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cero「街の報せ」(『Obscure Ride』購入特典)

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ceroの3rdアルバム『Obscure Ride』のタワーレコード購入特典音源である「街の報せ」をお聞きになっただろうか?これが一部の購入者しか聞けない楽曲だなんて嘘、いや罪だ、というような出来栄えなのです。『My Lost City』リリース時のタワレコ購入特典「あとがきにかえて」も既にceroのレパートリーに欠かせない1曲となっていますが、今回の「街の報せ」はそれ以上にスペシャルな響きを湛えているように思います。”今”どうしても貴方に聞いて欲しい1曲だ。


アルバムに収録されていた「roji」の

友達が持ってきたできたてのドーナッツを ターンテーブルに乗っけて揺れようよ

というラインの”ドーナッツ”(円盤)とはこのトラックの事なんじゃないか、と思えるほどにJ Dillaへの敬愛に満ちたビート。

Donuts

Donuts

そして、そのビートに乗る髙城晶平の独特な譜割のフロウ。このメロウな脱臼には紛れもなくs.l.a.c.k.へのリスペクトが聞いて取れる。数年前の時点で、髙城晶平はソロライブにてs.l.a.c.k.「NEXT」のカバーを披露しており、その際にはリリックを文字で書き起こし研究したと語っていた。
youtu.be
そういった勤勉さが結果として表れた素晴らしいライミング。新しいシティポップのビートが綴る、揺れる都市の幻想。そこにはストリートの細部が息づいている。


そして、何より歌詞が本当に素晴らしい。ceroベストワークスではないか、と思えるほどです。人もまばらな深夜のファミレスで1人聞く音楽、国道沿いで買った缶コーヒーと煙草をお供に練り歩く寝静まった夜の街。そんな誰にも知られる事のない、ささやかだけどもメロウな時間を描写していく。そういった瞬間にはどうしたって誰かの事を想ってみたりしてしまうもので、では、誰にも知られる事のない時間に抱いた”想い”というのはやはり誰にも知られる事のないまま消えていってしまうのだろうか?いや、そういった”想い”は消えることなく街に宿り、残響し続けるのだ。だからこそ、もうここには居ない人の想いも、新しくやって来た誰かに届いてしまう。であるから、私たちはどうしたってせつない1人きりの夜でさえ「愛しい」と思える。

can you hear calling from the city?

街は誰かがかつて抱いた想いを、また別の誰かに報せようと、常に揺れて響いている。それはまるで音楽のように。

晴れた夜 嵐が港に来るように
みんな 寝静まったなら
ドアを開けて 出ていくよ 
どこか 今宵

みんなも歳をとり いつかはいなくなるけど
きっと 誰にも知られない愛しい 1人の夜があるよ
例えばさ
ファミレスで聞くロイ・ハーグローヴ
国道沿いで買う缶コーヒー 煙草はほどほどに
携帯の充電はとっくにきれたけど
坂道登り 振り返れば 悪くないんだよ


uh baby, can you hear calling from the city?
遠くでも 近くでも

uh everybody waiting for the sunset
愛しているよ

みんなも歳をとり いつかはいなくなるけど
また誰かがやってきて 音楽をかけてくれる
そう 何度も


夏に映画館出た時 終電が終わった駅前
波も涙も温かい 忘れていたのはこんなこと
街の報せ待ってる

uh baby, can you hear calling from the city?
遠くでも 近くでも

uh everybody waiting for the sunset
愛しているよ

※「街の報せ」には歌詞カードがついていないので、頑張って聞き起こししましたが、多分何カ所か間違っていると思いますので、ご了承、ご指摘お願い致します。



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