HARCO『シンクロの世界』
HARCOというシンガーソングライターはミュージックフリーク達にやや舐められていやしないか。確かに、環境問題に取り組んで以降の氏の音楽は角が取れてしまったようで、個人的にも関心を失ってしまっているのが正直な所。しかし、その直前のミニアルバム『Ethology』『Night Hike』『Wish List』の3枚の輝きは今も色褪せない。そして、今は 2000年にリリースされたメジャー1stアルバム『シンクロの世界』を再評価していきたい気分だ。若干24歳のHARCO青年、才気走っている。ピアノからムーグシンセからマリンバ、ターンテーブルからサンプラーまでを同列に鳴らす壮大なポップオーケストラである。HARCOはシンガーかつ歌心溢れる優れたドラマーでもある。そのリズム感覚は拍子を自在に操り、ベッドルームミュージックでありながらブレイクビーツも飛び出す。BECKの『Odelay』(1996)
- アーティスト: Beck
- 出版社/メーカー: Geffen Records
- 発売日: 1996/06/18
- メディア: CD
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アンダースローの投球フォームに撃たれた
テレビを見た僕の箸が止まる
壁を相手取ってする投げ真似や
跳ね返れば上に行くボールの行方
珍しく残す夕食
「ビール持ってこい」て嘆く父親
「アンダースロー」
なんでしょうか、この歌詞は。何を伝えたいのかさっぱりわからないけども、確かな良さがある。
広場から見たスクリーンに都市のリングモーター
適度を超えちゃったらさばくで重力に会う
坂道の角度を変えたら誰も彼も「どうして?」
車輪を付けて道路を蹴って重力を知る
「シンクロの世界」
意味のなさの中に豊かな細部がある。そして、こういう感じも。
大好きな名前を教えてよ
言葉を教えてよ
華麗なものになって
この僕を動かしてよ
「バッティングセンター」
た、たまらなくないですか。こいつは悪い男ですよ。文学性を掲げながら、その独特な歌唱で言葉はサウンドに溶け込み音に奉仕している。とにかくキレキレだ。無敵だった頃のHARCO青年の渾身のファースト。中古屋で見つけたら即ゲットの1枚ではないでしょうか。