青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

小淵沢旅行記

2日間の夏休みを頂いて、小淵沢に行ってきた。日差しは強かったけれども、湿気が少なく風が涼しくてとても過ごしやすい。どうでもいいけど旅行中ですら、小淵沢が「こぶちざわ」なのか「おぶちざわ」なの認識しきれませんでした。お昼頃駅に到着したので、駅近くで適当にレストランに入ってみる。

外観はこんな感じだし、店員はおじいさんマスター1人しかいないし、全く期待していなかったのだけど、これがビックリするほど美味しいハンバーグステーキを出す名店だったのだ。シンプルハンバーグはソースなしで、何故こんなに美味しいのか!?と唸る事必至。

チーズハンバーグステーキの絶品のデミグラスソースは2週間かけて作っているそうな。余ったソースはライスに絡めて喰うべし。添えられている高原野菜は全てマスターの手作りだそう。畑仕事とレストランを兼ねていて大忙しだそうだ。とにかく、ハンバーグはもちろんなんだけど、どのメニュー本格派で美味しそう。「外観でみんな躊躇するみたいだけど、1度たまたま訪れてくれた人は結構みんなリピートでまた来てくれるよ」というマスターの言葉どおり、また小淵沢を訪れる事があれば、必ず寄りたいお店となりました。



今回の目的は、小淵沢にある1日1組限定で宿泊できる民宿「古守宿一作」である。築200年以上の広い民家を貸し切りで使用でき、更元板前の芸術的なまでの料理を存分に堪能できる名宿。料理に使われるものは全てご主人が畑で収穫もしくは山に登って狩猟採集したものだという。宿についてまず驚くのがその畑の広大さだ。色々な野菜果物の匂いがしてくる。そして、進んでいくと姿を現す古宿。


東京生まれ90年代育ちの自分としては、このような建築物はもはやフィクションの域と言ってしまってもいいのですが、それでも抱くノスタルジーの正体は一体何なのだろう。ゾクゾクしてしまう。




日本家屋って光と風の入り方がとても美しい。朝と昼と夕方の表情の違いも楽しかった。

囲炉裏から炭の匂い。


お風呂は離れにあり。ガラスばりでマウンテンヴュー。

檜で作られているのでとてもいい香りがする。ご主人が1回の宿泊中に3回も沸かしてくださるのです。


夕食の時間まで宿の周りを散歩。


田舎の風景は優しかったり怖かったりコロコロ表情を変えるので不思議な気分になる。そして、夕食&朝食は野菜とキノコづくしの至福の時。トマト、茄子、しし唐、インゲン、玉ねぎ芋、南瓜・・・野菜ってうまい。醤油も酢も味噌もお手製。

キノコ汁にキノコご飯。

更には挽きたての十割そば。

ベストフードは朝食に頂いた釜で炊いて頂いた白米かもしれません。本当に美味しかった。

烏骨鶏生み立て玉子の目玉焼き。山梨名物ほうとうも!


自分でやれる事は全部自分でやってみる、超DIY宿屋主人は、家も自分で増設したのだそうな。あらゆる感覚が刺激される素晴らしい宿でありました。翌日、清里にも足を運んでみた。「バブルと共に勢いが消え去り、シャッター街と化した死の街だよ」なんて大臣なら辞任スレスレの意見も頂いたのですが、訪れてみれば何の、素敵じゃないですか。ペンギン村みたいな喫茶店

確かにだいぶ寂しい雰囲気もありましたが、何より空が広くて青い。

風も気持ちいい。自転車漕いでりゃ、馬も牛にも遭遇。「清里現代美術館」も楽しい。

現代美術の最重要期の作品を、なんと高校の美術講師をされながら集めていったもののを展示しているという個人美術館。というと、超お金持ちの道楽のように聞こえるが、そんな事はなく単純にヨーゼフ・ボイスの作品に魅せられた男が始めたオタクマインド溢れる熱意の結晶なのだ。作品を買うために勤め出したし、初任給もすぐに作品につい込んだそう。ご本人曰く「やり過ぎてない時は楽しかったけど、のめり込み過ぎてからは楽しくないですね」と。しかし、そう言いながら笑う彼からは幸せの匂いがした。オタクは強い。館長はその方のお兄さん。この方も熱心に、全く美術の教養のない私に「現代美術の見方」を説いてくださいました。曰く、現代美術とは生活必需品。わからなくてかまない。とにかく「見ること」をして欲しい。そうすることで見えてなかったものが見えるようになる。普段の当たり前の事も違って見えるし、潜んでいた事実にも気付くことができる。そういった能力を、現代美術を「見ること」で養って欲しいのだ、という。作家性に重きを置かない、新しい美術館のスタイル。面白い空間だと思います。清里に行かれる際はぜひ。