青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

cero「Contemporary Tokyo Cruise」と『あまちゃん』


ceroの「Contemporary Tokyo Cruise」という楽曲の素晴らしさを最近改めて感じていてよく聞いている。この曲って朝ドラの『あまちゃん』によく似ているな、と思う。だたの妄想&こじつけなので軽く読み流して頂きたいのですが、

幽霊船に揺り揺られ揺られ
辿り着く波止場はどこでも
ララバイ 奇妙な歌声に
誘われ暗礁のなかへ

この”幽霊船”を「北三陸鉄道」とすると、東京と岩手の間を行ったり来たりするアキ(能年玲奈)や春子(小泉今日子)を彷彿とさせるラインに聞こえやしないか。”奇妙な歌声”とは「潮騒のメモリーズ」であり、”暗礁”とはあの楽曲がもたらすアキや春子に待ちうけていた困難の事だ。そして、何よりこのライン。

いかないで 光よ わたしたちはここにいます 巻き戻しして
(うみなりかきけす)
いかないで光よ…

これはまるでユイ(橋本愛)をはじめとする北三陸の人々のアキ(=光)に向けた祈りのようだ。もしくは、20年前の罪に悩まされる太巻(古田新田)と鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子)にとってのアキ(=光)と言えるかもしれない。そして、重要なリンクは「巻き戻しして」という部分。

あまちゃん』の中に、天野アキが出演する『見つけてこわそう』という子供向け劇中番組がある。身近なものを壊しては、最後に「逆回転だー」と言って(テープの逆再生で)元に戻してしまう。この“逆回転”は、春子の「人生は逆回転できない」という諦念に隠された祈りに応えるように、彼女と太巻と鈴鹿ヒロミを巡る「潮騒のメモリーズ」を修復させ、ユイの「アキちゃん、逆回転してよ」

という願いに応えるように、アキが物語を逆再生し再び北三陸に舞い戻らせる。ceroの「Contemporary Tokyo Cruise」もまた、「巻き戻しして」というリフレインと共に、音源が逆再生され、民族音楽のような祈りの音が立ち上がっていくのだ。こういう同時代の表現者のリンクに興奮してしまう。最初は上の頭になんか巻いているceroの画像に対して、「ほら、まるで海女さんのようではないか」というのを本文にしのびこませようとしていたのですが、あまりにひどいので止めました。