青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

週末のこと

週末のこと。金曜日は仕事帰りに話題のジョジュ・トランク『クロニクル』を観る。

ショットがダサくて世間の絶賛の波程には乗れなかったのだけども、面白かった。ジョジュ・トランクでハリウッド版『ドラゴンボール』を撮り直して欲しい。90分に満たない上に料金が一律1000円というのがいい。映画の前にはなまるうどんで「コクうまサラダうどん」を食べる。店によって野菜が常温だったり冷蔵庫に入っていたり、その場で野菜を量ったり既に必要量をタッパーに入れてあったり、と違っていて、意外とオペレーションは定まっていないようだ。帰宅して、買ってきた吾妻ひでお失踪日記2 アル中病棟』

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

を一気に読む。傑作。2だしとタカをくくっていたが、思っていた以上にドープで少しヤラれる。しかし、じんわりと熱を感じるのだ。コマの密度も相変わらずでとても疲れた。『失踪日記』と『うつうつひでお日記』を読み直してからもう1度じっくりと読んでみよう。おおひたごうのギャグ漫画を読みならが眠る。最近、眠る時は『そして父になる』の影響で、グールドの『ゴールドベルク変奏曲』をかけている。
バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)

とりたてよく眠れるという事はない。



土曜日。寒い。のでコートを着た。新宿に向い、「農家の台所」という野菜バー食べ放題のお店で、栄養を採る。茄子、トマト、とうもろこし、きゅうりなど夏の野菜を生で食べる事ができてよかった。そして、バルト9園子温の『地獄でなぜ悪い』を観る。

個人的には園子温の作品の中ではかなり楽しめた。しかし、世間のこの作品への熱量はちょっと理解できず。ラストのハチャメチャな狂騒は面白いのだけども、そこに至るまでの1時間はそのハチャメチャを成立させる為の辻褄合わせに終始していて、とても退屈。この登場人物達は、こうこうこういう関係なのでこの無茶苦茶は成立するのですよ、とご丁寧にやる必要はあるのか。意味がきちんとある殺し合いは、どこかその運動に色がくすんでしまう。あれなら、いきなり殺し合いをする30分の映画です、とやられたほうがよっぽど興奮した。星野源長谷川博己の役割を二つの役にわけたのもくどい。とってつけたような「映画愛」みたいなタームのうさんくささ。映画をこよなく愛するというファックボンバーズの面々が、映画館にあるアジトへ、スクリーンの前を横切りアジトに入っていくシークエンスは、Twitterで指摘されていたので覚悟はしていたが、それでも驚いてしまった。1番驚いたのは、あのシーンに対し「彼らの映画愛など嘘っぱちだ!」と批判している人に、「子どものやる事だろ、許してやれよ、シネフィルは心が狭いな」みたいな園ファンが返していた事で、ドキュメンタリーか何かと勘違いされているようだ。しっくりきたのはあのシーンをして「園子温は映画を撮るのは好きだが、観るのは好きじゃないのだ」という批評だ。タランティーノとの違い。タランティーノの『イングロリアスバスターズ』のやり口は本当に素晴らしかった。それはまぁ、置いておいて、とにかく劇場は爆笑の渦に包まれていて圧倒されてしまった。画面に声を上げてツッコミながら悲鳴をあげるように笑っているお客さんもいた。凄い。でも、個人的には全然笑えなかったなー。役者陣が顔芸をする度に映画が停滞し、死んでいくような心持ちだった。とは言え、星野源には早く回復して頂き、全力でコント番組に参加して頂きたい。振り切れていて凄かった。二階堂ふみは大変エロくチャーミングだったが、決して美しく撮られているわけではない。彼女のポテンシャルが高かっただけだ。照明を見ていても、園子温に女優を美しく撮ろうなんていうつもりはないのではないかしら、と思う。


先週パンクしてしまった自転車のタイヤを交換してもらい引取り、小雨の中走って帰る。タイヤを交換したら信じられないほどに走りやすくなった。前のタイヤは溝がなくなるほどに走り込んだので、今回は少し丈夫なやつにしてもらった。天下一品江古田店を食べて帰る。この日は驚くべき事にラーメンを頼んだら「こってり?」と聞いてきた。あの愚問をはなから省いていた事が江古田店の魅力の1つであったのにショックだ。しかし、相変わらず美味いスープだった。帰宅して、録画してあったフジテレビ55周年記念のSMAPの特番を見る。秘蔵映像ではローティーン時代のSMAPを拝む事ができた。出演ドラマの映像も流れたのだけど『あすなろ白書』って筒井道隆木村拓哉ともう1人は西島秀俊だったのですね。知らなかった。見返したい。キムタクのドラマフィルモグラフィーを全て見返したい気分なのだ。稲垣吾朗初主演ドラマ『二十歳の約束』も流れ、あの伝説の牧瀬の「ヒューヒューだよ」を拝めた。奇跡的な演技力。『東京上空いらっしゃいませ』での牧瀬が素晴らしかったのは相米のしごきのおかげだったのだなぁ。『二十歳の約束』はTSUTAYAにないので、もしかしたらDVD化していないのかもしれない。実は坂元裕二の『東京ラブストーリー』の次の脚本作なのだが。SMAPが一般人の披露宴でシークレットライブという企画をやっていて、自分だったら気絶してしまうのではないか、思いましたね。私の中でのとびきりのスター。「らいおんハート」を披露していて、やはり歌は上手いわけではないのだけど色というか華がある。それに5人の声のユニゾンの時に生まれる、あの「THIS IS SMAP」としか例えようのない無敵感は何だろうか。古畑はつまらなそうだったのでまだ観ていません。




日曜日。この日はザ・なつやすみバンドとアニメーションの融合ライブというのがあったようだが、気づいたら予約締切だったので断念。特に何の予定もなかったのでのんびり過ごせた。晴れたので自転車に乗る。やはり走りやすい。昨日と打って変ってとても暑い。上着をすぐ脱ぐ事となりました。池ノ上まで走り、「つるや」というとんかつ屋で食事。

駅から遠いが、近所の人で賑わうお店。店主1人で切り盛りしていながらも、肉への強いこだわりの詰まった名店だ。ボリュームと衣はいまいちな気もしましたが、ロースながら脂に頼り切らない、肉質を堪能できるいぶし銀なとんかつ。塩でもソースでも美味い。ご飯もポテトサラダも美味。必ずやまた足を運びたいと思う。下北沢へ移動し、JET SETとユニオンを覗き、代々木公園で開催されていた北海道展を少し眺める。嘘みたいに混んでいた。海鮮やスイーツ系は行列が凄まじかったので、比較的空いていた赤毛牛の串を1本購入して退散。PAとかで売っている串物より断然美味しかったので満足。帰宅して適当に「カウントダウンTV」のライブを見ていた。歴代シングルCDランキングなのに、ランキング発表の際、リリース年が記載されていないのが本当にダメだな、と思った。ああいうランキングは「あーこの年は何歳の頃か」とか「父さんと母さんが出会った頃ね」とか言って楽しむものではないでしょうか。傑作映画への出演や九龍ジョーさんに聞いたエピソードで福山雅治の評価が鰻登りしていて、何だか神々しかった。そもそもインタビュアーに九龍さんを指名するという感覚を持っているのが凄い。




鈴木卓爾ゲゲゲの女房

ゲゲゲの女房 [DVD]

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をDVDで観直す。改めてとても好きな作品だ。タイトルの「ゲゲゲ」というオノマトペに呼応するように音の映画なのだ。時計やペン先、そして川や屁の音、そしてクドカン扮する水木しげるの笑い声が生活を刻んでいる。菊地信行の録音が冴え渡っていた。たむらまさきのカメラも素晴らしく家屋に差し込む光が柔らかく撮られている。吹石一恵が自転車に乗らずひたすらに押し続けて歩く、禁欲的な演出に興奮した。12月に公開が決定している鈴木卓爾監督の新作『楽隊のうさぎ』が本当に楽しみだ。

大切な1本になりそうな予感。続けて北野武の『HANA-BI
HANA-BI [DVD]

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もDVDで観賞。松本人志が『シネマ坊主』で書いたからかわかりませんが、ヴェネツィア金獅子賞の『HANA-BI』を推すより『ソナチネ』だろ、という空気があって、ちょっとないがしろにされている印象がある。デビュー作を除いて、何故かこれだけカメラが柳島克巳ではないのだけども、たけしイズムが色濃く出た作品で、とても好きだ。あの岸本加代子の「ありがとう、ごめんね」というやつ。あれ泣く。北野武が編集長を務めた『コマネチ!』という雑誌の軍団の座談会によれば、「フライデー衝撃事件」の時もたけしは軍団に「ありがとう、ごめんな」と言ってから講談社に攻め込んだそうだ。やばいす。ちなみにたけしは、オネーチャンとやっちゃう時も常に「ごめんな」という感情があるが故に、1回やるとお金とかめっちゃ渡しちゃうらしい。



三四郎の漫才をYouTubeで観ては笑っている。

リア充に硫酸ぶっかけたいんですけどね」で始まる漫才。アホすぎる。ラディカルだぜ。今、ライブに行くと骨折中なので松葉杖漫才が観れるらしい。かけつけねば。