青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『TEKI PAKI vo.3』 in 新宿ロフト

新宿ロフトで開催された『TEKI PAKI vo.3』というイベントに行ってきました。『中央線ラプソディー』の主催でお馴染のイワズミさん、新宿ロフト副店長のモチヅキさんによるイベントで、タイトル通り今回3回目。下北沢Daisy Barで開催された2回目も素晴らしかったのですが、今回は更に楽しかった!最高。何と言っても、ブッキングが素晴らしい。ライブハウスでよくお姿をお見かけするイワズミさんを私は信頼しております。GORO GOLO、奇妙礼太郎、HAPPLE、ayU tokiOチャランポランタン、失敗しない生き方の6組。19時スタートで6組も出演だなんて、何時に終わるかもわからないし、さぞ劣悪な環境なのだろうな、と覚悟していたのですが、これが実に快適に過ごせた。ロフトのメインステージと併設されているバースペースの両方を交互に使用する事でバンドの音合わせ待ちといったロスがゼロ。スムースなステージ転換を実現しておりました。スペースも広かったため、疲れたら座って休んだり、ご飯を食べたりする事も可能で、本当に快適だった。とは言え、この面子であります、もっとロフトがギューギュー詰めにならなきゃ嘘だぜ、という思いもある。


バーステージでHAPPLEからスタート。メインステージで観たかったのが正直な所だけども、バーステージのあの独特なアットホームな空気はHAPPLEにとても合っていた。HAPPLEの音楽はハートウォーミングでとても楽しいし、メンバーのルックス(じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろりの『にこにこぷん』を彷彿とさせるではありませんか)を含め、ラブリーポップなんて呼ばれるのも納得なわけなのですが、その裏では日々の生活で生まれる軋みとか哀しみが沸々と燃えたぎっているように思う。だからやっぱりブラックミュージックとの親和性がとても高くて、3人の演奏には黒いフィーリングが宿っている。そんでそれをしっかりと日本語の音楽として鳴らせるメロディセンス。自分達の暮らしの中の喜びの音楽として鳴らしている。「サーカス」などから透けて見える、その喜びとか楽しさが一過性のものであるという諦観も信頼できるのです。


続いて、メインステージで失敗しない生き方。この日は機材トラブルもあっていつも以上にガタガタな演奏。ラストの「海を見にいこうよ」だけ、ちょっと演奏がはまっていてとてもよかった。一般的に言えばひどいライブだったと思うのですが、それさえもこのバンドの魅力に感じてしまう。若者の野心と挫折を愛せなくなったらおしまいだ。蛭田さんと天野君はこの日は浴衣で登場していました。ちょっと足が疲れてしまったので、座って納豆ネバネバそばなどを食らいながらチャンポランタンをうっすらと聞く。そして、ayU tokiO。優雅で野心的でとにかく美しい。いつも同じ感想になってしまうのだけど、「恋する団地」「米農家の娘」「超時空転移装置」の3曲はちょっとずば抜けて素晴らしい。音楽前夜社のボス曰く、「恋する団地」は「TEKI PAKIクラシック」だそうです。なんでも9月に『NEW TELEPORTAION』をライブメンバー(管弦あり)で再録したものをまたしてもカセットテープで販売するらしい。昨年発売されたカセット『NEW TELEPORTAION』は聞き過ぎたのか、湿気にやられたのか、音がサイケデリックになってしまったので、もう1本買い直しました。奇妙礼太郎は歌が上手いと思った。知名度で言えば彼がトリなのかもしれいが、GORO GOLOがトリをメインステージで務めていたのがうれしかった。

非公式発言ですが、ライブ前に「俺のがよっぽど奇妙ですけどね」という最高な言葉を残してステージに上がったボスのそのフィジカルからくるパフォーマンスのやばさときたら、観ているだけで涙ぐんでしまうほど。今、日本で1番熱を放ったパフォーマンスをするのは彼なんじゃないかしら。GORO GOLOはメンバーの演奏がとてもつもなくかっこいいのだ。黒人音楽からの影響をふんだんに受けながらも、確かに黄色い肌のソウルミュージックとして出力されている。本当に全パートかっこいいのだけども、なんと言ってもハルカさんの鍵盤の音色だ。あぁいうファンキーでパンキッシュなソウルミュージックの中で鳴る美麗な鍵盤の音ってちょっと宇宙とコネクトみたいなちょっとやばい気持ちにさせられる。ようはとても気持ちいい、という事です。GORO GOLOのライブ後、シンガーソングライターマーライオンが興奮気味に「YouTubeで観るより全然いいですね!最近で1番の衝撃でした」と言っていた。そうなのだ、絶対に足を運ぶべき音、というのは転がっているのですね。手始めに『TEKI PAKI』に通う所から始めてみてもいいはずだ。