青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『SMAP×SMAP』最終回スペシャルによせて

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SMAP×SMAP』最終回ですが賛否両論、いや、何やら批判のが大きいようです。確かにその結末はとてつもない”不条理劇”、やるせなさと悔しさと哀しさで頭がおかしくなりそうでした。ラストパフォーマンスの「世界に一つだけの花」も舞台演出など含めて、私たちが観たいスーパーヒーローSMAPではなかった。直前に『SMAPノンストップLIVE!!! SUPER MEMORIAL ADRENALIN PARTY』の圧巻のパフォーマンスを観させられているだけに。しかし、言葉を発せないのならば、と中居君が最後にダンスでメッセージ(5人の絆と”バイバイ”を)を私達に送ってくれたのが、どこかSMAPらしい終わり方だったように思う。あの深く、長いお辞儀は謝罪ではなく感謝だと信じたい。


「お葬式みたい」「歯医者のBGMか」と非難の嵐であった、オルゴールアレンジの「Triangle」をバックにしたSMAP28年の軌跡のスライドショーは、個人的には結構グッときてしまったのでした。あの時に流れた映像のチョイスをよーく思い返して欲しい。偉大なる国民的スターとしてのSMAPというよりも、「仲良し6人組の男の子の青春」を体現した素材ばかりではなかったでしょうか。これはこの日の『SMAP×SMAP』で流れた秘蔵映像全体に言えることだ。多くの海外スターや大物政治家、芸能人を番組ゲストに招いた実績、もしくは計算マコちゃん、ペットのPちゃん、古畑拓三郎、ゴロクミといった革新的コントキャラクターを生み出した功績などに時間を割かず、森クン脱退やその18年越しの手紙、メンバーの不祥事における際の結束の様子、もしくは若きSMAPの豊潤なエピソードが詰まった「スマスマ裁判」(2003)といった、どこにでも転がっていそうなヤンチャな男の子達の友情と熱狂の日々にフューチャーしている。そこに映るSMAPは、社会とかシステムといったしがらみから解放された、誰にも阻害されることのない”青春の瞬き”そのものである。前人未到の偉業を達成した国民的アイドルである5人を、とても身近な存在として感じさせてくれる。そんな素晴らしい編集と演出だったと思うのです。


極めつけは、たっぷり尺を割いて流してくれた『SMAP×SMAP はじめての5人旅』(2013)である。コンビニでお茶を買うSMAP、場末のお好み焼屋で乾杯するSMAP、高速道路のETCに苦戦するSMAP、5人でプリクラを撮るSMAP、みんなで温泉に入るSMAP、カラオケや卓球を楽しむSMAP etc・・・国民的スーパースターとなり彼らから失われた時間、もしくは誰にも知られる事なく流れていた親密な時間、それらが画面の前に立ち上がってくる様は、まるで世界の秘密に触れたような感触だ。個人的には好きな所は、「豚の生姜焼き食わない?」と中居クンに提案する慎吾ちゃんと、運転する素振りを一切見せず、助手席も絶対に譲らない木村クンと、それを当たり前のように受け入れている4人。もう最高。その普遍性、その何でもなさに、私達の青春とSMAPの青春が混ざり合っていく。


SMAPの過去のライブレポートをまとめている『ANGEL REPORT』という個人サイトがありまして、最後にその中から私の1番好きなMCレポートを抜粋させて頂きたい(表記等を少し変更しています)。『ス』ライブ in 横浜スタジア(時は1997年ということで、慎吾ちゃんは若干20歳、中居・木村のツートップもまだ25歳である)からのMC。

稲垣「昨日、ライブ終わった後、シャワールームあるじゃない?あそこってみんなでさあ、混浴じゃないですか」
中居「混浴って!?」
木村「混浴って言わない!!」
稲垣「合同風呂場ってかんじで。このくらいの大きさの浴槽があって、そこで慎吾君がチャポチャポやってて」
中居「(慎吾に)君さあ、こんな浅いところで泳いでたでしょ。お尻浮いてたの知ってる?」
香取「ていうか、俺に尻を洗わせるな!」
稲垣「君達さあ、なんでお尻洗いあってんの?」
香取「中居クンが『おい、慎吾、洗えェ!!』って言ったの」
中居「俺が背中洗えって言ったら、慎吾がケツの下に手ぇ入れたの」
香取「中居クンに洗わせられたんです!あれ風呂場でわかんなかったと思うけど、その時、俺、涙だったさ」
稲垣「嫌だったんだ・・・(呆れ気味)」
香取「そうだよ!」
<中略>
香取「でも昨日、中居クンが俺に『リンス貸して』って言ったじゃん。リンスを渡そうと床をサ―っと滑らしたとき、俺の青春ってこれなんだなぁと思ったね。泣きそうだよ」


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