青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

平賀さち枝『さっちゃん』


ガットギターにのせられた歌や言葉が煌めきながら、時に跳ねていき、どうにもつかまえる事ができない。それは、彼女の音楽を語る上での頻出ワードであろう「少女性」そのもののようだ。彼女についてネットで少し調べてみると、ブログでは「tomato’n pine」や「ももいろクローバー」などの単語を見かける事ができ、「アイドルになりたい」という強い憧れを抱いている事が見受けられる。であるならば、彼女はその目標を達成していると言えよう。彼女の発する少女性はアイドルとイコールで結ばれるからだ。こんな作品もある。

きみになりたい。

きみになりたい。

小西康陽の女性シンガー提供曲オムニバス。ジャケットはくらもちむさこ。
a girl like you 君になりたい。

a girl like you 君になりたい。

おそらく、小西さんにインスパイアを受けて制作されたであろう、佐内正史の写真に渋谷直角(リスペクト)による妄想文が添えられた写真集。 「relax」で連載してましたよね。我々にとって永遠に理解する事のできない少女というものは、偶像崇拝の対象、アイドルそのものだ。あーきみになりたい。平賀さち枝が妙におっさん受けがいいのも納得である。平賀さち枝は今後、この自身の少女性とどう折り合いをつけていくのだろう。少女性は確実に失われていくものであるはずだ。よく比較されている荒井由美とて、その少女性を発してるのはデビュー作1枚目のみである。
ひこうき雲

ひこうき雲

名曲「ひこうき雲」は若くして亡くなった友人の鎮魂歌であり、自身の少女性を葬る1曲でもある。

今はわからない
ほかの人には わからない
あまりにも 若すぎたと
ただ思うだけ けれどしあわせ

平賀さち枝の少女性が失われた後の行く先は松任谷由美戸川純かはたまた新しい何かか。実に楽しみなのであります。

さっちゃん

さっちゃん