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坂元裕二、8年ぶりの月9復帰!『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』

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2016年フジテレビの冬ドラマの月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の制作が発表された。噂通り、念願の脚本家・坂元裕二の月9復帰です!いやーうれしい、楽しみ。大袈裟ですが、人生の糧になるほどにうれしい。それほどに坂元裕二というのは現代において重要な作家だ。これまで多くの月9作品を手掛けてきた坂元裕二ですが、やはり代名詞と言えば1991年の『東京ラブストーリー』でありまして、”あれから25年”という事で、マスコミ各社、非常に賑わっているようです。しかし、忘れてはならないのは、坂元作品には『東京ラブストーリー』の20年後に『それでも、生きてゆく』(2011)という作品があるという事実だ。一貫して男女の、人と人のわかりあえなさを描きながら、常に時代の空気を拾い上げてきた坂元裕二。『東京ラブストーリー』から25年、『それでも、生きてゆく』から5年、この国で”恋をする”という事がどう変わったのか、その筆致に割目したい。ちなみに、前述の作品はともに主題歌を小田和正が担当している(「ラブストーリーは突然に」「東京の空の下」)。今作においても、ぜひとも登板して頂き、「坂元×小田」三部作を完成させて欲しいものです。



『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』というタイトル。まるで、あらかじめ別れを決定づけられた恋人。坂元作品でお馴染みの「2本の線がすれ違いながらも一瞬激しく交わり、再び静かに離れていく」というモチーフが窺えます。フジテレビの公式サイトで読む事ができる概略を抜粋してみよう。

ドラマを紡いでいくのは、地方から出てきた若者たち。それぞれに夢を持ち、夢をあきらめそうになりながらも必死にもがき、ひたむきに生きる男女を中心に話が展開する。有村の演じる音(おと)は、女手一つで育ててくれていた母を幼い頃に失った後、引き取ってくれた養父母のもと北海道の田舎町で育てられた。いろいろなものをあきらめながらもけなげに明るく生きている。一方、高良が演じる練(れん)も両親を早くに失い、大自然の中で暮らす祖父に育てられた。だまし取られた祖父の農地を取り返すお金を稼ぐために東京に出てきた練は、いつの日か祖父と暮らせる日が来ることを夢見ながら、しかし夢からは程遠い厳しい現実の中、東京で生きている。

「月9」という記号には、何故かいまだにトレンディーで華かなものを連想させられるのだが、今作にはそんな傾向は微塵も存在しないようだ。昨今の坂元ドラマが描く対象は、常に風にさらされているかのような、不器用だが、孤高の魂の持つ者たちだ。やはり連想してしまうのは、『それでも、生きてゆく』における洋貴と双葉。最終回におけるあの2人の最後のデートは、テレビドラマが、人生の哀しくも美しい一面というものを完璧に切り取った瞬間である、と断言したい。あれを超える瞬間を2016年に目撃できる事を楽しみにしている。上記画像にある主演2人の所在なき佇まいもいい。高良健吾という役者は非常に面構えが美しいが、どこか哀しげな所がとてもいい。有村架純は未知数だが、今作の主人公としてどこかしっくりクルものがある。個人的には2人の衣装の感じだけでも泣けてくるものがあります(この感覚伝わるだろうか)。



発表されているスタッフ陣についてのメモ。プロデューサーは村瀬健。

<代表作> ※全てプロデュース
平成夫婦茶碗』(2000)
『14才の母』(2006)
バンビ〜ノ!』(2007)
太陽と海の教室』(2008)
『BOSS』(2009)
月の恋人~Moon Lovers~』(2010)
『SUMMER NUDE』(2013)

日テレで『平成夫婦茶碗』や『14才の母』などの話題作を手がけ、フジテレビに移籍後、山下智久主演の月9『SUMMER NUDE』や木村拓哉主演、演出に西谷弘の月9『月の恋人~Moon Lovers~』などを手掛けている人物だ。ちなみフジ移籍後1発目『太陽と海の教室』は坂元裕二にとっての最後の月9となっている作品だ。そして、おそらくメインで演出を担当するであろう並木道子。

<代表作> ※全て演出
それでも、生きてゆく』(2011)
最後から二番目の恋』(2012)
最高の離婚』(2013)
『若者たち』(2014)
『問題のあるレストラン』(2015)

それでも、生きてゆく』『最高の離婚』『問題のあるレストラン』などを手掛けた坂元裕二を語る上で欠かせない存在だ。


もう1人の演出は石井祐介。

<代表作> ※全て演出
ハチミツとクローバー』(2008)
『BOSS』(2009)
私が恋愛できない理由』(2011)
『結婚しない」(2012)
『SUMMER NUDE』(2013)
『探偵の探偵』(2015)

村瀬プロデュース作品に多く参加している演出家だ。ちなみに彼がメインで演出した『私が恋愛できない理由』には並木道子も演出に加わっている。演出補時代のクレジットを見ると、『愛し君へ』『トップキャスター』『わたしたちの教科書』とゼロ年代の坂元脚本作品が多く見受けられる。


3人目の演出として名を連ねる高野舞は新鋭でしょうか。

<代表作> ※全て演出
『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014)
『ブスと野獣』(2015)

『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』では西谷弘の元で演出をとっているので期待したい。演出補時代には『それでも、生きてゆく』 に参加しているようだ。



<本編エントリー>
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