最近のこと(2011/06/20~)
暑い。今年の梅雨は過ごしやすいなぁ、と連呼していたのがアホみたいだ。青山真治『東京公園』が素晴らしかった。視線の映画である。「見る」「見られる」「見つめ合う」という運動で画面が連なっていき、その一見些細な運動がいかに美しいものであるかを改めて教えてくれる。また、井川遥による喪失を補う緩やかな円形の運動が同時に進行しており、画面上にまきおこる美しい循環に惚れ惚れしてしまう。井川遥は「赤の他人→姉→母→赤の他人」という記号で変容していき、それは三浦春馬と小西真奈美、榮倉奈々の関係性ともシンクロしていく。しかし、「赤の他人である女性を愛すること、それが社会ってもんです」というシネフィルな榮倉奈々のキャラクター造詣と演技が実に素晴らしい。
ジョージ・A・ロメロ監督のホラー映画こそが私にとっての宗教映画なのです
なんていう素晴らしい台詞どこから出てきたんだ。
なんてのもある。更に、この作品は小津映画の光に満ちている。それは家屋に入るこむ光であったり風であったり、「見つめ合う」事であったり。小津の「切り返しショット」をただのオマージュとして使用するのでなく主題と絡める手さばきが美しい。この作品や黒沢清『トウキョウソナタ』に対して、「東京」である必要性を感じない、という批判を目にしたが、そういう人はまず小津の『東京物語』にほとんど「東京」が映っていない、という所から始めてみたらいいと思う。終盤、全員の視線が向かい合うと、止まった時間は動き出す。そして、シネフィル榮倉奈々が名作映画のDVDをぶちまける。すると榮倉奈々はゾンビではなくなるし、亡霊であった染谷将太(素晴らしい佇まい!)が消える。ジョージ・A・ロメロと小津が消えていく、と見ていいこのシークエンスに、「映画を撮る」という事を受け継いだ青山真治のケジメのつけ方が隠されている気がする。
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最近はNicolas Jaarとaikoとかえる目をよく聞きました。かえる目のライブを観てきたのだけど、とても楽しかった。
Randy Newmanの「I Think It's Going To Rain」や「Simon Smith and the Amazing Dancing Bear」やLady Gaga「Telephone ft. Beyoncé」の日本語カバーも素敵だった。
アトリエヘリコプターにて、ハイバイ『七つのおいのり』を観た。ハイバイのメンバー7人それぞれが作・演出した作品7本のオムニバス。オムニバスだし、ご愛敬程度でしょう、と思って行ったのだが、とても楽しくて大満足。岩井秀人が作らなくても、ベースにあるのは岩井節、気まずさとズレと間だ。おそらくメンバーが体験した腹が立った事、悲しかった事をベースに作られた作品がほとんどで、そういった負の要素を笑いに昇華している、という構造に単純にグッときてしまう。ハイバイメンバーのプレイヤーとしての能力の高さにも驚く。「ん?」とか「え、え、え?」というアクションやそれを入れるタイミングがうまい。その中でもやはり岩井秀人は飛びぬけて素晴らしい。
あだち麗三郎「ベルリンブルー」が素晴らしい。