青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

松本壮史×三浦直之『デリバリーお姉さんNEO』最終話

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青春ってさ、UFOを待ち続ける日々だと思わない?

隣にいる女の子がいい感じでそんなことを言う。「これはやれる」と確信した私は、「・・・あるいは」と返した。なんたって昨日読んだ村上春樹の小説の主人公はこの言葉でそれはもう都会的なセックスを楽しんでいたのだ・・・あの時、彼女が投げてきたボールを巧く返せていたら、果たして本当にやれていたのか。その審議は”やれたかも委員会”に任せるとして、この体験は「UFO来ないかなぁ」という祈りのような質感を伴って心の奥底に残り続け、そして私は青春ゾンビとなった。


最終話の依頼人は、幼少時代にUFOに魅せられ、青春時代を経て社会人となった今でも、あらゆる方法でUFOを呼び続けている男・山田だ。演じているのは、スターダストプロモーション所属の若手俳優中島広稀である。中島広稀・・・何やら見覚えがある。そう、この『デリバリーお姉さんNEO』と同じく松本壮史が監督を務めた、乃木坂46桜井玲香の個人PV『アライブユー』に登場する告白マニアの”山田”を演じていた俳優なのだ。この”山田”というキャラクターは同じく松本壮史が監督した欅坂46織田奈那の個人PV『コールミー』にも名前だけ登場している。松本作品における”山田”は、手塚治虫ヒョウタンツギのように、作品を超えて現れる存在なのかもしれない。
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山田は小3の頃のクラスメイト西野さん*1が写生大会の時に見たという、こんにゃく型のUFOに自身も遭遇することを夢見る。

エリー「西野さんのことスキだったんでしょ~?え~?」
山田「いや、それは自分でも・・・どうかわからないんですけど
でもなぜか無性にこんにゃくみたいなUFO、僕も見たいなと思って」
エリー「子どものついたただの嘘でしょー?」
山田「いや、そのこんにゃくみたいなUFO、僕が見たら嘘じゃなくなりますから」

あらゆる虚構を”本当のこと”にしていくこの態度は、この『デリバリーお姉さんNEO』の1つの核であったように思う。できなかった告白の再現(3話)、人形ごっこ(6話)、過去と現在のミーツ(9話)etc・・・中学に入り、西野さんがすっかりUFOへの関心を失くしてしまった後も、山田はUFOに憑りつかれていく。高校に入り、創設したUFO研究会では、また別のUFO好きの女の子に出会う。その女の子にフラれた後も、山田は依然としてUFOに魅せられ、その熱がデリバリーお姉さんの2人と山田を引き合わせる。山田がかつて西野さんに向けた「アイラブラブユー」が、巡り巡って、無関係であった色々なものを繋ぎ合わせていくのだ。

1人じゃ手、繋げないけど
2人なら手が繋げる
3人なら輪になれる

結ばれた3人は輪になってステップを踏む。デリバリーお姉さんの元には、青春へのほんの少しの後悔持ち合わせた人々が集う。えてして、奇人変人。彼女たちは、そんな変わった人々の話に耳を傾け、その人生の断片を採集する。デリバリーお姉さんは無関係であるはずのあなたの人生の物語に介入していくのだ。離れ離れであったはずの、点と点が結ばれ線になり、その線が更に繋がり輪になっていく。

関係ない人たちの人生が
グッとカーブして出会う
その瞬間のエネルギーを楽しもう
物語を
未来は踊って待つことにする
オーイ オーイって呼びながら

もしかしたら、その時に発生するエネルギーこそを、”青春”と呼ぶのではないだろうか。ならば、「オーイ オーイ」と未来に向かって愛を叫び続けよう。その「アイラブユー」こそが、貴方と誰かを結びつける。青春は永遠に終わらないのだ。



<余談>
『デリバリーお姉さんNEO』が終わってしまった・・・寂しい。ロロメンバーの堂々たる客演も感涙ものでしたが、主演の岩井堂聖子と木竜麻生という2人の女優の発見も喜ばしい。

マコ「エリーさん、とんだ青春ゾンビだったんですね」
エリー「私は青春大好き女だよ」

オレもー!エリマコもフォーエバー。ぜひとも続編を期待したいものです。松本壮史×三浦直之のタッグが担当した1、3、6、7、9、10話が好きだった。これはもう贔屓目抜きにそう。記憶を喪失した状態でこの『デリバリーお姉さんNEO』を観たとしても、1、3、6、7、9、10話が好き!と叫ぶ自信があります。とりわけオススメはやはり3話「あの夏を再現」でしょう。見逃している方はこれだけはもう何としても観て頂きたい。現在、GYAO!で無料公開中。急げ!!

*1:西野さん?西野七瀬さん!?

あだち充『H2』 あだちラブコメの哀しさについての考察


あだち充のラブコメこそが至高。それこそ小学生の頃から大好きな作家なのだけども、歳を重ねるごとにその想いが強まっている。まさにキングオブラブコメディである。あだち充への考察と言いますと、『EPOCH TV』というシットコムにおける設楽統の台詞に尽きます。

お前、何言ってんの?『タッチ』、ちょーおもしれえじゃん!
お前ね、いーい?あだち充先生はね、洋服の皺の描き方が絶品なんだよ、ばか

あだち充とは、洋服の皺である。これはもう蓮實重彦の映画評くらい鋭い。

また島本和彦は『アオイホノオ』において、あだち充による「ムフ」の発明の偉大さについて熱く語っている。それらの偉大なる論には敵いっこないので、このエントリーにおいては、あだち充の服の皺と「ムフ」についての考察は省略しよう。


あだち充と言うと、一般的には「登場人物の顔、その差異のなさ」が最大のトピックなのだろう。人気バラエティ番組『アメトーーク!』において、各年代の作品の主人公を並べ、その中から『タッチ』上杉達也を選ぶというクイズが出題されたほどで、その回答は確かに困難を極めた。あだち本人が番組を観て「あんなのわかるわけないだろ」とコメントしたと言う。確かに顔はそっくりなのだけど、実のところあだち充の画風というのは時代に合わせて繊細に変化している。あだち充のそのシンプルな線と省略は、時流を読み取りながら、無数の個性を描き分け、肉体の躍動(スポーツ)を的確に描き切ってきた。この才能はもう、さながら漫画界のジュリアン・オピーである。


画風だけではない。セリフ廻し、物語運び、コマ割り・・・そのすべてがシンプルに洗練されている。登場人物は誰もが誰も恐ろしいまでに察しがいい。余白を残し、少ない言葉数でウイットに会話していく。甲子園を目指したり、幼馴染に恋をしたり、といわゆる王道な展開も枠としては用意してあるのだが、あだち充はその中でおおいに”照れ”てみせ、ボケやスカシでコマを埋めていく。この”照れ”のようなものこそ、あだち充を信頼せずにはいられない、その作家としての品性のようなものだ。『タッチ』最終回での「描かれない甲子園」などはそのクールネスの極み。そして、低温をキープしながらも、ときに”照れ”を飛び越え、とびきりにエモーショナルな瞬間を描いてみたりもする。そのギャップに、読者はまんまと心を奪われてしまうわけだ。見事な感情コントロール術、これぞ”粋”というやつであり、まさに憧れの世界。私たちは格好いい大人になる為に、あだち充を読み続けていくべきなのである。


そして、何と言ってもあだち充の漫画は切ない。基本的にはおとぼけラブコメであるわけだが、その根底には”切なさ”が流れているように思う。いくつかの作品では、”決して結ばれてはならない2人“とでも言うような、それこそシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にまで遡る伝統的な悲恋喜劇が根付いている。*1そして、それらは「幼馴染」や「家族」というモチーフで描かれる。例えば、『みゆき』や『じんべえ』における血の繋がらない兄妹もしくは父娘、『タッチ』や『クロスゲーム』での死者としての幼馴染。

別の世界では 
2人は兄妹だったのかもね


cero「Orphans」

こだま『夫のちんぽが入らない』にインスパイされてceroが歌ったような”哀しみ”が、あだち充漫画にもまた貫かれているのだ。前置きがすっかり長くなってしまったが、本稿の主役は『H2』、そのあだち漫画の哀しみの系譜における最高傑作である。

国見比呂と雨宮ひかりの関係における疑似姉弟性、そして雨宮ひかりを葛藤させる「橘英雄か国見比呂か」という選択。これまでの作品の集大成であるかのようなモチーフの連なりが、『H2』には揃っているのだ。


同時に『H2』はあだち充の省略の美学がもっとも丹念に貫かれた作品であり、その大きな余白は、読者に委ねられる。特にその結末の解釈においては、今なお多くの論議がなされている。

人よりも成長が遅く、恋愛方面にも疎かった中学時代の比呂は、幼馴染のひかりを親友である英雄に紹介する。しかし、それから1年半遅くやってきた思春期において「俺は本当はひかりが好きなんじゃなかろうか」と気づいてしまう。その頃にはすでに英雄とひかりは文句なしのベストカップル、ましてや英雄は自分の親友で、最高にいい奴。比呂はひかりへの初恋をそっとしまい込む。2人とは別の高校へ進学した比呂は、そこで新たに出会う古賀春華に好意を寄せられる。比呂自身も春華におおいに惹かれつつも、ひかりへの想いを断ち切れずに煮え切らない態度をとり続ける。一方でひかりもまた、英雄というこれ以上ない相手がいながらも、比呂へ抱く特別な感情に葛藤し、それがまた英雄を悩ませる。

この繊細な四角関係こそが、恋愛面にのみを抽出した『H2』のあらすじである。単行本にして26巻、比呂は春華への明確な好意をやっとのこと示し始める。

比呂「I love you ちがうか?発音。」
春華「ううん。十分通じるよ。」

英会話教室を巡る騒動を経てのこの比呂の告白は、あだち充の美学が貫かれた屈指の名シーンである。比呂と春華/英雄とひかり、その2組に収まってくれれば誰もが幸せであるのだが、29巻におけるひかりの母の死をきっかけに、4人の恋物語は再び歯車を狂わせていく。そして、甲子園での直接対決を前に、英雄はひかりに告げる。

最後まで見届けろよ。―そして選べ。おれか比呂か

その言葉はひょんなことから、比呂の耳にも入ることとなり、試合は当日を迎える。

知ってるか?おれはひかりのことが大好きなんだぜ。

試合前、比呂は英雄を挑発してみせる。試合中においても、それまで見せたこともない”勝利”への執着を剥き出しにする。これらを台詞通りに受け取ってしまうと、それまで30巻以上にわたって積み上げてきた”比呂と春華”の関係性が一気に無視されてしまったように感じるのだけども、これはあだち充の”照れ”がなす読者へのミスリードだ。そして、その筆運びが、比呂とひかりの”決して結ばれることのない”関係性の切なさをより際立たせることとなる。


勝負の行方は、最終打席に持ち込まれる。比呂は英雄を三振に打ち取り、試合にも勝利する。比呂は英雄との勝負に何としても勝ちたかった。しかし、それは、ひかりを英雄から奪い取るためではない。試合後に交わされた、英雄とひかりの会話に注目したい。

ひかり「いつもカギを閉めてるものね。ヒデちゃんのその部分にわたしの居場所があるんだって。だから、なるべくドアは開けておくようにって。」
英雄「比呂がそういったのか?」
ひかり「ううん。比呂はヒデちゃんを三振に奪っただけよ。」

比呂は英雄を三振にとることで、英雄の心のドアを開けようとしたのだ。「負けてるヒデちゃんは想像できないな」と言うひかりの為に。大好きなひかりが、英雄のドアの向こうにいられるように。そして、それは自身の初恋の終わりを意味する。”三振をとる”というその行為に、幾重の意味を編み込む、これぞ、あだち充のドラマメイカーとしての真骨頂。そして、驚くほどに察しのいい登場人物は、その三振からあらゆる意図を読み取っていくのである。勝者がひかりを手にいれることができると考えていた、”何もわかっていなかった”英雄ですら。上記のひかりの台詞が「って」と伝聞調になっているのは、比呂が台詞としてこれらの言葉をひかりに話したのではない。「英雄を三振にとった」比呂の姿から、ひかりが察しただけだ。


野田「スライダーのサインだったぞ。」
比呂「曲がらなかったんだよ。」
比呂「お前こそなぜミットを動かさなかった?」
野田「…たぶん。曲がらねえような気がしてたんだよ。」
比呂「あんな球…二度と投げられねえよ。」
野田「投げさせられたんだよ。だれかに…な。」

という、その三振を巡る比呂とキャッチャー野田のやりとりも、論争の的になっている。比呂はあの時、どの球種を投げるつもりだったのか。この箇所においては、台詞をそのまま受け取っていいように思う。ストレートを投げさせられたのだ、神様に。しかし、野球の神様ではない。ラブコメの神様に、だ。比呂が春華への「アイラブユー」を放ちながらも、ラストにひかりへの”大好き”が詰まったストレートを投げて、物語が決着する。この結末にモヤっとしてしまう気持ちもわかる。しかし、『H2』には、こういった宛先の間違えを肯定するような態度がある。比呂にとってのひかりは、徐々に春華と混濁していく。たった1年の付き合いである春華に「だいたいお前は昔から・・・」と言ってしまったり、ひかりと雪の日の思い出である”かまくら作り”を春華とやり直したり、鞄につけていたひかりに貰ったキーホルダーを春華のお守りにつけ変えたり・・・葛藤しながらも、ひかりの存在は徐々に春華に上塗りされている。比呂のひかりへの”好き”の気持ちは消えることなく残りながら、宛先を変えて、春華の元に辿り着く。そんな恋のありかたをあだち充は許していく。



そして、この『H2』という作品の恋物語は比呂と英雄とひかりと春華の4人を巡るものに留まらない。意図的に、大小さまざまな恋が描き散らされている。主人公たちの四角関係から弾かれてしまった木根と小山内はもちろん、その2人を巡る恋のトラブル、明和第一のエース石元の恋、春華に好意を抱く柔道部三善・・・終盤では千川高校のセカンド柳の古賀への秘めた想いも明かされる。

比呂「好きなのか?古賀のこと。」
柳「もちろん。でも、恋人にしたいとか、つきあいたいとかわそういうのとはちょっとちがうかもしれない。」

春華が比呂と一緒にいて嬉しそうにしている姿を見るのが好きだと柳は言う。そして、明和第一高校が誇る3番バッター中井が抱いていたひかりへの好意はどうだ。怪物・英雄がいたが為に、明和の4番の座も、ひかりへの想いも諦めた中井だが、英雄がいたおかげで「日本一の3番バッターになれた」と語る。

だれかを好きになった気持ちは、
報われようが報われまいが、
それだけでじゅうぶん意味があるんだよ。

このあまりにも重要な台詞を、ライバル校の影の薄い選手が言い放つ、その筆致のニクさよ。宛先不明で届かないかもしれない、報われないかもしれない。しかし、柳や中井が、そして比呂とひかりが互いに抱いた好意は、そこに発生しただけで、すべからく尊く、意味があるものだった。これがあだち充のラブコメにおける態度である。


ラストに何の伏線もなく突如してカラオケで歌われるのはゆずの「夏色」という誰もが知るヒットナンバー。そして放たれる紙飛行機。

春華「どこへ飛んでいったの?」
比呂「ちょいと大リーグまで かな。」
春華「じゃスチュワーデスは私だ。」 
比呂「たぶん な。」

この何気ない2つの事象が、「誰に届くかわからない」という感覚を最後の最後までうすぼんやりと振動させ、肯定している。




関連エントリー

*1:『ラフ』などはまさに『ロミオとジュリエット』であって、作品内においても言及される。

最近のこと(2017/06/16~)

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ひよっこ』の新しい登場人物もすっかり好きになっています。漫画家志望の若者が部屋に「目指せ藤子不二雄!!」という紙を貼っていて、それだけでもう素晴らしいな、と思ってしまう。珍しく「最近のこと」を間隔開けずに書けました。何かこう梅雨で気分がパッとせず、ずっと文章を考えたり、書いたりしていたい気持ちです。



金曜日。週の仕事を終えて、友人らと池袋のタイ料理屋へ。池袋のタイ料理というと北口の「プリック」が有名だが、週末などは予約しないと入れない。しかし、すぐ近くに「ピラブカウ」という、より大衆食堂的な本格タイ料理の店があって、ここも抜群に美味しい。ダック料理や豚肉とハーブのソーセージなんか実に泣かせるし、トムヤムクン、ヤムウンセン、パッタイ、ガパオといった代表的タイ料理も、こんなに旨いものだったのかと改めて感激してしまう。マンゴーかき氷やかぼちゃプリンといったデザートもまたどれも美味しい。トイレがフェス仕様なのはご愛嬌。立地もピンサロやソープなどに囲まれたハードコアな地帯ですが、そんなことで音を上げていたら、池袋という街ではサヴァイヴできないのです。友達に写真をまかせたら、あらゆるバリエーションの汚物みたいな出来栄えだったので、掲載は控えます。


タイ料理を食べながら、『りぼん』黄金期について話し合った。アラサーの私たちは、集英社の『週刊少年ジャンプ』と『りぼん』が群を抜いて充実していた時期を子ども時代として過ごせた恵まれた世代なのである。論議の結果、椎名あゆみの90年代の絵柄こそ、あの頃の『りぼん』の象徴である、という結論に至る。

神風怪盗ジャンヌ』『GALS!』あたりからついていけなくなった。さくらももこ岡田あーみんは別格とした上で、黄金期の作品としてベストは文句なしに小花美穂こどものおもちゃ』だろう。しかし、作家としてのベストは『姫ちゃんのりぼん』『おしゃべりな時間割』『ないしょのプリンセス』を立て続けに献上した水沢めぐみ先生に捧げたい。私は吉住渉(『ママレード・ボーイ』『ミントな僕ら』)より彩花みん(『赤ずきんチャチャ』)より水沢めぐみ派だ。でもやっぱり吉住渉も最高だよな。
ミントな僕ら (1) (りぼんマスコットコミックス (1058))

ミントな僕ら (1) (りぼんマスコットコミックス (1058))

ミントな僕ら』をちょっとエッチな感じでテレビドラマ化してくれぬものか。『ご近所物語』などの矢沢あいは、最高にスタイリッシュだったが、悲しいかな小学生ながらに「自分とは関係ない世界だ」と悟ってしまい、あまり思い入れがない。『なかよし』や『ちゃお』の話はまた今度にしましょう。やぶうち優水色時代』とかいうトラウマ性教育漫画とか・・・


帰宅して、録画しておいたミュージックステーションを観る。満島ひかりは本当にかわいいものです。MONDO GROSSOは14年ぶりの活動再開ということだが、音楽もその分しっかり古くなっているような気がする。間奏のピアノとか思わず赤面しそうだ。それとも、今はああいうのが新しいのだろうか。何度でも新しく生まれ変わる、って言ってるしな。そして、久しぶりに見る大沢伸一阪神タイガースの高山選手に似ていた。星野源関ジャニ∞に提供した曲を初めて聞いたのだけども、曲はさておきストリングが凄くて、「星野源ってこんなこともできるのか・・・」と震えていたら、アレンジは菅野よう子だった。そう言われれば、もろに菅野よう子な弦だった。大倉くんに立派な髭が生えていて、「鳥貴族だ」と思った。岡崎体育のあの英語に聞こえる曲は字幕を見ながら聞いたら効果が薄いのだけども、ではどうやってテレビ番組で演出したらいいのか、とても難しいと思った。Dungeon Monstersも初めて。般若と漢 a.k.a GAMIがいるのに驚く。実は『フリースタイルダンジョン』を観たことがなかったのです。お笑いにおける『ボキャブラ天国』のように、ラッパーの間では「あれに出たらブームに踊らされて、終わりだ」みたいな空気があるのだろうか。出るほうが偉いような気もするけども。初めて聞いたR-指定が1番かっこいいなと思った。トムヤムクンの唐辛子が真夜中に猛威をふるう。代償、それは大きい。



土曜日。昨夜からの腹痛を抱え早起きして、奥多摩へ。新宿ニューマンの「米屋のおにぎり屋」で鮭弁当を朝ご飯として買う。ここは目刺し弁当420円がマストなのだが、別メニューにも挑戦してみた。鮭弁当の内訳は、ごま塩にぎり2個に、塩焼鮭に、梅干し。650円と目刺し弁当に比べるとずいぶん高価になるが、満足できる味わいだ。写真は撮り損ねました。西武新宿線拝島駅までいき、そこから青梅線に乗り換えて、軍畑駅で降りる。帰りは五日市線八高線など初めて聞く電車にたくさん乗ったので、EKIBOが喜んでいた。軍畑駅から御嶽駅まで川沿いを軽くウォーキング。
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文句なしの景観!天気も良く、すっかり気分をリフレッシュできました。更にケーブルカーに乗って、御岳山をハイキングする。御嶽神社の周辺にたくさんの民宿があって、ちょっとしたつげ義春の世界でした。ああいうところに泊まって、世捨て人の気分を味わってみたい。おびただしい数の階段でヘトヘトになった。
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お昼に蕎麦屋でカレーライス(膜が張るタイプ!)と味噌田楽を食べて、下山。プロ野球速報を眺めてみると、ヤクルトのブキャナンが完封勝利で4連勝。不調の山田にも値千金の3ランホームランが飛び出し、完全にご機嫌になってしまった。ウキウキ気分で電車とバスであきる野市まで移動して、秋川渓谷前の「瀬音の湯」へ赴く。
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今年で10周年の新しい施設なので、綺麗でスタイリッシュだ。どことなく星野リゾートの「トンボの湯」を彷彿とさせる。ただ残念ながら、あちらと違い水風呂は20℃超えでとても温い。サウナは湿気ムンムンの心地よいセッティング、イージーリスニングが延々と流れるBGMもナイスだ。そして、何と言っても渓谷を目の前にしたロケーションが抜群なので、深くととのえる。ぬめり気のある温泉も肌スベスベに温まって、すごくよいです。すっかり気持ちよくなって外に出ると、携帯電話が見当たらない。いくら探してもなく、どこかに落としてしまったようである。焦って汗だくになりながら、とりあえず乗車したバス会社の営業所に確認してみると、「届いています」とのこと。ほぼ諦めていたので、本当にうれしい。届けてくださった方にいいことが3つ訪れますように。山を登っている途中、「FUCK」とプリントされているお気に入りの帽子を谷へ落としてしまった。

母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね
ええ、夏、碓氷から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ

というのは『人間の証明』の有名な台詞だが、当然私は『ドラえもん』の傑作短編「あの日あの時あのダルマ」でののび太の台詞「どこへいったのでしょうねと、大さわぎしたムギワラ帽子、谷へ落としたあの帽子」として記憶している。「総じて言いたいのはね、こういうことです」というフレーズは味わいがある。須藤さんの結婚します宣言に、恋愛革命と騒ぎたい気持ちはわかるが、私はやっぱり壁に叩きつけられた卵の気持ちを想ってしまうな。推しのアイドルのスキャンダルとか引退で襲ってくる哀しみってわからない人には一生わからないんだろう。



日曜日。天気が悪くてスッキリせず。知り合いの赤ちゃんを抱かせてもらいに南大沢に。久しぶりに赤ちゃんのあの独特の匂いを嗅いで、ほんわりした。お昼は駅前のスーパーの一角にある「カーンさんのカレー」でビーフビリヤニと茄子とジャガイモのカレーを購入。
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ビーフビリヤニって珍しい(だいたいチキンかマトン)。カーンさんのビリヤニはしみじみと美味しい。これが手軽に食べられる南大沢の住民が羨ましいぞ。眠ってしまった赤ちゃんを横目にテレビで流れていた『小さな巨人』の総集編を観てしまう。まんまと最終回が気になり、家に帰ってリアルタイムで鑑賞してしまった。とことん細部が粗く、ツッコミどころしかない脚本。それでも香川照之とハライチ岩井のふざけ合いは目が離せない力があります。クレジットを調べてみたら、脚本協力には『半沢直樹』の八津弘幸だけでなく、あの水沢めぐみ先生の旦那さんも参加しているらしい。ひょえー。”小さな巨人”は組織に立ち向かえる人のことらしい。いや、里中智だろ。
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録画してあった『リバース』最終回も観たが、ほとんど印象に残っていない。「蕎麦が真犯人」という終わりでよかったし、原作はそう終わるらしい。事あるごとに「広沢らしいや」と藤原竜也調で言うのにハマっている。しかし、武田鉄矢はまだまだギラツキがあるな。福澤克雄演出での『3年B組金八先生』の復活、求むぜ。KICK THE CAN CREWの活動再開うれしや。
youtu.be
「千%」の涙腺にくるかんじ。KREVAのループは永遠さっ。「イツナロウバ」を久しぶりに聞いて、涙を湛えながら「ラジオからは超チャラい選曲」ってずっと反芻していました。MCUっぽい友人って1人か2人くらいはいるもので、そいつらは恰好よくはないのだけど、何故かモテる。



月曜日。有給休暇をとっていたので、ゆっくり眠る。特に予定なく有休をとってしまったので、とりあえずサウナへ行くことに。立地的に普段は足を運びづらい、池上の「桜館」を尋ねることに。すごく天気のいい日で、日差しは夏。CAR10のニューアルバムを聞きながら、歩いていたら、誇らしい気持ちになるというか、むやみやたらに勇気づけられてしまい涙ぐんだ。

CAR10

CAR10

どうせ池上に行くならば、「燕楽」でとんかつを食べたかったのだが、月曜は残念ながら定休日だった。乗り換駅である五反田の人気店「ホットスプーン」で牛もつ煮こみカレーを食べました。お昼時は少し並ぶけども、なるほど美味しいビーフカレーだ。「桜館」は平日昼間でもむちゃ混みであった。銭湯のメイン客層はすでにリタイア組ということを忘れていた。それでもサウナは比較的空いていて、水風呂もキーンと冷えている。温度計は20℃を示していたが、壊れているようで、間違いなく15~6℃くらいの代物。ここのサウナは本当に上質で、今まで行った都内の銭湯では1番気持ちよく汗がかけるように思います。テレビで『科捜研の女』を観た。壱ノ湯(月の半分で男女の湯が入れ替わる)には中二階にスチームサウナがあって、こちらも熱々蒸気の凶暴なセッティングなので、入室の価値ありです。調子に乗ってサウナに入り過ぎてしまい、ヘロヘロになってしまった。帰りに有給休暇を景気よく締めくくるべく、デパートで半額になっていた鰻重弁当とぬか漬け三点セット(きゅうり、人参、大根)を購入。テレビを観ながらちまちまとビール(ノンアルコール)で流しこんだ。『キングちゃん』シーズン2の最終回を見届ける。おもしろかったなー。シーズン3を震えて待ちます。


火曜日。仕事帰りにシャムキャッツのニューアルバム『Friends Again』を買いにタワレコへ寄る。

Friends Again

Friends Again

楽しみにし過ぎて、久しぶりに職場の卓上カレンダーに「シャム アルバム発売日」と記入してしまった。前作『ゴマサバと夕顔と空心菜』が大変素晴らしかったHARCOの新しいアルバムも出ていたが、いまいち食指が伸びず。ゲストボーカルが多いアルバムってあんまり好きじゃないのだ。と言っても、その人選は最高で、空気公団GOMES THE HITMAN、べべチオ、ゲントウキキンモクセイ・・・一定の世代のポップスファンは号泣ものだろう。Jay Princeの新しいミックステープとJurassic 5The Pharcydeの1stアルバムを聞きながら、歩いてゆっくりと帰宅。ただいま、あだち充リバイバルヒット中で、『H2』をずっと読み返している。
H2 (1) (少年サンデーコミックス)

H2 (1) (少年サンデーコミックス)

最高のラブコメだ。比呂とひかりの関係の切なさ、今読み返すとヤヴァイブス放っている。そして、あだち充の書く速いストレートの表現は素晴らしんだよな。寝る前にテレビ神奈川で『デリバリーお姉さんNEO』の9話を観る。ラスボス感ある望月綾乃さん。過去と現在と、想像と現実がミーツしていて、すごくよかった。まるで最終話のように、EDが長かったが、次週もあるようだ。大場みなみさんもテレビで観たかったな。



水曜日。天気がモヤっとしているので、何かこうパーッと楽しいことがしたい。本屋で『プリンセスメゾン』4巻を買って帰り、3巻と一緒に読んで、メソメソと泣いた。

何週か前の『勇者あああ』に出ていたサツマカワRPGが1番好きなゲームに『星のカービィ スーパーデラックス』を挙げていた。
星のカービィ スーパーデラックス

星のカービィ スーパーデラックス

小さい頃、おばあちゃんお家でいとことむちゃくちゃ遊んだなぁ。あれは色々なゲームが収録されていてお得に遊び尽くせるんだよな。私は何をやってもとにかく下手で、いつも悔しい思いをしたものです。ノスタルジーのバケモノに憑りつかれ、むちゃくちゃやりたくなってしまった。もうやりたすぎて、スーパーファミコンを買い直しそうな勢いだったが、調べてみると、DSとかWiiでもリメイクされているらしい。どっちも持ってないけど。スーパーファミコンで『スーパードンキーコング』とか『スーパーマリオRPG』とか『ヨッシーアイランド』やりたい。
ねむり(初回)

ねむり(初回)

眠る前に空気公団『ねむり』を聞いた。第1期空気公団の最後の作品だが、私はこの音源が1番好きだ。

水沢めぐみ『おしゃべりな時間割』

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心が荒れた時に読み返す本というのがあって、私にとってそれはこの『おしゃべりな時間割』という作品だ。1994年に『りぼん』で掲載されていた少女漫画で、作者は『姫ちゃんのりぼん』でお馴染みの水沢めぐみ。何故か私はこれを小学生時代からずっとバイブルとして大切にし続けている。“時田くん”という初恋の人にあまりに相応しいその響きだけで飯が3杯食えるし、主人公である高橋千花の小さな勇気には強く憧れたものだ。

まずもって絵がとてつもなくかわいいのが魅力なのですが、「前編」「後編」という2冊のコミックスで完結という分量のちょうどよさも相まって、”少女漫画家”水沢めぐみのコアみたいなものがビタっと封じ込められているように思います。とは言っても、魔法少女や喋る動物が出てくるわけでもなく、刺激的でインモラルな恋愛事情も描かれてはいない。魂が揺さぶられるようなメッセージ、凝ったギミックやコマ割り、言語表現、そういったサブカルチャー界隈から評価されるような要素も一切ない。大島弓子萩尾望都のような少女漫画とは別物と考えて欲しい。そんな”ないもの尽くし”の今作が描いているのは、どこにでもあるようなエヴァーグリーンな小さな恋の物語だ。

どんな顔していいかわからないよ
時田くんの顔がまともに見れない・・・

初めてのデートで緊張のあまり、ずっと下を向いてしまう女の子と、そんな彼女を見て、「退屈をさせてしまったかな」と反省する男の子。驚かないで欲しいのだが、本当にこういったむず痒くなるような瞬間しか収められていません。読む人が読めば、壁に投げつける可能性だってあるだろう。クラス替え、席替え、体育の授業、係決め、卒業式、転校、相性占い、同窓会、文通etc・・・小中学校を舞台とした普遍的なシチュエーションで繰り広げられるドラマの数々。作者の実体験をベースとしているらしいそれらは、そこら中に転がっていそうなほどに、実に他愛なくありきたり。しかし、であるからこそ、たまらなく読む者の胸をときめかせるのだ。それらは「こんなことあったな」と貴方の心を懐かしくするかもしれないし、その思い出が想像以上に自分の胸を温めることに驚くかもしれない。最終話では、物語には描かれなかったが、主人公の友人たちにも同じような恋物語が存在したことが明かされる。

みんな
あたしの知らない
それぞれの物語を持ってる
なんだか不思議

誰もが等しくこういった小さなドラマを胸に抱えている、そう想うと、なんだか胸が一杯になってしまうではないか。水沢めぐみは小さな心の機微を、零さぬようにそっと掬い上げる。そして、その丁寧な真っすぐな線で、ささやかな瞬間を宝物に仕立てあげるのだ。

最近のこと(2017/06/10~)

マック・デマルコの歌うラブソングが好きだ。ヘロヘロになりながら、恰好つけている感じが泣ける。またしても「最近のこと」を1週間分くらい書きそびれてしまった。あんまり覚えていない。神宮球場に行って、スワローズ館山が西武打線にボコボコに打たれるのを観て悲しかったのはすごく覚えている。先週はヤクルトの泥沼の連敗が続き、とにかく不機嫌でありました。ジェームズ・マンゴールド『LOGAN/ローガン』と吉田大八『美しい星』をスクリーンで観た。どちらも凄くよかったです。ジェームズ・マンゴールドは大好きな監督で、思わず強化月間として『ニューヨークの恋人』と『ナイト&デイ』をNetflixで。

ニューヨークの恋人 [DVD]

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わりとヘンテコな映画を撮り続けていたけども、『LOGAN/ローガン』は真っ当で崇高なアメリカ映画で、もうほとんどイーストウッド。なんて立派に・・・と泣けた。『美しい星』は素晴らしきトンデモ映画に仕上がっていた。役者陣の見事なアンサンブルで、破綻しきらずに完走していた、グッときました。主題歌はMr. Children「UFO」(超好き)でもよかった。後は本と漫画をよく読んだ。『鋼の錬金術師』を全巻読み直して、そのあまりのおもしろさに震えました。
鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)

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特に最終章に入ってからが、どうかなっちゃうほどにおもしろくて、興奮で泣いちゃう。『HUNTER×HUNTER』か『鋼の錬金術師』のどちらかが、世界で1番おもしろい漫画だと思うな。で、多分ですけど、3位が『ドカベン』ですね。『ドカベン』で思い出したけど、ソフトバンクの柳田がスワローズ相手に、殿馬の「G線上のアリア」(ファウルになる線上スレスレで打球が止まる秘打)でサヨナラしたのには、ぶっとんだズラ。膝から崩れ落ちる久古(ナイスピッチング!)まで含めて水島漫画だった。



土曜日。梅雨入りしたという話だが、よく晴れていたので、ここぞとばかりに洗濯機を回す。急に濃い緑が恋しくなってしまい、つげ義春の愛した奥多摩あたりに久しぶりに遠出してみようか、などと考えていたのだけども、溜まっていた録画を消化しているうちに、すっかり昼を迎えてしまった。『アメトーーク』に久しぶりにブラックマヨネーズがコンビで出ていて、やはり至高。テレビ画面の中で小杉さんだけ3Dというか、浮き出てくるような厚みがある。そして、金曜日ドラマ『リバース』がおもしろいのです。1話で痺れまくったキス←蜂蜜という構図が、蜂蜜→死という真相に振動するとは。抑え目の藤原竜也はそれでもやり過ぎのように思うのだけども、役者陣がみな素晴らしい。戸田恵梨香門脇麦の生活感溢れるエロさがナイス。そして、何回でも書くけども、小池徹平のカレーの食い方は最高だ。輩寄りの市原隼人、エリート一家三浦貴大という役者のパーソナリティに肉薄した役どころもいいです。三浦貴大は声がセクシーだし、本当に素晴らしい役者さんだと思う。しかも、アイドルオタクでモーニング娘。小田さくらのファンだとか。「綺麗な女優さんは恥ずかしくて目が合わせられない」というくだりから「小田さくらさんのファンです」という流れ。三浦貴大さんのこの感じ、星野源案件ではないかを慎重に見極め、応援していきたい所存です。遠出は諦め、のんびり近所のイタリアンでランチをとる。
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もも肉のコンフィのプレート。骨付きなのだけど、身がホロホロに調理されていて、手を汚すことなく食べられる。いまだに店の名前すら知らないのだけども(近所の店ほど名前を覚えないものだ)、ここは本当に名店だと思う。場所が場所だけに、華やかな世界で話題になることはないけども、ご近所からは強く愛されている。値段もリーズナブルで、このプレートに珈琲と本格的なデザートがついて、1200円くらい。満足度の高い食事だ。珈琲をすすりながら「2000円は払いたいものだね」と髭をさするのが、私のお気に入り時間である。ヤクルトの敗北を見届け、自転車に乗って、池袋へ。ジュンク堂で、坂元裕二のロングインタビューが掲載されているという『熱風』(ジブリが発行している冊子)をゲット。ボリュームも多く、読み応えあり。ちなみに、インタビュアーはジブリの方ではなくジブリにまつわる話もしていません。ついでに、タツミムックから出ている『東京カレーナビ』という本を購入した。

東京カレーナビ (タツミムック)

東京カレーナビ (タツミムック)

「魯珈」や「サウスパーク」といった新しいお店もしっかり掲載されています。巻末にカレーにまつわる歌を集めたコーナーなどがあった。遠藤憲一「カレーライス」や筋肉少女隊「日本印度化計画」などが紹介されていたが、くるりの「カレーの歌」は選ばれていなかった。私の中でベストカレーソングはゲントウキの「二人のカレーライス」だ。すごくかわいい歌。


池袋から椎名町に移動し、「妙法湯」という銭湯へ。あの『湯守日記』にて、東京の「しきじ」と評されていて、ずっと気になっていたのだが、ついに訪問できた。サウナは湿布のような匂いの漢方仕様で、初めて入るタイプ。室内は狭くテレビも音楽もなし、12分計も壊れていて止まっている。考え事にはうってつけの空間だ。110℃近いストロングなセッティングで汗をドバドバかいた。地下水を使っているらしい水風呂がとても気持ちよかった。20℃を超えていて、若干温めなのだけども、水質が柔らかくて、温度も相まってずっと浸かっていたくなる。サウナ、水風呂を4セットほどこなして、完全に昇天。ペットボトルの水を持ち込んでサウナを出る度に飲むと、身体中の水分が全部入れ替わったような気分になるのでオススメですよ。湯上り、自転車で切る夜風がたまらなく気持ちいい。立ち寄った八百屋で梅を購入。磨り潰して梅味噌にするのだ。椎名町の商店街は魅力的なお店がたくさんある。池袋が徒歩圏内ながら、閑静であるし、これから1人暮らしを考えている方にオススメしたい街です。あの手塚治虫寺田ヒロオ藤子不二雄赤塚不二夫石ノ森章太郎らが青春を過ごした”ときわ荘”も椎名町にあったのだ。懐かしい青春の匂いのする街。要町を抜けて川越街道へ。「愚直」の前を通ってみたら、ちょうどお店が開店するところに遭遇。並ばずに食べられるぞ!とたまらず入店。
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美味しい。上品で上質なとんこつラーメンだ。紅生姜ではなく磯海苔なのが新鮮。サウナ後の身体に塩分が染みた。



日曜日。この日も晴れていた。散歩して、日用品の買い物をして、セブンイレブンのアイスカフェラテを飲んだ。新しく導入され始めているノンスウィートのアイスカフェラテ、美味いです。早く全店で飲めるようになってほしい。帰宅して、しょうこりもなく10連敗中のヤクルト戦を応援。ブキャナンの熱投で交流戦勝利!勝つってこんなにうれしいことだったのか。すっかり気分がよくなり、自転車でときわ台の「バブリバ八光」という銭湯へ。ここもむちゃくちゃナイスなセッティングのサウナを有する銭湯で、密かなお気にいり。マイルドな蒸気が超気持ちいいのです。
hiko1985.hatenablog.com
近所のシネコンのレイトショーで西谷弘『昼顔』を観た。すさまじかった…演出力というものをまじまじと見せつけられてしまったな。2017年は黒沢清是枝裕和、西谷弘という国内最重要作家の映画が同時に観られる年になってしまった。『昼顔』は上戸彩×斎藤工のダブル不倫ものということで、食指が動かぬという方も多いかと思いますが、オススメだなぁ。3年前のドラマもよかったけども、映画版はその何倍もいい。少しやつれた感じの上戸彩がよい。ついに『3年B組金八先生』の鶴本直と並ぶ代表作が誕生したのだ。私は『テルマエ・ロマエ』で魅せる弾けんばかりの健康的な肢体も好きですけども。平山浩行という役者さんも良かった。名前に覚えはないが、どこかで絶対に観たことがあって、Wikipediaで出演作を眺めてみるも、どれもピンと来ず。しかし、「CM花王ハミングファイン 吉田羊と共演」という表記を見かけて、ハタと膝を打った。そうだそうだ、吉田羊と「よっ!」と待ち合せる夫じゃないか。そりゃそーだ、蕎麦ソーダ。



月曜日。珍しく週初めなのに体調良し。土日に連続でサウナに入ったおかげだろうか。仕事後に、松屋で「ごろごろチキン煮込みカレー」を食べた。「チキングリル」とこの「ごろごろチキン煮込みカレー」だけは毎年必ず食べる。ルーとライスが別皿になっているのですけど、私はもう一気にライスに流しこんじゃいますね。そもそも、別になっているメリットって何なのだろう。ペース配分の難しさとか零しちゃうとか、デメリットしか浮かばない。中村屋みたいな店でグレービーボートに入っていて雰囲気を楽しむというのなら、まだわかるのだけど。あと、松屋はセットでついてくるサラダをメインと同じタイミングで持ってくるのをどうかやめて欲しい。どうせ作り置きしてあるのだから、すぐ出せばいい。サラダというのは口直しではないのだから、待っている間に野菜を先に食べてしまいたい。そっちのほうが健康にいいと、夏木マリも言っていた。同時では、野菜を食べている間に丼やカレーが冷めるのです。セットの野菜は注文されたらすぐに運ぶ、このマニュアルが全店に徹底された時、松屋は牛丼チェーンの頂点に登りつめることでしょう。吉野家のサラダとか、昔はカウンター備え付けの冷蔵庫から勝手に取るスタイルでしたよね。あれ気兼ねなくて好きだったな。カレーを食べ終え、シネコンマイク・ミルズの新作『20センチュリー・ウーマン』を観た。
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とても好きな映画だった。とにもかくにも、エル・ファニングに尽きる。Homecomingsってエル・ファニングみたいな良さがある。家に帰って、録画してあった『欅って、書けない?』を観る。ほんとずっとおもしろいな。渡辺梨加さんの怪獣がかわいすぎて、うなされました。



火曜日。仕事を終えたらもうヤクルト敗北濃厚でうんざり。雨が降っていたけども、少し歩いて帰った。サウナが登場する映画をコレクトしていきたい。探せば、結構あるような気がするのだけども、今のところ思いつくのは北野武アウトレイジ』くらいだ。この間観た吉田大八『美しい星』では、亀梨和也がサウナに入っていた。その内、テレビ東京タナカカツキ『サウナ道』を深夜ドラマ化することだろう。絶対におもしろいに違いない。しかし、ドラマで紹介された施設に客が押し寄せ、マナーの質が下がり、常連たちが悲しむ。そういう負の連鎖までもが思い浮かぶ。であるから、ロケは実際のサウナ施設を使用するも、店名や地名は伏せるのがいいだろう。わかる人にだけわかればいい。そして、注力すべきは”ととのった”時におけるサイケデリック表現ではないでしょうか。そう考えると、タナカカツキ本人に監督して頂きたい。『ひよっこ』の新章、乙女ロス。漫画家志望の人がアパートに住んでいるのはよかったな(目指せ藤子不二雄!!の張り紙)。先週の『土曜スタジオパーク』に乙女3人が主演していて、「また集まります」と言っていたので、待ち焦がれよう。藤野涼子さん、満島ひかり松岡茉優に続く逸材なので、すくすく育ってほしい。佐久間由衣さんは乃木坂46西野七瀬のような声と喋り方だった。つまり、素晴らしいということだ。澄子役の松本穂果さんは非常にクレバーな印象で、いい意味であざとい。つまり、売れる予感に満ちている。



水曜日。仕事後、東京駅へ。八重洲地下街にある南インド料理屋「エリックサウス」でミールスを食べた。
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ここは激ウマの大根のウールガイが食べ放題なのがうれしい。バスマティライス(おかわり自由!)をベースに、カレーもヨーグルトもパパド(煎餅みたいなやつ)もサンバル(インドの味噌汁的存在のスパイススープ)も何もかも混ぜ混ぜにして、スパイスの海を泳いだ。2つ選べるカレーはチキンとマトンにしました。至福。しかし、私のお腹とお尻は香辛料にとても弱い。でも、やめられない。

まぁいいか
でも すごく 辛くなるんだろうな

というくるりの「東京」の歌詞を諳んじながら、食の喜びに没頭する。”つらい”と“からい”に同じ漢字があてがわれたのは、この辛い物の美味さと尻の痛みに起因するに違いない。帰宅して、風呂上りにチョコミントアイス食べながら『水曜日のダウンタウン』を観て、寝ました。



木曜日。仕事後、まだ明るかったので歩いて帰った。この時間、考え事がはかどるので結構好きだ。帰宅してサウナに行こうと思ったのだけども、スワローズの未来のエース原樹理が、則本相手に対等に投げ合っていたので、プロ野球中継にかじりつき応援。これまで8試合連続で2桁奪三振という子君子記録を更新していた則本から、弱小スワローズ打線がまさの6得点。交流戦初の2連勝ということで、久しぶりに機嫌よく過ごせた。お風呂で本を読み、『ひよっこ』『やすらぎの郷』などを消化。
youtu.be
 スピッツのシングルコレクションに収録されるという新曲「ヘビーメロウ」が素晴らしい。スピッツのグルーヴは永遠にみずみずしい。



anan (アンアン)2017/06/21[どきどきするきもち。]

anan (アンアン)2017/06/21[どきどきするきもち。]

6月14日発売『anan』の「どきどきするきもち」という特集で欅坂46についての文章を寄稿させて頂きました。まだ店頭に並んでいるかと思いますので、お時間ありましたらぜひ!うれしはずかし、憧れのマガジンハウスデビューです。いや、そもそも仕事として、文章を書くというのが初めての体験でした。プレッシャーに弱いので、これまではお断りしていたのですが、そろそろいい歳なので殻を破ってみることに。あと何ヶ月か前にブログに「ananとかに書いてみればいいのに」というようなコメントを残してくれた方がいたんですよね。そのすぐ後の依頼だったので、これはやるしかないぞ、と思えました。ありがとうございます。これを機に『anan』に目を通すようになったのですが、カジュアルだけども密度ぎっしりで、あれを週刊というペースで発行しているのはただただ感服です。