是枝裕和『そして父になる』

「子どもの取り違え事件」という、おもしろいと言ったら語弊のある、強過ぎる題材に、映画が物語に喰われてしまうのではないか、という不安はあった。しかし、見事な演出力でもって堂々と物語に立ち向かっている。手触りとして、想起したのはエドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』だ。後ろから少年がカメラを通して視…