青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

SaToA『S.T.』

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SaToAという素敵なスリーピースバンドについて、今更ながらつらつらと書き記してみよう。「SATOA(サトア)」という単語は、調べてみるとフィンランド語で”収穫”を意味する言葉らしいのだが、バンド名の由来はそれとは関係ないようで、Sachiko、Tomoko、Amiというメンバー3人の名前を繋げたもの。しかし。SaToAが2015年のポップミュージックにおける最もヴィヴィッドな収穫である事に間違いはないでしょう。ジャングリーなギターポップをベースとした音像に50~60sのガールズポップグループを彷彿とさせるボーカルハーモニーがのっかる。その間違いない組み合わせがインディーポップ的な感性でまとめられているわけでして、これはもう好きにならない方が難しい。『Mikiki』のインタビューによれば、当のメンバー達はこの奇跡的なバランスには無自覚なようで、SaToAのマジックは初めて楽曲を制作したその瞬間にすでに成立していたらしい。不思議だ、と思うと同時に、だからこそポップミュージックの黄金律というのはこれまでもこれからも鳴り止む事がないのかもしれない、と感じた。魔法というのは無自覚に受け継がれていくのである。という風に書いてしまうと、何とも掴み所のないバンドのようではあるが、彼女達のソングライティングセンスには文句のつけようがない才能の煌めきを感じる。何と言っても、溢れ出んばかりの贅沢なメロディーラインの数々。90年代の渋谷系やレイトアノラックなどのこの国のインディーポップの最良の時間を彷彿とさせる"懐かしさ"を醸し出しながらも、SaToAの音楽は紛れもなく最新形である、と印象付けてくれるのはそのボーカルラインに宿る歌謡性ではないだろうか。例えば、aikoであるとかUAであるとか椎名林檎であるとかチャットモンチーであるとかPUFFY(=奥田民生)であるとかそういった良質なポップミュージックを当たり前のように”J-POP”として浴びてきましたよ、という世代。そんな彼女達にのみ許される節回しのコントロールが彼女達の持ち味なのである。その天性のメロディーメイクが3人のボーカルのユニゾンで決まっていく瞬間のトキメキこそがこのバンド固有の武器であります。しかし、ユニゾンというのは美しいものです。1つの大きくて強い意志みたいなものが、聞こえてくるようだ(だから僕はSMAPも嵐もT.V. not Januaryも大好き)。

youtu.be
1本のPVと3曲のSound Cloudであっという間に絶大な支持を集め、注目のイベントに次々と参加、デビュー7インチはSECOND ROYALからリリース、とシーンを凄いスピードで駆け抜けてきたドリームバンド。来たるファーストアルバムが待ちに待たれている状況ですが、その前に珠玉の6曲が収録された自主CD-Rに耳を傾け、その才能を確認しておいても損はないだろう。個人的なベストは突如キュートに展開していく6曲目の「Lonely Place」で決まり!あ、でも骨太な「River Soul」も好きだし、いや待てよ「Sprout」も「Trees」も・・・全部好きです。
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