストリー』が抜群の良さ。亡き母とのエピソードはもらい泣き。

傷つけるのも勇気や元気を与えるのも言葉やから、
それを仕事にしたのだから、良いほうに使って下さい

12月28日水曜日

この日が仕事納めなので、ミツメ提供の20th century「水曜日」を聞いて鼓舞する。この曲のかかるニベアメンのCMの「なんか最近調子いいよね?」についてついている「*生活全般のこと」という注釈がツボで、「最近調子どう?生活全般のことだけど」というように日常会話に取り入れていきたいと思っているのだけど、画面の端に小さく書いてあるあの文字のパロディにどれだけの人が気づいてくれるだろうか。仕事納めということで早めに帰宅できたので、近鉄に乗って布施まで赴き、「なにわ健康ランド湯~トピア」で一年の披露を労わることに。混んでいたけども、サウナと水風呂の機能性の良さで、サクっと気持ちよくなれた。寒さで滞っていた血行が改善されてスッキリ。上本町駅まで近鉄に乗って、そこから歩いて帰ることに。サウナで温まった身体を寒気で冷やすのである。この日はayU tokiOの新曲「ファミリー・コンテンツ」が配信されたので、リピートしながら寒空の下をグングンと歩いた。

日テレの音楽特番『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2022~』は出演者、出音、舞台、照明、どこをとっても全体的にショボかったけども、NewJeans出演には感謝。そこだけ録画して2回観た。そして、『ゴールデンラヴィット!』の素晴らしさだ。川島明と田村アナをはじめ、出演者の顔を観ているだけで明るい気持ちになれる。夢のように楽しい歌と笑いの祭典、わたしが好きだった“テレビ”がここにはある。『笑っていいとも!特大号』や『オールスター感謝祭』を超えてしまったような気がする。「初回にして!」なのか「初回だからこそ」なのかはまだわからないけども、とりあえずアニマルパラダイスと嶋佐OASISは永遠に記憶したい。ときに、嶋佐OASISバンドの演奏と音の良さよ。サンボマスターもだけど、どの音楽番組より生々しくて最高でした。

12月29日木曜日

昼に近所の蕎麦屋で天ぷらの盛り合わせ、だし巻き卵、ざる蕎麦を食べる。美味い蕎麦屋が近所にあってうれしい。実に満ち足りた気分で、散歩。ちょうどいい花瓶を求めて花屋をいくつか廻るも見つからず。『silent』最終回に触発されて、かすみ草を飾ろうかと思ったが、シーズンオフだからなのかやたらと高いのであきらめた。歩き疲れたので、谷町四丁目にある喫茶店『街の灯り』でプリン納め。いつもよりカラメルが苦く感じた。電車で梅田へ行き、L.L.Bean、Aesop、無印良品などを見て廻る。Aesopのお香を買おうかと思っていたのだけど、3種類試し嗅ぎしたものの、いまいちピンと来なくて保留。最近は価格が一桁違うお手頃な無印良品のお香を愛用していて、食事の後などにテレビを見ながら煙を楽しんでいる。色々試してみたけど、シダーウッド、ジャスミン、白檀、緑茶あたりがお気に入り。伊藤忠商事L.L.Beanの国内ライセンスを取得というニュース。日本限定の変な規格が出てくるのかと思うとゲンナリする。「OLD L.L.Bean」としてビンテージが市場で価値を持ち出すことでしょうか。

忘年会に向かう妻と解散して、わたしは梅田のシネリーヴルへ。三宅唱『ケイコ、目を澄ませて』を鑑賞。これは三宅唱の最高傑作では。岸井ゆきの三浦友和、三浦誠己!!と興奮しまくりたいところなのだけど、目がすっかり悪くなってしまったのにも関わらず、シネコンの巨大スクリーンのノリで最後列の席をとってしまい、シネリーヴルの小さなスクリーンでは画面の細部まで堪能できなかった。もっと大きなスクリーンと音響の整った映画館でも上映して欲しい。映画館を出て、吉野家で牛丼を食べて帰る。『エルピス-希望、あるいは災い-』最終話が数日かけてわたしの身体に振動したのであった。帰宅して『オールザッツ漫才2022』を途中まで観た。ニッポンの社長ロングコートダディを中心としたノビノビとした空気感がある。ニッポンの社長広瀬香美ネタ、良かった。「よしもと漫才劇場 8周年記念SPネタ」で披露した漫才も素晴らしかった。マユリカは来年こそはファイナリストになって、ネタ組に昇格して欲しい。

12月30日金曜日

自然の匂いが嗅ぎたくなって、思い付きでレンタカーを借りて曾爾高原へ。この日の車は日産ノートだ。槇原敬之サニーデイ・サービス、the1975などを聞いてのドライブ。シーズンオフだったので、ほとんど人はおらず。金色には輝いていなくても、高原の空気とススキは十分に美しい。高原の入口にある「曾爾高原温泉 お亀の湯」が実に素晴らしい施設だった。泉質も良いし、サウナはマイルドながら毛穴一つ一つから汗が綺麗に噴き出る仕様。特筆すべきは水風呂で、天然の湧き水で肌触りがとてもやわらか。ひさしぶりに心地よい水風呂に入ったなという悦に浸る。山々の緑と風が楽しめる開放感抜群の外気スペースは、感謝の言葉しか出てきません。サウナ、水風呂の後にチェアーに腰掛け、風を浴びて休憩。身体が冷えてきたら、露天風呂に入って温める。気持ちよさが倍々で重なっていく。これが2022年最後のととのい。帰り道の「針テラス」のパーキングエリアで白菜、葱、トマトジュース(抜群に美味かった)を購入。奈良漬をマヨネーズで和えたものを挟んだ「ならパン」というのが大変気になったが、残念ながら売り切れ。

20時前にレンタカー屋に車を返して、「鳥貴族」で夜ご飯を食べた。わたしはここ数年1回も忘年会というものに参加していないことに気づいたので、これを忘年会とする。とり釜めしと山芋の鉄板焼きはマスト。帰宅して『クイズ正解は一年後』を楽しむ。オードリー春日さんの娘さんをモザイク越しとは言え、見ることができてうれしい。『ザ・ブルーハーツ クイズ☆正解は一年後 トリビュート』を聞いてみたところ、有吉弘行「青空」、ニューヨーク「キスしてほしい」あたりはそつなく良い。ヒコロヒー「夢」ともう中学生「ラブレター」の作家性の強さ。あと意外と春日俊彰の「情熱の薔薇」がなんだかとても良かった。ロンドンブーツ1号2号「TRAIN-TRAIN」のしっくりきかたに、そもそも彼らのデビューシングル「岬」はマーシー作だったなと思い出す。売れている芸人はその人の"声"がある。そして、ブルーハーツの曲が単純に良いな。

12月31日土曜日

VULFPECKのニューアルバム『Schvitz』がリリースされていたので、流しながら大掃除。1曲目のタイトルは「Sauna」だ。ご機嫌な曲ばかりで楽しく掃除ができた。大掃除を終えた後は、録画してあった『ドキュメント72時間』歴代ベスト10の再放送を観て過ごす。とても豊かな時間。「京都・鴨川デルタ、青春の日々」「駄菓子屋・子どもたちの小さな宇宙」「宮崎 路上ピアノが奏でる音は」はランキングから漏れたのが納得いかないくらい好き。藤岡拓太郎がSNS上に発表した「大みそか」という8ページの漫画を楽しんだ。良さを言語化できないもどかしさに包まれつつも、たしかにとても良いものだった。

夕方前にスーパーに買い出し。お菓子の棚に天乃屋の海老煎餅「瑞夢」を発見。以前『アメトーーク』でサンドウィッチマン伊達さんが強烈にレコメンドしていて気になっていたのだけど、関西はそもそも天乃屋の「歌舞伎揚げ」すら置いていないのだ。なぜならほぼ同じ味の「ぼんち揚げ」が圧倒的なシェアを占めているから。ちなみに「歌舞伎揚げ」と「ぼんち揚げ」は共に1960年発売なので、どちらもオリジン。「ぼんち揚げ」も美味しいのだけど、やはり食べ慣れた「歌舞伎揚げ」こそが至高で、その派生である「瑞夢」もまた噂に聞く以上の美味さであった。「歌舞伎揚げ」に肩入れしてしまう理由はもう一つあって、基本的にお菓子というものを食べない父が、「歌舞伎揚げ」だけは愛好していて、年末の休みになると大袋で買ってほくそ笑んでいた光景が目に焼き付いているからだ。こういうイレギュラーな現象をわたしは愛しているし、こういった思い出をどれだけ残せるかが家族というものの価値とイコールだなとも思う。

夜は紅白歌合戦を楽しみながら、すき焼き。紅白は昨年のひどさからかなり好転。大泉洋の良くなさは相変わらずだったが、それを橋本環奈が中和していた。中盤に登場した「受信料のお支払いに感謝申し上げます」というアナウンサーの言葉には驚いた。トイレに貼ってある「いつも綺麗にご利用いただき、ありがとうございます」みたいで、なんとなくいやな心持ち。

後半のKing&Prince「ichiban」、official髭男ism「Subtitle」の流れがピークタイムか。最近のキンプリのパフォーマンスを観ていると泣けてしまう。「彩り」のサビでのユニゾンとか聞くと、「あぁ、キンプリだ」となって、意外とそういったユニゾンハーモニーを獲得している(というか浸透している)ジャニーズって、SMAPと嵐くらいな気がするのでつくづく惜しい。「Subtitle」はいつでも凝ったスタジオ演出。NHKのスタジオ101とやらの変幻自在ぶりはすごい。

ベストソングは有吉弘行が純烈×ダチョウ俱楽部とともに披露した「白い雲のように」だ。美声の有吉はさておき、ダチョウ俱楽部の2人などは紅白出場者の中ではとりわけ拙い歌唱だったかもしれないが、わたしの聞きたい“歌”とはああいうものだ。有吉に対して「出たいって言って出られる番組じゃないんですよ」などと言う大泉洋に、「黙れよ、格下」と憤ってしまうくらい*1に、わざわざ大晦日に紅白なんぞに出向いた有吉弘行上島竜兵への弔いは粋であったし、これによって有吉はテレビ界において更なる覇王色を纏うに違いない。

安全地帯「I Love Youからはじめよう」も良かったけども、なによりその前に披露された玉置浩二「メロディ」の独唱に涙。わたしは玉置浩二であれば、この曲と「愛だったんだよ」がたまらなく好き。なにわ男子はキュートであったし、乃木坂46齋藤飛鳥さんはお疲れ様であるし(「裸足でSummer」なのは解せない)、Snow Manの「ブラザービート」は2022年最高のJ-POP(一緒に”シェー”しました)、ウタが音楽番組に出る時は現場にadoが来ているのかそれとも音源を流しているだけなのか知りたいけど調べてまでは知りたくないし、篠原涼子のヴィジュアルの仕上がりに感動したし、松任谷由実のバックバンドにうれしくなり、Kinki Kids前の山下達郎の肉声、「時代遅れのRock'n'Roll Band」での佐野元春さまの降臨などなど、見どころたくさんの紅白であった。あとは、動いているVaundyが噂以上にマユリカの中谷さんに似ていたのは笑ってしまった。「そんなもんかい、紅白」という煽りのダサさにも中谷性があった。マユリカ中谷はとにかく器用でなんでもこなせる高スペックであるので(それを無に帰す怠惰さ)、そこもVanudyと中谷の相似性と言える。

年越しは『ジャニーズカウントダウン2022→2023』で決まり。マリウス葉さん、お疲れ様でした。Travis Japanのセンター宮近くんは林遣都にとても似ている。年始のことも書いていこうと思ったけども、すでに10,000字に近いので止めにします。2023年も楽しく過ごしていけたら何より。今年もよろしくお願い申し上げます。

*1:水曜どうでしょう』のファンであって、大泉洋のことは昔から好きなんですけど

生方美久『silent』最終話


「言葉は何のためにあるのか?」というのは、想(目黒連)の書いた作文冒頭の問いかけだった。その問いは作文の中において

言葉が生まれたのは、きっと想いの先にいる誰かと繋がるためだ

と結ばれている。つまり、言葉は“想い”の代替品ではなく、“想い”を伝えるための手段のようなものということだ。10話においては、春男先生(風間俊介)と奈々(夏帆)の間においても、以下のような会話がなされている。

手話はコミュニケーションの手段でしかなかった
言葉の意味を知ることと相手の想いがわかるってことは違った

言葉(もしくは手話)は“想い”とイコールではなく、コミュニケーションの手段である。そして、最終話において教室の黒板の前*1で紬(川口春奈)は言う。

人それぞれ違う考え方があって
違う生き方をしてきたんだから
分かり合えないことは絶対ある
他人のこと可哀想に思ったり
間違ってるって否定したくもなる
それでも一緒にいたいと思う人と
一緒にいるために
言葉があるんだと思う

言葉は、どうしたってわかりあえない私たちが、それでも誰かに想いを届け、繋がるためにある。それは“祈り”のようなものだ。たとえば、「寒い」と言葉にして人に伝えるのは、「私は寒いのだ」ということを情報として伝えたいからだろうか?いや、その言葉を聞いた相手からのリアクションを期待する(≒祈る)からこそ、わたしたちは言葉にする。あなたの発した「寒い」という言葉を聞いた誰かは、そっと温かい布をかけてくれるかもしれない。もしくは熱々のスープを分け与えてくれるだろう。そんな風にして、言葉は祈りのように発され、誰かのアクションを生み出し、孤独であるはずの人と人とを繋げていく。


言葉は“祈り”であるから、届かないかもしれない、叶わないしれない。脆く不確かなものだ。それゆえに、『silent』という作品は、言葉についての物語でありながら、言葉を万能なものとして描いてはいない。それを象徴するのが前述の黒板での紬の台詞の続きである。

たぶん全部は無理だけど
できるだけ分かり合えるように たくさん話そうよ
言葉にできない時は黙って泣いてもいいよ
私も黙って背中さするから

言葉にはできない、言葉では伝えられないものがある。それが『silent』という作品に通底している諦念のようなものだ。であるから、登場人物たちは言葉にできない想いをモノに託していく。

言葉にできないからモノに託すの

というのは、紬が帰省した際の母が放つ言葉だが、この台詞もまた『silent』というドラマのルールを象徴したものだ。手土産、CD、本、母の手料理、パンダのぬいぐるみ、花束・・・色々なモノに想いを託して、登場人物たちは“貸し借り”や“使いまわし”もしくは“おすそわけ”を繰り返していく。


“おすそわけ”とはつまり、自分自身の一部を受け渡すということである。登場人物たちは、“おすそわけ”を通して、互いの魂の一部を交換し、混ざり合っていく。

自分がラブストーリーっていうものを見てて、1番いやだなと思うのが“当て馬”っていうポジションの扱い。恋が実らない子を“当て馬”だとか“かわいそうな子”みたないな、ありがちなキャラクター。“反発して、結果身を引く”っていうのだけの子にしないっていうのは、1番こだわりました。

これは『ボクらの時代』に出演した生方美久が語った今作における作劇のこだわりだ。つまり、『silent』というのは、紬と想という2人の主人公のドラマでありながら実のところ、一般的にはラブストーリーの“当て馬”を呼ばれる、恋に破れた湊斗と奈々というキャラクターに何よりの愛情と筆圧が注がれているということだ。6-7話に「(湊斗との)この3年あっての姉ちゃんだから」や「今の佐倉くんがいるのは奈々さんのおかげなんだなって思って」という台詞があるように、紬の中には湊斗がいて、想の中に奈々がいる。さらに複雑なことに、想と湊斗の間でも互いが混ざり合いは起こっていて(なぜなら、湊斗もまた想にスピッツのCDを借りているからである)、月が出ている夜空を見て、同じように「晴れてるね」と言うのである。湊斗や奈々を描くということが、紬と想のラブストーリーに寄与されていくという構造が見事に作り上げられている。であるから、終盤における紬と想の最大のすれ違い、すなわち「2人の視線はあっているのに、時間軸だけがズレている」という問題もまた、湊斗と奈々のそれぞれの指摘が解決を後押していく。

1個だけ 想って駄目だなって思うとこあって
想の見てる青羽って 高校生の紬ちゃんで止まってるんだよね
青羽の変わってないとこばっか見てる
<中略>
ちゃんとお互いのこと見てるのに
見てる時間だけ違ってる
8年分ズレてる

昔の似ている誰かじゃなくて
今のその子を見ないとダメだよ

報われなかった湊斗と奈々の“想い”が、主人公2人の中で息づくことで、美しく結実していく。これが、生方美久が紡ぎたかったラブストーリーなのだろう。恋が実らなくても、耳が聞こえなくても、「わたしたちは、ちっとも“可哀想”なんかではない!」という、世の中に蔓延する決めつけに対する“小さな抵抗の声“が今作を単なる切ないラブストーリーに落とし込んでいない。


また、このラブストーリーは美しい円環を描いている。雪だるま、CD、サッカーボール、紬が身に着け続けるコインブレスレットと、円環をイメージさせるモチーフの点在はもちろんだが、奈々が春尾先生のために買った花束から1本のかすみ草が湊斗と想に“おすわけ”され、湊斗から紬へ辿り着き、紬と想が互いの持つかすみ草を交換し合うという円の運動。そして、「“本当に交換しただけだね”って言って笑った」という高校時代のクリスマスのイヤフォンのプレゼント交換がリフレインすることで、視聴者の心は1話に舞い戻る。この最終話が数々の印象的な”いってらっしゃい“に見送られ、佐倉家の”おかえりなさい“で閉じられるのも円環だ。2人のかすみ草のプレゼント交換は、この物語の始まりである小田急電鉄世田谷代田駅のホームで行われている。物語の円環が見事に閉じられていく。

わたしたちが“おすそわけ”していくことで作られる円環は、様々なものをグルグル回し、全然違うはずの貴方や貴方、その誰もが“同じ”ように幸せでありますようにという、“祈り”の込められたサークルなのである。

<余談>
このドラマとofficial髭男imsの主題歌「Subtitle」が、言葉を紡ぐという営為の尊さについて改めて気づかせてくれた。そのおかげで、再びブログを更新しようと思えた。願わくば、わたしの紡いだ言葉もまた、どこかの誰かに何かを喚び起こしますように。

*1:黒板に文字を書き連ねていくシーンは出色。絶えず僕らのストーリーに添えられた字幕のように!(©️official髭男ism)

最近のこと(2022/12/14〜12/21)


まもなくクリスマス。柴田聡子よろしく『ホーム・アローン』を観よう。『ホーム・アローン』がフェイバリットムービーと言っていいくらいに大好きなのに、大人になったマコーレ・カルキンがケビンを演じているムービー(CM?)が2018年に公開されていたのを知りませんでした。

この国の景気がまだ少しだけましな頃、クリスマスというのはもっととびきりに特別な行事であって、12月24日をどう過ごすかというのはその1年をどう過ごしてきたかの審判を下されるような感覚であった。そんなフィーリングを見事に切り取ったのが、『ハチミツとクローバー』という作品で、こんな一節が登場する。

なんでかは解らないのだけれど
アセるのだ
この色トリドリの電飾や鈴の音
お前は今幸せか?居場所はあるのか
・・・と問い詰められてるよな気持ちになるのだ

この竹本くんがクリスマスに鬱々とするシーンに共感で胸を痛めたものだ。若い頃は自意識が肥大しているせいで、「24日のイヴに1人、吉野家のカウンターで牛丼を食べる」みたいのがどうしてもできなかった。「あいつは(こんな大切な日に)一人ぼっちなのか」と他人に思われたくなかったのだ。「誰もそんなこと気にしていない!」と諭すの簡単なのだけど、そんなことでは簡単に納得できない自意識のこじらせ方が若さというものだ。しかし、イヴに牛丼を食べている人が不幸せと決めつけることの浅ましさよ。牛丼を食べているあの人は、次の日に大切な人とデートをするのかもしれないし、一人で楽しく生きているかもしれないし、もしかしたら本当に寂しいかもしれない、といった思考回路がちゃんと身体に落とし込めるようになったのは歳を重ねた良さかもしれない。ときに、クリスマスが苦手だ・・・という気持ちと、心の底で本当はワクワクしているアンビバレンスな感情を歌にしてくれたのが、クレイジーケンバンドが2002年にリリースした「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって」だ。名曲。


ときに、今年のシュトレンは京都の進々堂のものにした。ドイツではクリスマスに向けての4週間、シュトレンを少しずつスライスして食べ、ドライフルーツがパン生地に染み込んでいく味の変化を楽しむとのだという。母がドイツのパンに造詣が深く、実家ではクリスマス時期になるとシュトレンが家にあった記憶があるのだけども、幼い頃は地味なケーキだなという印象しか抱いていなかった。生クリームもチョコレートもないケーキなんて!となる気持ちはわからないでもないのだけど、歳を重ねるごとに、オレンジピールとかナッツとかああいう味覚がどんどん好きになってくるし、経年変化みたいなものにもロマンを抱いてしまうので、ここ数年はすっかりシュトレンの虜だ。シュトレン未経験者であるならば、楽天で1番人気のオーセントホテル小樽のシュトレンを最初の一手としてオススメします。

12月14日水曜日

家で『2022FNS歌謡祭』の第2夜を観る。序盤は“コロナ禍が生んだバケモノ”(©トム・ブラウン)こと広瀬香美のお祭り。「冬の女王」というほどにヒット曲ってたくさんあったけかなといつも疑問に思ってしまう。しかし、1曲でも誰もが知っているヒット曲があればなんとかなるということをnobodyknows+が教えてくれている。冬のヒット曲が2、3曲ある広瀬香美は十分に女王なのだろう。中山美穂のクリスマスソングの名曲「遠い街のどこかで・・・」が良かった。「遠い街のどこかで・・・」の作曲・編曲の中崎英也織田裕二「OVER THE TROUBLE」(ドラマ『お金がない!』主題歌)も手掛けている。堂本剛「街」をひさしぶりに聞けたのもうれしかった。リファレンスがまだファンクミュージックではなくミスチルあたりだった頃のソロデビュー曲。デビュー25周年ということでKinKi KidsのMVが公式にアップされているだけど、2人の美しさに改めて驚いている。わたしは「愛されるより愛したい」と「シンデレラ・クリスマス」が特に好き。若い人はピンと来ないのかもしれないが、若い頃の堂本剛はちょっと前の菅田将暉みたいなものというか、それ以上の存在だったような気がする。「松本人志フォロワーのユーモアを持ち合わせたファッションリーダーお兄ちゃん」ということだけでなく、なんというか平成という時代を背負っている感じが確かにあったのだ、堂本剛には。覆面系のミュージシャンがたくさんいて誰が誰だかわからなくなりつつあるのだけどAdoよりはyamaが好きだなと気づきはじめた。yamaの正体はヨネダ2000の誠なんじゃないか、というデマを流している。ラストのASKAは圧巻のパフォーマンス。「SAY YES」を聞きながら、武田鉄矢浅野温子の恋模様を思い出し、涙。さすがの歌唱力だったけども、とにかくマイクから離れて歌おうとする姿が印象的で、Twitterに「ASKAのマイク臭いのかな」と呟いている人がいて笑った。あと、ムックの声が知らない間に変わっていて、調べたら2014年から声優が交代していたらしい。そして、現在誰が声優を担当しているのか非公開とのこと。なぜ。

12月15日木曜日

お昼に職場の近くの海鮮定食屋でアジフライ定食を食べた。ここ5年くらいで、わたしの好きな食べ物ランキングにてアジフライが上昇中。マニュエル・ゲッチングが亡くなってしまったとのことで、ひさしぶりに車の中で『E2-E4』をリピートで聞いていた。

これしか聞いたことないのだけど、大好きなアルバム。今週末に向けて気分を高めるためNetflixにて『M-1グランプリ2001』を観た。審査員に青島幸男鴻上尚史がいたのはすっかり忘れていたし、司会がDJ赤坂菊川怜であったのも記憶から抜け落ちていた。なにより、この頃の細坊主な松本人志のかっこいいこと。今の雰囲気からは考えられないほどに、ヒリヒリしている。調べてみたら、今の自分と同い年くらいであった。なんたる色気の差だろうか。肝心の漫才というと、20年以上前であるので、さすがに強度が薄れているものも多い中で、若干22、3歳の麒麟の漫才が今なお新鮮で興奮。おぎやはぎに一般審査の点の低さは何度観ても笑ってしまう。札幌22点、大阪9点、福岡12点、なんと100点満点中である。『THE FIRST SLAM DUNK』がどうしてももう一度観たいので、安西先生と「バスケがしたいです」という台詞しか知らない妻に、湘北メンバー5人のバックボーンや山王工業の偉大なる王者ぶりなどを踏まえ、熱烈にプレゼンしていたら、感極まって泣いてしまった。『スラムダンク』のことを考えるだけで泣いてしまい身体になってしまった。おかげで一緒に鑑賞してくれることになりました。

12月16日金曜日

お昼はドトールミラノサンドAと野菜ジュース。師走らしく、商談や年末の挨拶が立て込んでおり、資料作りにうんざり。パソコン作業に集中するためにイヤフォンでCarlos Niño & Friends『Extra Presence』を聞く。

このアルバムは今年よく聞いたものの1枚。帰宅してご飯を食べながら『マツコ&有吉のかりそめ天国』の3時間スペシャルを観る。この番組でチャンカワイが炎にまみれているのを見かけるといよいよ年末だなという気持ちが高まってくる。U字工事有吉弘行の組み合わせがたまらなく好き。『有吉クイズ』で蕎麦作るやつとか。「旅館の朝食調査」も素晴らしい新企画だった。画の強さや情報性もさることながら、芸人コンビが前夜から2人で部屋に泊まらせることで、関係性のドラマを浮かび上がらせるという構成がニクい。ときに、わたしはトム・ブラウンがとても好きで、特に布川さんの顔ファンだ。青春感のある顔というのでしょうか。アジアのどこから出てきた拙いジャングリーギターポップバンドのボーカルみたいな顔。長い髪を結んでいるオフの姿も良かった。1週間働いた疲れが出てきたので、温泉の素を入れたお風呂に入って、早めに眠る。

12月17日土曜日

冷たい雨が降り続けた1日。家に籠っていても鬱々とするのでレンタカーを借りて出かけることにした。まずは、近鉄奈良にある燻製料理屋「パインストア」に向かい、海南都果鶏豚飯を食べる。追加注文したポテトサラダ含め、ウットリするほど美味しい。再び車に乗り込み今度は大和郡山を目指す。走っていると、ファミリーマートの隣にファミマが運営するコインランドリーを見かけた。全国に30店舗くらししかないらしいが、コインランドリーのすぐ横にコンビニがあるというのは実に合理的であるけども、これが主流になってくると、あの薄暗い住宅街の中にポツンと光る、“逃避場所”というメタファーを込めたくなる所謂コインランドリーという風景が失われていくのだろうか。灰皿代りの缶コーヒー、カップラーメンの食べ残し、本棚に並ぶ植田まさし弘兼憲史の薄汚れた漫画。大和郡山にたどり着くと、そこは金魚の町であった。なんでも金魚の出荷量6000万匹超えを誇るらしく、オブジェ、マンホール、お店の軒先・・・いたるところに金魚のモチーフが。大和郡山を訪れたのは、「藤岡拓太郎原画展」が開催されている「とほん」という本屋さんが目的。藤岡拓太郎『ぞうのマメパオ』は今年の大切な1冊だ。原画の線のかわいさはもちろん、アイデアノートやフリーペーパーがあって大満足。「とほん」もまた素晴らしい品ぞろえの本屋で、棚を観ていると、芋づる式に欲しい本がどんどん湧き出てくる。ライツ社という出版社のnoteの記事で読んだけど、革新的な試みを繰り出すオーナーさんが経営するセブンイレブン天理成願寺町店の本棚も」「とほん」が担当しているらしい。マメパオの缶バッジと、どこも売り切れで探していた赤染晶子『じゃむパンの日』を購入して、お店を後にした。この日の旅のゴールは「御所宝湯」という銭湯。今年の10月にリニューアルしたとのことで、昔ながらの銭湯スタイルの浴槽を残しつつも、本格的なフィンランド式サウナが楽しめる作りに生まれ変わった銭湯なのだ。本格フィンランド式サウナということで、照明なし、テレビなし、音楽なし、のないものづくしの空間で、アロマ水のセルフロウリュウを楽しめる。新しい木の香りとアロマが混ざって鼻孔を優しく刺激しながら浴びる蒸気。露天水風呂もフレッシュに冷えていて、ととのい用の椅子もあり。熱湯も気持ちいいし、すっかりこの施設が気に入ってしまい、思わず「いやー最高でした!」と店員さんに伝えてしまった。人とのコミュニケーションをあまり得意としないわたしが。それくらい素敵な銭湯だったということだ。

帰宅して『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』を観た。たつろうの「温泉街を散策する人」が好きだった。温泉街を歩いていて「もうこっち何もなさそうだね」って言うのが“あるある”だとたどり着ける思考の豊かさ。ラパルフェ都留のウッディ、阿部寛大泉洋のレパートリーは絶品なので優勝も納得。

12月18日日曜日

近所のパン屋で買ったパンで朝・昼兼用の食事。昼に梅田ブルク7で『THE FIRST SLAM DUNK』を観る。2回目も初回と同じくらい泣きはらしてしまった。歳を重ねて、桜木花道のことが前よりもずっと好きになっていることに気づいた。スラムダンクに初めて触れた妻は、「口を開けたまんま、ずっと夢中になってたよ、あたしゃ」とちびまる子ちゃんのような口調で興奮気味に感想をもらしていた。『THE FIRST SLAM DUNK』の良さというのは、わたしに蓄積された『スラムダンク』の記憶に起因するところがあまりに大きいのではないかと思っていたのだけも、『スラムダンク』を経由していない者が捉える単体の作品としてもしっかり強度を持っているようだ。おかげさまで『スラムダンク』新装再編集版の購入の許可もいただけました。今夜のM-1鑑賞に備え、梅田の阪急のデパ地下でパックのお寿司やコロッケなどを買い込む。

帰宅してすべての準備を整え、敗者復活戦からテレビにかじりつきっぱなし。いやー今年の敗者復活戦はすごかった。全組おもしろいのはもちろんとして、令和ロマン、オズワルド、かもめんたる、ななまがり、ヤーレンズ、ケビンス、ダンビラムーチョシンクロニシティ、ハイツ友の会、ママタルト、マユリカあたりが特に好きでした。ママタルトとマユリカは来年こそ決勝に!この日は、ケビンスの山口コンボイの昭和のハンサム感と身体能力がテレビに見つかったような気がする。『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』によれば、テレビ局の廊下でマツコ・デラックスとすれ違った際に「あなた、稀代の男前ね」と言われたそうな。“稀代の”という冠は羽賀研二の者と思っていたけども、これからは山口コンボイの時代。チョキピース。

決勝に関しては、とにもかくにもウエストランドおめでとうございます!の一言であります。心からうれしい。今回の決勝の10組の中においても1番応援しているコンビではないけども、彼らが報われるのが1番うれしい。そういうコンビである。Twitterでははやくも頓珍漢な批判が多々流れてきて、脳が疲れてしまった。「警察に捕まり始めている!」という味わい深い日本語を何度も噛みしめます。スーパー三助があげていた三四郎小宮さんのまさしく号泣というような喜び方にもらい泣き。今大会で1番興奮したのは、さや香の1本目。2005年のブラックマヨネーズの掛け合いの凄みを更新してきた。話芸の洗練に、自然な身体性が加わっていてとにかく圧巻。このネタに絶対的な自信があるからこそ、決勝進出が決まった際もファイナルラウンドに勝ち進んだ際も、「当然でしょ」というような態度だったのだ。あれで優勝できなかったのはしんどいだろうな。昨年からのオズワルドしかり。ちなみに、決勝進出が決まった時の喜び方で1番好きだったのは、ヨネダ2000の抱擁。愛ちゃんの表情から言葉にならない誠への深い愛情を感じる。母のようにも、子のようにも見える顔。ロングコートダディ男性ブランコ真空ジェシカの3組の漫才もあまりに好き過ぎて、冷静ではいられなくなってしまうほどに興奮した。興奮のあまり激しい頭痛に襲われてしまい、ロキソニンを飲んで眠る。

12月19日月曜日

緊張感のある商談を終えて、年内の仕事はこれでもう終了という気分。お昼はローソンのサンドイッチを車の中で食べた。車の中で食事をするのは嫌いではない。NewJeansの新曲「Ditto」(MVも素晴らしい)をリピート。今年はNewJeansの年だったと言ってもいい。

www.youtube.com
昨日放送の『ボクらの時代』に『Silent』制作陣が出演していて、そこでの脚本家・生方美久の発言が盛大に燃えていた。たしかに発言に多少の危うさはあったなと思うけど、自分たちの尺度にはめこみ無理やりに火をつけていくやり方は何度見てもげんなりする。正しさという庇護のもとに自分の会得している知識とリテラシーを振りかざして気持ちよくなっているだけ。あと、「あいつ、最近調子よくてなんかムカつくな」という嫉妬心。これも結構多いのだ。夜は『CDTVライブ!ライブ!クリスマス4時間SP』を観る。King & Prince、なにわ男子、Snow Man星野源official髭男ismという私好みなラインナップを惜しみなく前半に固めてくれたので、後半は離脱して、『スラムダンク』の新装再編集版を読み始める。陵南との練習試合まで。

12月20日火曜日

もう終了という気分で挑んでいた仕事でしんどいことがあり、気疲れ。心を癒すため映画『C’mon C’mon』(今年ベスト級)のサウンドトラックを流しながら車を走らせた。「I Won’t Remember?」という曲がとびきりに好き。ずっと食べてみたいと思っていた赤福の「白餅黑餅」を妻が買ってきてくれていたので、ほうじ茶を淹れて食べる。昨年から発売された赤福の新作で、見かけてもだいたい売り切れていて、この日も最後の1箱であったらしい。HPの商品紹介を読んでみると、「影があるということは、そこに光もあります。これから光に向かって進んでいく、その一歩に“白餅黑餅”がなればと・・・、そのような意味を込めながら、誕生しました。」と書いてあり、胃もたれした。黒餅はこし餡の赤福ではなく、黒砂糖味のお餅。白餅は白小豆とのことで、いつもの赤福とはまた別ベクトルの素朴な味で美味しかった。赤福のピンク色の包み紙、かわいいですよね。

12月21日水曜日

気分の落ち込みを感じる。お昼はドトールでチェダーツナのホットサンドと野菜ジュース。車での移動中に昨夜の『爆笑問題カーボーイ』(先週のピョン吉Tシャツをめぐる光代社長とのやりとりのフリートークも最高でした)を聞いて、ウエストランドの優勝がとにかくストレートにうれしい太田さんにグッときてしまい涙目に。田中さんの井口へのぶち切れをひさしぶりにジングルで聞けたのもうれしい。

帰りに、矢舟テツロー『うた、ピアノ、ベース、ドラムス。』を聞いた。野宮真紀とのデュエット「59番街橋の歌」「陽の当たる大通り~ヒッピー・デイ」が絶品だけども、「ドレミ」が1番好き。『小西康陽小西康陽を歌う』のアンコール配信が決まったとのことで、時間を見つけて観なくては。夕食はおでん。うずらの卵の入った練り物があってうれしかった。気分が優れないので、楽しみにしていた『水曜日のダウンタウン』を観ることなく、ひたすら本を読んでいた。赤染晶子『じゃむパンの日』と平松洋子『焼き餃子と名画座―わたしの東京 味歩き―』を交互につまみ読み。平松洋子の書く東京の風景に懐かしい気持ちに。

最近のこと(2022/12/07~12/11)


バーガーキングが関西圏への出店を強化していて、生活圏内にもバーガーキングが数店舗できた。OPENします!という予告看板が1カ月以上前から出ていたので、その日を指折り数えて待ち望んでいた。タイムマシーン3号YouTubeチャンネルの「ケンタッキー初台店 記念すべき最初の1本目を食べたいので早朝から並んだ」という企画が大好きなので、初日から並んでみようかと思ったくらいに。あまり馴染みのないバーガーキングであるから、そもそも看板メニューである“ワッパー”とは?というところから勉強していきたい。ワッパー(Whopper)は、“並外れて大きなもの”という意味で、通常のハンバーガーの1.7倍のサイズ感であるらしい。ワッパーJr.というが存在するのがまたややこしいのだけど、重量でいうとワッパーの半分くらいのワッパーJr.でも通常のバーガーよりは大きいようだ。ワッパーコンボ(ポテトとドリンクのセット)を注文してみたのだけど、パテはジューシーでフレッシュな野菜がたっぷり入っているし、とにかくでかいので満足感がとても高い。もちろん、値段もそれなりに高いのだけど。ポテトも他のチェーン店とはまた別のベクトルで(言語化できないのだけど)、美味い。ビールやレッドブルもメニューにあって只者じゃない感がビンビンだ。これだけの味を擁しながら日本においては、マクドナルド・モスバーガー・ケンタッキーの3強はおろか、ロッテリアファーストキッチンドムドム、下手したらウェンディーズより根付いていないのはなぜなのだろう。それはバーガーキングが日本展開の撤退と進出を繰り返しているからに他ならない。バーガーキングの日本でのフランチャイズ事業は、西武商事→JT→ロッテ&リヴァンプ(クリスピークリームドーナツの日本展開もこの2社が牽引した)→韓国ロッテ→アフィニティ・エクイティ・パートナーズ(香港投資ファンド)と紆余曲折を経ている。復活するたびにコアなファンが歓喜の声を上げ、店舗に行列している。わたしの中でバーガーキングのコアなファンと言えば、井上三太の漫画『TOKYO TRIBE2』の武蔵野SARUの面々。リーダーのテラさん(『まんが道』の寺田ヒロオに似ているからテラさん!)がワッパーをおごってくれるシーンは最高にイカしていた。同様にして、『TOKYO TRIBE2』の武蔵野SARUの溜まり場であるペニーズ(店名はデニーズのパロディだが、中身はロイヤルホスト)のトロピカルアイスティー(主人公が必ず注文する)は今でもわたしの中でヒップな飲み物だ。井上三太の作風は自分の肌にはまったく合わないのだけども、前述したようなワッパーやトロピカルアイスティーといった細部が活き活きとしているので、妙に印象に残っている。松本大洋の従妹だからという理由で手に取り、『ぶんぷくちゃがま大魔王』『魂列車』『隣人13号』『TOKYO TRIBE』シリーズの2あたりまでしっかり読み込んだ。思い出されるのは『TOKYO TRIBE』単行本表紙の布の質感とか『TOKYO TRIBE2』単行本のサイズとか。あの時代の空気まで一緒に蘇ってくるようだ。

12月7日水曜日

リリースされていたPUNPEE『Return of The Sofakingdom』を聞きながら通勤。お昼は季節の風物詩としてグラコロバーガーを食べた。グラコロバーガーの世間への異常なまでの求心力は“グラコロ”という語感に起因するものであって、肝心の味はたいしたことないと思っているのだけども、なんだかんだ毎年必ず1個は食べている。「母がグラコロの大ファンで、この季節になると“今日の晩御飯はグラコロでいいわよね?”と食卓にマクドナルドが並ぶんだよね」という小話を中学時代に友人のムラタから聞いて以来、グラコロは特別な存在になっている。自分の両親はマクドナルドを美味しそうに食べるタイプではなかったので、親とマクドナルドという離れた印象のふたつの事象が強く結びついている点に興奮を覚えたからだろうか。ムラタのお母さんは今でも元気にグラコロにかぶりついているのだろうか。

少し風邪気味だったので早めに帰宅。なにわ男子の大橋くんがCMしているジキニンファーストネオを飲んだ。あのCMは大橋和也の秘める“かわいげ”みたいなものがいかんなく発揮されていて良いと思う。家で残したパソコン仕事をしながらFNS歌謡祭を楽しんだ。数ある年末音楽特番の中でもFNS歌謡祭はやっぱり特別だ。何と言っても、武部聡志率いるバンドメンバーによる生演奏は贅沢だし、今年は3年ぶりのグランドプリンスホテル新高輪の「飛天」が会場。オープニングアクトマツケンサンバなのもバッチリ。マツケンサンバを目玉みたいに番組の後半まで引っ張るような番組もあるけど、あれは賑やかしの縁起物なのだから最初にドーンとやってもらって、あとはもう記憶から消すのが最適なのだ。森高千里×乃木坂46「ジン ジン ジングルベル」、満島ひかり×三浦大知上を向いて歩こう」、SEVENTEEN「DREAM」、Snow ManJUICY」「勝手にしやがれ」(沢田研二カバー)、浜崎あゆみ「appears」「Who...」、氷川きよしさよならの向こう側」、満島ひかり×曾田茂一×長岡亮介ひこうき雲」あたりが良かったけども、ベストアクトは文句なしにOfficial髭男ismの「Subtitle」だろう。楽曲のすばらしさや圧倒的歌唱力はもちろんのこと、各楽器が奏でるフレーズも研ぎ澄まされていて、聞き入ってしまった。家に『YELLOW MAGAZINE 2021-2022』があるのを思い出し、星野源と藤原聡の対談を読む。シンセサイザー談話が白熱している様子が楽しいし、“かわいい”と言われるのが嫌で丸坊主にしようか葛藤していた時期が藤原くんにあったというエピソードも採集できてよかった。若林正恭星野源→藤原聡のかわいいを巡る自意識の系譜。

水曜日のダウンタウン』を録画で追いかける。クロちゃんの「モンスターズラブ」に夢中。後出しですが、ミクちゃんのビジュアルの異様なWACK感と豆柴の大群からカナデ脱退というニュースで、豆柴の大群の追加候補なのかなと思っていたのだけど、ほぼ全員が候補だったとは。お風呂に入る前に、猫戦『蜜・月・紀・行』をレコードで聴く。ひさしぶりに現行の新しいバンドを好きになったので、猫戦について文章を残したいとずっと思っているけども、音楽のすばらしさについて書ききる言葉を自分は持ち合わせていないなと感じて筆が進まない。

12月8日木曜日

仕事で難波周辺を歩き回る。海外からの観光客がだいぶ戻ってきていて、みんな大きな買い物袋を抱えている。ちょうど1年くらい前に『ラヴィット』でニューヨークの嶋佐が披露した「爆買いベジータ侍」が好きで、たくさん買い物をしている人を見かけると頭に中にいつも「爆買いベジータ侍」が浮かび上がってきてくれて楽しい。今日の晩御飯はブリの照り焼きだった。『ダイアンYOU&TUBE』の「好きなごはんのおかずは?」という動画がとても好きで、その中でユースケがブリの照り焼きを「ごはん何杯でも食べられる」とチョイスしていて、それを観てからというもの、それまでなんとも思っていなかったブリの照り焼きがわたしの大好物になってしまった。ブリの照り焼きを推すユースケに対して津田が「ブリは部位に当たりハズレがあって、ハズレの部位を嫁が進んで食べている姿を見ると泣けてくる」というエピソードを被せてくるのもすごく良い。生活していくということの細部、その豊さと切なさが活き活きと切り取られた挿話だ。あと、塩だけで煮たカボチャが食卓に登場した。『暮らしの手帖』の表紙や挿絵でお馴染みの牧野伊三夫の著書『かぼちゃで塩を煮る』に影響を受けたものらしい。食べ物に関するエッセイで、食べてみたいな、作ってみたいなと思いを馳せているうちにあっという間に読み終わってしまう。読みやすい文章なのだ。肝心のカボチャは、本に書いてある通り、塩で煮るだけでも十分に甘く、ホクホクで美味しかった。

この日のお風呂にはとっておきの「たべっ子どうぶつ」のバスボールを使った。バスボールから「やぁ」という感じでどうぶつのミニフィギュアが飛び出してくるのがとってもキュートで毎日使いたいくらいなのだけど、こいつは1個500円の嗜好品の類。サル以外ならどれが当たってもうれしいなと思ったらサル。身を清めて観た『Silent』9話。想の妹を演じる桜田ひよりの圧倒的な存在感の華と細かい演技が良い。次で最終回かと思っていたら、11話まであるらしいのでうれしい。

12月9日金曜日

京都まで車を走らせたので、車内でリリースされたばかりのSZA『SOS』(傑作)を流しながらのミニドライブ。

Nobody Gets Me [Explicit]

Nobody Gets Me [Explicit]

  • Top Dawg Entertainment/RCA Records
Amazon
さらに、ママタルトのGERAでのラジオ『ラジオ母ちゃん』、stand.fmでのラジオ『ラジオまーちゃん』を聞いた。ママタルトを愛おしいと思う気持ちが止まらない。ちなみに、ママタルトの大鶴肥満さんも“かわいい”と言われることに抗うべく、風俗愛好家であることやキモヲタな気質を懸命にアピールしている。抵抗の仕方が武闘派でかっこいいぜ。先週の『わらたまドッカ〜ン』がママタルトvsケビンスというフレッシュかつ明るい最高のカード。来週はオジンオズボーンvs磁石で、人によったらタイプスリップしたと思いますね。プロ野球の現役ドラフトでヤクルトスワローズにロッテの成田翔が加入。秋田出身の小柄なサウスポーということで、ドラフト時からヤクルトファンは誰もが石川を重ね、獲得を望んでいた存在だったのでうれしい。『スッキリ』にNUMBER GIRLが出演。今回の再結成で1回だけライブを観ることができたので満足。心地よい轟音を浴びた。

仕事の後、後輩が来月から住む新居を見学し、どこにどんな家具を置くかの相談に乗る。帰宅して、今夜はホットプレートでお好み焼き。天神橋筋商店街にある名店『双月』の生地の練り方を参考にしたということで、今回のお好み焼きはとびきりフワフワと軽い食感で美味しかった。ちなみに、大阪に人にとってお好み焼きはおかずなのか?という疑問は、ほぼNoと言っていいだろう。来阪したばかりのわたしもついつい聞いて尋ねてしまったものだけども、お好み焼きで白米を食べる人にあったことは今のところない。「別に食べてもいいけど、太るしね」って感じ。お好み焼きを食べながら、録画してあったNHK『100カメ』の駄菓子メーカーの回を観る。パインアメの広報が優秀であることやオリオンのココアシガレットがSNSでの反響で最高収益を出していることなどを知れた。オードリーのテレビタレントとしての優秀さを端的に味わえるのはこの番組な気がする。寝る前にFODで井筒和幸の『岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS』(1996)を観る。

井筒和幸なんて全然好きじゃないけども、これと『ガキ帝国』(1981)は名作。フィルムから大阪の町の匂いが香ってくるから。主演のナインティナインも好演。これを今の監督が、今の芸人で同じようなものを撮ろうとしても事故にしからないので、ナインティナインの天性の華はもちろん、井筒和幸の演出が何かしらの効力を発していたのは確かなのだろう。宮迫博之宮川大輔はメインキャラなのでもちろんだが、野性爆弾、FUJIWRA、ブラックマヨネーズ吉田もしっかり見つけられるくらいに出演している。

12月10日土曜日

赤染昌子『じゃむパンの日』が欲しかったので梅田の本屋を2軒ほど回ったけども在庫なし。梅田のデパートはクリスマス前だからかどこも賑わっていた。阪急百貨店の1階コンコースのイルミネーションは毎年圧巻だ。コンコースのウィンドウは『不思議の国のアリス』をイメージしたマリオネット劇場となっていて、それも見物。お昼にロイヤルホストでシーフードドリアを食べる。スペシャルセットにしたので、サラダとオニオングラタンスープ付き。そのどれもが美味しくて、とても満たされた気持ちになる。腹ごなしに天神橋筋商店街を散歩して帰る。午前中から忙しく活動していたので、急激に眠気に襲われて少し昼寝をした。

夜は友人たちがくれた圧力鍋を使って豚の角煮を作ってもらい、テレビで『THE W』を観ながら食べた。ヨネダ2000が炸裂していてうれしくなってしまう。1本目も2本目も大好き。大きなモヒカンのことしか考えられなくなってしまう犬がかわいすぎて涙を流しながら笑ってしまった。天才ピアニスト、紅しょうがはもちろん、敗退したエルフ、Aマッソ、フタリシズカかりこる、にぼしいわし、爛々などもおもしろくてよい大会。あと、後藤輝基の司会は音だけで聴いているとこんなにも今田耕司に似ていたっけと思った。『ドキュメント72時間』の「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」の再放送を録画で。噂にたがわぬ傑作回。川崎に吹く風みたいなものを画面から感じた。

12月11日日曜日

朝起きて珈琲を淹れて、山崎製パンの「薄皮あんぱん」を食べる。5個のミニあんぱんを妻が2個、わたしが3個で分け合った。やっぱり5個がいいよな。昼過ぎに歩いて難波まで出かける。途中どこかでお昼を食べようと思ったのだけど、どこも決定打に欠け、難波にたどり着くとチェーン店すら行列している。なんばパークスの近くにある「錦そば」という立ち食い蕎麦屋だけ並ばずに入れそうだったので、渋々と入ってスタミナうどんを注文してみたのだけど、これが美味かった。こしのないうどんで出汁を楽しむ。スタミナうどんというと、肉や餅が入っているのを想像するのだけども、天ぷらうどんに生卵トッピングされたものだった。うどんを食べ終え、なんばパークスシネマで『THE FIRST SLAM DUNK』を鑑賞。井上雄彦の絵で湘北のメンバーが一人ずつ動き出していく演出で気づいたら涙を流していて、そこからはもうずっと泣いていた。あぁ、自分はこんなにも『スラムダンク』を愛していたのをすっかり忘れていた。『ドラゴンボール』『幽遊白書』『スラムダンク』の御三家との関係性というのは年齢によって変わっていくもので、2~30代になると、冨樫義博がトップオブトップの作家に君臨していくので『幽遊白書』、しかし小学生までは断トツで『ドラゴンボール』で、そして最も多感な10代においては『スラムダンク』こそバイブルであった。

登場人物のポジション、背番号、身長なんかもバッチリ記憶していた。今でこそコミックスは手元にないのだけど、台詞やコマ割りは身体に染みついていて、それらが解像度の高いアニメーションと声優の演技で目の前でビジュアル化されていく快感に、ひたすら涙が止まらなかった。スポーツ漫画であるからその身体性表現で大いなる感動を呼び起こすのはもちろん、キャラクター造形とその台詞廻しも群を抜いているので、キャラクター達が発する一言や何気ないやり取りにもひたすら涙。「静かにしろい この音が……オレを甦らせる。何度でもよ」「そんなタマじゃねーよな」「オレは今なんだよ!!」「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ」…涙。ハンカチが乾かないくらい泣いた。隣に座った家族連れのお父さんも終始目元を拭っていた。わかる、わかるよ。魚住やバスケ狂・テツ沢北(大好き!!)が出てこないとか言いたいこといろいろあるのはわかるけど、傑作、大傑作。劇場で観て良かった。わたしが湘北で1番好きなのはもちろん三井寿です。宮城リョータの"2年生"って感じもたまらなく好き。あとは、みんな大好き水戸洋平と小暮公延。ライバル校から選ぶなら、大栄学園の土屋淳と陵南の福田吉兆。映画を観終えて、心斎橋で妻と合流。大丸で少し良いお弁当箱を買ってもらったので、お返しにセントジェームスのウェッソンをプレゼントした。クリスマスだし。寒かったけど、スーパーに寄りたかったので歩いて帰った。帰宅して、M-1の直前特番と『家、ついて行ってイイですか?』3時間スペシャルを観た。上沼恵美子の代わりが山田邦子。ともこ姉ちゃんがよかったな。TBSドラマ『アトムの童』が最終回。もう書きたいことないんだなとわかる無駄過ぎる後半に笑ってしまった。プレゼントでもらったSHIROのひのきのバスソルトを淹れたお風呂に本を読みながら長く浸かって、出てから少し読んで就寝。

最近のこと(2022/11/30~12/06)


ワールドカップで日本中が盛り上がっている。Jリーグが開始したのが1993年。ちょうどわたしが小学校に入学したあたりであったので、サッカーが好きであるということがマジョリティであったが、小学生の頃のわたしと言えば、広島カープの佐々岡の昨夜のピッチングがいかに素晴らしかったかだとか、ダイエーホークスの吉永の打率がどうだとか、横浜ベイスターズブラッグスが何本ヒットを打っただとかを知るべく朝刊を熟読しているようなタイプであったので、生まれてはじめての疎外感はサッカーに因るものだったように思う。とは言え、「まさお、Jリーグカレーよ」だの「アルシンドになっちゃうヨォ」だの、テレビを見ていればとにかくJリーグの情報が入っている時代だったので、ジーコという偉大なブラジル人選手が鹿島アントラーズでプレイしているだとかヴェルディ川崎ビスマルクがゴールを決めると祈るだとかは知っているし、Jリーグのマスコットキャラクターである「Jリーグキング」にだってきちんと王としての畏敬の念を払っていた。ときに、あの方の頭部は単なるサッカーボールでなく、地球にも見えるようなサッカーボールでデザインすべきだったのでは。サッカーは国境を越えると聞きますし。JリーグキングをはじめとしてJリーグチームのマスコット達にはそれなりに夢中になっていて、グッズを集めていた覚えもある。名古屋グランパスエイトの「グランパスくん」が好きだったので、『コントが始まる』(2021)の中で仲野大賀がグランパスくんのTシャツを着用していたのにはうれしくなってしまった。今、思えばガンバ大阪の「ガンバボーイ」って松下進デザインだった。オリックスブルーウェーブのネッピー(知らなかったけどガンバボーイの兄という設定らしい)とかam/pmのデリスくんとか、『ファミ通』の表紙とか、“平成”というものを思い返す時、松下進のイラストは象徴的に機能する。話をサッカーに戻すと、『キャプテン翼』だってちゃんと読んでいたのだ。今でもコーラを飲む時や袖を肩までまくった人を見れた時は日向小次郎のことを思い出すし、地面を蹴りつけてからシュートする雷獣シュートの練習にも励んだ。ロベルト本郷のように胸ポケットにウィスキーを入れた水筒を忍ばせてみたいとは今でも思っている。とまぁ、それになりに関心を持っていたにも関わらず、サッカーと距離をとってしまったのは学生時代の体育の授業に要因がある気がする。体育というと、とにかくサッカーの時間が多かった。野球やバスケだってしたいのに。クラスメイトがサッカーの時だけ人格変わる感じが苦手だった。誰かがミスすると怒鳴ったり、舌打ちしたりする感じ。あれは我々の世代がJリーグ黎明期時代を生きていた故に極端にサッカーに熱くなっていたからなのか、それとも全世代共通なのか。冷笑の態度みたいなものにドップリ浸かっていた残念な10代だったので、その熱さをバカにするあまり、「足でボールを蹴りながら走っていく」というのが恥ずかしくてできなくなってしまった。そうするともう、試合中は味方のゴール前に立って、たまに来るボールを適当に遠くまで蹴り飛ばすことしかやることがないのだ。1回だけ強く蹴り飛ばしたらそのまま相手のゴールに入り得点してしまい、実にばつの悪い思いをしたのを強烈に覚えている。あの退屈で屈辱的な時間を思い返すだけで、サッカーとはまだまだ和解できそうにない。もちろん、日本に頑張って欲しい気持ちはあるので、スペインに勝利したと聞いた時は朝から喜びの舞を踊った。ドイツやスペインが強いことはなんとなく知っている。

11月30日水曜日

この日は夕方から『M-1グランプリ2022』の準決勝が開催されていて、夜の22時に決勝進出者が決定。もう一日中ソワソワしていた。決定した9組、すんごい面子だった。真空ジェシカは今1番好きな漫才師と言っても過言ではないので、ぶっちぎりで優勝してしまって欲しい。ヨネダ2000のすばらしさは筆舌に尽くしがたいものがあって、心の中の大切なものを託したくなるコンビ。さらには、タイタンから2組!ウエストランドの返り咲きも素晴らしいし(夏頃に観たタイタンシネマライブでもすでに仕上がりきっていた印象)、キュウを決勝の舞台で観られる喜び。ロングコードダディ、カベポスター、さや香も大阪在住の身としてはうれしい。ママタルトとマユリカは今後も情熱的に応援していくし、令和ロマンの素敵なスーツをはやく決勝で観たいし、ヤーレンズもどうか世間に見つかって欲しい。現在のM-1仕様漫才のヤーレンズも素晴らしいが(あそこには血と汗が滲んでいる)、ボンクラの立ち話をひたすらに続けるかつてのヤーレンズの漫才も評価されて欲しい。ハイツ友の会を準決勝に上げてくれるなら、かつてのヤーレンズだって・・・ヤクルトスワローズから守護神マクガフが退団。メジャーに挑戦とのこと。本当によく投げてくれて、弱かったヤクルトをリーグ2連覇までに導いてくれたので感謝しかありません。次の守護神は清水だろうか。文句なしにヤクルトで1番いい球を投げていると思う。眠る前に『世界の小さな村』という本を眺めた。

ホッロークー、ザリピエ、シリンジェ、アヒヒック、理坑、ホラショヴィツェ・・・と私が地理に疎いせいもあるが、名前も聞いたことない地域にひっそりと佇む美しい村の写真集。そのおとぎ話のような美しさに妙な既視感があるというか行ったことすらある気がするのは、おそらく『ドラゴンクエスト』や『ゼルダの伝説』などの製作者がこういった実在の村をモチーフに世界を作り上げているからな気がしている。

12月1日木曜日

お昼休みに病院に行き、先週受けた精密検査の結果をもらう。肝臓に何の異常もなし、血液検査の数値もすべて良くなっているとのこと。安心した!昼過ぎから車で市内を外回り。大阪城の紅葉はまだまだ美しい。この日は運転中にスカートのナイスなニューアルバム『SONGS』を聞いた。

SONGS

SONGS

  • IRORI Records
Amazon
思い切ったアルバムタイトルの通り、曲が粒立っている。スカートは冬の寂しさがよく似合う。Spotifyが2022年によく聞いた音楽を報告してくれた。アーティストでは1位Rex Orange County、2位猫戦、3位宇多田ヒカルとのこと。Rex Orange Countyに関してはあの報道があってからまったく聞けなくなっているので悲しい。アーティストの人柄と作品は関係ないとドライに割り切る方法もあるのだろうけど、行為の質が悪すぎる。猫戦と宇多田ヒカル(特に「BADモード」と「Somewhere Near Marseilles -マルセイユ辺り-」の2曲)は本当によく聞きました。今年リリースされたものだと、Harry Styles、the1975、DOMI&JD BECK、The Weeknd、柴田聡子、えんぷてぃ、C.O.S.A.、Bobby Oroza、Sam Wilkesあたりもよく聞いた。ちなみに1番聞いたPodcastは『アンガールズのジャンピン』だそうです。Spotifyで聴けるラジオは手軽で重宝している。『マユリカのうなげろりん!!』『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』『宮下草薙の15分』など。最近は『空気階段の踊り場』もSpotifyで聴けるようになってありがたい。「踊り場ブレイキングダウン」は新たな傑作コーナー。この番組は人間のみっともなさを愛おしさとして昇華するのが上手すぎる。GERAにもお世話になっていてママタルト、春とヒコーキ、囲碁将棋、みかみかわとスーパー三助の番組を特に愛聴している。

お風呂に入りパジャマに着替え、温かいほうじ茶を淹れ、万全の体制で『Silent』の8話に臨む。夏帆風間俊介の瑞々しい演技が素晴らしい。そんな意図はサラサラないかもしれませんが、森口瑤子を召喚という坂元裕二へのリスペクトの示し方に驚いた。9話は目黒蓮のターンか。目黒蓮と言えば、朝ドラ『舞い上がれ!』は残念ながら離脱。舞ちゃんのキャラクターがあまり魅力的に思えない。祖母役の高畑淳が出演していた頃の子役時代が1番良かった。『ちむどんどん』は2話で早々にリタイアしてしまったし、どうにも朝ドラが得意じゃない。しかし、『カムカムエヴリバディ』は最後まで観通したのだ。深津絵里が好きだから。

12月2日金曜日

この日は和歌山方面を外回り。和歌山インター近くの人気店「ラーメン 丸花」でお昼関西でこれだけ美味しい家系ラーメンが食べられる喜び。くどすぎないスープが洗練されていて、実に美味しい。うずらと海苔を追加トッピングした。かりそめ天国もMステもない味気ない金曜日だったのだが、ちょうど良くDOMMUNEで「カクバリズムと21世紀」という放送があって、角張社長・九龍ジョー・柴崎祐二・MC.sirafu・あだち麗三郎という座組で、2000年~2010年代のインディーシーンの振り返りをしていて、聞き入ってしまった。2010年頃の東京インディーはわたしの第2の青春だ。Your Song is Good「THE LOVE SONG」、cero「武蔵野クルーズエキゾチカ」、片想い「踊る理由」などの音源や映像が流れる度に涙腺が刺激された。mei eharaとキセルのライブも素晴らしかった。さらに、『「ほら!ここが父ちゃんちの踊り場」~空気階段×真空ジェシカ×オズワルド 忘年会2022~』の配信チケットを買い、視聴。ラジオも聞いている大好きな3組だが、利きビール大喜利対決が長すぎて眠くなってしまい、そのあとは適当に流し見。

12月3日土曜日

午前中は部屋の掃除や洗濯。大学時代の友人から結婚祝いに圧力鍋が届いた。とてもありがたい。お昼過ぎに歩いて難波まで行き、洋食屋「重亭」に並ぶ。最近、オズワルド伊藤、ママタルト大鶴、春とヒコーキぐんぴぃなど「重亭」について言及していたので、覚悟を決めて並んでみた。海外の観光客が多かった。向こうのガイドブックに掲載されているのだろうか。30分ほど並んで、ハンバーグとライス。妻がポタージュを注文したのだけど、テーブルに届いた熱々のスープを見た隣の席の韓国からの観光客もたまらず追加でポタージュを注文していた。なんとなくうれしい。ハンバーグはフワフワなのに肉汁が溢れるジューシーさで大変美味しい。これは並ぶ価値ありだ。

すっかり寒くなってきたので心斎橋で温かい部屋着を購入。セレクトショップに並んでいたバブアーのオイルジャケットを触ってみたらあまりベタベタしていないし、匂いもあまりしないのでビックリしたのだけど、2006年くらいからオイルが改良されているらしい。古着のバブアーは臭いものが多い。南堀江のFLAKE RECORDSでthe chef cooks me「間の季節 (feat. ayU tokiO, KONCOS)」の7インチを購入。「間の季節」はシェフを代表する名曲だけど、ayU tokiOによるアレンジでさらに更新されていた。帰りは御堂筋を歩いて、イルミネーションの美しさを堪能。

夜は近所に住んでいる会社と後輩とその彼女に妻を加えた4人で居酒屋でご飯を食べた。角煮のパイ包みと白子ポン酢が絶品だった。2人はもうすぐ同棲を開始するということで、わが家を見学。あまり来客のないわが家なので、人が来るのは一大イベントなのだ。準備にあたり、妻は「絶対にUNOが必要だ」と主張し、それを失笑であしらったら、たいへん機嫌が悪くなった。来客が帰り、録画してあった『ベストアーティスト!』を流し見る。ブラックビスケッツ復活は世代なのでちょっと感激。「Timing」よりも「STAMINA」派だし、もっと言えば3枚目の南々見と天山がリードボーカルの「Relax」が1番好き。「Relax」はほぼSMAPの「SHAKE」であって、なんでSMAPに提供しなかったのかなというレベルの楽曲で、つまりは超名曲。そもそもブラビの楽曲は作詞がほぼ森浩美SMAPの「SHAKE」「青いイナズマ」「しようよ」「笑顔のゲンキ」などその他多数)で、作曲や編曲を林田健司(「青いイナズマ」)や小森田実(「SHAKE」「たいせつ」「ダイナマイト」「らいおんハート」など)が手掛けているというSMAP黄金期の布陣なのだ。

12月4日日曜日

京都に出かけるつもりだったけども、妻が風邪気味だったので中止。家で寝ころびながら映画を観た。軽めの良すぎない映画にしたいなと思ったのだけど、1本目のイルミネーション・エンターテインメント『Sing/シング』(2016)がひさしぶりに観たら、結構良くてちょっと泣いてしまった。2本目の『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』(2010)ははじめて観たのだけど、これも面白い。もっともクレしん映画の名作扱いされてもいいと思う。3本目は『ドラえもんのび太の銀河超特急』(1996)でこれは本当にひさしぶりに観たけど、やっぱりあまり印象に残らない。新聞記者ボームさんがめちゃんこかっこいいキャラクターなのに変な髪型とズングリ体型で最高。ここらへんは今のアニメにないセンスだよなぁと思う。塩沢兼人の声がいい。最後に『劇場版 きのう何食べた?』(2021)を観た。予告の限りでは京都が舞台なのかと思っていたが冒頭の15分くらいで、あとはドラマ版とほぼ変わらない印象。

THE MANZAI』を流し見。個人的には海原やすよ ともこが1番かっこいい漫才をしていたように思った。本当にその場の思いつきで喋っているみたいなのに演芸だった。大阪市に住んでいると、「大阪市プレミアム付商品券2022」のポスターで1日に10回はやすともを目にするので、贔屓目だろうか。甥っ子が大阪に遊びに来た時も、「ほら、あれが“やすとも”だよ、大阪の鬼だよ」と教えてあげた。今、甥っ子が怖いものNo.1は鬼で、言うことを聞かない時は鬼に電話されるらしいので、その鬼にやすともという実像を与えてみた。あと、集中して観たのは霜降り明星、ナイツ、かまいたちおぎやはぎ爆笑問題

12月5日月曜日

会議続きでヘトヘト。帰宅して夜ご飯。

天ぷらのあとで
「君にはわるいんだが、御飯に醤油をたらして食べたいんだよ」
いうや、近藤君がニッコリして、
「あれは、うまいですからねぇ」
そういってくれた。うまいので、3杯も食べてしまう。

というくだりが『池波正太郎の銀座日記』にあって、つい真似してご飯に醤油を垂らして食べてみた。たしかにこれだけでも充分に旨い。しかし、晩年の日記であるはずなのに池波正太郎は本当によく食う。お風呂に浸かりながら、iPhone松任谷由実『悲しいほどお天気』を流して聞く。

悲しいほどお天気

悲しいほどお天気

  • アーティスト:松任谷由実
  • ユニバーサル ミュージック (e)
Amazon
「ジャコビニ彗星の日」で始まるのが最高だし、「緑の町に舞い降りて」「Destiny」「悲しいほどお天気」など名曲たっぷりの名盤。

Netflixで『ウェンズデー』を3話まで観た。これは抜群におもしろい。ようはティム・バートン版『ハリーポッター』なのだけど、バートンの魂がこれでもかと吹き込まれた主人公を愛さずにはいられない。抑圧された魂。それを象徴するフェンシングの面、養蜂保護服。はやく続きが観たい。リアルタイムで『エルピス』も観る。先週くらいから、少しダラダラしている印象を覚える。同じところでグルグルしているような。先週に登場した岸本の実家からの引っ越し先が『美味しんぼ』の山岡さんスタイルだったのはいかにも大根仁という感じですが、ちょっと興奮してしまった。岸本の友達役の斉藤天鼓という役者さんは、『First Love 初恋』の町田先輩といい、とても印象に残る。顔に似ているし、ポスト高橋一生になりえる存在では。

12月6日火曜日

晴れ渡り、澄み切った元旦のような気候。宝塚方面を走っていると、キラキラと光る川面の大きな川が流れていて、とても豊かな気持ちになる。宝塚市手塚治虫記念館もいつか訪ねてみたい。この日は帰宅して『アトムの童』8話を観た。TBS日曜劇場の典型と言えばそうなのだけど、岸井ゆきの風間杜夫の存在感がそこをズラしてくるので意外と楽しめる。この作品ではじめて山崎賢人に触れたのだけど、実に華のある役者さんだ。窪塚洋介赤西仁といった危険な雰囲気をまとったゼロ年代のイケメンのオーラがある。ときに、原価高騰により来年出荷分から山崎製パンの「薄皮シリーズ」が5個から4個に変更されてしまうとのニュース。こんなにも値上げの波や貧しさを感じる事象もないし、それ以上にどこか精神的にダメージを負うものがある。“5個”という割り切れなさがあの商品のなによりの魅力ではないか。5個だと一気食べるにはちょっと多いのだけど、そこがいいのだ。Twitterのリプライでもらった言葉だけども、朝・昼に2個ずつ食べても1個残り、2人で2個ずつ分けても1個残る。さて、どう使おうかというこの割り切れない1個が生活の中の豊かさであり、もっと言うならば“詩”の領域であったように思う。日本が失ったのは単なるミニあんぱん1個ではない。いつか元に戻ることを願います。火曜日のくだりは、宝塚⇒手塚治虫鉄腕アトム⇒アトムの童⇒山崎賢人山崎製パンという風に繋いでみました。