![水の旅人-侍KIDS- [DVD] 水の旅人-侍KIDS- [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/516KbwmNLFL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2001/11/21
- メディア: DVD
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異者との触れ合いにより成長する少年/少女という正統派のジュナイブル。しかし、大林宣彦であるからして、演出は奇妙奇天烈だ。画面の色調からして不安定、猛烈なスピードのカットチェンジは完全に神経症の域である。しかし、幼心には「変だ」なんて微塵も感じなかったわけで、あれが子どもにとっては当たり前の世界の認識なのかもしれない。
レコードの回転を利用してのトレーニング、光と埃の図書館、豊かな水に溢れた故郷、学校のキャンプ、カラスとの友情、チョコレートはクモの味・・・子ども心をくすぐるディティールの数々が素晴らしい。
そして、登場人物は誰もが、残酷に過ぎゆく時の流れに苦しんでいる。母(風吹ジュン)は老いて美貌が衰えていくこと、姉(伊藤歩)は子どもから女性へと変わりゆくこと、少年は侍との別れが訪れること、先生(原田知世)は子ども心をなくしてしまうこと。侍は海を目指す理由を「死に場所を見つけに行くためだ」と言う。そんなどこか重苦しいムードを
今のうちに大切な宝物をたくさん見つけて隠しておけ
そうすれば寂しくなくなるよ
という、時の流れに抗う術を語る父(岸部一徳)の台詞がほどいていく。岸部一徳が自らの生まれ故郷で、かつての宝物を息子に魅せる雨のシークエンスがこの映画の肝だ。