青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ソフィア・コッポラ『somewhere』


相変わらずのというか、もういいぜ!的なソフィアっぷりですが、手法は洗練されてきている。今回はお家芸の「閉じこもる、られる」というモチーフに、そこでグルグル回るという運動が描かれている。冒頭の長時間にわたり周り続ける車を捉えたシークエンスを始めとして、ポールダンサー、スケートリング、プール、など「縛りつけられた者の惰性」をイメージさせる円形の運動感と、後半のスーッと線が伸びていくような運動感のコントラストが秀逸。密室から降り立ち、直線に歩き出すラストも感動的。しかし、ほとんど台詞を用いず映像で魅せてきたにも関わらず、後半突然「俺は空っぽだ」とメソメソする蛇足感が惜しい。