青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2017/07/29~)

フジロックが終わってしまい、どこかセンチメンタルな気分になっている。祭りのあとの妙な寂しさに包まれているのだ。苗場に行ってないし、行ったことすらないというのに。Twitterだのインスタだので、あまりにフジロックの情報をリアルタイムで浴びているがあまり、行ったつもりになっているのかもしれない。SNS歴10年くらいでこのバーチャルな感覚を会得してしまったわけだけども、”スマホと大人になっていく たぶん初めての人類”こと広瀬すずさん達はどんなことになっているのだろう。インスタにアップされる食べ物の画像を見ているだけでお腹が膨れたりするのかな。『ドラえもん』てんとう虫コミック42巻

ドラえもん (42) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん (42) (てんとう虫コミックス)

に収録の「目は口ほどに物を食べ」に登場する秘密道具”食品視覚化ガス”かよ!とツッコんで頂けると幸いです。「来てるな、未来」(©ラーメンズ)ですね。ときに、しばらくコンビとしての活動はないようだけども、今のサブカル若者らにとってもラーメンズのコントは必修科目であり続けているのでしょうか。



最近のことです。土曜日、起床するやいなや『ひよっこ』を観て、泣きはらす。うう、有村架純ちゃん凄い。世津子さん(菅野美穂)の切なさ、というのを17週目の感想エントリーに書きそびれてしまった。あと、宮本信子はやっぱり凄い。喋り方だけで泣いちゃう。佐々木蔵之介は『美しい星』での水星人役も素晴らしかったし(定食を食べるシーンが最高)、最近とても好きだ。『やすらぎの郷』も一応全部観ているのだけども、「ジジイこの野郎」という気持ちが今にも爆発しそう。2~40代くらいまでの『やすらぎの郷』への感想は目にするのだけども、60歳以上の方々がこのドラマをどう観ているのか知りたい。そういう声はどこで拾えばいいのだろう。掃除と洗濯を済ませ、ナカゴーの舞台を観に、浅草駅へ。いつも以上に人が多くて何事かと思ったら、墨田川の花火大会の日であった。お目当てのカレー屋も、花火大会に向けて店頭での弁当販売に切り替わっていて、食べられず。時間もなかったので、適当に喫茶店に入る。浅草という土地に疎いのだけども、どうやら有名なお店らしく、『どっちの料理ショー』でも勝利したというホットサンドがとても美味しかった。注文したのはコーンビーフとチーズとアスパラのホットサンド。
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ナカゴー『ていで』は素晴らしかった。いやーおもしろかったなぁ。高畑遊、最高。11月に様々な演出家を迎えた1人芝居の公演があるらしい。演出家のクレジットには鎌田順也(ナカゴー)などに混じって岸学どきどきキャンプ)、タケタリーノ山口(瞬間メタル)といった芸人の名も。ナカゴーの川崎麻里子のことを、「北区の峯岸みなみ」と呼んでいる。そして、感想エントリーにも書いたのだけども、『もはや、もはやさん』に引き続き、金山寿甲(東葛スポーツ)の存在感が秀逸。惚れたね、あたしゃ。東葛スポーツの公演にヤクルトの試合映像とかつば九郎のぬいぐるみが使われていたので、金山寿甲もスワローズファンなのだろうか。だとしたら、うれしい。なんたって惚れているからね。次の東葛スポーツの公演には、光浦靖子宮崎吐夢が出るらしい(ロロの森本華も!)。光浦、ラップするのかな。光浦さんは『ていで』の公演に花束を贈与していた。鎌田順也の作風はどんどん洗練されている。山田太一早春スケッチブック』の引用が様になっていた。私が最初に観た作品など悪のハンバーガー軍団と正義のハンバーガー軍団がどうしたこうした、とか言って舞台上で叫びながらマックのハンバーガーぐちゃぐちゃにしてましたからね。最後のオチがドムドムバーガーだった。それはそれでおもしろそうだ!そういえば、「ナカゴー主催の鎌田順也は長嶋有門下生」というツイートを見かけた。どういうことかわからないけども、好きな作家が子弟関係だったなんてうれしいことだ。更に、この日は長嶋有さんが同じ会場にいたらしい。全然気づかなかったけど、これもうれしいことだ。劇場を後にすると、小雨が降り始める。浅草寺に立ち並んでいた屋台であんず飴を買って食べた。水飴は思っていたよりもずっと歯にくっつく。雨はどんどん強くなり、人もどんどん増えてくる。「蛇骨湯」にでも寄りたいと思っていたが、早々に浅草を離れることにした。最寄り駅のスーパーで冷しゃぶ用の豚肉とノンアルコールビールを買って帰る。もらいものの冷麺と一緒に食べた。食後にこれまたもらいもののメロンを冷やして食べる。ものすごい糖度で、皮から2ミリのところまで甘い。人生ベストメロンに数えたい一品だった。洗濯物が雨でビショビショ、洗い直しとなり悲しい。Huluで『KEYABINGO 3』を観て、『オードリーのオールナイトニッポン』を聞きながら眠る。ジョビジョバのマギーが3年来のリトルトゥースというところで記憶が途切れた。



日曜日。昼まで寝てしまった。天気がよくないので、洗濯してコインランドリーへ。待ち時間に喜多方ラーメンを食べる。フワフワになった洗濯物を回収し、テレビで高校野球西東京大会の決勝を観た。清宮の夏が終わる。色々言われているけども、甲子園で観てみたかったな。しかし、あの守備だとヤクルトには安田(履正社)を指名して欲しい気もする。東海大菅生の俊足のセカンドの子が、『ドカベン』に出てくるキャラクターみたいだった。かき回されてたなぁ。しばらく間をあけてしまった『ゲーム・オブ・スローンズ』を2エピソードほど観てから、自転車で銭湯へ行き、サウナを軽く3セット。100℃超えの熱々サウナのおかげで20℃程度の水風呂がたまらなく気持ちよかった。攪拌していないので水面は穏やか。身体を浮かせて無の境地へと誘った。晩御飯はゴーヤーチャンプルーにした。『アメトーーク』日曜版「スーパー戦隊芸人」での井上小百合さんの活躍を見届けた。どちらかというと仮面ライダーウルトラマン派だったので、自分がどの戦隊を観ていたか思い出せない。『忍者戦隊カクレンジャー』は歌まで覚えているのだけど、年齢的にガッツリは観ていないはず。『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』あたりは朧気に記憶にあります。突然、すずめちゃんの「眼鏡クイックイッ」ダンスが観たくなったので、久しぶりに『カルテット』8話を観直す。リアルタイムであれほど観たというのに、新鮮におもしろくてビックリしてしまった。すずめちゃんが別府くんのパジャマを洗濯する為に使っていた柔軟剤、どんな香りがするのだろう。ネットサーフィンしていたら、高橋一生小林薫と同じ柔軟剤を使っているという情報を得ることができました。ありがたいことです。高橋一生の出ている『おしゃれイズム』を観る。化粧が濃かった。スケボーをしている時のボサボサ髪のイッセーのが断然かっこいい、というのがウチらの見解、てか総意だよね(*´Д`)




月曜日。ヘトヘトになって帰宅。最近、音楽への関心がめっぽう下がっていて、ネッド・ドヒニーとかしか聞いてないです。『HARD CANDY』と『PRONE』を順繰りでリピートしています。

ハード・キャンディ(期間生産限定盤)

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プローン(期間生産限定盤)

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スーパーで買ったオクラの天ぷらと豆腐とキムチを食べる。録画してあった『欅って、書けない?』を観て、ほっこり。喜びがダダ漏れる長濱ねるさんの姿にやられた。北千住をレペゼンしだす渡辺梨加さんとオダナナと両想いになれたすずもんの表情、かわいかったなー。1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』は良曲が比較的多くていいアルバムだと思った。新曲では「100年待てば」「沈黙した恋人よ」「少女には戻れない」「バレエと少年」の4曲が特に好き。後ろの2曲はジャミロクワイとクイーンなわけだけども、むしろ初期のハロープロジェクトオマージュが効いている。長濱ねるさんの歌声は偏愛しているので正統派アイドル歌謡な「100年待てば」を新曲のベストに推したい。既存曲は改めて、シングルのカップリングの充実が凄まじい。けやき坂46「僕たちは付き合っている」でいつも涙ぐみます。乃木坂46の新曲「呼び水」は平均的なここ最近の乃木坂シングル曲という出来栄えでまぁいいとして、現在MVで発表されているカップリング曲が全部ピンとこなくて悲しい。「沈黙した恋人よ」ほどの良曲がひらがなかやきの、更にユニット曲にあてがわれているのに、乃木坂のシングルがそれでいいのだろうか。



火曜日。仕事を終えて東京駅経由で京橋へ。「ダバ インディア」という人気の南インド料理屋でミールスを食べた。
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美味しいけども、少ししょっぱくて辛い。バトゥーラという揚げパンがついていた。2種のカレーはチキンとフィッシュ。今度行く時はビリヤニを注文したいと思う。少し歩いてコレド室町のTOHOシネマで『怪盗グルーミニオン大脱走』を観た。
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3作目、という感じでした。もっとおもしろくてもいいと思う。メルというミニオンがリーダーとして振る舞っていたのだけども、『ミニオンズ』であんなに頑張ったケビンは失脚してしまったのだろうか。かわいいボブはどこにいるのか目をこらしてみたが、それらしいのをワンカットしか発見できなかった。押すに押されぬ人気ミニオンであるボブを全面に押し出さないのは凄い。コレド室町の入り口に「揚げたて芋けんぴ」なるものが売っていて、気になってしょうがなかったが、お腹いっぱいなので諦める。せっかくだし、お土産にしようかと思ったらが、すぐに食べなきゃ”揚げたて”じゃない!ということに気づいてやめました。「人を食べる仕事」というパワーワードを生み出した『東京喰種』のポスターを観て思い出したのだけども、8月2日に大川隆法が東京ドームで特別大講演会やるらしい。オープニングアクトとして千眼美子が歌うとのこと。信者じゃなくてもお布施を払えば聞けるらしいので、友人に「興味あるなら、行ってみない?」と誘ったら断られました。誘い方が悪かったのだろうか。千眼先生曰く「2600年経っても消えない仏教のはじまりであるブッタの生まれ変わり」であるらしい大川隆法の講演会が、仏滅の日に開催というのは飛ばし過ぎのジョークだ。ブッダの休日。『フリースタイルダンジョン』の2代目モンスターがどんなメンツになるのか楽しみですね。



水曜日。珍しく気候が涼しかったので、少し歩いて帰った。ひたすら『オードリーのオールナイトニッポン』のアーカイブを聞いている。ラジオは人間の根源的な孤独みたいなものを慰めてくれるな、と改めて感じています。とりあえずここ数ヶ月分は聞いたので、2017年1月から順々に、と並行して第1回放送からも聞いていこうと思っています。あの頃のオードリーと今の自分が同い年くらいなのだな、と思うと感慨深い。あと8年かければ、私もゴルフやキャバクラがしっくりくるようになるのだろうか。晩御飯にイカと海老と玉子の炒めものを作ってみたけども、ちっとも美味しくなかった。『FNSうたの夏まつり』をダラっと観ていたのだけども、あんまりおもしろくない。どこの層に向けて作っているのかよくわからないキャスティングのように感じる。全方位のつもりなのだろうけども。PUNPEEが地上波で加山雄三とラップしているのと、森高千里がドラム叩きながら、「ダイヤモンド」を歌っていたのがよかった。
youtu.be
桑田真澄の息子がMattという名でテレビに出ているの知らなかったんですけど、まんまと「桑田真澄 息子 ハーフ」と検索してしまいました。悔しい。乃木坂46生田絵梨花さんはFNSにハマっていて、今回は『リトルマーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌い上げていた。大学のサークルの新歓コンパで、あの曲の日本語版と英語版を続けざまに歌う新入生の女の子がいて、度肝を抜かれたという思い出がある。その後も、アヴリル・ラヴィーンの「Girlfriend」などをHey!hey! you!you!と全力の顔力で歌っていて、辛抱たまらず笑い転げてしまった。機嫌を損ねたに違いないと思いきや、その子は「すごい盛り上がってくれて歌いやすかったです」と喜んでくれた。「凄いポジティブさだな、帰国子女か!」と偏見丸出しのツッコミをグッとこらえたのですが、本当に帰国子女だったので、海外は大きく太く育つな、と感心したものです。



木曜日。この日は絶対に「タイムズスパ レスタ」に行くぞ、と決めていたのだけども、入り口まで行って急に気持ちが萎んだので、東池袋駅前の「日乃屋」で名物カツカレーを食べて帰った。「日乃屋」のカレー、初めて食べたんですけど、えらい甘いですね。帰宅してから自転車でミニスーパー銭湯へ。ここは暗黙の了解で刺青OKという風潮があるのかなんなのか、とにかく身体に落書きのあるお客さんが多い。この日は、1セット目で昔ヤンチャしていたらしく、首筋にタトゥーの入った若いお父さん2人の、悩ましい刺青事情を聴くことができた。社員旅行などでは、いつも酒に酔ったふりをして大浴場に入るのを回避するらしい。彼らは「娘に物心がつく前に消す」と決意してサウナを後にした。2セット目は組関係の3人組で、1人は中高生くらいの若者。「ずっとやりたいことなかったんで、今は楽しいっす」と、墨バリバリの兄貴たちに語っていた。「よかったじゃねぇか」という兄貴あり、「今だけよ、その内ダルくなるぜ」と茶化す兄貴あり。人生いろいろである。すっかりととのって帰宅して、録画してあった『水曜日のダウンタウン』でゲラゲラ笑って寝た。

ピエール・コフィン/カイル・バルダ『怪盗グルーのミニオン大脱走』

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ミニオン達のそれぞれのキャラクターを見分けるのは困難を極める。彼らは無数に存在するが、そのルックのバリエーションは、一つ目、二つ目、デブ、チビ、ノッポくらいのもの。しかし、彼らはそれぞれに個性があって、ケビン・ボブ・スチュアート、ティム、ジェリー、メル、マーク、フィル・・・と名称さえ持ち合わせている。グルーにしてもアグネスにしてもネファリオ博士にしても、「怪盗グルー」シリーズの登場人物らは、判別のつきにくいミニオンの差異をしっかりと判別し、その各々の個性をはっきりと認証している。スピンオフ作品『ミニオンズ』(2015)においても、リーダー格のケビンがミニオン全員の名前入り顔写真をファイリングして持ち歩いているという描写があって、その固有性へのこだわりにグッときてしまうのだ。一方で、誰もが底抜けに明るく、常にふざけ合い、大雑把に何でもかんでも笑い飛ばす。とりわけ、相手の失態にはとにかく目ざとく、シニカルに笑い転げる。何と言うか、”ミニオン”という総称で呼んでしまうにふさわしい共通の性質のようなものを持ち合わせている。つまり、個性がありつつも、匿名性も強い。この”どっちつかずさ”というか「何がしたいかよくわからない」感じが、イルミネーション・エンターテインメントが作るアニメーションの長所であり短所であり、やはり長所だろう。とにかく、軽やかなのがいい。


ミニオンの個性を巡る”分裂”は、主人公のグルーにも及んでいる。1作目『怪盗グルーの月泥棒』(2010)では怪盗軍団を率いる大悪党、2作目『怪盗グルーのミニオン危機一発』(2013)では反・悪党同盟の一員として正義の道へ。そして、この3作目『怪盗グルーのミニオン大脱走』においては「正義か/悪か」という二律に悩まされ、文字どおり分裂してしまう。生き別れた双子の兄弟ドルーなる人物が登場するのだ。
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ドルーの存在が見事にグルーに内在していた二律を演出している。黒い服を身に纏ったグルー、白い服を身に纏ったドルー。グルーは悪党が性に合っているのだけども、家族の為には正義でありたい。ドルーは悪党にからきし向いてないが、家族(=亡父)の為に悪党になりたい。ちなみにミニオン達は「最強の悪党に仕えること」を存在意義としているので、悪党でなくなったグルーに不満を持っていて、これもまたグルーを「正義か/悪か」で悩ませる種だ。これらのテーマは、アグネスのユニコーンの挿話を通して、「願った通りの結果じゃなくても、楽しめたらいいよね!」という能天気なメッセージで締めくくられる。この深遠さを欠いたポジティブさは嫌いじゃない。


イルミネーション・エンターテインメントのアニメーション映画は、ディズニー/ピクサーに比べると中身がない、というのが定説であるが、シリーズ最初の2作に関しては、喪失感を巡るウェルメイドかつエモーショナルな非常に完成度の高い脚本を有していた、と反論したい。しかし、この『怪盗グルーのミニオン大脱走』においては、前述の論に屈するしかあるまい。とにかく煩雑。テーマが盛り込まれ過ぎていて、どれも物足りなく感じてしまう。グルーとミニオンたちの主従関係、ルーシーと娘たち、グルーとドルーの兄弟関係、どれをとっても1作をフルに使ってじっくり観たいテーマばかりなのに。ヴィランであるバルタザール・ブラットにしても、「80年代に囚われた男」というのが物語と振動しないのが気になる(BGMやルックのおもしろさとしては抜群で、80sミュージックはご機嫌だし、ブラットのフィギュアや巨大ブラッドロボのメッキの質感とか最高の一言)。『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)のハン・ソロばりにカーボン凍結されたネファリオ博士には笑ってしまったけども。腹が減れば宅配ピザを追いかけ、マイクを差し出されれば歌う、刑務所に収容されたならば脱走する、といったミニオン達のアクションの真っすぐさはシリーズを通して健在で、やっぱり楽しい。しかし、私の本当に好きなミニオンは歌ったり、踊ったりといった大味のアクションではない。ウォーターサーバーのボトル容器に気泡が入る「ボコっ」という音で笑い転げたり、コピー機でお尻を印刷しまくったりする、小さなアクションの数々なのです。次作に超々期待。ちなみにこのシリーズ、字幕版での鑑賞を推奨致します。

岡田恵和『ひよっこ』17週目「運命のひと」

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NHK連続テレビ小説ひよっこ』が俄然おもしろい。あかね荘編がスタートしてからも、個性豊かな登場人物らはみな一様に愛おしく、宗男おじさんとビートルズ来日、乙女寮同窓会、みね子の初恋・・・などなどずーっと良質なおもしろさをキープしております。とりわけ17週「運命のひと」のエモーショナルさときたら!


まず、それまで視聴者を胸キュン地獄に陥れていたみね子(有村架純)と島谷(竹内涼真)の初々しい恋があっけなく終わってしまう。家柄が著しく異なる2人。御曹司の島谷は家を捨て、みね子と結ばれたいと願う。まさに古典的ラブストーリー。しかし、『ひよっこ』はセオリーを踏まない。みね子は島谷を”ひよっこ”であると叱責し、彼の為を思い、別れを選択する。キャラクターの人の良さとほのぼのとした演出に惑わされてしまうが、『ひよっこ』という物語における主人公みね子の境遇はなかなかに過酷だ。父親が行方不明になり家計を支えるべく東京に出稼ぎ、勤め先は倒産し、再就職先も内定取り消し、実ったと思われた恋はあっけなく散る。そういった筋運びでも、ジトっとした湿っぽさはなく、「上を向いて歩こう」「泣くのは嫌だ 笑っちゃお」という当時の流行歌の気分で、できるだけ明るく進んでいく筆運びに、鼓舞されてしまう。


しかし、みね子と島谷の恋をモデルに少女漫画を執筆していた坪内と新田は落ち込んでしまう。

新田:ハッピーエンドやなかったかぁ
早苗:ハッピーエンドじゃないとダメだから困ってるのか?
新田:幸せな最終回のみね子さんを描くが楽しみにしとったがですよ僕たち
坪内:そうながですちゃ、その瞬間を心待ちにしとったがですちゃ

ここでの早苗(シシド・カフカ)の言葉が感動的である。

別に終わりじゃないだろ
続ければいいだろ
たかが恋が一つ終わったくらいで
人生に決着がつくわけじゃないだろ?
いつかハッピーエンドになればいいんでしょ
違うか?

悲しい結末ならば、続きを書き足してしまえばいい!岡田恵和という作家の物語への態度が刻まれたやりとりであるように感じる。



そして、物語は更に怒涛の展開へ。ひょんなことからみね子が”代役”でテレビCMに出演することになる。この”代役”というのが、この「運命のひと」という週のキーワードではないだろうか。どこかネガティブな響きも伴う”代役”という言葉であるが、この『ひよっこ』において、それは”親密さ”を意味する。代役が為されるということは、誰かと誰かが向かい合い、響き合った結果なのだ。高子(佐藤仁美)が嫁入りし退職、すずふり亭のホールをみね子が取り仕切ることとなる。ここで、みね子はキッチンに向かって

すいませ〜ん
ポーク、まだですかぁ〜?

と高子の口癖を真似てみせる。みね子は高子の代役をきちんと務めてみせるのだ。島谷が去ったあかね荘の空き部屋に愛子(和久井映見)が引っ越してくる。「私が来たからもう大丈夫よ」という無根拠なポジティブさも泣かせるだが、愛子もまた島谷の代役を務める。

挨拶が1回
下でお茶が2回
外で話そうが3回

と、かつてみね子と島谷の間で交わされた壁ノックという親密な挨拶を、愛子は引き継ごうとするのだ。愛子はまた東京の母(≒姉)でもある。この物語には、みね子の東京の母(≒姉)、すなわち美代子(木村佳乃)の代役を務める者が多く登場する。その内、鈴子(宮本信子)、愛子、そして世津子(菅野美穂)という3人が同じ石鹸を使い、同じ香りを纏っている、という演出もにくいではないか。おそらくだが、その石鹸は、澄子(松本穂香)が務める工場で作られたものである。彼女もまた「勤める石鹸工場を営む夫婦に、実の娘のように(≒代役)迎えられている」と話していたのが忘れ難い。そして、ほとんど余談になるが、愛子と富子(白石佳代子)の会話もまた”代役”を巡るものである。

愛子:今度カブキとか行こう!富さん
富子:あら〜そう?
   でも、私のご贔屓の役者はみんな死んじゃったのよぉ
愛子:何言ってんの!若いご贔屓、見つけないと
富子:あら、それもそうね

そして、視聴者のおおかたの予想通り、お父ちゃん(沢村一樹)は記憶喪失に陥っていた。なんと残酷な結末であろうか。『ひよっこ』という物語が最も大切にしているのは、「人がそこに”いた”」という質感である。奥茨城村で開催された聖火リレーでのみね子や三男(泉澤祐希)の叫びを思い出したい。

みね子は、ここにいます

俺を忘れねえでくれ

すずふり亭を出た後も頻繁に祖母と父に金の無心をする由香(島崎遥香)の真意もまた、「私のことを忘れないで」とその存在を主張する為だ、と推測されている。

私たちはここにいます

というのが、『ひよっこ』という物語が複層的に叫ぶ想いだ。故にすべてを無かったことにしてしまう記憶喪失というのは、”死”以上の悲しさを伴うものである。

覚えてないなんて、そんなことあるわけないでしょう!!
ねぇ、みね子だよ!お父ちゃん!どうしたのよ!なんで そんな顔してんの・・・!?
ねえ!みね子だよ!!!

事実を受け止められないみね子。その語気は、これまで悲しいことばかり巻き起こる人生の中においても最も激しいものとなる。このシーンにおける有村架純の演技はまさに”熱演”の一言。巧みな感情と発話のコントロールに大いに涙腺を刺激された。

嫌になったんでしょう?私たちのこと
それとも、何もかんも?
ひどい目にあわされて、嫌になったんでしょう?
だからいなくなったんでしょう!?そうでしょ!?
それは私、分かっから!私、分かっから!
お父ちゃんがここにいたいなら、いいよ
お父ちゃんがここにいたくて、
帰りたくないなら、私・・・会わなかったことにすっから
帰るし・・・今日のことは忘れっから
それでいいから
生きててくれただけで嬉しいし・・・
お父ちゃんのこと、責めるつもりなんて全然ないから!全然ないから・・・!
・・・だから、覚えてないなんて言わねえで・・・

このみね子の「いいよ」*1は、社会の倫理を超えた、物語の独自のルールが発動しているが故に感動的だ。すべてを“忘れてしまった”というくらいならば、いっそ「家族が嫌になって捨てた」ほうがましだと言うみね子。そして、「その気持ちは自分にもわかる」とさりげなくみね子に言わせてしまう筆致が凄まじい。物語の表面には愛情という形でしか顔を出さないが、みね子にとって田舎の家族は、当然大きな負担でもあるのだ。


あまりにも重たい幕切れで週を終えた。次週のタイトルは「大丈夫、きっと」とあるからして、ポジティブなフィーリングが徐々に戻ってくるに違いない。何と言っても、前述の「悲しい結末ならば、続きを書き足してしまえばいい」という精神は、空っぽになった”お父ちゃん”の記憶において、あまりに有効な態度なのではないだろうか。

*1:『カルテット』3話の松たか子

ナカゴー『ていで』

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ナカゴーという劇団の現時点での最高傑作と言ってもいいのではないだろうか。「浅草九劇」という会場にも驚かされた。ちゃんと劇場なのだ*1。ここのところは、催事場、公民館、廃校スペースといった一風変わった場所でばかり上演してきたナカゴーである。お得意なスプラスティックな暴力表現も鳴りを潜め、間口を広げようという確かな意志のようなものを感じた。ナカゴーという才能がいよいよ次のステージに。抜群に観やすくはなっていたのだけども、「珍しくいい話風にまとまっていた」というような評価はやや釈然としない。私にとってのナカゴーの演劇は、いつだって切実な響きをともなった”いい話”であったからだ。本公演のチラシは『ナインストーリーズ』の新潮文庫版のデザインを模している。

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

同じく本公演である『率いて』(2015)における『ライ麦畑でつかまえて』の白水Uブックス版に続いてのデザインでのサリンジャーオマージュ。ナカゴーの演劇がサリンジャー的かと言われると話がよくわからなくなってくるのだが、”コミュニケーションの切実さ”を描いている、という点では大いに納得のいく連なりであろう。実際のところの意図は、「何となく」くらいのものなのかもしれないが、そういった態度もまた鎌田順也の魅力である。


ナカゴーは1年に1本ほどのペースで上演される本公演の間に、何本も特別公演を挟んでいる。観ているほうとしては本公演と特別公演にさほどの区別をつけていないのだけども、髙畑遊、鈴木潤子、篠原正明、川崎麻里子、田畑菜々子、土田有未といった劇団員が数多く揃った本公演の”圧”はやはり凄まじいものがあって、考えを改め直す。ナカゴーの本公演は凄い。普通の劇団であれば1人いれば充分であろう濃いキャラクターがこれでもかと舞台に積み上がっていく。田畑菜々子演じる幽霊の一人語りの見事さから、「うわ、凄い」と圧倒されてしまった。そして、私はもう髙畑遊の発する言葉は何だって面白い領域に突入してしまっている。

ラーメンはいつだって食べたい
炒飯はたまに食べたい

という台詞をあれ以上面白く発せる人なんているだろうか。と言いつつも、今作の最大の魅力は、東葛スポーツから客演した金山寿甲 という役者にあるだろう。江戸っ子としての圧倒的な色気と実存感。そして、際立ったその発話。メダルゲームの説明や映画のあらすじを語るだけの独白があれだけおもしろいというのは一体全体どういうからくりなのか。


開場から開演までの30分間、劇中の衣装を纏った出演者が舞台上に入れ替わりに登場し、台詞を発し始める。最初は「練習かな」と思うのだけども、本番と同じテンションと声量で遂行されるそれらは、これから上演される舞台の断片そのものであるらしい。それはただの予告編に留まらず、それぞれの演者がバラバラの時制で断片を披露しているにも関わらず、舞台上で本編とはまったく違う形で噛み合ってしまうよう演出されていて、1つの別の作品としても楽しめてしまう。また、断片的に切り取られることでナカゴーという劇団が持つ身体性の特異さと台詞の強度がより浮き彫りになったことも興味深かった。この方法論で生真面目に作品を作り上げたら、鎌田順也はチェルフィッチュ的な場所にだって辿り着けるのではないか、という妄想まで催してしまう。


カットアップして披露される断片でもって、街の中華屋を舞台とした古典的ホームドラマという物語の大枠は把握できてしまうわけだけども、物語の脱構築はこれだけに留まらない。本編が始まると、幽霊を名乗る女がナレーションとして登場し、これから巻き起こるあらすじをさらに細かく説明してしまうのだ。ここまでネタバレしてしまって、はたして楽しめるのだろうか?と誰もが思うわけだけども、これが信じられないほどに面白いのである。もうほとんどパーフェクトのように感じた。まずもって、台詞の研ぎ澄まされ方が圧倒的。開演前のカットアップにしても、「台詞だけ抜き取ってもおもしろいでしょ?」という挑発なのではないかと思うほどで、それらが見事に応酬し、絡み合っていく心地よさは、期待のハードルをいとも簡単に越えていく。定石からの絶妙なズラし、強度あるギャグ、巧みな固有名詞の抜き取り、そこかしこに散らばめられた批評性、そして涙腺を刺激するハートウォーム、どこをどっても完璧ではないか。


タイトルである”ていで”というのは、「~の体で」というやつである。ここ最近の鎌田順也の作品は、序盤でハートウォーミングドラマの体を為しながら、中盤からギアを変えて、阿吽絶叫のスラップスティックに転化していくのが定石であったわけだが、この『ていで』においては、最後まで人情話としての”てい”を崩さない。照明や美術の演出、老婆を演じる若者など、演劇の持つ”虚構”を徹底的にイジり倒しながらも、”演じる”という行為を通して、人が持つ可愛らしさ、おかしみを炙り出す。そして、辿り着くおおらかな肯定。高畑遊が何度か繰り出す「かまわない かまわない」というコミカルなギャグが、人間とハクビシンの間で営まれる禁断の恋を、いとも簡単に許してしまう。鎌田順也としては、あくまで人情話の”てい”でしかないのかもしれないが、まんまと泣かされてしまった。

*1:個人的には大ナカゴー『評価』(2012)の座・高円寺2以来かもしれない

最近のこと(2017/07/21~)

かりあげクン(60) (アクションコミックス)

かりあげクン(60) (アクションコミックス)

コインランドリーに置いてあった『かりあげクン』をパラパラ読んでいたら、かりあげクンは毎週のように海や山へ遊びに行き(サウナにもよく行く)、上司や同僚とも仲良しで、道行く人ともすぐ仲良くなれて、羨ましい・・・と泣きそうになりました。精神が夏バテしてしているようです。ブログ更新意欲もそぎ落とされている。せめて「最近のこと」だけでも、と奮い立たせて書きます。心が弱るとラジオに頼る癖があるんですけども、最近は『オードリーのオールナイトニッポン』をずーっと聞いている。『オードリーのオールナイトニッポンR』から数年くらいはずっと聞いていたのだけども、自分の中で学生から社会人への変化が定着し、生活習慣が規則正しくなってからはすっかり遠ざかっておりました。久しぶりに聞くとこれがもう面白いのなんの。
ssmtmt1988.hatenablog.com
EMCの松本さんもブログに書いていますが、若林正恭さんの自意識の変化にむちゃくちゃ勇気づけられる。私も早くおじさんの領域に突入したい。



先週の金曜日のこと。完全に土曜日と勘違いし、1時間ほど寝坊。急いで職場に向かうも定時刻に12秒間に合わず。遅刻をしないというのが会社員としての唯一の取柄であったので、落ち込んだ。出掛ける前にシャワーを浴びられなかったのも辛かった。恥かしくて人には言ってなかったのですが、私は『ドラえもん』のしずちゃんくらいお風呂が好きな人間なのだ。映画版などで、冒険の途中でお風呂に入りたがるしずちゃんに、のび太をはじめとする男の子たちは一様に呆れていたわけだけども、私は「わかる、わかるよ」といつだってしずちゃんの側に立っていた。いつか、しずちゃんがお風呂に入るシーンだけ考察したレビュー書きたい。とにかく、出掛ける前はシャワーを浴びたいのだ。朝から電車で頭皮の匂いを発している人に出会うと、「朝シャンの気持ちよさ、教えてやりてぇ」と思う。遅刻への落ち込みはさほど持続せず、数時間後にはもう週末の到来にウキウキとしていた。気分の落ち込みがさほど持続しないのは、私の生きる上での取柄と言っていいだろう。この日は友人らで池袋の「中国茶館」で中華の食べ放題に挑戦する予定だった。よしながふみの名著『愛がなくても喰ってゆけます。』

愛がなくても喰ってゆけます。

愛がなくても喰ってゆけます。

に取り上げられたこともあるお店だ。やはり混雑していて、1時間待ちとのことで断念。予約もできないお店なので*1、金曜日に楽しむのは難しいのかもしれない。しかたなく、結局この日もタイ料理を食べた。香辛料で興奮してしまい、高橋一生と映画『昼顔』とミニオンの素晴らしさについて熱弁してしまった。喋っている内容がこのブログとほとんど同じだ。帰宅して『ぼくらの勇気 未満都市』のスペシャルを観る。お話も撮影もスケールダウンしているなぁ、とは思いつつも、もっとずっとひどいものが出来上がると思っていたのだので、その想定からすれば、意外と悪くなかった気がする。KinKi Kidsの2人が画面に収まっている多幸感みたいもので乗り切れた。堂本剛の演技を久しぶりに観たが、まだまだ松本人志イズムみたいなものが漂っていて、ほっこり。堤幸彦の演出と會田茂一の音楽でジャニーズの面々が出てくる感触には、『池袋ウエストゲートパーク』だっ!!と思わず興奮してしまった。20年後の『池袋ウエストゲートパーク』、観たいような、観たくないような。出ている人が今も全員かっこいいままなのは確かだ。



土曜日。私にとっては未開の地である錦糸町に訪れた。インド料理屋「ヴェヌス サウス インディアン ダイニング」でランチバイキングを楽しむ。本当はミールスが食べたかったのだけども、昼はバイキングのみだった。美味しいビリヤニが食べ放題なのがうれしい。店を出て少し錦糸町を散歩する。普段来ることがない街なので新鮮だった。サウナ&カプセルがたくさん目につく。その中から「ニューウィング」というサウナをチョイスして入館。場末とか言いようのない道に生ゴミが転がっているような通りにあるカプセルホテル&サウナだ。サウナだけの利用も可能で2時間コースが1000円、4時間コースが2000円。ボナサウナがとにかくグッドコンディションでむちゃくちゃ気持ちよかった。かなりの頻度でに熱源に水が注がれていて、常に心地よい蒸気に包まれている。水風呂はこじんまりとしたものと、ミニプールと銘打った大きめのと、2種類ある。温度はそれぞれ16℃と20℃という感じなのだけど、まさかの大きいミニプールが16℃なのだ。相場は逆ではないだろうか。シャキっと冷える広い水風呂。塩素の匂いは強め。外気浴はできないが、送風機がソヨソヨと身体に風を当ててくれるのがナイスです。休憩所では『キングダム』を5巻まで読みました。

キングダム 5 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 5 (ヤングジャンプコミックス)

世界史に疎いので、『蒼天航路』と『シュトヘル』と『キングダム』の時代と国がごっちゃになる。デパ地下で半額になったパックのお寿司を買って、帰宅。ナイター鑑賞しながらつまんだ。夜はDVDで『怪盗グルーのミニオン危機一発』を楽しむ。2も本当に出来がよくて、涙腺を刺激されてしまう。明日からの小旅行の荷造りをして眠る。



日曜日。昼前に東京駅へ。高速バスで富士急ハイランドへ向かう前に、『エリックサウス』でチキンビリヤニを食べた。
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ビリヤニは口に運ぶたびに「美味しいなぁ」が加速していく不思議な食べ物だ。一口食べただけではその魅力は伝わりきらない。そして、いざ出発。この日は欅坂46の野外ライブだったのです。あっという間に富士急ハイランドに到着するもライブまであと4時間もある。とりあえず、グッズ売り場の列に並び、渡辺梨加と長濱ねるのタオルを買った。それでもまだまだ時間があるので、ライブチケットで入場可能だった富士急ハイランドの遊園地へ。検討に検討を重ねた結果「FUJIYAMA」に乗ることにする。1時間は並んだだろうか。普段なら絶対にお断りだが、ライブ前のテンションがそれを許した。何年か前に来た時も感じたのだけども、富士急ハイランドのお客はヤンキーとナードの両極端しかいない。遊園地というもの自体がそういうものなのかもしれない。「FUJIYAMA」はあまりに怖くて笑ってしまった。以前1回乗ったことがあったはずだが、その時より断然怖いと思った。「もう許してくれ」と何度も思ったが、でもやっぱり楽しい。さて、肝心のライブなのですが、最後列のブロックで、ステージはほとんど観られず、野外ならではの演出の数々も何が起きているのかさっぱりの蚊帳の外。この席でよかったのはライブ前とライブ後のTAKHIRO先生を間近で観られたことでしょうか(むちゃくちゃかっこよかった)。強いて感想を絞り出すなら、スクリーンに映っていた「不協和音」での平手友梨奈さんの笑み、渡辺梨加さんのルックスの仕上がり、長濱ねるさんのへたっぴな歌声の良さ、「エキセントリック」の曲とダンスの秀逸さ、「危なっかしい計画」のライブ映え、ひらがなけやきのパフォーマンスの幸福感、など。あと、「影山さんと潮さんはアイドルの天才だ!」とも思った。静岡の三島に宿を取っていたので、バスで移動。ホテルの近くに「炭焼きレストラン さわやか」を発見。今回は食べられないものと思っていたので、興奮してしまし、真夜中に禁断のハンバーグ。
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並ばずに入店できたのもうれしい。いつ食べても、本当にこんなに生焼けでいいの!?と新鮮に驚いてしまう。美味しくて幸せ。ホテルに戻り、お風呂入ってこびりついた炭焼きの匂いを落として、眠る。



月曜日。早々に三島を後にし、電車で静岡駅に。そこからバスで「サウナしきじ」へ。
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帰りのバスの時間の都合で、3時間の滞在しか許されていない。普通のサウナであれば3時間など持て余すのだけども、しきじとなると話は別だ。年末行ったときは混んでいて、気温も低めだったフィンランドサウナだが、この日は110℃。ドバドバ汗をかけた。薬草サウナは少しマイルドになったような印象だ。水風呂はあいかわらず絹で包み込まれるように気持ちよく、1セット目でいとも簡単に昇天してしまった。3セット決めて、食堂で焼肉定食。
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こういうのが好きな人はもう写真だけでととのってしまうことかと推測されます。水風呂と同様の地下水で炊いた白米と味噌汁が激ウマ。寝っ転がって、テレビ観て、再びサウナへ。時間を惜しむように貪った。しきじの水風呂はたくさん入ってもフラフラしないのがいいですね。バスの時間にちょっと余裕があったのでセブンイレブンに寄ってみると、「キャラメルラテ」なる商品が。
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都内ではまだ見かけない気がする。試しに飲んでみたけど、とても甘いので、疲れている時などに良いかも。サウナのリラックス効果が持続し、バスでは熟睡。帰宅してもグッスリでありました。



火曜日。昨日のしきじ効果なのか仕事後も元気だったので、西荻窪に自転車で向かう。異常な湿気で水をかきわけて走るような感覚であった。友人らと「大岩食堂」でミールスを食べる。
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店員さんは素敵な感じで、店内にはyoggy new wavesのアルバムがリピートされていた。その強い西荻感に眩暈を覚えるも、とても美味しくてまた来たいと思った。ポークビンダル―の美味さに感激。こちらの店主も「エリックサウス」出身らしい。調子に乗って、辛味を入れ過ぎたので、夜中腹痛に悩まされる。眠れないので、『オードリーのオールナイトニッポン』を聞いてやり過ごした。



水曜日。寝不足でグッタリ。まっすぐ家に帰って英気を養った。お風呂で、燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』を一気に読みました。

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった

全然共感できないシチュエーションの中に、とてつもなく「わかる」感情が散りばめられているのが、稀有な感覚だと思った。ヒロインが三白眼のアトピーのブス、というのが素晴らしい。しかし、全体的にはある程度成功した4~50代向けの小説という印象だった。大根仁が燃え殻さんとの対談の中で、「自分は共感した」とした上で同様の指摘をキチンとしていて、信頼できるな、と思った。お風呂から出たら、ヤクルトが10点差を逆転してサヨナラ勝ち。いやーむちゃくちゃ元気が出た。『もろもろのはなし』を観る。この番組はいつも6人がイメージに沿った素敵な洋服を着ているのもいいと思う。おぎやはぎと設楽さんはいつも攻めた服をかっこよく着こなしているし、若林さんはとにかく、かわいい服を着させられている。先々週くらいの半袖のボーダーに淡い色のベストを重ねる着こなしがとびきりキュートでした。春日さんはいつもプレッピー。そして、驚くほどに日村さんがどんな服を着ているか思い出せない。着てないんだっけか。



木曜日。仕事後に原稿の依頼をくれた編集の方と打ち合わせ。「楊」で汁なし担々麵と水餃子を食べました。最近は原稿依頼を頂いたら、なるべく受けるようにしている。ミスター人見知りである私が、打ち合わせにも顔を出すようになったのだ。どういう心境の変化かと言うと、少しくらい頑張ってみようと思ったのだ。この歳にして、やっと。というのが本当のところですが、若林正恭星野源に影響を受けて、というほうがキャッチ―なので、そういうことにしておいてください。汁なし担々麵は辛さ控えめでお願いしたので、腹痛対策はバッチリである。帰りの電車の中で読んだ『問いのない答え』の「Antediluvianisch(ノア洪水以前の)」の賞に震えるほど感動してしまった。そういえば、『問いのない答え』にも『ボクたちはみんな大人になれなかった』にもモチーフとして秋葉原無差別殺人事件の加藤が登場するのである。帰宅して、『ハロー張りネズミ』2話を観た。1話と打って変わってハードボイルドな仕上がりでおもしろい。森田剛のデニムカバーオールの感じがとてつもなくいいと思った。



金曜日。仕事後に阿佐ヶ谷ハーネスで江本祐介とニーネ大塚久生のアコースティックツーマンを観た。道に迷ってしまい、少し遅れる。江本さんの「願いを星に」を聞き逃してしまったらしい。次のロロの公演に向けた三浦直之とのコラボレート楽曲をいくつか聞くことができたが、どれも素晴らしかった。そして、改めて江本さんの歌声の素晴らしさを痛感する。その歌い出しは空間をいっぺんに変えてしまう力がある。私がニーネで唯一知っている「タイ料理」という素晴らしい楽曲があって、この日はそれを漫画家である大橋裕之先生と一緒に披露してくれた。
youtu.be
大橋先生の歌声は凄くグッとくるものがある。ニーネの「夏休みは終わりだ」「マカロンの歌」という曲も凄くいいと思った。ライブ後、大橋先生と久しぶりに5秒くらい会話ができてうれしかった。ご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、シャイ同士の会話は5秒で済むのである(全然人見知り克服できてない!!)。ライブハウスを出たら、お腹が空いていたので、王将で餃子を食べる。粗悪な油でお腹がすぐさまごろごろと鳴り出す。でも美味しかった。

*1:できるらしいです