座二郎『RAPID COMMUTER UNDERGROUND』
サラリーマンである作者の座二郎が、その通勤時間を使って完成させた”地下鉄”の漫画である。はっ、まさか「座二郎」ってペンネームは「地下鉄の座席に"座"って漫画を書く男」みたいなイメージに加えて、『地下鉄のザジ』のもじりなのか!?という気づき。
- 作者: レーモン・クノー,生田耕作
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1974/10/10
- メディア: 文庫
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作中が進むにつれ、現実と幻想の振り子関係は乱れ始め、どこでもない場所に辿り着くような感覚を覚える。冒頭で執拗に繰り返される「これはフィクションです」という作者の言葉が効いてくる。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を例に出すまでもなく、列車というのは、そういった場所に連れていってしまう装置なのだろう。そもそも、通勤電車という、「家」でも「職場」でもないどっちつかずの空間はまさに、日常の空洞であり、「どこでもない場所」を表現する舞台に最適だ。作品は「TO BE CONTINUED」という事ですので、次巻に刊行も心待ちにしようではありませんか。最後に細部について。座二郎先生の書く「手」と「ネクタイ」がむちゃ好きです!
RAPID COMMUTER UNDERGROUND (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 座二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/30
- メディア: コミック
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