青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ザ・プーチンズ『川島さる太郎のおやつ革命』


ザ・プーチンズとはテルミン奏者の街角マチコ、ギター&ボーカルの街角マチオの2人にいつの間にかメンバーに加わっていたお猿の川島さる太郎からなるトリオユニットだ。音楽活動のクオリティも非常に高いのですが、たまにやる演劇公演がまた素晴らしい。演出に五反田団の前田司郎を召喚して行うそれは、ラーメンズmeets五反田団といった味わいで、高いインテリジェンスの元、圧倒的にバカバカしいパフォーマンスを繰り広げているのであります。


2年ぶりとなる第4回公演『川島さる太郎のおやつ革命』も楽しかった。霊媒師と同居を始め、洗脳されてしまったマチコさんを巡る物語。ビックリするほどに周回遅れな時事ネタにまずもって笑ってしまうのだけども、そのスピリチュアルな物語は、舞台上では、徹底的にフィジカルでもって描かれる。まるで痙攣したかのような圧倒的な肉体表現。精神と肉体、その乖離というかズレが面白い。そもそも、この演劇公演は街角マチコ、街角マチオ共にそのままの本人役で出演し、川島さる太郎のぬいぐるみを操作し喋らせているのも街角マチコなわけで、実存と演じ手がひたすらにメタ的にズレている。今公演の隠し味はずばりDAFT PUNKダフト・パンク)ではないだろうか。

劇中の登場人物であるDJ UVカットのサンバイザールックがまずダフト・パンクを彷彿させるわけだけども、披露される楽曲もどこか『Random Access Memories』以前のダフト・パンクを彷彿させるデジタルテクノ調だ。ザ・プーチンズの最新プロフィールに記載されている文言は「どこか近未来的で、限りなくアナログ」である。レトロ・フューチャー、やはりダフト・パンクだ。何故、またダフト・パンク?という話なのだけど、彼らが「事故の結果サイボーグと化してしまった」という精神と肉体の乖離という設定を持ち込んだユニットだからなのではないでしょうか。このズラせる感覚をひたすらに支持したい。


とにかく器用な2人故に、話の筋から外れた無駄道が多いのも魅力だ。客席にメガネまで配ったあまりにバカバカしい人力3Dの掴みも最高。前回の『川島さる太郎の自己破産』でも披露するも、話の筋と関係なすぎてDVDでは堂々の全カットとなっていた、あの光る球の連なりみたいなもの(あれ、何ていう物体なんでしょう)でのジャグリングも更に高いレベルでのパフォーマンスを見せてくれました。無駄な細部に豊かさは宿りますね。そして、何よりもかわい過ぎる川島さる太郎。たまらん。ルックスもよく、歌えて踊れて演じられるポップ集団。もっと売れなきゃ嘘だと思います。