青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

TOKYO PLAYERS COLLECTION『in her twenties』


劇団競泳水着の主催・上野友之による個人プロジェクトTOKYO PLAYERS COLLECTION(略してトープレ)の公演『in her twenties』を王子小劇場にて観賞。1人の女性の20代の10年間を、1年を1人ずつ計10人の女優が演じる。順番に1人ずつ出てくるわけでなく、10人がズラーっと舞台に並ぶ。20歳と29歳が語り部となり、21〜28歳の断片的なエピソードを1人ずつ舞台中央に出てきて演じていく。時に2つの年齢(ex 21歳と26歳がとか)のエピソードが同時進行で演じられるのだが、これがあたかも時間軸を共有しているかのように2人の演技が会話として成立してしまう、というレトリックを使用している。これが目新しい手法とは思わないが、お互いに全く関係のないと思われていた出来事が、実は全て絡み合い横たわっているのだ、という人生の美しさが見事に表現されていた。別々の人間が演じているのだから、当然別人格のようなそれぞれの年齢の10人だが、徐々に1つの人格を浮かび上がらせてくる。いや、ある1人の女性というより、女性という生物そのものが浮かび上がってくる。とは言え、この作品が本当に女性を描けているのかは私にはわかりません。女性をわかったつもりになるなんて事は畏れ多くて、とてもできない。なので、あくまで「我々の記憶の中の女性」という事にしておきます。更におもしろいのは21〜28歳の8人はお互いに会話ができるのだ。これぞ、演劇的な自由さではないか。観劇していて、浮かんできた曲が空気公団「なんとなく今日の為に」だ。

零れ落ちていく日々の肯定。それらが幾重にも重なっていくグルーヴ感が『in her twenties』にはあった。