青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ジェームズ・ガン『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』


前評判通り、誰が観ても楽しめる傑作。しかし、何と書けばいいものやら。「ダメなハミ出し者達が〜」とか「でも、やるんだよの精神」とかいうので語るのはどうにも面白くないような気がする。勿論、『アベンジャーズ』と同様に、今作の泥棒、改造人間、害獣、木、バカといった主人公達が1つの画面に収まってその躍動で、存在を肯定されていく様はどうにもグッと来てしまうのですが。比喩だとかの”言葉”を”身体”が追い越していく所も素晴らしい。正しきアクション映画のように思う。魅力的な多数のプロットに支えられたウェルメイドな作品、というのが1番の印象か。脚本がよく練られている。ややセンチメンタル要素が過多で、個人的には少しドライな方が好みだけども。



映画全編を貫く、”かつてあった質感を追い求める”というトーンもいい。ほぼ全ての登場人物が今は亡き家族、過去の自分自身etc・・・といったモチーフに囚われている。スター・ロード(クリス・プラット)が何かの機械で、惑星に染みついた生活の残像みたいなものを再現しながら、パワーストーン<オーブ>(その見事なマクガフィンぶりも賞賛したい)を探すシークエンスが映画の冒頭に収まっている時点で決定的なのだ。そして、やはり言及せずにはいられない70sのヒットナンバーを再生するあのカセットテープ。ポップミュージックとダンスが欠落を埋める。ポップカルチャー中毒者でこのプロットにグッと来ない奴はなかなかいないだろう。また、この映画が何より追い求める”かつての質感”は、ロバート・アルドリッチからスピルバーグ、ルーカスらを一繋ぎにしたかつての70s~80Sのアメリカ映画のフィーリングだろう。これはマーベルの生み出したもう1本の傑作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』が、ポリティカル・ピクチャーの記憶を呼び覚ましたのと同様の構造のように思う。何でもWikipediaの記述によれば、主人公のスター・ロードの役作りにはハン・ソロ(『スターウォーズ』)とマーティ・マクフライ(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)がいるのだという。それを言うなら、ハン・ソロとチューバッカはロケットとグルードなのでは、という気がしないでもないが。まぁ、実際、今作には『スターウォーズ』や『スタートレック』の夢よ、もう1度!と思えてしまうパワーは感じる事ができた。冒頭の通り、誰が観ても楽しめる事間違いなしの1作。オススメです。