青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『Maseki Geinin Collection 2013 夏』


マセキ芸能社が熱い、というのはお笑いファンの暗黙の了解のようなものなのでしょう。ウッチャンナンチャンバカリズム出川哲郎、狩野英考、いとうあさこなどの売れっ子のイメージが強い印象ですが、ライブシーンにおいてもナイツを筆頭若頭として、実に充実した戦力を誇っている。三四郎浜口浜村ジグザグジギーツィンテル、ニッチェ、エル・カブキ、モグライダー、カントリーズ・・・と活きのいい若手がウヨウヨしている。『Maseki Geinin Collection』はそのマセキの精鋭に他事務所のゲストを交えて行われるネタライブ。今回の出演はマセキからナイツ、ニッチェ 、ジグザグジギーツィンテルルシファー吉岡モグライダーでゲストにオジンオズボーン松竹芸能)、瞬間メタル(タイタン)、ラブレターズASH&Dコーポレーション)、シソンヌ(吉本興業)、 ニューヨーク(吉本興業)、ドリーマーズ(人力舎)の12組。ナイツによる出演者紹介のOPがらずーっと面白かった。ナイツの司会は悪ふざけとホモソーシャル感と大御所感がないまぜでとてもいい塩梅。全組楽しめたのだけども、特に印象に残ったコンビをいくつか。



今回の収穫は、熱心なお笑いファンに言わせれば、「何を今更」という感じでしょうが、吉本興業のシソンヌだ。恥ずかしながら名前しか知らなかったのですが、良質なコント職人だった。「本当に美味しい物を食べると身体が震えるんだ」と、じろうが様々なバリエーションで震えからの「うんめぇ〜」というアクションを見せてくれて、これだけでも充分な面白さなのだが、中盤「お前それアレルギーだよ」というツッコミが入り。アレルギーという要因を限定してしまったにもかからず、そこから今度はツッコミの長谷川がハチミツ二郎の系譜のクールかつクレバーなツッコミをバシバシと決めていき、笑いがギアを変えて高まっていく。惚れました。



そして、ジグザグジギーのコントが凄かった。ライブでこんなに笑ったのは初めて、という程に笑った。腹筋が痛み出すほどに数分間、途絶える事なく声を出して笑ってしまった。凄い、凄過ぎる。本当に好みどストライクのコンビなのだ。ジグザグジギーはテクノ耳を持っている。何も今回のネタ「超高性能家政婦ロボット」がひたすら爆音が流れるネタだから、という事ではなく。ミニマルなグルーヴを絶妙な言語感覚で操作してファンクさせる。とにかく信頼しているのは、ネタ中の不条理に対する「何故?」への解答に一切時間を割かない点。「運動」は理由が明確にされないほうが躍動する、という事を本能的に知っているのだ。かっこよすぎるぜ。池田勝の言語センスに疑いの持ちようがないし、宮澤聡の顔やアクションの面白さは一見さんも抱え込むであろう。なんせ2人共ルックスがいい。池田勝は長身痩躯のイケメンでわかるが、宮澤聡はただのおっさんじゃないか、と言う人もいるかもしれない。いやいや、20代であの貫録と気品は出せるもんじゃない。何だかわからないがとにかく高貴だ。つまり、テレビ映えもバッチリという事でガシガシテレビにも出ていって欲しい。とりあえずは、2013キングオブコントの決勝は是が非でももぎ取って欲しい。