青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

デミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』

映画館でスクリーンの前に立って客席を見渡すミア(エマ・ストーン)のモラル(ひいてはチャゼルの映画愛)を責めたてるのは簡単なわけだけども、それよりも映画の光を文字通り身体に浴びたミアが、上映が中断された『理由なき反抗』のシーンを引き継ぎ、天…

最近のこと(2017/02/17~)

森下くるみさんは知り合いですか? 携帯のアプリが尋ねてくる。いいえ、違います。まったく。森下くるみと知り合いの私というのは、どれほどのゾーンをまたいだ先の平行世界にいるのだろう。いいなぁ、森下くるみと豆乳鍋とかつつきたいな。そして「キング・…

坂元裕二『カルテット』6話

カルテットメンバーが一斉に介さない。ほとんどの尺を巻夫婦の回想に費やす異色の6話である。『MOTHER』8話における道木仁美(尾野真千子)の回想、『それでも生きてゆく』7話における三崎文哉(風間俊介)の回想など、この手法は坂元裕二作品においてたまに…

池辺葵『雑草たちよ大志を抱け』

『繕い裁つ人』『プリンセスメゾン』の池辺葵が手掛ける最新作は青春群像劇である。主人公に選ばれているのは、クラス(=世界)の中心となってキラめくタイプではない。『雑草たちよ大志を抱け』というタイトルが示すように、誰にも気づかれることなく、無邪…

レイモンド・ブリッグズ『さむがりのサンタ』

寒い日があまりにも続くようならば、「クソっ!さむい さむい」てな具合に悪態をついてみるのもいい。そうでもしないと暖まらない、途方もない“寒さ”というのは確かに存在するのだから。イギリスの絵本作家/イラストレーターの巨匠レイモンド・ブリッグズの…

最近のこと(2017/02/11~)

少し早起きして、近所のミスタードーナッツでモーニングを楽む。原田治への追悼、というわけでもないのだけど。ホットコーヒーとハニ―ディップとシナモンオールドファッション。シナモンのドーナッツが好きだ。子どもの頃、日曜出勤の父を家族で駅まで見送る…

坂元裕二『カルテット』5話

30分の放送を経て、やっとのことタイトルバックが現れる。その直前に披露されるのはカルテットによる実に幸福な路上演奏だ。1話のオープニングを思い出したい。路上でチェロを独奏する世吹すずめ(満島ひかり)に足を止めるものはいなかった。誰からも耳を傾…

ティム・バートン『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

バートンお得意のゴシック調のおどろおどろしいOPから一転、”フロリダ”というクレジットとともに、太陽が燦々と照りつけるビーチが牧歌的に映し出されるのには思わず笑ってしまう。主人公ジェイクが働くドラッグストアでのクラスメイトとの一連のやりとりを…

最近のこと(2017/02/06~)

職場が変わって(引っ越した)、30分ほど早く起きるようになった。電車が空いてるかなと少し期待していたのだけど、むしろ混んでいて座れない。世の中の人は思っているよりも早起きだ。これまでは辺鄙なところに通っていたのだけども、新しい職場はわりと都…

坂元裕二『カルテット』4話

軽井沢の別荘にゴミが溜まっていく。なるほど、カルテットのメンバーは皆一様にして”捨てられない人”だ。たとえば、すずめ(満島ひかり)ならば同僚からの”出てけ”のメモを引き出しが一杯になるまで溜め続けていたし、巻(松たか子)は失踪した夫の靴下をそ…

モリナガ・ヨウ『築地市場 絵でみる魚市場の一日』

イラストルポというのが好きだ。圧倒的な密度の情報を記憶し、記録し、分類し、イラストという形で再構築する。それは何かがそこに確かに”在った”という事実に、ペンでもって挑むことだ。あぁ、かっこいい。憧れる。中でも1番のお気に入りはモリナガ・ヨウで…

かもめんたる『ノーアラームの眠り』

かもめんたるは凄いぞ。第18回単独公演『ノーアラームの眠り』もまた最高傑作を更新するかのような完成度。全てのコントが高水準であったけども、中でもとりわけ気にいったのは「山菜狩り」「相談」「フードファイター」の3本。「山菜狩り」はかもめんたる的…

最近のこと(2017/01/30~)

花粉症のはじまりを感じている今日この頃です。駅から職場に向かう途中で、小さな娘を肩にかついで通勤する超人スタイルの大柄なサラリーマンによく遭遇する。肩の上でいつもご機嫌の娘ちゃんがかわいくてすっかりその親子のファンなのだけども、初めて見か…

坂元裕二『カルテット』3話

親子でしょ? という岩瀬純(前田旺志郎)の屈託のない問いかけが、世吹すずめ(満島ひかり)に纏わりつく”呪い”をギュっと締めつける。20年以上音信を絶っていた父の危篤。家族の死に目には駆けつけるのがホームドラマの定石、いや、この世界の”常識”のような…

坂元裕二『水本さん』

現在、TBSドラマ『カルテット』が絶賛放映中の脚本家、坂元裕二が2016年度より東京藝術大学大学院において映像研究科の映画専攻・脚本領域で教授として教鞭を振るっているのをご存じでしょうか。2005年に設置されて以来、北野武、黒沢清、筒井ともみなど錚々…