青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2020/04/15)

夕方からのスーパーに向けての散歩が今の生活の1番の喜びだ。なるべく歩いたことのない道を選んで、往復で10キロほどウォーキングしている。これくらい歩かないと、家に籠もっていて身体が疲れないので眠れないのです。わたしが住んでいるのは坂の多い街で、裏道をグルグルしていると、たまに見晴らしのいい場所に辿り着く。国道沿いの方へ行くと、聖蹟桜ヶ丘いろは坂のようなゆるやかな勾配のヘアピンカーブの道があってお気に入りのスポットだ。学生の頃、『耳をすませば』の聖地巡礼にかこつけて、いろは坂を自転車で走ったことがあるのを思い出す。一緒にあの坂を登った女の子は今どうしているのだろうとひさしぶりにFacebookを開いてみたら、子どもの写真が載っていたのでそっとウィンドウを閉じました。みんなどんどん人生のコマを進めているのに、わたしと言えば、髭を伸ばしているだけの生活。鏡に映る整えられていない髭面は、我ながら犯罪者予備軍と言ってさしつかえない風貌だ。散歩をしながら、サブスクの配信がスタートしたGOMES THE HITMAN『mono』を聞いた。

長らく廃盤で中古市場でも高値で取引されていたという2002年リリースのアルバム。ただ髭を伸ばすだけの孤独な生活にも優しく寄り添ってくれる音楽だと思うので、たくさんの人の夜に忍び込めばいい。

スーパーでベーコン、エリンギ、アスパラを買った。『有吉の壁』(日本テレビ)を観ながら、それらをオリーブオイルで炒めてトマト缶で煮詰め、茹で上がったパスタと和えてみたらこれが実に不味い。パスタも満足に作れないのか、と情けなくなる。いまだに自分が何グラムのパスタを食べられるのか把握できておらず、だいたい大量に茹でてしまい持て余す。この現象に立ち会うと、わたしはいつも本秀康『ワイルドマウンテン』(大々傑作)を思い出すのだ。男子たるもの自分の食べるパスタの本数くらい憶えておくものだぞ。肝に銘じていきたい。

ドラえもんのオススメ映画を尋ねてきた後輩から「『のび太の魔界大冒』観ました。まぁまぁでした。」とLINEがきた。ママにもしもボックスが捨てられちゃうとことか、メジューサが時空間を超えて追いかけてくるとことかハラハラしなかったの!?と聞いたら、「『鬼滅の刃』観過ぎてるから、怖さへの耐久ができちゃって」と返ってきた。現代っ子だ。そういえば、ドラえもんの前の声優を「大竹しのぶですよね?」と言っていた子だった。霜降り明星粗品大竹しのぶのことを「シャンソンの人やろ?」と言っていたので、第7世代はそういうところがあるのかもしれない。ちなみに石像の伏線が回収されたとこは興奮したそうです。ドラえもんの話をしていたら観たくなったので、『のび太の恐竜』を鑑賞。黄金期に比べると演出が弱くて少し退屈してしまうのだけど、序盤ののび太とピー助の交流シーンは出色。最近のドラ映画のような臭い台詞なんてまったく出てこないのに、のび太の心の温かさが画面に溢れている。

退屈を持て余して、27巻まで無料配信中という岸本斉史NARUTO-ナルト-』をiPadで読み耽った。連載が開始した頃は『週刊少年ジャンプ』を購読していて、1話目を読んだ時、「とんでもない連載が始まった…」と打ち震えたのを憶えている。あれからずっとわたしはイルカ先生推しである。30巻くらいまでは読んでいたはずなのだけど、細部はかなり忘れていて、初見のように楽しめた。というか、ほぼずっと泣きっぱなしだった。圧倒的な孤独を背負った子どもたちの「わたしはここにいます」という叫び、運命への抗いを骨格とした巧みなストーリーテリングと台詞回しは魂に響く。27巻までの構成はほぼ完璧で、絵も抜群に上手いし、もはや世界中の人が知っていることだけども、改めて岸本先生は天才だと思った。まだ残り45巻分ストーリーは続くのだけど、中忍試験から木の葉崩しまでのおもしろさを超えてくる気がしないのだけど、実際のところどうなのだろう。