是枝裕和『奇跡』

上り新幹線と下り新幹線が交わる瞬間に奇跡が起きる、というフォーマットは、過去と未来とが交わる映画の奇跡そのものじゃないか。航一の友人が憧れの先生(長澤まさみ)の自転車を眺めるシーンはどうしたってトリュフォーの『あこがれ』を想わせ、それでいてサドルを嗅ぐと見せかけて、ベル(音)を盗むというのがよいで…