青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

土井玄臣というアーティストについて


土井玄臣というアーティストとの出会いは2005年まで遡る。くるりのメンバーが立ち上げたレーベル「ノイズマッカートニー」のコンピレーションアルバムに収録されていた「終点はあの娘の家」という楽曲。妙に惹きつけられて、かれこれ5年、ふと思い出したようにその1曲を聞き続けていた。


土井玄臣が1stアルバムを完成させ、それを無料配布している(送料まで!)という噂を聞きつけさっそくメールで注文してみた。届いたアルバムは『んんん』という奇怪なタイトルだった。

ずっと聞いている。上手に笑えない、そんな些細なことが始まりで、朝から夜からもこぼれ落ち、世界からはみ出してしまった。でも、唄うことで、君と、世界と、繋がったり、祝福したり、されたり。そんな風に必死に世界と接続しようとする2人の物語が紡がれたアルバム。


こういう書かれ方されると嫌がるかも知れないけど、七尾旅人が『雨に撃たえば...! disc2』への関西からの回答のようである。このアルバムでは、時間軸や性差、感情など全てが融解していて、とても混乱してしまうのだけど、それがとても心地よい。このアルバムが広まり、土井玄臣がたくさんの音楽を紡げますように。