青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

古沢良太『デート~恋とはどんなものかしら~』4話

f:id:hiko1985:20150213180123p:plain
これは傑作回と呼ぶにふさわしいでしょう。テクニカルかつエモーショナル。まだ4話だというのにこの満足感はなんでしょう。「完成度の高すぎるサンタコスプレ」だの「『バガボンド』と『天才バカボン』」だの、小ネタも冴え渡っている。それでいて、サブカル的閉塞を抱かせない抜け感の良さ。あくまで「月9」である。物語は、開始2話でプロポーズというハチャメチャな邪道からラブストーリーの王道へ、少しずつ少しずつ舵をとっている。上手くできない人達が当たり前の事に試みる。-1から0にむけての一歩が放つ熱量というのはかくも人の心を掴むものか。


脚本構成は実に緻密だ。細部がクライマックスの”夜明け”(あのわざとらしいほどの照明の素晴らしさ)にむけて収束していく。冒頭で鳴る、母(風吹ジュン)の適当な松任谷由美「恋人はサンタクロース」の鼻歌。それがまず今話のトーンを決定づける。谷口(長谷川博己)の発する「コウトウユウミン(高等遊民)」という響きを聞いて以来、我々の脳裏に住みついてやまなかったユーミン登場のおまけつきである。

恋人はサンタクロース 背の高いサンタクロース

この歌詞の通りに、背の高い3人(ちなみに長谷川博己は183cm、松重豊は188cm、杏は174cmだ)はそれぞれサンタの役割を全うする事となる。ちなみに「真っ赤なお鼻のトナカイさんは~♪」と赤い付け鼻をつけて歌った依子は、後にサンタクロースとなる谷口をトナカイさながら、かついで運ぶ羽目になるのだ。今話において歌は、行動の起点になる。今回の脚本のもう1つの起点は、依子の”肩凝り”だ。仕事中であろうとも、マッサージ機を手放さない。そんな彼女の為に、鷲尾(中島雄翔)は最新型のマッサージ機をプレゼントに用意し、谷口は(結果的に)「肩たたき券」をプレゼントする事になる。そもそも、谷口は肩凝り持ちにはふさわしくない「ネックレス」をプレゼントとして用意していた。それを、母が「肩たたき券」にすり替えたのである。かつて自分が息子(=谷口)からもらったクリスマスプレゼントに。この脚本で感動的なのは、”母の粋な計らい”ではない。かつて誰かに向けた”優しさ”が、色褪せる事なく、また別の形で、違う誰かに届いてしまう。その奇跡のような現象そのものだ。また”肩たたき”という運動が、筋肉のみならず、「クリスマスなんて大嫌い!」と言ってのける現在の2人の心をもほぐす事となる点も素晴らしい。