青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

NRQ『のーまんずらんど』

のーまんずらんど

のーまんずらんど

新興住宅地の意を持つバンド名ニュー・レジデンシャル・クォーターズ、通称NRQの2ndアルバム『のーまんずらんど』が素晴らしい。今作のタイトルといい、前作の『オールド・ゴースト・タウン』といい、住宅地と名乗りながら彼等は人を消したがる。人が消えて残るのは、街と記憶。いや、街の記憶だろうか。NRQの音楽には、昔からの記憶のような郷愁も感じるし、やっぱり全く知らないどこかに連れていかれもする。人が消えてしまった知りえない未来の匂いに戸惑いもする。懐かしいようで新しい、全くもって理解不能の音楽。でもとても楽しい。


人の生活には喜怒哀楽がつきもので巷に溢れる音楽もとかくそこをフィーチャーしたものが多くてほとほと疲れてしまうのだけど、NRQの音楽は街に刻まれた記憶としてのそれであるからして、その距離感で心地よく聞く事ができる。そこもお気に入りだ。牧野琢磨(ギター)、吉田悠樹二胡)、服部将典コントラバス)、中尾勘二(ドラムス)という12弦とドラムスの素晴らしきカルテットのアンサンブルを言語化できる音楽知識はあいにく持ち合わせていなにので、ただ聞き惚れていよう。この鉄壁のアンサンブルの隙間に入り込み素晴らしい仕事を成し遂げるMC.sirafuの才能にも改めて感服であります。