青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

岡田恵和『ひよっこ』20週目「さて、問題です」

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あるど、澄子
おめえにいいこどはある
起ぎるよ

そのいいこどっていうのは・・・5分後に始まります

さながら預言者のような豊子(藤野涼子)がいる。思わせぶりな台詞の数々に、「なんだ、なんだ?優子に続いて結婚か?」と、澄子(松本穂香)のみならず視聴者もソワソワです。翌日の放送にて、豊子のニヤケ面のそのわけが「喜ぶ澄子の姿を想像していたからだった」とわかった時の幸福感ときたら!豊子&澄子、フォーエバーである。


豊子がクイズ番組を勝ち抜き、賞金30万円とハワイ旅行を獲得する。「がんばろうね」「がんばりましょう」と声に出して踏ん張ってきた『ひよっこ』の乙女たち。

きっとあるよいいこと、必ずあるみんなにある、私には分かる

という愛子(和久井映見)の無根拠ながら真っ直ぐな励ましも素晴らしかったのだけども、彼女達の”がんばり”が、ついにはっきりとした形で報われた。

がんばってたらいいことあるね

たくさん傷ついてきた彼女たちが、確かな実感を込めて放つその言葉に、涙腺を刺激されてしまう。豊子に”いいこと”をもたらしてくれたクイズ、その最終問題は、澄子の苗字である「青天目 なばため」の読み方を問うものであった。東大生のクイズ王ですら間違えたこの問題、もしかしたら澄子と出会わなければ、豊子であっても答えられなかったかもしれない。「かけがえのないパートナーに出会った」という豊子の実感が、言葉ではなく、物語の筋として結実する。実に美しい筆運びではないか。



とにかくおもしろい*1。これが「生放送のクイズ番組に出演する豊子を、みんながテレビの前で見守る」というセオリー通りの展開であったら、ここまで感情は揺さぶられなかっただろう。クイズ番組が録画放送であること、その”捻り”がこの115話と116話をグッと魅力的なものにしている。

こういうのって今やってるんじゃねえのがよ

と澄子さながらに驚いてしまう。ついこの間、みね子(有村架純)が急遽出演したお茶漬けのコマーシャルですら、撮って出しの生放送であったのに。『ひよっこ』が描く1960年代、テレビ放送は目まぐるしく進化しているのだろう。録画放送という概念が脚本に組み込まれることとで、「テレビに映る豊子を、豊子が見る」という時間と空間の捻じれが巻き起こる。これがおもしろいではないか。結果は全てわかっている豊子が、みね子たちと一緒になってクイズの結果に一喜一憂する姿はどこか愛おしい。豊子を演じる藤野涼子の預言者めいた佇まいにはどこか”神聖さ”すら漂っている。また、テレビの中の豊子の「簿記と速記とそろばんの資格を取ってます」という発言に、「ね〜!」とテレビに向かって反応するみね子。目の前の豊子ではなく、時間も空間もズレた所にいる豊子と会話をするというズレが、そのかわいさを倍増させている。前述の通り、豊子は登場してから終始ニヤケ面、「これから”いいごと”が起こります」と何度も宣言しているわけで、みね子らにしても視聴者にしても、このクイズ番組の結果はわかりきっているはず(秋田の優子と澄子以外は)。であるにも関わらず、誰もがそれに気づかないふりをして、手に汗握り、クイズの行く末を見守るというこの共犯関係が生み出す親密さ。豊子が小水勉三(ラバーガール大水)にリーチをかけられようものなら、BGMもここぞとばかりに盛り上げるのがおかしい。視聴者の関心はクイズ番組の結果ではなく、その結果をしった澄子のリアクションにスライドしていくわけだけども、その期待を裏切らない満点の表現を見せてくれる松本穂香さん。



優子(八木優希)が同窓会に参加せず、嫁ぎ先の居間のテレビで結末を見守っているという演出も効いている。離れた場所にいる人が、同じ時間に、同じものを見つめ、同じことを考えているということ。テレビが巻き起こした愛子の部屋の熱狂があかね荘全体に伝染し、早苗(シシド・カフカ)たちが引き寄せられてくる。そして、テレビは、遠く離れた秋田の地でも、同じようにして熱を生み出す。そして、それを見つめる我々もまたテレビを通して、同時多発的に熱狂している。106話は、テレビというメディアの魔法のような力を、メタ的に描き切った良回でもあるのだ。

*1:週単位ではなく話単位で感想を書き出してしまうほどに!

最近のこと(2017/08/05~)

youtu.be
Hi,how are you?の「お盆」はもはやクラシックです。お盆休みに10連休なんていうのは、夢のまた夢なのだけども、世間の浮ついた空気に便乗して、何となくボケーっとしている。お盆に読みたい漫画、という趣旨の記事を「文春オンライン」に寄稿させて頂きました。お時間ありましたら、ぜひお読みください。
bunshun.jp
ブログでは絶対にやらないようなフォーマットですが、好きな事を自由に書かせてもらえました。『ちびまる子ちゃん』と『あたしンち』について、ずっと何か書きたかったのでうれしいです。

新オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス 61)

新オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス 61)

オバケのQ太郎』は全集でも読めますが、内容が散漫なので、厳選されたてんとう虫コミックで読むのをオススメ致します。

先日、若林正恭の『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を買って読んだ。おもしろかった。思わず、本棚にあった『社会人大学人見知り学部 卒業見込』と『オードリーの小声トーク』も読み直してしまった。

オードリーの小声トーク 六畳一間のトークライブ

オードリーの小声トーク 六畳一間のトークライブ

移動中は相変わらず『オードリーのオールナイトニッポン』を聞いている。この間の若林のドラクエの思い出話がグッときた。ドラクエの新作やりたいけど、DSもPS4も持っていない。ゲーム機器ってコストパフォーマンスからすれば、そんなにべらぼうに高いわけじゃない。3万とか4万とか、例えば冬物のコートであれば安いなとすら感じるのに、ゲーム機だとどうにも購入をためらってしまう。幼い頃、ファミコンスーパーファミコンを買ってもらうのに、もの凄い労力がかかった記憶が染み付いている所為なのではという気がしている。気安く買っていいものではない、と脳内が認識してしまっているのだ。仮に思い切って買うとしたら、ドラクエの為にPS4買うのと、マリオが楽しそうなNintendo Switch買うのと、どっちが素敵なのでしょうか。
フレンチ・ラヴ・ソングス (Avec Amour)

フレンチ・ラヴ・ソングス (Avec Amour)

セルジュ・ゲンズブールの初期3作をコンプリートした『フレンチ・ラヴ・ソングス』が1000円以下で売り叩かれていたので、購入して家でチマチマと聞いている。凄くゴージャスな音楽だ。何を謳っているかさっぱりわからないのですが、タイトルが「唇によだれ」って曲があって、わぁ、と思った。



「最近のこと」を1週分書きそびれてしまった。どうせスパイスとサウナの話ばかりですが、せめて土日分だけは思い出し、記録しておきたい。土曜日は、自転車で高円寺まで走り、ヴィレッジヴァンガードでHAPPLEのインストアライブを観た。相変わらずご機嫌な演奏と切実な歌。私にとって1番リアルなソウルミュージックを奏でてくれるのはHAPPLEなのです。ヴィレヴァンに置いてあった『怪盗グルーミニオン大脱走』のガチャガチャに挑戦し、ミニオンのリーダーであるメルを見事ゲットした。メルは髪型が気持ち悪いがクールなやつだ。
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ライブ後に「インド富士子カレー」で二種盛りを食べる。むちゃくちゃ美味しい・・・ポークビンダルが絶品だったが、次はフィッシュカレーも食べたい。近所だったら毎日食べたい。このお店は真上にはレコード屋「円盤」がある。何とも偶然に、この日の「円盤」でのライブは「毎日カレーで構わない」でお馴染みの姫路のジョナサン・リッチマンことほりゆうじの演奏だったらしく、少し聞き漏れてきた。
youtu.be
名曲だぜぇ(©「SMAP5人旅」のカラオケの時の中居くん)。覗いていけばよかった。録画しておいた『ハロー張りネズミ』4話を観た。内田慈に古舘寛二に上田遥。ほとんどハイバイを観ているような。「下赤塚はチェーン店が全然ないですよね」と言いながら、山口智子深田恭子が「餃子の王将」から出てくるという冒頭のシーン。餃子の王将は下赤塚の命だぞ!


日曜日は電車で御徒町まで出かけて、南インド料理の名店「アーンドラキッチン」でランチのミールスを食べる。
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カレーはもちろん、ラッサムやチャパティが絶品。サービス精神も旺盛で、この日はおまけでキーママトンカレーがついてきた上に、おかわり自由のバスマティライスに加えて、何故かビリヤニも「食べますか?」と配りまくっていた。大盤振る舞いにも程がある。すっかり満腹になって店を後にする。ユニクロの近くに伝説ポケモンのサンダーが出現したらしく、たくさんの人が集まってレイドバトルに勤しんでいた。夏休みって感じがしてウキウキしてしまう光景だ。御徒町からアメ横を抜けて、鶯谷まで歩く。途中あまりに暑いので、お茶屋さんの店頭で販売していた冷茶を飲んだ。上野公園の喧騒を抜けて鶯谷に向かう高台あたりのチルアウトした雰囲気がとても好きだ。昔は東京の東側があまり好きじゃなく、「自分は西の人間なんで」という態度をとっていたのだけども、最近は東東京に強く惹かれている。2017年を、私の中の東西の冷戦終了の年として記憶しておきたい。鶯谷駅から5分ほどの「ひだまりの泉 萩の湯」に突入。今年リニューアルオープンしたばかりの銭湯で、とても綺麗。もはやスーパー銭湯と言ってほどの設備を兼ね備えているのに入館料は460円。サウナをプラスしても580円、タオルレンタルしても700円という料金設定である。コストパフォーマンスで言えば、都内最強か。サウナも水風呂も特筆すべき点はないけども、まずまずのコンディション。そよ風を感じられる半露天の休憩スポットもあり。鶯谷であれば「サウナセンター大泉」をオススメしたいが、男性のみなので、家族やカップルで楽しむなら「ひだまりの泉 萩の湯」は断然オススメである。食事処も美味しいらしい。サウナのテレビで原爆に関するドキュメンタリーに見入った。鶯谷駅前の和菓子屋「竹隆庵 岡埜」で名物であるこごめ大福と杏大福を買って帰る。



月から水は飛ばして、木曜日。3連休突入の景気づけに「タイムズスパ レスタ」へ。毎月10日は「氷水風呂の日」らしく、19時と21時のロウリュウ後に水風呂に氷が大量に浮かび、水温は10℃を記録。ロウリュウ後の10℃の水風呂はもう強烈にドーンと効いて、あまりの気持ち良さにフラフラになってしまった。今後は10日のみならず、20日と30日も「氷水風呂の日」を開催していく構えらしい。レスタの営業努力には頭が下がってしまう。この日も社員らいしき方がスーツに裸足という出で立ちで水風呂を熱心に調節していた。サウナ愛が迸っている。しかし、そもそもの疑問として、なんでタイムズ(駐車場の会社)がスパを運営しているのだろうか。税金対策にしては、気合いが入り過ぎているし、謎である。休憩所で惰眠を貪ってから、帰宅。Netflixで『マスター・オブ・ゼロ』観て過ごす。これがもうむちゃくちゃおもしろい。2話まで観て、「これぞファーザー・ジョン・ミスティが売れる国、アメリカって感じ!」とか思っていたら、3話がファーザー・ジョン・ミスティのプレミアムライブチケットを巡る話でぶったまげた。ライブシーンもあり。

Pure Comedy

Pure Comedy

しかし、あんなに誰もがチケットを欲しがるほどファーザー・ジョン・ミスティって人気があるのだな、向こうでは。日本で言うと、サザンとかミスチルみたいな存在なのだろうか。デフとレイチェルのウィットに富んだ会話に痺れまくる。あんな会話を常に求めていたら、脳がクタクタになってしまいそうだ。ちなみに主演で製作総指揮のアジズ・アンサリは『ピザボーイ 史上最凶のご注文 』のインド人のあいつ!



金曜日。お昼ご飯をどこかで食べようと駅前をブラつくも、どの店もピンと来ず。「生餃子特売日」の看板に誘われて、「餃子の満州」でパックされた生餃子を買って帰った。帰宅して、フライパンで焼いて食べてみて、ビックリ。店で食うより皮パリパリ、肉汁ジュ―シーに仕上がって、抜群に美味いではないか。これで、12個入りで240円だなんて、最強なのでは。もしかすると気づいてなかっただけで、私が冷凍餃子を焼く天才なだけかもしれないので、あしからず。
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少年サンデー編集部が開催していた「あだち充キャラクタークイズ」に「余裕でしょ」と挑戦するも、後半の問題の難しさに撃沈。『タッチ』の上杉達也と『みゆき』の若松真人が、あだち漫画で1番似ている気がする。「あだち充ヒロイン総選挙」では『ラフ』の二ノ宮亜美もしくは『H2』の古賀春華に投票したい構えだが、現実世界では『H2』であれば、雨宮ひかりみたいなタイプに心奪われてしまう気がする。Netflixで『水曜どうでしょう』の「シェフ大泉 夏野菜スペシャル」を観る。大泉洋あだち充の対談で、あだちが対談前に「北極圏突入 〜アラスカ半島620マイル〜」と「夏野菜」を観てきたことを伝えたら、「いい作品をお選びになりましたね」と大泉さんが応えていた。私もアラスカと夏野菜、とても好き。『ハロー張りネズミ』5話、なかなかおもしろかった。こういう役も引き受けるからこそ、蒼井優は最高なのだ、と思った。このドラマ、映像がとにかく凝っているのだけど、お話としては何を書きたいのか掴みあぐねる。内田慈が娘に暴力を振るっていたのではないかという疑惑を抱かせるフェイクにあまり必要性を感じなかった。



土曜日。今週の『ひよっこ』も良かった。『ストレンジャー・シングス』の全話観直しを完走。何度観ても震えるほど感動してしまう。
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我慢していたシーズン2の予告編をついに観てしまったのだけども、どうにかなっちゃうんじゃないかと思うほどにおもしろそうである。結局今年も『ストレンジャー・シングス』の年になりそう(大歓迎!!)。
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昼過ぎに出掛ける。八丁堀の「湊湯」へ。こちらも数年前にリニューアルしたばかりのスタイリッシュな銭湯だ。サウナが抜群のコンディションな上に、この日は何故かサウナ利用者が他におらず貸し切り。水風呂は狭い。水温計は20℃を示していたけども、攪拌しているので、それなりに冷える。子ども達の遊び場と化していて、前半はほぼ浸かれず。サウナの中で、去年の24時間テレビのドラマをパラパラと観た。これがあの高畑の息子がしでかして、お蔵入りになりかけたドラマか、と思うと感慨もひとしお。オードリー若林正恭さんが変な演技を披露していた。結局、最後まで観てしまい、実話なのだと思うと、素直に「凄いな」と感動してしまいました。八丁堀から清澄白河へ地下鉄で移動して、「ナンディニ」でディナー。ミールスを食べるつもりだったのだけども、6時間前に予約が必要とのことだったので、チキンビリヤニ、カレー、パパドゥ、ラッサムなどを頼んで自由に混ぜて食べた。
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ここのビリヤニ、綺麗に染まったバスマティライスのルックも美しいし、めちゃくちゃに美味い…複雑なスパイスのハーモニーでハイになる感じです。虎ノ門にもお店があるようなので、ビリヤニデビューにオススメ。夕暮れ時の清澄白河の街並は凄く風情があった。これぞ日本の夏だ、しみじみする。



日曜日。洗濯物やクリーニングピックアップなどを済まして、電車で銀座へ。「ナイルレストラン」の行列に並び、ムルギーランチを食べる。
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タモリエビちゃん(歌舞伎のほう)も愛したという日本におけるインド料理の原点。鶏肉がホロホロで美味しい。ルーとライスにマッシュポテトキャベツを混ぜこぜに。追加で注文したラッサムを混ぜても楽しい。自分では結構ぐちゃぐちゃに混ぜたつもりでも、「混ぜれば、混ぜるほど美味いよ」と店員が執拗にアドバイスしてくる。混ぜるは美味い、なのだ。小学校の頃、給食のカレーをぐちゃぐちゃに混ぜて食べるクラスメイトの事を少し軽蔑していたのだけども、むしろ彼が正しかったのだ。ごめんね、ワタナベ君。銀座から東京駅まで歩いて、買い物を楽しんだ。

アジズ・アンサリ『マスター・オブ・ゼロ』Season 1

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ソフトバンクの広告が若者たちを「スマホと大人になっていく たぶん初めての人類」と表現していたのだけども、アメリカでは1980年代から2000年頃に生まれた世代を一括りで”ミレニアル世代”と呼び、デジタルネイティブ扱いしているらしい。なるほど、アラサーである我々は「初めてのスマホを持って大人になった人類」なのかもしれない。大人になりきれているのかは、さておき。


完全に時流に乗り遅れているのだけども、2016年にエミー賞脚本賞を受賞したNetflixオリジナルドラマ『マスター・オブ・ゼロ』のシーズン1を今更ながら鑑賞して、すっかり感動に包まれてしまった。現代を生きる、スマホを持たされた大人達の”切実さ”みたいなものが、見事にドラマに落とし込まれていたからだ。「界隈で1番美味しいタコスにありつく為、ネットであらゆる情報を検索して、ピックアップした店に赴くも、検索に時間をかけ過ぎたせいでタコスは売り切れていた」という、まさに”現代のことわざ”のようなエピソードがシーズン1の最終話に登場するのだけども、これがまさに象徴的。「選択肢は無限、しかし、それゆえに何も選べない」というジレンマを皮肉たっぷりユーモラスに描き切っている。*1主人公デフ(アジズ・アンサリ)は30代前半の独身男性である。「結婚は?」「子どもは?」「持ち家は?」「ローンは?」「転職は?」と、ライフプランにおける大きな選択を次々とこなしていかなくてはならないお年頃。そういった人生における大きな決断においても、いつでもスマートフォンが側にあり、Googleがもたらす大量な情報の渦で溺れ、立ち尽くしてしまう。


デフは役者としてそれなりの収入を得ながらも、その仕事に情熱はない。パートナーには困っていないが、結婚して親になる事には”ためらい”がある。個性的な仲間や恋人*2と楽しい日々を過ごしている。かと言って、このままダラダラと時が過ぎていけばいい、とも思っていない。タイトルの『マスター・オブ・ゼロ』は、”何も極めていない”という意味で、まさに何も決断していない状況を指している。観ているこちらも身につまされてしまうほどに、今作が描いているテーマはリアルで切実だ。しかし、アジズ・アンサリの語り口は実に洗練されていてファニー。重苦しいところはまるでない。
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つまるころこ、『マスター・オブ・ゼロ』が描いているのは、「一つを選択すると、他のあらゆる選択肢が消滅してしまう」という恐怖に立ち往生する人々だ。しかし、デフはシーズン1の最終話において、「パスタ職人を志し、イタリアへと旅立つ」という決断をする。その選択の影には、恋人であるレイチェル(ノエル・ウェルズ)との別れという”喪失”が巣食っているわけだが、デフがパスタにのめり込むきっかけもまた、レイチェルがプレゼントしたパスタメイカーであった。一つの選択を果たした時、他の選択肢は確かに消えてしまうのかもしれない。しかし、消滅した選択肢たちは、選びとった”道”に確かな影響を与え、息づいている。だとすれば、どんな喪失も恐れる必要はないではないか!!アジズ・アンサリのこの物語の結びに、ひどく勇気づけられてしまったことを告白したい。


「選択の多様性」を描くと同時に、この『マスター・オブ・ゼロ』は多様性そのものを描いている。つまりは、あらゆる価値観が共存する街ニューヨークを、いや、アメリカという国を。インド系アメリカ人であるデフをはじめ、黒人、女性、LGBTなど、これまで差別される側であったマイノリティが多く登場し、今なお根付く差別問題にメスを入れていく。自虐を交えて、ユーモラスに、あくまで物語の歯車の一つとして。そのバランス感覚の秀逸さには、海外ドラマのレベルの高さに圧倒されてしまうことしきり。『マスター・オブ・ゼロ』というのは邦題で、原題は『マスター・オブ・ナン (Master of None)」である。意味は同じなのだけども、原題が"None ナン"いう響きを採用しているのは、「インド人=ナン』というような固定概念を皮肉っているのだろうか。*3「パスタ職人を志すインド人」というラストも、そのギャップに思わず笑ってしまいそうになるのだけども、そんな”ギャップ”すらも、もはや存在してはならないのだ、とアジズ・アンサリは訴えかけている。




関連エントリー
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同じくNetflixオリジナルであるジャド・アパトーによるこの『ラブ』は、『マスター・オブ・ゼロ』とすこぶる共振した作品だ。どちらも思わず「現代のウディ・アレン」という言葉が頭をよぎる。ウディ・アレンジャド・アパトーもアジズ・アンサリも共にスタンダップ・コメディアン出身。アレンとアパトーがユダヤ系、アンサリはインド系とマイノリティ寄りのニューヨーカーである。

*1:「ありとあらゆる種類の言葉を知って 何も言えなくなるなんてそんなバカなあやまちはしないのさ!」©小沢健二

*2:アーノルドとレイチェル最高!

*3:英語に疎いのですが、Master of Noneは定型表現なのだそうです

若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

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星野源とオードリー若林正恭。この国の”生き辛さ”を抱える人々のか細き声を代弁してきたメディアスターだ。”人見知り”という自虐を武器に成り上がってきた2人だが、年齢を重ね、活躍のステージを上げていくにつれ、奇しくも共に”人見知り”を克服した旨の宣言をする。しかし、その語り口は大きく異なる。星野源の"それ"について語り出すと止まらなくなってしまうので、ここでは若林正恭の脱・人見知り宣言にフォーカスしてみよう。様々な場所でおもしろおかしく語っているのだが、比較的本音が聞けるであろうラジオでは、以下のような意味合いのことを語っていた。

人見知りは若い子たちのもの
年齢を重ねた自分は、飲み会などで居心地の悪そうな若い子たちに、
気を遣っていかなくてはならない立場になった

この語りからもわかるように若林正恭の抱える”生き辛さ”の視線は、個人を超え、広く社会に向けられ始める。若林は40歳を目前にして、ニュースの内容が理解できない自身を恥じ、東大生の家庭教師を雇い歴史や経済を学び始める。その過程で、この国における”生き辛さ”の根源は、アメリカ合衆国すなわち資本主義と新自由主義というシステムにあるのでは?という疑念に辿り着く。

では、他のシステムで行きている人間はどんな顔をしているんだろう?
とにかく、このシステム以外の国をこの目で見てみないと気がすまない。このシステムを相対化するためのカードを一枚手に入れるのだ。
考えるのはその後だ。二枚のカードを並べて、その間のカードを引いてやる。

若林は灰色の街を後にし、社会主義の国キューバへと旅立つ。導入に関しては、つまるところ非常に平易な言葉で綴られた小沢健二の『うさぎ!』だ。賢い人間が読めば、鼻で笑われるような代物なのだろう。*1そんなことは若林も百も承知である。しかし、若林がこの旅を通じて得る実感は、やはり小沢健二が90年代にポップソングに乗せて啓蒙してきたメッセージに近しい。

喜びを他の誰かとわかり合う!
それだけがこの世の中を熱くする!


小沢健二「痛快ウキウキ通り」

若林がキューバで最も心を動かされるのは、システムから解放された人間同士の血の通ったやりとり、その熱である。それは例えば、革命広場に漂流するカストロの演説がもたらした熱狂の残骸、お金の発生しないキューバ人のアミーゴ精神、もしくは、ふと目にした街の風景。

薄暗くなってきた堤防沿いには、座る隙間がないほどキューバ人が集まってきていた。みんなで笑い合ったり、楽器を持って演奏していたりする。カップルは腰に手を回して海に沈む夕陽を無言で見ている。血が通っている。白々しさがない。

そして、そんな"血の通った関係"に関する語りは、徐々に血縁そのものに置き換わっていく。

隣のキューバ人の家族の旦那がビニール袋一杯に海水を溜め込んで、嫁と子供にバレないように背後から近づいている。ピッタリと近づくと一気にビニール袋を頭の上でひっくり返し、ザザーっと海水をかぶる嫁と子供。家族は悲鳴を上げて爆笑している。しょうもないなー、と呆れながら目をつむる。でも、そんなことがやっぱり楽しいんだよなと納得させられて幸せな気分になる。家族って楽しいんだろうな。

といった描写で伏線を張りつつ、若林は亡き父への想いを綴り始める。



ここからはネタバレ。終盤にて明かされる、若林がキューバ旅行を決意した本当の理由。亡き父が行ってみたかった場所、それがキューバという国であった。唐突に挿入される、旅先での亡き父との対話に、動揺させられてしまう。

「このピザおいしいね!」
「うまいな」

「これ、水飴が入ってるのかね」
「そうかもな」

「ピアノ弾いてるみたいだったね」
「ほぉ」

「こいう音楽好きそうだね」
「いいね」

「ぼくも子供の頃、あれぐらい大きな声で笑ってたよ」
「そうか」

「いやぁ、綺麗な人だったね」
「そうだな」

最初に読んだ際、この若林の脳内対話の相手はオードリー春日ではないか、と錯覚してしまった。いや、だってこの口調は春日そのものじゃないか。最後のセンテンスを読み終え、本書を閉じた私は、ある妄想に憑りつかれてしまう。

”オードリー春日”というキャラクターは、若林の父を体現したものなのではないだろうか?

オードリー春日のトレードマークである七三分けテクノカットにピンク色ベストのプレッピーなスタイルは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)

バック・トゥ・ザ・フューチャー [DVD]

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ジョージ・マクフライクリスピン・グローヴァー)から着想されたというのは有名な話である。春日とクリスピン・グローヴァーはそもそもかなり似ている。
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ジョージ・マクフライというのは、映画の中で、マイケル・J・フォックス演じるマーティの”父親”だ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という作品を要約すると、マーティが30年前にタイムスリップし、情けない父親のケツを叩き、自信をつけさせ、ボロボロの家族を再生させる、という話である。すなわち"偉大なる父性"を取り戻す物語なのだ。若林は、その父性の対象となるジョージ・マクフライのルックを、相方である春日にトレースした。実際、オードリー春日というキャラクターは意図的に”父性”を託したものであるようだ。2009年のオードリーブレイク直後、「トゥース」が流行語大賞を獲得した際も、

1位になった要因は、圧倒的な存在感…春日の父性ですね

とコメントしている。2010年頃のヤフー知恵袋に「最近、春日さんから父性を感じて困っています。」という言説を見つけた時は思わずニヤリとしてしまった。そして、この春日のキャラクターを考案した時期の若林が、芸人活動を反対する父親から、”勘当”を受けていたという事実。それは司法書士に念書を作成させるほどの本格的な"絶縁"であったらしい。そして、本書にはっきりと記される、若林が"筋金入りのファザコン"であったという告白。また、ラジオで披露されてきた若林・父の”ヤベー奴”エピソード。それらがバシっと組み合わさった時、前述の妄想が美しく完成してしまう。オードリーのズレ漫才は、若林が父親の感触を取り戻すために誕生した。もちろん、これは突飛な妄想だ。だが、そういった思考を引き起こすような"熱"が、この『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』には刻まれているのである。

*1:と言っても、キューバ紀行ものとして非常にヴィヴィッドであるし、風景と思考をシームレスに混在させていく文体は読みどころがある。

最近のこと(2017/07/29~)

フジロックが終わってしまい、どこかセンチメンタルな気分になっている。祭りのあとの妙な寂しさに包まれているのだ。苗場に行ってないし、行ったことすらないというのに。Twitterだのインスタだので、あまりにフジロックの情報をリアルタイムで浴びているがあまり、行ったつもりになっているのかもしれない。SNS歴10年くらいでこのバーチャルな感覚を会得してしまったわけだけども、”スマホと大人になっていく たぶん初めての人類”こと広瀬すずさん達はどんなことになっているのだろう。インスタにアップされる食べ物の画像を見ているだけでお腹が膨れたりするのかな。『ドラえもん』てんとう虫コミック42巻

ドラえもん (42) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん (42) (てんとう虫コミックス)

に収録の「目は口ほどに物を食べ」に登場する秘密道具”食品視覚化ガス”かよ!とツッコんで頂けると幸いです。「来てるな、未来」(©ラーメンズ)ですね。ときに、しばらくコンビとしての活動はないようだけども、今のサブカル若者らにとってもラーメンズのコントは必修科目であり続けているのでしょうか。1番好きなラーメンズの公演は?と聞かれると即答できないのですが、1番好きなラーメンはわかめラーメンですね。石立鉄男の「お前どこのわかめじゃい?」のやつ。食べたことはないんですけど。
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最近のことです。土曜日、起床するやいなや『ひよっこ』を観て、泣きはらす。うう、有村架純ちゃん凄い。世津子さん(菅野美穂)の切なさ、というのを17週目の感想エントリーに書きそびれてしまった。あと、宮本信子はやっぱり凄い。喋り方だけで泣いちゃう。佐々木蔵之介は『美しい星』での水星人役も素晴らしかったし(定食を食べるシーンが最高)、最近とても好きだ。『やすらぎの郷』も一応全部観ているのだけども、「ジジイこの野郎」という気持ちが今にも爆発しそう。2~40代くらいまでの『やすらぎの郷』への感想は目にするのだけども、60歳以上の方々がこのドラマをどう観ているのか知りたい。そういう声はどこで拾えばいいのだろう。掃除と洗濯を済ませ、ナカゴーの舞台を観に、浅草駅へ。いつも以上に人が多くて何事かと思ったら、墨田川の花火大会の日であった。お目当てのカレー屋も、花火大会に向けて店頭での弁当販売に切り替わっていて、食べられず。時間もなかったので、適当に喫茶店に入る。浅草という土地に疎いのだけども、どうやら有名なお店らしく、『どっちの料理ショー』でも勝利したというホットサンドがとても美味しかった。注文したのはコーンビーフとチーズとアスパラのホットサンド。
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ナカゴー『ていで』は素晴らしかった。いやーおもしろかったなぁ。高畑遊、最高。11月に様々な演出家を迎えた1人芝居の公演があるらしい。演出家のクレジットには鎌田順也(ナカゴー)などに混じって岸学どきどきキャンプ)、タケタリーノ山口(瞬間メタル)といった芸人の名も。ナカゴーの川崎麻里子のことを、「北区の峯岸みなみ」と呼んでいる。そして、感想エントリーにも書いたのだけども、『もはや、もはやさん』に引き続き、金山寿甲(東葛スポーツ)の存在感が秀逸。惚れたね、あたしゃ。東葛スポーツの公演にヤクルトの試合映像とかつば九郎のぬいぐるみが使われていたので、金山寿甲もスワローズファンなのだろうか。だとしたら、うれしい。なんたって惚れているからね。次の東葛スポーツの公演には、光浦靖子宮崎吐夢が出るらしい(ロロの森本華も!)。光浦、ラップするのかな。光浦さんは『ていで』の公演に花束を贈与していた。鎌田順也の作風はどんどん洗練されている。山田太一早春スケッチブック』の引用が様になっていた。私が最初に観た作品など悪のハンバーガー軍団と正義のハンバーガー軍団がどうしたこうした、とか言って舞台上で叫びながらマックのハンバーガーぐちゃぐちゃにしてましたからね。最後のオチがドムドムバーガーだった。それはそれでおもしろそうだ!そういえば、「ナカゴー主催の鎌田順也は長嶋有門下生」というツイートを見かけた。どういうことかわからないけども、好きな作家が子弟関係だったなんてうれしいことだ。更に、この日は長嶋有さんが同じ会場にいたらしい。全然気づかなかったけど、これもうれしいことだ。劇場を後にすると、小雨が降り始める。浅草寺に立ち並んでいた屋台であんず飴を買って食べた。水飴は思っていたよりもずっと歯にくっつく。雨はどんどん強くなり、人もどんどん増えてくる。「蛇骨湯」にでも寄りたいと思っていたが、早々に浅草を離れることにした。最寄り駅のスーパーで冷しゃぶ用の豚肉とノンアルコールビールを買って帰る。もらいものの冷麺と一緒に食べた。食後にこれまたもらいもののメロンを冷やして食べる。ものすごい糖度で、皮から2ミリのところまで甘い。人生ベストメロンに数えたい一品だった。洗濯物が雨でビショビショ、洗い直しとなり悲しい。Huluで『KEYABINGO 3』を観て、『オードリーのオールナイトニッポン』を聞きながら眠る。ジョビジョバのマギーが3年来のリトルトゥースというところで記憶が途切れた。



日曜日。昼まで寝てしまった。天気がよくないので、洗濯してコインランドリーへ。待ち時間に喜多方ラーメンを食べる。フワフワになった洗濯物を回収し、テレビで高校野球西東京大会の決勝を観た。清宮の夏が終わる。色々言われているけども、甲子園で観てみたかったな。しかし、あの守備だとヤクルトには安田(履正社)を指名して欲しい気もする。東海大菅生の俊足のセカンドの子が、『ドカベン』に出てくるキャラクターみたいだった。かき回されてたなぁ。しばらく間をあけてしまった『ゲーム・オブ・スローンズ』を2エピソードほど観てから、自転車で銭湯へ行き、サウナを軽く3セット。100℃超えの熱々サウナのおかげで20℃程度の水風呂がたまらなく気持ちよかった。攪拌していないので水面は穏やか。身体を浮かせて無の境地へと誘った。晩御飯はゴーヤーチャンプルーにした。『アメトーーク』日曜版「スーパー戦隊芸人」での井上小百合さんの活躍を見届けた。どちらかというと仮面ライダーウルトラマン派だったので、自分がどの戦隊を観ていたか思い出せない。『忍者戦隊カクレンジャー』は歌まで覚えているのだけど、年齢的にガッツリは観ていないはず。『高速戦隊ターボレンジャー』『地球戦隊ファイブマン』あたりは朧気に記憶にあります。突然、すずめちゃんの「眼鏡クイックイッ」ダンスが観たくなったので、久しぶりに『カルテット』8話を観直す。リアルタイムであれほど観たというのに、新鮮におもしろくてビックリしてしまった。すずめちゃんが別府くんのパジャマを洗濯する為に使っていた柔軟剤、どんな香りがするのだろう。ネットサーフィンしていたら、高橋一生小林薫と同じ柔軟剤を使っているという情報を得ることができました。ありがたいことです。高橋一生の出ている『おしゃれイズム』を観る。化粧が濃かった。スケボーをしている時のボサボサ髪のイッセーのが断然かっこいい、というのがウチらの見解、てか総意だよね(*´Д`)




月曜日。ヘトヘトになって帰宅。最近、音楽への関心がめっぽう下がっていて、ネッド・ドヒニーとかしか聞いてないです。『HARD CANDY』と『PRONE』を順繰りでリピートしています。

ハード・キャンディ(期間生産限定盤)

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プローン(期間生産限定盤)

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スーパーで買ったオクラの天ぷらと豆腐とキムチを食べる。録画してあった『欅って、書けない?』を観て、ほっこり。喜びがダダ漏れる長濱ねるさんの姿にやられた。北千住をレペゼンしだす渡辺梨加さんとオダナナと両想いになれたすずもんの表情、かわいかったなー。1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』は良曲が比較的多くていいアルバムだと思った。新曲では「100年待てば」「沈黙した恋人よ」「少女には戻れない」「バレエと少年」の4曲が特に好き。後ろの2曲はジャミロクワイとクイーンなわけだけども、むしろ初期のハロープロジェクトオマージュが効いている。長濱ねるさんの歌声は偏愛しているので正統派アイドル歌謡な「100年待てば」を新曲のベストに推したい。既存曲は改めて、シングルのカップリングの充実が凄まじい。けやき坂46「僕たちは付き合っている」でいつも涙ぐみます。乃木坂46の新曲「呼び水」は平均的なここ最近の乃木坂シングル曲という出来栄えでまぁいいとして、現在MVで発表されているカップリング曲が全部ピンとこなくて悲しい。「沈黙した恋人よ」ほどの良曲がひらがなかやきの、更にユニット曲にあてがわれているのに、乃木坂のシングルがそれでいいのだろうか。



火曜日。仕事を終えて東京駅経由で京橋へ。「ダバ インディア」という人気の南インド料理屋でミールスを食べた。
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美味しいけども、少ししょっぱくて辛い。バトゥーラという揚げパンがついていた。2種のカレーはチキンとフィッシュ。今度行く時はビリヤニを注文したいと思う。少し歩いてコレド室町のTOHOシネマで『怪盗グルーミニオン大脱走』を観た。
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3作目、という感じでした。もっとおもしろくてもいいと思う。メルというミニオンがリーダーとして振る舞っていたのだけども、『ミニオンズ』であんなに頑張ったケビンは失脚してしまったのだろうか。かわいいボブはどこにいるのか目をこらしてみたが、それらしいのをワンカットしか発見できなかった。押すに押されぬ人気ミニオンであるボブを全面に押し出さないのは凄い。コレド室町の入り口に「揚げたて芋けんぴ」なるものが売っていて、気になってしょうがなかったが、お腹いっぱいなので諦める。せっかくだし、お土産にしようかと思ったらが、すぐに食べなきゃ”揚げたて”じゃない!ということに気づいてやめました。「人を食べる仕事」というパワーワードを生み出した『東京喰種』のポスターを観て思い出したのだけども、8月2日に大川隆法が東京ドームで特別大講演会やるらしい。オープニングアクトとして千眼美子が歌うとのこと。信者じゃなくてもお布施を払えば聞けるらしいので、友人に「興味あるなら、行ってみない?」と誘ったら断られました。誘い方が悪かったのだろうか。千眼先生曰く「2600年経っても消えない仏教のはじまりであるブッタの生まれ変わり」であるらしい大川隆法の講演会が、仏滅の日に開催というのは飛ばし過ぎのジョークだ。ブッダの休日。『フリースタイルダンジョン』の2代目モンスターがどんなメンツになるのか楽しみですね。



水曜日。珍しく気候が涼しかったので、少し歩いて帰った。ひたすら『オードリーのオールナイトニッポン』のアーカイブを聞いている。ラジオは人間の根源的な孤独みたいなものを慰めてくれるな、と改めて感じています。とりあえずここ数ヶ月分は聞いたので、2017年1月から順々に、と並行して第1回放送からも聞いていこうと思っています。あの頃のオードリーと今の自分が同い年くらいなのだな、と思うと感慨深い。あと8年かければ、私もゴルフやキャバクラがしっくりくるようになるのだろうか。晩御飯にイカと海老と玉子の炒めものを作ってみたけども、ちっとも美味しくなかった。『FNSうたの夏まつり』をダラっと観ていたのだけども、あんまりおもしろくない。どこの層に向けて作っているのかよくわからないキャスティングのように感じる。全方位のつもりなのだろうけども。PUNPEEが地上波で加山雄三とラップしているのと、森高千里がドラム叩きながら、「ダイヤモンド」を歌っていたのがよかった。
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桑田真澄の息子がMattという名でテレビに出ているの知らなかったんですけど、まんまと「桑田真澄 息子 ハーフ」と検索してしまいました。悔しい。乃木坂46生田絵梨花さんはFNSにハマっていて、今回は『リトルマーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌い上げていた。大学のサークルの新歓コンパで、あの曲の日本語版と英語版を続けざまに歌う新入生の女の子がいて、度肝を抜かれたという思い出がある。その後も、アヴリル・ラヴィーンの「Girlfriend」などをHey!hey! you!you!と全力の顔力で歌っていて、辛抱たまらず笑い転げてしまった。機嫌を損ねたに違いないと思いきや、その子は「すごい盛り上がってくれて歌いやすかったです」と喜んでくれた。「凄いポジティブさだな、帰国子女か!」と偏見丸出しのツッコミをグッとこらえたのですが、本当に帰国子女だったので、海外は大きく太く育つな、と感心したものです。



木曜日。この日は絶対に「タイムズスパ レスタ」に行くぞ、と決めていたのだけども、入り口まで行って急に気持ちが萎んだので、東池袋駅前の「日乃屋」で名物カツカレーを食べて帰った。「日乃屋」のカレー、初めて食べたんですけど、えらい甘いですね。帰宅してから自転車でミニスーパー銭湯へ。ここは暗黙の了解で刺青OKという風潮があるのかなんなのか、とにかく身体に落書きのあるお客さんが多い。この日は、1セット目で昔ヤンチャしていたらしく、首筋にタトゥーの入った若いお父さん2人の、悩ましい刺青事情を聴くことができた。社員旅行などでは、いつも酒に酔ったふりをして大浴場に入るのを回避するらしい。彼らは「娘に物心がつく前に消す」と決意してサウナを後にした。2セット目は組関係の3人組で、1人は中高生くらいの若者。「ずっとやりたいことなかったんで、今は楽しいっす」と、墨バリバリの兄貴たちに語っていた。「よかったじゃねぇか」という兄貴あり、「今だけよ、その内ダルくなるぜ」と茶化す兄貴あり。人生いろいろである。すっかりととのって帰宅して、録画してあった『水曜日のダウンタウン』でゲラゲラ笑って寝た。