青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

Lou Ragland and the Great Lakes Orchestra『S.T』

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“YELLOW DANCER”こと星野源さんが『ミュージックマガジン』誌において、お気に入りの黒人音楽を紹介しているページがありまして、そちらをパラパラと眺めていましたら、1枚のアルバムが目についた。Lou Ragland(ルー・ラグラン)が1983年にLou Ragland & The Great Lakes Orchestra名義でリリースしたアルバム。詳しい事はわかりませんが、ルー・ラグラン関連の音源はNorthern Soulファンの間では、垂唾モンのレアアイテムで、持っている事がステータスに繋がるような存在だったのだそうだ。このアルバムからカットされた7インチのオリジナル盤はヨーロッパでは未だに10万円以上の値で取引されているという記述も見かけるほどです。ここ2~2年で掘り起こしが行われていて、その最後のお宝がカセットテープでリリースされたというこちらのアルバムの世界初CD化だった、というわけです。いや、もう「カセットテープでリリースされた」という表記だけで、試聴もせずに購入してしましました(本当はタワレコで立ち読みしていて、その日がポイント10倍デーだった、というのも大きいのですが)。カセットという媒体から発されるロマンときたら。いい所少ないのですけどね。すぐに伸びて劣化するし、音質モコモコしているし、巻き戻し面倒くさい。いや、あの”巻き戻し”という行為にロマンが宿るのか。”時を超えている”感。後ですね、「~& ~Orchestra」って表記も好きです。と、まぁ、勢いで買ってしまったアルバムなのですが、これは、もう大好きです。良質なディスコティックソウルの数々。これがDAFT PUNKが『Random Access Memories』

Random Access Memories

Random Access Memories

をリリースした2013年にリイシューされてたというのは見事過ぎる流れ。完璧なタイミングってやつは必ずあるのです。



ソウルミュージックってたまにフィーリングやらグルーヴが大きすぎて重苦しくなる時があるんですけど、こちらはインディーポップ寄りと言いますか、チープでチャカポコしていて、個人的にジャスト。それでいて、作曲センスは文句なし。喉も絶好調で、豊富なメロディーメイクを支えます。白眉はやはり前述の7インチにも収録されている「This Is The Night For Loving」でしょう。

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ルー・ラグランという人は歌うだけでなく、ギターやサックスもプレイし、楽曲制作からプロデュースまで手掛ける天才肌のマルチプレイヤー。Hot ChocolateというThe Metersばりのファンクバンドなどでもリーダーを務めているのですけど、そのわりに(と言ったらなんですが)どことなくナード感のあるドリーミーさがあって、ベッドルームで夢想するダンスという趣が私の心を捉えて離しません。