青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

真造圭伍『森山中教習所』

森山中教習所 (ビッグコミックス)

森山中教習所 (ビッグコミックス)

夏と恋と車と、そして自由の話なのです。周囲の人や物事に無関心、無感動な青年、佐藤清高くん。ひょんな事から、ロハで自動車教習所に通える事になる。しかし、その教習所は未公認教習所だった。教習をつうじて周りの少し危ない連中とふれあい、清高くんは変わっていくのか、いかないのか!?

天才かもしれない。センスの塊だ。人物や設定や舞台選びもいちいち憎い。オフビートで描かれる退廃とそこに隠された情熱が照らし出された時の美しさ。たったひと夏の経験が、一瞬が永遠になるあの感覚を見事に描き切っている。望月峯太郎バタアシ金魚』や初期の松本大洋を想わせる読後感だった。とにかく清々しい気持ちになってミスタードーナッツで読みながら泣いてしまった。