青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

福岡旅行のこと

最近のこと。火曜日。シャムキャッツのアルバムとHomecomingsのEPを買いにタワレコへ寄った事以外、記憶に何も残っていない。忙しい日だった水曜日。明日のいいともにオザケンのニュースが飛びかい興奮する。退社後、村上春樹が新訳したJ・D・サリンジャーフラニーとズーイ』を買ってサブウェイで読む。

フラニーとズーイ (新潮文庫)

フラニーとズーイ (新潮文庫)

村上春樹が別冊あとがきで「こんなに面白い話だったんだ!」と書いていたが、かなり前に土井玄臣も「こんなにいとおしい本だったっけ?」とブログに書いていて、もしかしたら土井さんの正体って村上春樹なのかもしれません。全然関係ない所に話が飛びますが、90年代後半からのお笑いシーンのムードを決定づけたのってうすた京介セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』の

肉じゃがはあらゆるものの基本だからな。あのビルだって言ってみりゃ肉じゃがさ!

というラインだったような気がしている。小学生ながらジャンプを手に「こういう発想の笑いがあるのか!?」と震えたものです。家に帰って、映らなくなっていたHDDプレイヤーを頑張って色々繋ぎ直して復活させた。



木曜日。三連休前日なのでソワソワしていた。残業後、景気づけにと新大久保「住吉」で上ロースかつ定食を食べる。

脂が多めのロース。不味くはないが大雑把な味だった。異常なまでに山盛りのキャベツ、にも関わらずソースしか調味料が置いていない所。味だけではなく、全体的に大雑把だ。お店はお客さんでいっぱいで繁盛していたが、店員が「忙しいです!」という感じを出し過ぎていて落ち着かない。帰宅して、小沢健二のいいともを緊張しながら観た。いいともが終了するタモリさんに向けて「ぼくらが旅に出る理由」をまず歌うのに痺れた。「オザケン」という記号を全く知らない人が見たら、歌が下手なシャンソン歌手か何と勘違いしてしまうんじゃないだろうか、という感じも含めよかった。しかし、次のゲストがアベちゃんというのには驚いた。金曜日から友人の結婚式の為に九州へ2泊3日の旅に出るので準備をしてから眠る。タモリさんの故郷、福岡へ。



金曜日。飛行機に乗るのが久しぶり過ぎてどういう手順で搭乗するのか忘れていた。機内放送で聞いたDirty Loopsの「Hit Me」がとてもかっこよかった。新人ソロシンガーかと思っていたらバンドらしい。『めしばな刑事タチバナ』7巻収録の「うどん百景」

を頼りに、今回の福岡はうどんの旅と決めていた。まず、着いてすぐに福岡うどんの一大チェーン「ウエスト」でごぼう天肉うどんを頂く。

噂どおりに「ふわぽにょ」である。「福岡うどん」についてご存じない方もいるかもしれないので、一応説明しておくと、「コシ」というものがほぼない。今や全国のうどんのスタンダードと化した「讃岐うどん」の対極を行くアウトローな代物だ。水で締めない為、柔らかいらしい。小学校の頃に給食で食べたぶよぶよのうどんを思い出す。とにかく、これが妙に癖になるのです。甘めの出汁との相性が抜群だ。狂ったように全ての店で「ごほう天」をチョイスした。柔らかい麺とごぼうの歯ごたえのミスマッチがたまらない。続いて「大地のうどん」なる店舗へ。こちらは、器からはみ出る巨大ごぼう天が売り。

パリパリの状態と出汁に浸かりフガフガになる両方の食感が楽しめるのがいい。麺は細目でそれほどやわやわではない。うどん2食で、完全に胃袋はパンパンになってしまい、ホテルにチェックインして少し横になる。うどんの食べ歩きは難しい。お腹が少し落ち着いたので、博多駅〜中州川端〜天神という繁華街をひたすら散策した。三大盛り場が徒歩で移動できてしまうコンパクトさが福岡の良さだ。天神で服屋やレコード屋を覗き、夜ご飯の時間に明日挙式を行う2人と合流。独身時代最後の晩餐としけこんだ。モツを堪能。

モツ鍋も煮込みもホルモン焼きもハツもどれも絶品で、楽しくなってしまう。新婦が先に退席し、新朗と2人で思い出話に花を咲かせた。彼とは中学1年からの仲で、6年間部活も一緒で、家も目と鼻の先という腐れ縁である。かつては週に5回くらいのペースで会っていたものです。であるから『ハングオーバー!』のように盛大にやりたかったのですが、私はお酒が飲めないので夜中までやっているカフェで珈琲を飲んで語り合った。カフェが閉店し、真夜中の福岡の街を練り歩く。家に帰れなくなった友人は、ホテルの床に流浪人のような体勢で目をつぶり、明日の新朗の挨拶のスピーチ原稿を暗記していた。明日、挙式予定の人間の行いとして.
、限りなくストイックなものに思えた。



土曜日。10時にチェックアウトをし、荷物を預けた後、博多駅で博多らーめんを食べる。不味くはないがやっぱりうどんのほうが美味しい。式まで微妙に時間を持て余していたので、思い切って博多駅のアミュでドラえもんの映画を観た。旅先で映画観るだなんて、なんて愚行!とも思うが、福岡は都会過ぎる。食べる以外はやる事がないのだ。そして、また今年のドラえもん映画はとてつもなく素晴らしく、4回ほど涙腺を絞り取られ、グズグズになって劇場を後にした。送迎バスに飛び乗り式場へ。友人達がぞくぞく集まり懐かしい気持ちに。中高の部活の友人とも久しぶりに再会した。式、披露宴ともに緩く笑いの絶えない雰囲気のよさがありました。ひたすら固辞していたスピーチは結局サプライズという形でやらされた。式で「友人の紹介」とあった場合は大抵、合コンか出会い系と考えてもらってかまわないと思うのだが、稀に本当にその「共通の友人」とやらは存在する。今回の場合、私がそれだ。感極まってしまった。新朗のスピーチは昨夜の暗記むなしく、グダグダであったが、それを魅力に変えてしまう力が彼にはあった。対して、新婦の両親への手紙はまっとうに素晴らしく、涙、涙であった。これまで生まれた時以来泣いたことがないという後輩すら涙していた。なんというか、家族というコミュニティの全肯定が手紙に刻まれていた。あんな風に言ってもらえる家族が羨ましいし、またそんな風に言う彼女と家族になれる新朗も羨ましく思えた。しかも、彼女が凄いのは、手紙の原稿に番号をふっていたらしいのだけども、その処理を派手に間違え、読む順番がさっぱりわからなくなっていたのだ。なので内容はチグハグで笑いが起きつつも、何となくのエモーションで会場を泣かせる。本人も会場もひたすら泣き笑い。脚本家であれば「いつかあんな戯曲を書いてみたい!」と悔しがる事必至の筆致でありました。披露宴の2人の入場曲は大瀧詠一の「幸せな結末」だった。Airの「Last Dance」も流れていた。涙なしには聞けない青春の1曲!!

式の後はホテルの部屋で友人達と夜中まで、これまた思い出話に耽る。



朝起きたら部屋から誰もいなくなっていた。みんな早い便の飛行機で帰ったようだ。多忙な人達である。私は貧乏性なので19時45分福岡発という遅い便を予約してしまったのだ。しかし、これが仇となった。やる事がない。仕方ないので初日と同様にひたすら街を歩く。もう博多駅周辺は地図なしで移動できそうだ。お昼は中州川端でタモリも愛したという有名店「かろのうろん」を。行列していたが、暇なので並ぶ。こちらは店内写真撮影禁止。店の外まで香る出汁が優しく美味い。こちらでもごぼう天、そしてかしわおにぎり(絶品)を頂く。お腹がいっぱいになってしまったので、またひたすらに歩く。キャナルシティなんかも訪れてみたが、これといった発見はなかった。発見と言えば、福岡の街の自販機の缶はほぼ全てのメーカーが100円である。

これはいい、と買ってみるといつもの缶コーヒーよりもどうも一回り小さいのだ。容量を見ると165ml。通常のものより20ml程少ない。それで100円ってお得なのかどうか。新婚ホヤホヤの2人が暇しているであろう私を見かねて、郊外にある「牧のうどん」に付き合ってくれた。

店内は車で来たファミリー客で一杯。こちらでいうと「丸亀製麺」的な存在なのだろうか。「硬」「中」「軟」から麺の強度を選べるのだけども、「軟」など選ぼうものなら水でしめない麺がひたすらに出汁を吸って増えていく。

丸天にごぼう天。見た目は悪いが美味い!ぶよぶよ太麺。麺が出汁を吸ってしまうので、薬缶から注ぐ。出汁を吸った麺は膨張し、出汁を追加すればするほどに、増えていく麺。楽しい。お腹も存分に膨れ、福岡を後にした。最後に、職場へのお土産に「通りもん」は高すぎる!という方に「とっとーと」なる芋のお菓子をオススメしたい。試食で食べたら美味しいので買っていったのだけど、なかなか好評でありましたよ。