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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ジェームズ・ガン『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』

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もう本当に大好き!! 前作は人が死にまくるわりに、やたらとウエットなのがやや気になるところでしたが、このvol.2に関してはもはやそこがいいというか、素直に泣かされてしまった。映画(に限らず漫画やアニメも)のヒーロー/ヒロインで両親が健在なケースというのは非常に稀で、ヒーローたちはすべからく”孤児”だ。仮に健在であるならば、倒す宿命にある。今作のヴィランは、クイルの実の父であるエゴであり、シリーズを通してのラスボスと思われるサノスはガモーラとネビュラの(義理の)父。スペースオペラ親子喧嘩である。その元祖と言えば『スター・ウォーズ』シリーズなわけで、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も当然その流れを汲んでいるわけですが、このままシリーズがずっと続いていったら、20年後の子どもたちにとっては、その地位が逆転している可能性すらあるのではないだろうか。まさに親殺し!と、怒られそうなことを書いてしまうくらいに、ジャームズ・ガンはガーディアンズの面々にあまりに瑞々しい命を吹き込んでおり、ミラノ号のコクピットの賑やかさは眩しく、とりわけクリス・プラット演じるピーター・クィルの”良さ”はハリソン・フォードハン・ソロ級なのです。


さて、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と言えば音楽でして、気になるのは選曲なのですが、vol.1に負けず劣らず最高。まさかのGeorge Harrison使いとEDのCheap Trickに泣く。70年代のヒットソング縛りでジャンルは幅広くクロスオーバーしているのですが、不思議とトーンが統一されていて、スムースに響く。オープニングのタイトルクレジット時におけるガーディアンズと宇宙怪獣との戦いにおいて、まず目を引くのはその長回しのカメラワークと放っておかれる痛快なアクションなのだが、真に注目すべきは、まさにその音楽だ。クイルご自慢の”Awesome MIX”カセットテープが、ヘッドフォンではくスピーカーによって、つまり閉じた状態から大きく広く鳴らされている点にある。クイルの使い古したヘッドフォンは中盤でエゴによって破壊されてしまい、後にイヤフォンが代用される。右耳と左耳の二股に分かれたそれは、クイルとベビー・グルートの耳に同時に音楽を流し込む。音楽と同様に、クイルの孤独は、ガーディアンズの間で分かち合われる。同じ孤独を纏った面々は、血の繋がりを超えた新しい家族の在り方を提示していく。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という作品が強烈に我々の心を捉えるのは、例えば『ワンピース』のような血の滾る少年ジャンプ的冒険忌憚でありながらも、この時代を的確に捉えたヒューマンドラマでもあるからだろう。その筆致は坂元裕二是枝裕和といった作家の血と家族を巡るコミュニティを描いた作品群とさえ共鳴している(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は宇宙版『カルテット』である、という暴論を吐いてしまってもいい)。


冒頭のアクションシーンに話を戻すと、死闘を繰り広げるガーディアンズを差し置き、カメラはベビー・グルートのダンス(Electric Light OrchestraMr. Blue Sky」での!)を捉え続ける。家族における”子ども”としてメンバーの庇護を受け、何からも阻害されずにステップを刻むその姿は、キュートを通りこして感動的ですらある。少し抜けたところのあるドラッグスが、誘拐犯であり育ての親であるヨンドゥを、クイルの実の父親だと勘違いしていた挿話も素晴らしい。

(クイルは肌色だけども)
ヨンドゥは肌が青いじゃないか!!

というツッコミにも釈然としない表情を浮かべるドラッグスの態度にこそ、これからの時代を生き抜くヒントが忍ばせてあるように思う。


最後に、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はギャグがストーリーの邪魔をしている、という批評を読んだのだけど、果たしてそうだろうか。ウィットに富んだ切り返しを乱発する『アベンジャーズ』シリーズにはそういった感触を確かに抱いたのだが、この『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』におけるギャグの”照れ”というのは、作品全体を貫くフィーリングであるように思う。照れ”は、クイルとロケットを最高のバディとして演出し、ネビュラを神出鬼没のジョーカーとさせ、クイルとガモーラのあらかじめ決められたロマンスを延長させる。ロケットにソヴリン人のバッテリーを盗ませ、事態を最悪に深刻化にさせたのもやはり”照れ”であるし、それは何やら次作にまで続く因縁になるようだ。つまり、”照れ”からくる”素直になれなさ”こそが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の物語を転がし、キャラクターを輝かせるのであーる。



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湯浅政明『夜明け告げるルーのうた』

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これは好きだ。ボーイミーツガール、そしてグッバイ。

ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり
誰もみな手をふってはしばし別れる


小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」

今作では何度も「じゃあ、またね」というお別れが描かれる。大きなお別れに備えるように。その別れ際、ルーや犬魚がいつも手をふって見送ってくれるのがいい。心を解放させるような歓びは、積み重なった哀しみの中からしか生まれない。『夜明け告げるルーのうた』は実に真っ当なジュブナイル映画だ。


高低差と傾斜に溢れた港町という舞台設計がまずもって素晴らしく、”湯浅政明”印と言っていいであろう柔らかく揺らいだ線が、空間の狭間でポップに弾ける。そして、気持ちいいほどにセルアウトしている。どちらかと言えば観客を選ぶタイプの作家であった湯浅政明の、キャリア初のファミリー向け映画ということで、物語展開もキャラクターデザインも既視感バリバリながら、安心して観ていられる。キャラクターが多すぎて、世間で言われているほどに明快な脚本でもないような気もするし、”音楽”をテーマにしておきながら、斉藤和義歌うたいのバラッド」やYUI「fight」を挿入曲として使用するというのには、さすがに「新海誠かよ・・・」と顔をしかめそうにもなるのだけども、そこはグッとこらえよう(なんたっていい曲だし、下田翔太の歌声は泣ける)。


心を閉ざした孤独な少年の拠り所がネット上にアップするMPCで作成したトラック、という実に現代的な導入にも驚かされたし、海に落としたスマートフォン(防水)を人魚が拾って届けてくれる、という童話めいたボーイミーツガールもバッチリ現代版にアップデートされている。ラブレターとしてのミックステープ(RCサクセションの「スローバラード」!)、廃墟と化した遊園地、コンビニのフライドチキン、焼き魚への箸さばき、短パンのウエストの紐、じいさんの傘作り、そして、然るべきタイミングで通過する列車。細部の充実は文句なしの豊さだ。プロット自体は散々指摘されているだろうけども『崖の上のポニョ』と酷似している。

崖の上のポニョ』において、「人間ではないポニョを愛せるか?」という問いが物語に決着をつけていたように、この『夜明け告げるルーのうた』でもまた「素直に”好き”と声に出して言えるか?」というのが全編を通してテーマになっている。人魚、音楽、地元、漁業etc・・・何かに抑圧されて、素直に”好き”と言えない対象が今作には散りばめられているが、ルーの真っ直ぐな「好きー!」によって、それらのしがらみが溶解していく。それがやがて生死の境界すらも溶かしていく、という展開も『崖の上のポニョ』なのだけども、人魚に噛まれると人魚になってしまうという”吸血鬼”的設定がオリジナルで、とっくに失われてしまったと思われていた”好き”が海の底で生き続けていたという筆致が感動的だ。


眩しいとわかっていても惹かれずにはいられない光、というのがあって、ルーの生き方はまさにそれを体現している。陽の光が苦手な人魚たちだが、それでも人間の世界に干渉しようとする。人間にとって畏怖の対象であり、神のような存在でありながらも、ルーはおろかルーのパパでさえも「愚かな人間どもめ」というようなセオリー通りの態度を見せない。むしろ、人間の世界に対して、憧憬の眼差しを向けている。人間の真似をするかのように、スーツを身に纏い、商工会議所で働くパパの姿を最高にキュートだ。見つめる視点を変えた時に浮かび上がる世界の美しさ。ここには、「この世界というのは憧れられるに耐え得るものなのだ」と説くような志が感じられる。それはやはり『崖の上のポニョ』での宮崎駿によく似ている。今作のプロットが『崖の上のポニョ』に似てしまったのは偶然なのかもしれないが(湯浅の構想としてはポニョの前からあったなんて話も聞く)、”ジブリ的なもの”への明確なリスペクトは確かに存在する。ルーのパパがニカっという口角を上げて笑う姿に、『パンダコパンダ』や『となりのトトロ』の面影が重なる。今年度は米林宏昌がこれまで教わってきた”ジブリ的なもの”を総動員したかのような『メアリと魔女の花』もあるわけで、「俺たちが頑張らないと、あの人が安心して帰れないんだ!」みたいなものを感じる。
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そんな中、当の宮崎駿は何度目かの引退撤回でもって、新作制作を発表というのが最高に面白い。



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最近のこと(2017/05/12~)

youtu.be
先日公開されたcero「ロープウェー」のMVが素晴らしい。

Everything's Gone To The Foggy Outside
やがて人生は次のコーナーに

監督は仲原達彦で、飴屋法水が出演している。『POPEYE』を立ち読みして知ったのだけど、飴屋法水とコラボレーションしたマームとジプシーの公演『マームと誰かさん』(2012)で使用されていたフィッシュマンズ佐藤伸治の車を今、仲原さんが受け継いで使っているらしい。さて「最近のこと」ですが、また何日か抜け落ちてしまっている。とりあえず、先週の金曜日から!予定もないので、家でのんびりナイターでも観ようかなと思ったら、スワローズの試合のない日だった。しかたないので、思いつきで駅前の1000円カットのお店に入り、前髪を切ってもらうことに。店は大変混雑している。小学生低学年くらいの男の子が「もう自分で勝手に切っちゃダメだよ!」と店員にひどく怒られていて、かわいかった。その気持ちはわかりやしないが、彼にも色々思うところがあって、バスルームで髪切って大暴れでもしたのでしょう。ときに、”思いつき”という単語が浮かぶと、反射的に「思いつき!思いつき!!」なに?「キャトル・ミューティれるの。」となってしまうほどに七尾旅人の1stアルバムが脳内に染み付いている。

雨に撃たえば...!disc 2

雨に撃たえば...!disc 2

ヤング七尾旅人、天才だよな、発明だよな。独特の言語センスってこれくらいやれてから言って欲しい(ぼうよみ)。しかし、改めてタイトルを眺めてみると、初期の七尾旅人穂村弘と強く共鳴しているのだな。七尾旅人穂村弘の対談、実現して欲しい。話は変わって、星野源がまたしても”人見知り”についてモゴモゴ言っていたので、少しカッとなってしまった。星野源ファンのみなさん、すいませんでした。「結局、人が好きなんですよね」みたいな発言をイジらないなど、あれでも自分なりにグッと悪意を抑えたつもりなのです。でも、誤解しないで頂きたいのは私は星野源のファンということです。忘年会とかカラオケで「恋」、歌いたいです。日村さんのバースデイソングも、『おげんさんといっしょ』も、観ているDVDを一時停止してまで、リアルタイムでチェックしましたよ。細野晴臣と演奏した「絹街道」かっこよかったなぁ。星野源とHNKと言えば、SAKE ROCKがにゃんちゅうと一緒に演奏した「せつないのうた」は本当に良いものだと思った。



土曜日。何の予定もなかったのだけども、外は雨降り。遊んでくれる人もいないし、家に引きこもることにした。インドア派のようでいて、実は家でジッとしているのはあまり好きではない。どうも気分が滅入ってしまうのだ。結局、人が好きなんですよね。せめてもの抵抗として、宅配ピザを注文してやった。雨の日のピザ屋はとても混む。昔、バイトしていたのでバイト諸兄には申し訳ない気持ちにはなるのだけども、店長は雨が降るとホクホク顔だった。高校のクラスメイトがピザ屋でバイトしていた時、大雨の日におぎやはぎの矢作の家にピザを届けたことがあると自慢していた。矢作は支払を済ませると、実に爽やかに「雨の中、ご苦労様ね」と声をかけてくれたという。ダウンタウンDXに投稿する気にもならないくらいイメージ通りな社交性だ。奥の部屋からは大人数の賑やかな声が聞こえ漏れてきたらしく、もしかたら小林賢太郎がマジックでも披露していたのかもしれない(当時、矢作が「賢太郎、マジックみせてよ」と電話すると、自転車で家まで駆け付けてくれたらしい)。私のピザ屋の思い出と言えば、明らかに堅気じゃなさそうなおじさんから「おぅ、ご苦労だったな。これでジュースでも飲め」と100円玉を1つもらったくらいのものです。100円玉で買える温もり。ときに、ピザは美味いですよね!でも、Mサイズのピザを1人で食べると、男性でも1日中お腹いっぱいになってしまう。世の中の宅配ピザを食べたい女性の為に、Sサイズを導入して欲しい(導入しているところもあるだろうけど)。サイズは小さいのだけど、チーズ増量もしくは高級チーズ使用などで、少し割高にすれば、配達コストとのバランスも問題なしだ。あと、かねてからデリバリーのお好み焼きがあればいいのにと思っている。Twitterでつぶやいてみたところ、「ピザポケット」という企業が既に実施していると教えてもらった。まさかのピザとお好み焼きの両刀使いだ。聞いたこともない会社だったが、九州・西日本ではわりとメジャーで、東京にも江戸川区を中心に数店舗展開されているらしい。あと、デリバリーお好み焼きは広島県では当たり前のようにあるサービスだそうだ。もう少しで、このアイデアで『マネーの虎』に出場するところだったので、助かりました。虎たちに恫喝されてしまうところでした。届いたピザを食べながらヤクルトvs中日のデーゲームを観戦。今年は開幕からずっといいライアン小川が8回までこれぞエースというピッチングを見せていて、それはもうウキウキだったのだけども、9回に守護神・秋吉がビシエドに逆転3ランHRを浴びて敗北。これはショックが大きくて、忘れられない試合になりそうだ。妙に記憶力がいい私はすべての日々の思い出をその日観たプロ野球の試合と結びつけて覚えているのです。鬱屈とした気分の中、パソコンで昔のドラマを観散らかす。『お見合い結婚』は最高。ユースケ・サンタマリアの有能さにハッとさせられた。彼や大泉洋のような3枚目俳優が2~30代の役者で出てきて欲しいものだ。暇なのでまたしてもTwitterでそうつぶやいてみたところ「星野源じゃないですか?」という反応があって、「うわ、そうだわ」となりました。私が望むものの先にはいつだって星野源。多分、Sサイズのピザも星野源なら展開しているに違いない。今度、注文してみよう。



日曜日。雨が上がったので、洗濯機を回し、干す。録画してあった『ゴッドタン』の「コンビ愛確かめ選手権」を観て、ロバートの友情にグッときてしまう。収録前に3人で豚骨ラーメン食べるなんて本当に素敵だ。天気もよくなってきたので、自転車で出かける。大泉学園までサイクリングして、そこから西武池袋線に乗り所沢駅へ。本日は”母の日”という事で、電車の中でカーネーション直枝政広のソロアルバム『HOPKINS CREEK』を聞いて楽しむ。

HOPKINS CREEK 10th Anniversary Deluxe Edition

HOPKINS CREEK 10th Anniversary Deluxe Edition

脂ののった500gから始めよう。所沢駅から徒歩30秒という立地の「所沢BED&SPA」に赴きました。日曜日だが午前中はお客がまばらでむちゃくちゃ快適です。サウナはケロサウナ。絶え間なく自動ロウリュウしていて非情に高湿、簡単に汗が出てくる。しかし、温度は80℃と低温で少し物足りない。なんせここは水風呂が12.8℃とキンッキンに冷えているのだ。せっかくなら身体を熱々にしてから、飛び込みたい。やや宝の持ち腐れである。しかし、施設はいい。地獄サウナというイカれた名前のスチームサウナもあるし、無温バイプラ風呂もいいし、外気浴スペースにはデッキチェアもあるし、アメニティはスカルプシャンプーにPOLA。食堂でノンアルコールビール飲みながら、備え付けの漫画(『げんしけん』1巻にしました)を読んだりして、むちゃリラックスした時間を過ごせました。スワローズが敗戦ムード漂う中、9回に荒木のサヨナラ満塁ホームランが飛び出す。すっかりウキウキ気分に。光が丘公園周りを気持ちよくサイクリングして、高島平の「らいらい軒」で中華丼を食べ、イオンシネマM・ナイト・シャマラン『スプリット』を観て帰宅。
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ジェームズ・マカボイ、最高だ!そして、オープニングショットからして良すぎる。わけがわからぬままにずっとおもしろい。久しぶりにスクリーンで映画を観たような気がして、映画でしか語りえないことってあるな、と震えた。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』と『マンチェスター・バイ・ザ・シー』も早く観たい。休日の仕上げとして、ハーゲンダッツのショコラミントを頂く。チョコミントって昔は迫害されていたイメージだけども、ここ10年で一大勢力に成長した気がする。チョコミン党の総意として、ベストチョコミントアイスは、サーティワンのチョコミントということでよろしいですよね?



月曜日。ブルーマンデー。なんだかネオアコが聞きたい気分で、プリファブ・スプラウトの2ndアルバムを聞いた。

Steve Mcqueen

Steve Mcqueen

このアルバム、同い歳なんだよな。帰宅途中にセブンイレブンでパックのおでんを買い、冷やしのままで食べた。おでんという食べものは温かろうが、冷えていようが、美味さにそう差異はないのだということに今さらながら気づかされる。これで夏でもおでんが食べられます。食事をしながら、録画してあった『乃木坂工事中』と『欅って、書けない?』を消化。最近の『乃木坂工事中』から白石さん、なーちゃん、まりっか、キャップあたりの気配が感じられなくて寂しい。たまにいるけど、ほとんどいないようなもので、まるで違うグループのようだ。『欅って、書けない?』はなんてことない企画なのだけども、やっぱりおもしろいんだよな。見事ベースをゲットした長濱ねると、授業の為に途中退出したオダナナだけで飯が食える。これは単なるグループへの思い入れによるものなのだろうか。公平な判断ができない。『ドキュメント72時間』の再放送枠が大好きな「京都・鴨川デルタ、青春の日々」であったので観直す。やっぱりこれは素晴らしい。年間トップ3入りはあると思っていたが、結果が6位だったようだ。あと個人的には「北アルプス 天空のテント村」も好きだったのだけど、トップ10入りさえしていない。1位の「長崎 お盆はド派手に花火屋で」であるのは納得だが、2017年の1位が「都会の小さいお葬式」だったら萎えるな。あれは一線を踏み越えてしまっていると思う。次の週の「金剛山 ライブカメラの山頂で」なんかは実に激渋だったけども、その何気なさに「これですよ、これ」という気持ちになった。Kinki Kidsのデビュー20周年記念の一環で、ドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』の続編が今夏に放映されるという。ちょうど昨日、1話を観直していたところだったので、鼻水が出てしまった。放送当時、母親が小原裕貴ヲタだったもので、家でずっと録画したビデオが流れていたものだ。小原くん、演技むちゃんこ下手なんだよな。貴族探偵も出ている。ときに30歳前後の人にとって、堂本剛という人の存在ってむちゃくちゃ大きくて、ドラマの役どころなりバラエティなり、あの堂本剛的な振る舞い(昼行燈的な)が”かっこよさ”だ、みたいに刷り込まれたところありませんか?ないか。



火曜日。柴田聡子のニューアルバム『愛の休日』を買う。

愛の休日

愛の休日

これはすっごいアルバムだと思います。店頭に並んでいた藤原さくらのアルバムも良さそうだった。彼女のフェイバリットがPaul McCartneyの『RAM』なのだと聞いて、かなり気になっている。この日はどうにもモヤっとして、ヤクルトもジャイアンツ菅野に手も足も出ず、更にズーンと沈んだ。こんな時の為に実家から回収してきた心を安らかに保つ為の漫画『あたしンち』を部屋で読み吹けるのです。
あたしンち 1

あたしンち 1

10巻くらいまではもう抜群におもしろいと思う。画も簡素なのだけどセンス抜群。この作品でしか掬い取れてない生活の”何気なさ”がいっぱいある。東日本大震災以降の後期『あたしンち』は作者の思想をキャラクターが喋らされたりしていて、本当に驚いてしまった。小田扉と違って、思想自体は理解できるものなのでまだいいのですけど。あしかし、あれが読売新聞に掲載されていたのは凄い。けらえいこは自身の結婚生活を綴った「セキララシリーズ」なども大好きで、もっともっと評価されていい作家だと思っている。
セキララ結婚生活

セキララ結婚生活

サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『あたしンち』が三大家族漫画であるから、「長谷川町子さくらももこけらえいこ」くらいの扱いでいい。『NEO決戦バラエティ キングちゃん』は復活してからもずっとおもしろい。ノブの「あの頃のToshl」が想像以上に似ていてクソ笑った。都丸紗也華ちゃんがレギュラーアシスタントになりますように。  



水曜日。仕事終わりにココナッツディスク池袋店でcero『街の報せ』の12インチアナログを購入。友人と合流して、「木々屋」で飲む。池袋の大人気の焼きとん屋で何店舗もあるのに、どこも大混雑している。とにかく、レバーが美味い。ハムカツもお気に入りだったのだけど、メニューから消えていて残念だ。モツ刺しも美味かった。プロ野球の中継を見ながら、由規の快投と雄平と大松の勝負強さを同じくヤクルトファンである友人と称え合った。肩の怪我から復帰した由規が目一杯腕を振って150キロ台の直球をバンバン投げ込んでいる姿には思わず涙腺が緩んでしまったな。由則という選手を知らぬという方はぜひこれを観てくれぃ。
youtu.be
仙台育英高校。甲子園のスターであり、ドラフトで東京の球団に指名されて、「家族と離れることになるんだな」と会見中に号泣した、ナイスガイなのだ。そして、161キロという、大谷に塗り替えられるまで日本人最速記録の持ち主であった。昨年、肩の手術から1771日ぶりに一軍登板。そして、この日ついに最高のピッチングを披露してくれたのです。本当にがんばったなー。あと、この日時点の雄平の打率が331だったということを記録しておきたい。何年後かにこれを読み返す私、信じられないだろう。焼とん屋を出て、喫茶店で珈琲飲んでダベって、2時間カラオケして解散。友人はコーネリアスばっかり歌っていた。
youtu.be
確かにこの新曲はポップミュージックのネクストレベル。友人は他にもどついたるねん「わたるちゃん2」、cero「街の報せ」、スカート「静かな夜がいい」などをそれはもうスムースに歌っていた。対する私は浜田省吾ミスチルを歌った。センスの違いってやつを見せつけてやったね。この日遊んだのは、前回の「最近のこと」に登場した練馬の濡れネズミこと” Ob -La-Di, Ob-La-Daが世界で1番好きな男”だったんですけど、なにやらあのブログを読んだらしく、「mixi日記じゃねぇんだぞ!」と怒っていました。久しぶりにカラ館行ったら、店員さんがガンダム地球連合軍みたいな制服で(前からでしたっけ?)、「ガンダムみたいだったなぁ」としみじみ言い合った。



木曜日。ドムドムバーガーという単語をよく目にする日だった。スイートポテトパイがとにかく美味しかったという思いでがあるのですけど、本当に美味しかったっけ。店舗もほぼないし、スイートポテトパイはメニューにないらしい。最期に復活させてから、散って欲しい。疲れが溜まってきたので、サウナに行くつもりが、野球中継から目が離せなくて断念。ヒリヒリした試合展開で何とかジャイアンツに1対0で勝利。昨年オリックスからトレードで加入した近藤投手が本当に素晴らしい。ストレートとスライダーのキレ。マウンドで踊るようなピッチングフォームも素敵だ。ヤクルトが東京ドームで勝ち越せるなんて奇跡みたいなもの。すっかりご機嫌になってしまった。適当にご飯をすませて、日課である『ひよっこ』と『やすらぎの郷』を観て、 お風呂入って、本読んで、漫画読んだ。


田中宗一郎さんのこのつぶやきを読むまで、『皇国の守護者』の伊藤悠の『シュトヘル』の存在すら知らなかったので、慌てて読み出している。痺れるほどおもしろいなぁ。いつも6時半に起きているんですけど、12時前に眠るより、1時過ぎに寝た方が眠くないことに最近気づいてきた。

松本壮史×三浦直之『デリバリーお姉さんNEO』3話

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みなさま、TVKにて放送中の『デリバリーお姉さんNEO』の3話は御覧になられましたでしょうか。いやはや、素晴らしい。”プールサイドでの告白” というモチーフが、岩井俊二『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(1993)の記憶と重なり、そこから大根仁モテキ』(2010)へ、遡って『演技者。』(2002)*1へと結びつく。松本壮史という才能は”大根仁”を更新する新しい世代の登場と言えるのではないでしょうか。


この3話が『デリバリーお姉さんNEO』の最高傑作回じゃないならどうかしている、それほどにいい。「青春も赤面するほどの恥ずかしさ」と劇中で自己言及するように、甘酸っぱさ5000%!松本壮史と三浦直之(ロロ)のタッグが出し惜しみなしのフルスイングだ。脚本の三浦直之によれば、この3話のプロットはロロの「いつ高」シリーズという青春連作偶像劇プロジェクトのシナリオ案の1つであったらしい。であるからか、ゲストには「いつ高」の看板役者である亀島一徳(将門)と新名基浩(しゅうまい)が登板。板橋駿谷を含めた3人の並びのルックの”青春”としか呼びようのない美しさにまずもって涙。そして、亀島一徳はやはり素晴らしい。テレビサイズでもその魅力は何ら揺らがない。ロロの必殺技とも言える、亀島が少し声を張り上げ、モノローグのように語り出す演技メソッドがこの3話でも炸裂している。モノローグ(独白)のようなのに、気が付いたら誰かにバシっと届いてしまう、あの発話。それを受けるエリー役の岩井堂聖子もまたすっごい良くて、こんなに美人で演技も上手なのに、これまで大々的に発見されずにきたのか不思議でならない。
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思いがけず恋に落ちてしまった顔、の完璧な体現。あと、個人的に「だろうと思ってたよ」の言い方が良すぎて、撃沈。すっかり大ファンになってしまった。この3話は松本壮史が手掛けた乃木坂46個人PVの大傑作『アイラブユー』とリンクする部分もあり、思わず岩井堂聖子に桜井玲香を重ねてしまう。松本壮史が、坂道グループと小劇場系劇団とがタッグを組んだ、新しい『演技者。』を制作する日を夢見ます。とにもかくにも「観てくれー」である。TVKが映らない地域にお住みの方もご安心下さい、動画サイト「GyaO!」にて無料で視聴できますよ!!
gyao.yahoo.co.jp



さて、ここからはネタバレ。

高校3年の夏休みの終わり、失敗に終わった夜の学校のプールサイドでの告白
あの夏を再現したい

この導入だけで傑作を義務づけられたような迸る青春感。しかし、単なるノスタルジックな”青春ゾンビ”ものではない。この3話で切り取られているのは、嘘が"本当のこと"になってしまう美しい瞬間だ。眼鏡に黄色いトップスという”野比のび太”ルックで登場した鴨島(亀島一徳)の依頼を受けて、便利屋”デリバリーお姉さん”であるエリー(岩井堂聖子)は腕が鳴るぜと言わんばかりに、鴨島の15年前の告白相手”エリサ”を探し出すそうとするのだけども、店長北橋(板橋駿谷)に「あせりあそばするな」と一蹴されてしまう。なんと、彼女に課された依頼は、その”エリサ”を演じることだという。この青春との距離の取り方がいい。都市伝説ともファンタジーとも思われる”青春”という現象を再現するには、それくらいの嘘を塗り重ねていかねば、太刀打ちできまい。であるから、「あの夏の再現」は偽物で満ちている。鴨島の母校は廃校になってしまったので、別の校舎で。夏ではないので、水の張っていないボロボロのプールで。”思ったほどコスプレ感もないし とは言え現役感もない”制服姿で。夏の音色はCD音源で。花火の光はセロファン紙で。風は扇風機で。水面に反射する星の光は電飾で・・・そして、15年前とは違う相手に告白をする。しかし、鴨島がかつてエリサに抱いた恋心はホンモノで、それは15年の時を経ても1ミリも古びず、真空パックされている。

蝉の声がやたらうるさくて
ちょうど近くでやってた花火大会の音も混ざり合って
夏だけが詰まった音で
溢れかえってて
花火の光がエリサの顔を照らして
風がエリサの髪を揺らして
おれ、今でも、その一つ一つ、はっきり覚えてて
視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚、全部で覚えてて

作られた偽物の青春の中で、燦然と輝く”本当の気持ち”は、偽物のエリサをホンモノに変容させてしまう。

エリー:鴨島ぁ!あたしが待ってんでしょ!?
鴨島:その名前の呼び方、エリサ思い出すわぁ
エリー:うん、だって私だもん

このエリーがエリサに完全に変容してしまうシーンこそ、3話における白眉。震え上がるほどに感動的だ。三浦直之の筆致は、あらゆる法則を無視して、届くべき人に気持ちを届けてしまう。それがたとえ、誤配だとしても。そして、エリーもまた鴨島に、かつて想いを寄せていた先輩の面影を重ね、恋心のようなものを抱いてしまう。目尻を掻くクセ、Suicaにチャージする姿を見られたくないこと、ブドウ味のアイスが好きなこと、眼鏡が似合うこと、舌足らずで活舌が悪いこと、靴紐を結ぶのが苦手なこと・・・そんな何気ない固有性のクセや特徴で、誰かと誰かは簡単に結びつく。”好き”という気持ちは無限に生まれていき、この世界を満たすのだ。



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*1:ジャニーズ事務所の俳優と小劇場系の劇団がタッグを組んで制作されたフジテレビの深夜ドラマ

欅坂46『長沢くんと梨加 2人の休日』

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凄いものを目撃してしまった。『欅って、書けない?』で放送された長沢菜々香と渡辺梨加のフューチャー回。この2人、欅坂46が誇る不思議系ポンコツアイドルなのです。普段のスタジオ収録ではほとんど喋ることもままならない。カメラを向けられると"亡霊"とまで評されてしまう彼女たちが、"2人だけのロケ"ということで、自由に活き活きと解き放たれている。これがもう衝撃映像のオンパレード。未見の方はネットにたくさん上がっているので、ぜひチェックしてみて欲しい。タピオカだ!、クロワッサンの味、騒音測定器の前でジャンプ、犬を追いかけて迷子、アイスを買い食いして凍える、お土産を道端で食べちゃう・・・いや、これはもう世知辛い現代においては病名がついてしまうようなレベルかもしれない。しかし、そんな彼女達はアイドルという困難な職業を選びとり、少しでも自分自身を変えようと日々奮闘している。そこにグッときてしまうし、そういう姿こそが、人間の美しさというものではないだろうか。MCからの「適当に歩いちゃって不安じゃないの?」という問いへの

2人だから大丈夫だった

という長沢くんの答えに迂闊にも感動してしまった。


その後の長沢くんの荷物チェックも鞄から出てくるものの大喜利としてあまりに優秀。質問コーナーも全部凄かったが、1番強烈だったのは、以下の長沢くんの回答。

死んだら棺桶にポップコーンの種を入れて焼いて欲しい

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いい匂いがしてポンポン音がしたら楽しくないですか?
(お葬式が)楽しくなればいいんです

まずもって、私は「自分のお葬式をこうしたい」という思考を持ち合わせたことがない。自分がいなくなったあとの空間に想いを寄せられるということ。そして、こんなにも"死"というものをユーモアとペーソスで包み込める人がいようか。しかも、無意識に。カート・ヴォネガット・ジュニアの小説でも読んだような気分になってしまいました。とにもかくにも、"天使"という形容があまりにふさわしいこの2人の動向を今後も追っていきたい。