青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

岩井秀人『その族の名は「家族」』


ハイバイの傑作公演と誉れ高い『て』を研ナオ子、ユースケ・サンタマリア荒川良々などのお茶の間でおなじみの顔に加えて脇を固めるのは内田慈、ノゾエ征爾、滝藤賢一などの舞台名優陣、という豪華キャストでの再演。


『投げられやすい石』に続いて2本目の岩井作品の鑑賞になるが、痛いとわかっているのにひん剥いてくる感じがとても心地よくて好きだ。個人の体験としてはあくまでなめらかな運動であるつもりなのに、他者から見ると、それは突然の暴発に映る、というのを舞台上で暴き出していた。舞台上のどうしょうもなくすれ違っていく家族は現実そのもので、それをタランティーノよろしくなプレイバックという虚構で、どうしょうもないすれ違いに隠されていた愛を掬い上げているのが泣ける。素晴らしい脚本に、素晴らしい役者陣。研ナオ子はテレビのコントで見るまんまでしたが、実にキュートな好演でした。序盤は何でわざわざ起用したのか、という感じのユースケ・サンタマリアでしたが、劇が進むにつれ彼ならではの役作りになっていて好感度上昇。彼のあの軽さは今の時代の空気感にとてもありがたい。OPフリートークで登場し、

みんな!今日は心のセックス、しようね

という名セリフを残し、会場を絶妙な空気にしておりました。内田慈、荒川良々滝藤賢一はほんと上手いですね。内田慈の声を1日中聞いていたい。滝藤賢一は実に岩井秀人っぽかった。気まずさも恥ずかしさもみっともなさも笑いになってる。人生のいびつさを愛そう!傑作でした。