青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

スカート『月光密造の夜 live at shibuya WWW』


スカートのライブアルバム『月光密造の夜 live at shibuya WWW』がすんばらしい!入場規制まで引かれたという7月に渋谷WWWで行われたフリーライブの音源。小沢健二の名盤『犬は吠えるがキャラバンは進む』の本人によるライナーノーツの中に

まず僕が思っていたのは、熱はどうしても散らばっていってしまう、ということだ。そのことが冷静に見れば少々効率の悪い熱機関である僕らとかその集まりである世の中とどういう関係があって、その中で僕らはどうやって体温を保っていったらいいのか?

という問いかけがあるわけだけど、どうやら、その散っていく熱というのは実はギューっと濃縮して保存しておく事ができる、というのが小沢健二の、そして我々の見解だ。私たちはいつだって好きな時にその熱を振り返る事ができる。もちろんそれは記憶に、という事でもよいのだけど、より鮮明に生々しく熱に触れる方法がある。それがレコード(記録)だ。で、その一例を挙げてみろよ、と言われたら、今だったらまっすぐこのスカートのライブ盤を差し出す事としよう。熱はただ散っていく夜の中へ。でも、いつだってどこでだってその熱を蘇らせる事ができるのだ。だから、いい、汗をかいて熱を散らばせていいのだ。多幸汗!多幸汗! 汗と涙と笑いの夜。『月光密造の夜 live at shibuya WWW』マストバイです!青春名曲ジェットコースターだ。乱れ打たれる珠玉のPOPSにノックアウト必至。「夜のめじるし」「セブンスター」「おばけのピアノ」「月光密造の夜」など、新しい名曲群も収録されており、先日アナログで発売された『消失点』以上にベストアルバム的な内容ではないでしょうか。澤部渡 (vo.g.)、清水瑶志郎(b.)、佐久間裕太(dr.)、佐藤優介(key.) 全パートがそれぞれに主張して歌うようなフレ―ジングを披露しているにも関わらず、4人で1つの生き物(=ポップモンスター)のような演奏。特に佐藤優介の鍵盤は楽曲にロマンチックな味付けを見事に施していて素晴らしい。ドロっとした澤部渡の感情が瑞々しいポップスに昇華されるその美しさに酔いしれる。一刻も早く全国流通盤としてのリリースが望まれるわけですが、今のところは素敵なレコード屋さんココナッツディスク池袋店、吉祥寺店、もくしはLilmag(http://lilmag.org/?mode=f1)で購入できます。お値段たったの800円!