青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

LIVE 山田稔明 × ayU tokiO in ココナッツディスク吉祥寺

SW始まりの金曜の夜、ココナッツディスク吉祥寺店にて山田稔明 × ayU tokiOの弾き語りツーマンライブを目撃。山田稔明『the loved one』リリースに伴うインストアイベントとしてのライブで、山田さんの指名でayU tokiOが選ばれたそうな。思いつきそうで、思いつかない、何たる素晴らしきナイスチョイスな組み合わせでしょうか。ココナッツディスクの店内が美しいメロディーで溢れます。会場がココ吉というのもグッとくる。山田さんとしても10年以上通っているレコード屋さんなのだそうです。
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この新しいアーティスト写真の素晴らしさよ。エルトン・ジョンより不穏、稀代のポップ・マエストロayU tokiOの誕生じゃ!そんなayU tokiOの弾き語りが完全にネクストレベルに達していた。ギター1本とは思えぬ豊かなフレージングと音響にまず驚く。空間の振動を司る魔術師のようだった。そして、凄まじいスピードで進化していく歌唱表現力。初めてayU tokiOのライブを観たのはブログのアーカイブによりますと、2012年、方南町にあるスタジオでの演奏。4人の弦楽隊を率いて、大きな白いヘッドフォンをして打ち込みのリズムトラックを流しながら歌う不思議なスタイルに一発でやられてしまったのですが、ボーカルがネックかな、と感じていた。声量が小さく、音域も狭かった。楽曲の素晴らしさを表現し切れていないように感じたのだ。そのつたなさの中に、パンク精神とナード感を発見し、グッときまくってはいたのですが、現在のayU tokiOはもうまるで別人。シンガーと呼んで遜色ない声域の広がりと艶やかさを携えている。そして、何と言っても楽曲の素晴らしさ。わずか5曲入りながら「青春ゾンビ2014チャート」で第2位を獲得した『恋する団地』の珠玉の楽曲に加えて、ayU tokiOがかつてソングライター兼ギタリストとして所属していたポップユニットMAHOΩ時代の楽曲が徐々に解禁され始めている。デモ1枚を残して惜しくも解散してしまったMAHOΩですが、はっきりいって全曲がアンセム。そのキャリア後半に披露されていた「狐の嫁入り」を久しぶりにayU tokiOボーカルで聞くことができた。惜しみないメロディーの応酬と美し過ぎる詩情。個人的に好みにど真ん中。世界で1番いい曲なんじゃないかしら、とウットリ聞き惚れてしまいました。私が知る限り、ayU作のMAHOΩナンバーにもう1曲「乙女のたしなみ」という破格の名曲が残されていますので、そちらもayU tokiOとしての音源化が待たれる。11月になりすレコードからリリースされる7インチ『犬にしても』には、MAHOΩ時代の代表ナンバー「僕らに愛を!」が収録される模様です。ちなみにMAHOΩでフロントを務めていたMAXさんはayU tokiOバンドとして鍵盤を担当されています。という事は「僕らに愛を!」のボーカルはMAXさんでしょうか。



山田稔明の弾き語りは場数を踏んでいるだけあり、円熟の響き。と思いきや、GOMES THE HITMAN時代のナンバーになると、若々しくメロディーとリズムが弾ける。青春の煌めきというやつは芸術の形でパッケージしておけば、永遠に色褪せないのですねぇ。「情熱スタンダード」のファルセットが抜群に美しかった。ソロ楽曲では新曲という「ブックエンドのテーマ」の大きなメロディーが特に際立っていた。ラストには山田稔明×ayU tokiOデュエットで松田聖子風立ちぬ」のカバーを堪能。アユ君が大瀧メロディーを完全にオリジナルな節回しで披露して圧倒されてしまった。山田さんとのハーモニーの相性もばっちりで美しかった。素晴らしき一夜でありました。購入特典としてデモ音源カセット『NEW TELEPORTATION 0』がもらえるというので、2枚目となる『恋する団地』のアナログを購入。折角なのでサインも入れてもらい、ホクホクで帰宅致しました。