青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』

黒沢清の待望のサイコスリラー『クリーピー 偽りの隣人』が凄まじい。尋常ならざる建物の画力。線路沿いにしがみつくようにして建っていた『トウキョウソナタ』(2008)の佐々木家のルックも強烈であったが、今作に登場する建物の気配、立地や空間の歪みは、…

エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』

この世界で、最も私好みのハッピーエンドを披露してくれる作家、それがエーリッヒ・ケストナーだ。ただ甘いだけではなく、とびきりのユーモアとペーソスで、過酷な現実に置かれた主人公達(とりわけ、親とはなればなれになってしまった子ども達にケストナー…

Enjoy Music Club 『よろしくね』

youtu.be Enjoy Music Clubが昨年リリースしたデビューアルバム『FOREVER』はすでにチェックして頂いている事かと思いますが、あのアルバムのトレイ下にボーナストラックをDLできるアドレスとコードが記載されているのをご存じでしたでしょうか。私は知りま…

最近のこと(2016/06/10~)

土曜日。お昼に近所の中華屋にカレーライス(500円)を食べに行く。野暮ったくて、ドロリとした中華屋のカレー大好き。世の中はもっと中華屋のカレーに注目していくべきだ。私が知る限り、『めしばな刑事タチバナ』14巻くらいのものである。めしばな刑事タチ…

Magic,Drums&Love『Love De Luxe』

2013年、住所不定無職という4人組が『GOLD FUTURE BASIC,』という大傑作アルバムを放つ。GOLD FUTURE BASIC,アーティスト: 住所不定無職出版社/メーカー: DECKREC発売日: 2013/10/09メディア: CDこの商品を含むブログ (21件) を見るポップミュージック史に…

中園ミホ『トットてれび』7話

「好きな女優を3人挙げると?」と聞かれたならば、「ミツシマ、ミツシマ、ミツシマ」と答えよう(何の脈絡もないゴダールと溝口健二のオマージュです)。進化し続ける満島ひかりに、言葉が追いついていかない。彼女自身も、もはや言葉を必要としていないと言…

ダン・トラクテンバーグ『10 クローバーフィールド・レーン』

『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)の精神的続編という事だが、一旦それは忘れてしまっていい。配給会社の宣伝のまずさも目を瞑ろう。抜群に面白い映画なのだ、この『10 クローバーフィールド・レーン』は。「こいつは正常なのか?異常なのか?」「…

エーリヒ・ケストナー『点子ちゃんとアントン』-小沢健二的に文学的-

小沢健二がライブツアー『魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ』にて披露した新曲群、あの鮮烈な輝きが今なお胸に熱くこびりついている。 hiko1985.hatenablog.com あれらの楽曲が持つ圧倒的な”正しさ”はまるでスピルバーグ映画のようだし、やはり児童文学…

ランジャタイ×浜村凡平『許してチョンマゲライブ』

ピン芸人となった浜村凡平の活動はほとんど追っていない。浜口浜村より面白くなかったら悲しいから。私の浜口浜村という漫才師への思い入れは特別だった。詳しくは解散に寄せたエントリーをお読み頂きたい。 hiko1985.hatenablog.com しかし、ランジャタイと…

静岡旅行記

1泊2日で静岡旅行を堪能してきました。旅の最大の目的は乃木坂46の夏のツアー。この日は乃木坂46の精神的支柱である最年長メンバー深川麻衣さんの卒業コンサートの第一夜でもあり、彼女の地元である静岡のコンサート施設エコパアリーナで開催となったわけで…

最近のこと(2016/06/09~)

最近のこと。すっかりサウナにはまってしまい、身も心も”ととのって”しまったわたくしは、文章を書く欲求がほんのり薄まっている。文章を書くという行為は精神の調律。しかし、私にはサウナがあるので、必要ないのであーる。すでに近所の銭湯に4つ、スーパー…

中園ミホ『トットてれび』6話

素晴らしい!何たるラブストーリーであることか。黒柳徹子(満島ひかり)と渥美清(中村獅童)の本当の心の内は当人達にしかわからないわけだけども、この『トットてれび』においては、2人は互いに異性に向ける好意のようなものを持ち合わせている。 徹子さ…

海援隊『2016トーク&ライブ』~武田鉄矢への異常な愛情~

とうとう生で武田鉄矢を目撃する事ができた。感激一入であります。海援隊の音源などは数えるほどしか持っていないのだけど、「人生で一度は武田鉄矢の実像を眼に焼きつける必要がある」と強く感じ、チケットの購入を決断した次第である。「君にとって武田鉄…

中園ミホ『トットてれび』5話

黎明期のテレビ史のおさらいを一通り終えた『トットてれび』、ラスト3回は黒柳徹子のその華麗なる交友録にクローズアップしていくようだ。まずは、向田邦子との思い出の5話である。当時のテレビ業界の喧騒をそのまま写し取ったような、型破りな演出の熱量は…

吉田恵輔『ヒメアノ~ル』

前半の「ラブコメ」から後半の「サイコスリラー」へ、同一映画内での大胆なジャンル横断。画面のトーンすらガラリと変わっていくわけで、観客を置いてけぼりにしかねない実にリスキーな手法である。成功例としては、ギョーム・ブラックが『やさしい人』(201…

最近のこと(2016/05/30~)

最近のことを振り返ります。月曜日。雨が降っていたのでカーペンターズだ。仕事後、気になっていたイェンス・ハルダーの『アルファ』という本の実物を眺めにジュンク堂へ赴く。アルファ作者: イェンス・ハルダー,菅谷暁出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2…

是枝裕和『海よりもまだ深く』

あまりに卓越した脚本術に舌を巻いてしまう。「こんなはずじゃなかった」という悲痛な人生の断片をかき集めながらも、爽やかな風を画面に送り込む事に成功している。登場人物はみな一様に”諦め”ながら、前へ進んでいくわけだが、中でも強い印象を残している…

『二人は旅の途中』~猪原秀陽というマンガ家について~

ある日、Twitterをボーっと眺めていたら、最高にクールな絵が目に飛び込んできた。短編漫画「車」upしました。12ページです。是非ご覧ください。https://t.co/WyBdhltp4o pic.twitter.com/83stcsnDYw— 猪原秀陽 (@inoharahideharu) 2016年5月29日 リンクを踏…