青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

東京女子流『鼓動の秘密』

鼓動の秘密

鼓動の秘密

東京女子流とはエイベックスが送り出す、ローティーンアイドルグループ。何故か年齢は非公開らしいが、だいたい13〜15歳くらいでしょう。あの年齢独特のキラメキと不安定さ、居心地の悪さを体現している歌声を生かしたハイクオリティな歌謡ソウルチューンのシングル群は一部音楽好きの間で話題に。待望のアルバムも作曲者は全曲違うが、編曲を松井寛が全編担当したため、非常に統一感のある一品に仕上がっています。*1


楽曲のモチーフは、「誰かにスキになる不思議な感情をどうすればいいかさえよくわからない」彼女たちの胸の鼓動。ローティーンのたわいのない「小さな経験」によるときめきこそ生命力そのものだ、と言わんばかりの楽曲群はThe Jackson 5、はたまたFolderから受け継がれた正当派キッズソウルポップスと言えましょう。そして東京女子流には、マイケル・ジャクソン三浦大地とは言わないまでも非凡な才能を持ったシンガーが2人もいる。まず、小西綾乃がパワフルで正統派な歌唱力でもって楽曲を支えている。そして、センターの新井ひとみ。少し鼻のかかった超魅力的なボイスがソウルマナーの楽曲に大きく華を添えている。この2人の歌声が堪能できるハイブリットポップチューン「ヒマワリと星屑」私はこの曲で一発で恋に落ちてしまいました。

「寂しくて不安で 誰かの声 聞きたい夜」からの2人のボーカリゼーション掛け合いはどうだろうか。

子供でもなくて 大人でもなくて どちらでもなくて
そんな事よりも 次の日曜日 晴れたらいいよね
今 感じてる事 伝えたいから

という素晴らしいラインから、「子どもでも大人でもない」を売りにしたDream、EARTH、Folder5Sweetsなどのエイベックスアイドルの亡霊達を更新していくような力強さを感じます。アルバムは聞かないまでも、この1曲はチェックしておくべきではないでしょうか。


他にもいい曲がたくさんあります。

既聴感バリバリながらも優れたバブルカムポップス。「天才てれびくん」的な楽しさがあります。



「おんなじキモチ」と対極になるような不安定ポップス。「鼓動の速さで キミへと近づく」の節回しだけでノックアウトな名曲。PVとダンスの完成度も見事です。

音楽の楽しさを 歌って 踊って 伝えたい

というのが東京女子流のコンセプトだそうだ。このストレート感よいですね。ももいろクローバーの変化球と東京女子流の直球は相互にいい影響をもたらしているのでは。アイドル戦国時代、目がはなせねぇ。

*1:ちなみ松井寛と言えば、モーニング娘。の名曲「笑顔YESヌード」の編曲者。