青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2021/09/13~09/19)

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2021年9月13日月曜日

7時起床。健康診断があるので、有給休暇をとった。採血があるので、ご飯が食べられないので、お水を少しだけ飲む。元気が湧いてこない。川沿いの道を歩いて病院へ向かう。秋の少しだけひんやりした風が気持ちいい。Super Furry Animals『Rings Around the World』の20周年アニバーサリー盤がリリースされていたので、それを聞きながら歩く。リリース当時は高校生だったが、あの頃と同じように「Juxtapozed With U」「Presidential Suite」の流れで胸いっぱいに。

8時半に受付を済まし、9時から健康診断スタート。平日でも混んでいた。ときに、わたしは採血がとても苦手だ。緊張感が身体ににじみ出ていたようで、看護師さんに「大丈夫ですか?気分悪いですか?」と少し笑われた。看護師さんは感染対策のポリエチレン手袋をしているのだけど、手袋の中は手汗でビッショリとなっていた。手袋って蒸れるよな。そして、人生2回目のバリウム検査。バリウムの不味さどうこうよりも、検査台での重力を感じる回転と医者からの厳しい指令のほうがよっぽど衝撃的なので、若い皆様は覚悟しておいてください。下剤を飲んでお腹がギュルギュルに。

病院を後にして、京阪シティモールジュンク堂書店で雑誌をチェック。岩波文庫の『ラ・ロシュフコー箴言集』を少し立ち読みしていたら、ヤヤっとくるものがあったので買う。せっかく平日なので、入ったことのないお店でご飯を食べようと天満橋と北浜の境目に位置する「グリルABC」に入ってみる。昭和25年創業という昔ながらお洋食屋さん。タンシチューとライスを注文。とても美味しい。付け合わせの太目のスパゲッティもうれしい。常連さんらしき人たちはみなこぞって100円の中華スープを注文していた。汁物を追加しようという心の余裕がとてもかっこいいものに映った。洋食屋なのに中華スープ!?と思うが、そもそもここは中華そばやワンタンメンに焼きめしまでメニューにあるのだ。3900円のビフテキというメニューも気になる。ビフテキという響きは『ドラえもん』で覚えたのだけど、ステーキとはまた位相の異なる特別性を感じるものです。

職場や取引先から電話がたくさんかかってくるので、家で少し仕事。しかし、せっかくの有給休暇なので、ひと段落ついてから、再び出かける。サウナにでも入ろうと心斎橋の「清水湯」に歩いて向かうことに。「清水湯」客層は決していいとは言えないが、とても機能的なビル型銭湯でサクっと気持ちよくなれます。サウナのテレビで『科捜研の女』の再放送を観ながら3セット。サウナっていつ来ても『科捜研の女』が流れている気がする。もしくは『科捜研の女』的な別のドラマなのかもしれない。時限爆弾が爆発しそう!というところで放送が終わってしまいモヤモヤ。『科捜研の女-劇場版-』は良さそうで少し気になる。

気候も落ち着いてきたので、帰りも歩く。「ループウィラー大阪」を覗いて、心斎橋のハイブランドが立ち並ぶ通りから商店街に入り、船場堺筋本町をプラプラ。ザ・なつやすみバンド『NEO PARK』とMichael Franks『The art Of Tea』を聴いた。サンドラッグに寄って歯磨き粉を買う。歯磨き粉のパッケージや品名は似ているものが多く、特にこだわりもないので、いつも自分が何を使っていたか忘れてしまうのだけど、「まぁ、これかな」と思って選ぶと、だいたいピュオーラのソフトミントで、家に帰って「また同じやつかぁ」となるのだけど、たぶん心の底ではピュオーラに信頼を置いているんだろうな。スーパーでハマチの刺身、豆腐(絹)、納豆、キムチを買った。

帰宅して仕事のメールを返信して、夜ご飯を食べながら録画してあった『おげんさんといっしょ』のイッキ見再放送を観る。藤井隆はいつだって最高だ。大阪に来て驚いたのは、藤井隆とYOUが司会の関西ローカルバラエティー番組『土曜はダメよ!』なる長寿番組の存在。18年も続いているらしいが、まったく存在を知らなかった。フットボールアワー横澤夏子もレギュラーで、全国放送でも遜色ないクオリティ。桂小枝の「ギョーテン!住宅情報!!小枝不動産」という人気コーナーもある。関西ローカルと言えば、『かまいたちの知らんけど』をもう1回観て、ひさしぶりに日記以外のブログを書いた。『UOMO』のテレビ番組を取り上げる連載に書こうかと思ったが、あまりにローカルだし、800字では表現しきれなかったので、ブログの場を選びました。というわけで、雑誌『UOMO』にて「テレビにはまだワクワクがある!」という連載を持たせて頂いておりますので、ぜひお読みください。第1回はドラマ『お耳に合いましたら』を取り上げております。

『UOMO』を読んだことがなかったのですが、とても良い雑誌でございます。長谷川昭雄、南貴之、金子惠治などの文章を読める媒体ってネットにしかないと思っていたんですが、『UOMO』だったんですね。南貴之の石拾いという趣味について書いているコラムが良くて、影響されて石を集め出してしまいそうです。まずは拾った石を盛る器が欲しい。

2021年9月14日火曜日

起床するやいなや『安住紳一郎の日曜天国』を流して、身支度。お醤油についてのあれやこれやを安住さんが流暢に語っている。あらゆる分野の話題に精通している大人に憧れてしまう。そのまま『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』と『宮下草薙の15分』を聞き終えながら歩いて会社へ。雨降りで20℃ちょっとしか気温が上がらず、肌寒い。営業所も冷えるので肩にカーディガンをかける。これをやっていると「プロデューサー巻きじゃないですか」と必ず突っ込まれるが、わたしはかたくなに仕事場ではカーディガンを着ずに、肩にかけるのだ。どうせすぐ脱ぐから、というだけの理由なのですけど。

営業所で内勤してから車に乗り込み、先週の『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら京都へ。若林さん憧れの石川佳純ゲスト回。意識が高くない無邪気な若林さんという感じで、聞いていて楽しかった。お昼はセブンイレブンのいつものラップロールサンド。寒いので、ひさしぶりにコンビニのコーヒーをホットにする。うだるように暑かった京都の夏ももう終わりだ。

帰りの車中ではOfficial髭男ismのラジオ番組『LANTERN JAM TIMES』を聴くいた。ベースの楢原さんホスト回。楢原さんの作る曲とボーカルがとても好きなので、いつかソロアルバムを作って欲しい。バンドのギタリストやベーシストが作るちょっと小ぶりなポップソングが詰まったソロアルバムって好きだ。番組中にGLAYが3曲も流れたのには驚いてしまった。「GLAYも並行して聞けちゃうオレ」みたいな自意識とは無縁さが清々しい。新曲の「青春は残酷だ」は、フジファブリック若者のすべて」とか「サヨナラなんて云えないよ」(つまりマイケルの引用の引用)のギターフレーズを引用した謎曲だった。

かまいたちの知らんけど』のエントリーがたくさん読んでもらえた。ひさしぶりの日記以外のブログ更新だったので、うれしい。とにもかくにも、関西に住む人々の「イズミヤ」への想い入れはとても強い。わたしもこっちに来てから仕事でもよく行くのだけども、絶妙にいなたく、寂れた感じが良いのだ。関東で言うと、「イトーヨーカドー」のようなポジションだと思う。「イトーヨーカドー」のフードコートのポッポのあの感じとか泣けるもんな。あとはやっぱりあの番組で密かに興奮したのは、濱家がオカンにねだったという野村トーイ「それいけ!ヨッシー」だ。たしかに、当時の子どもたちの憧れだった。しかし、すぐに埃がついてヨッシーのベロの粘着性が失われてしまうかなしい玩具でもあった。自分は買ってもらえたのか、親戚や友達の家で遊んだのか思い出せないのだけど。帰宅して、『空気階段の踊り場』を聴きながら仕事。夕飯は焼き鮭、豆腐、納豆。

2021年9月15日水曜日

一日中、営業所にて内勤。昼はローソンのざる蕎麦を食べた。ローソンの蕎麦はセブンイレブンに比べると、だいぶ劣る。大阪には「富士そば」や「ゆで太郎」を見かけない。その代わり、うどん屋はたくさんある。温かい蕎麦の濃い口の汁にグチャっとした天婦羅を浸して食べるあの感覚、ひさしぶりに味わいたい。

ときに水曜日はテレビがおもしろい。『有吉の壁』『家、ついて行ってイイですか?』『水曜日のダウンタウン』『あちこちオードリー』と19時からずっとテレビの前に釘付けに。この日の『水曜日のダウンタウン』でのマヂカルラブリー野田さんの涙はとても良かった。忙しすぎるのかなと心配にもなったが、人の心の底にある善良であらんとする“魂”みたいなものが垣間見えた。「みんなもそうであって欲しい」みたな台詞が胸に響いた。『あちこちオードリー』のナインティナイン矢部浩之ゲスト回も興奮。ついつい寝るのが遅くなってしまう。

2021年9月16日木曜日

出社してすぐに京都へ。ZARDがサブスク解禁ということで、社内でデビュー曲の「Good-bye My Loneliness」をはじめて聴いてみた。TOTO歌謡だった。小学生の頃は美人といえば、ZARD坂井泉水だったし、ハンサムといえばB’z稲葉浩志だった。夜は焼き鯖と油揚げと小松菜を炊いたのを食べた。“炊いたの”って表現が大阪に来たって感じがしてうれしい。

2021年9月17日金曜日

疲れすぎて、ほぼ記憶なし。『マツコと有吉のかりそめ天国』を観ていたら、ちょうどバリウム検査の話をしていた。マツコによると、昔のバリウム検査はグルグル回転しなかったらしい。バリウムは味を選べる病院が多いようだが、わたしが行ったところは味の選択肢がなかった。FM802を聴いていたら、折坂悠太の大阪公演のチケットが発売中とのことでなので、行くことにした。広い場所で音楽を聴くことに飢えている。『ミュージック・マガジン』を立ち読みして、折坂悠太がオススメしていた韓国のミュージシャンKim Okiが気になる。2019年にリリースされている『Sprit Advance Unit』を聴いていたが、とても良い。台風が近づいているようで、夕方から雨。頭痛に悩まされる。

2021年9月18日土曜日

朝になると台風をすでに去っていて、快晴。台風一過というやつだ。よくある話だが、わたしも小さい頃「台風一家」だと思っていて、「台風という災害を経たことで、家族がより一致団結する」みたいなイメージを抱いていた。いつもの喫茶店でモーニングをして、そのままワクチン接種会場があるインテックス大阪へ。コスモスクエアという駅が最寄りで、住之江区の海のほうにある。調べてないけど、埋め立て地っぽい感じで、東京でいうとお台場とか豊洲のイメージだろうか。あちらに比べると何もないけども。

ワクチン接種も2回目なので、慣れたもの。非常にスムーズな導線が組まれていて、あっという間に終わる。注射の痛み、採血のほうがよっぽど強い。注射した後に必ず言われる「揉まないでくださいね」って注意に、「普通は揉まないよな」といつも思うのだけど、昔は揉むのが流行っていたんですかね。せっかく海の近くに来たので、少し散歩して、アジア太平洋トレードセンターに足を運んでみる。BTSのグッズ販売イベントがやっているようで、混雑していたが、そこ以外はとても寂れている。子ども服屋で見かけたアメリカンドッグがプリントされたTシャツがとてもかわいくて、甥っ子に買ってあげようかと思ったけど、家族からLINEで送られてくる写真で確認する限り、いつも無地でシックな恰好をしているのでやめておいた。

中央線(大阪にもある)で本町まで戻り、船場センタービルで「せんば自由軒」にてインディアンカレーを食べる。別に美味くないんだけど、あのルックスにそそられて5年に1回くらい食べたくなってしまう。明日は一日中寝込んでいるだろうなと思い、本屋で雑誌を買った。スーパーでイオンウォーターやアイスを買い込み、帰宅。Netflixで『スパイダーマン: ホームカミング』を観る。トム・ホランドはやっぱりかわいい。徐々に身体が怠くなってきて、接種12時間後に38℃を越し、そのまま40℃まで上がる。足の関節も痛くなり、身体が火照り、1時間ごとに目が覚めるので、とても長い夜になった。

2021年9月19日日曜日

朝には38℃まで下がる。40℃を経験してしまうと38℃でもだいぶ身体が楽に感じる。前回のワクチン接種時も同様だったのだけど、なぜか無性にお腹が空く。身体は怠いのだけど、食欲はあるのだ。身体が頑張って抗体を作っていて、カロリーを消費しているのかもしれない。朝ごはんは山崎の「北海道チーズ蒸しケーキ」と牛乳。かまいたちの濱家がYouTubeでこの組み合わせを推奨しているのを観てから、ハマっている。注射を打った腕が上がらないので雑誌を読むのも億劫で結局ベッドで寝込み、ラジオを聴いていた。うしろシティ阿諏訪と赤もみじ村田がゲストの『三四郎オールナイトニッポンZERO』がおもしろかった。『マヂカルラブリーオールナイトニッポンZERO』で『スラムダンク』のインターハイのトーナメント表を読み込んだ、という話をしていて、めちゃ共感。一体どこの高校が優勝したのかを考え込んだものだ。わたしのお気に入りは大阪の大栄学園の土屋。彼は一体どんなプレーをするのか妄想したものです。ラジオで野田さんが言及していた晴子さんの作った焼きうどんや、花道がシュート合宿の際に食堂で注文する「カツ丼大盛り!それがメシでオカズはね・・・コロッケとサンマと焼きそばとホイコーロー!あと、ミソ汁のかわりにラーメン」も大好きだが、赤木家で出てくるとんかつも私はとても印象に残っているスラダン飯。

この日も結局38~39℃をウロチョロしていて、何度も寝落ちした。熱がある中で食べる「アイスの実 巨峰」の美味しかったこと。本物のブドウと遜色ないというか冷たい分、本物より美味しいと思った。果汁が55%もあって凄い!と思ったが、季節によって変えていて、80%配合されている時期もあるらしい。わたしが小さい頃に食べていた「アイスの実」とはもはや別物だ。なんか箱入りのやつ。あれも素朴で美味しかったけど。

冷凍うどんを食べて、解熱剤を飲んで、やっと熱が下がったので、『爆笑問題霜降り明星のシンパイ賞』(祈・復活)と『テレビ千鳥』を観て、寝る。明日も休みで助かる。

2021年9月19日月曜日

目覚めると、平熱。汗をかいたので、シーツや枕カバーを洗濯。珈琲を飲みながら、録画してあったETV『私の欠片(かけら)と、東京の断片』を観る。小泉今日子の語りが聞かせる。岸政彦と佐久間宣行はルックが似ている。腕を組むとことかも。さらば青春の光YouTubeチャンネルで公開されていた「揺れる想い選手権」が最高。ZARDサブスク解禁で皆がうっすらと感じていたほとんど同じ曲じゃないかという想いを底意地悪く形にする天才的企画力。「Don't you see!」と「君に会いたくなったら」はいい曲ですけどね。

体力を取り戻すべく、散歩をすることに。天気が良いので、パン屋でパンを買って、河辺で食べようと思うも、祝日なのでどこも閉まっている。仕方ないので、天満橋マクドナルドで月見バーガーをテイクアウトして、大川を眺めながら食べた。すぐ近くに中学生くらいの男子3人が同じようにマクドナルドを食べていた。「川を眺めながら食べよう」という感性を若くして持ち合わせているなんて素敵だ。店内は冷房が効いていて快適なのに。この川には時折、小型の遊覧船が通るのだけど、彼らはその度に乗客に目いっぱい手を振っていた。本格的に素敵だ。南船場にある「大阪総合園芸センター」まで歩き、野ばらの実の枝とユーカリを買って部屋に飾った。奥田民生の「野ばら」という曲がとても好きなので、野ばらを飾ることに憧れていたのだけど、あの曲の野ばらは花だろうか。ユーカリは香りがフレッシュ。量が多かったので、クナイプの空き容器を利用して、キッチンとお風呂場にも飾った。植物を飾ると、生活に色づきが出るということを、この歳になってはじめて知る。

少し散歩しただけでもヘロヘロになってしまい、これはいかんと夜は豚肉をニンニクなどで炒めた、いわゆるすた丼を食べた。秋なのでキノコも食べました。ひさしぶりにシャイボ―イに会いたくなり『あいのり Asian Journey』をNetflixで観直す。やはり第1シーズンは出色の出来。スタジオメンバーも素晴らしく、なぜこのまま継続してくれなかったのだろう。ベッキー、オードリー、河北麻友子はいまや全員既婚者で、当時は誰だかわからなかった大倉士門みちょぱの彼氏として名を馳せてる。大倉くん、いいやつそうですよね。

『ダイアンのよなよな』が最終回。大阪に来てからの1年くらいしか聞いてないけども、寂しい。2時間半もあって、ダラーっと間延びしているところが好きでした。

『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶

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MBS製作『かまいたちの知らんけど』の9月12日放送の特別編「37年間通ったスーパー イズミヤへ濱家最後の挨拶」が実に素晴らしい内容だった。関西圏外にはあまり馴染みのない番組かもしれないが、今はTVerという素晴らしいメディアがありますのでぜひチェックして欲しい。


かまいたちの濱家の生まれ育った大阪市東淀川区にある上新庄という町で、彼が生まれる前から営業している大型総合スーパーイズミヤ。濱家にとって、幼少時代から家族や友人との思い出の詰まった大切な場所だ。そのイズミヤ上新庄店がこの8月末をもって47年間の歴史に幕を閉じるという。濱家はイズミヤに感謝と別れを伝えるべくロケを敢行する。



ロケは濱家少年が自宅からイズミヤへと通っていた道を辿ることろから始まる。まず通るのが「神戸屋」の本社前。隣接している工場からはいつもパンを焼く香ばしい匂いがする。そして、蘇ってくる記憶。

“うわぁパンのめっちゃいい匂いやな”ってオカンと姉ちゃんに毎回言いながら行っててん
めっちゃ思い出すぅ


そして、高架下にあったお花屋さん。

ナイロンのエプロンをしたおっちゃんがここで花売ってて
ここを通るたびにお花と緑の匂いがして
<中略>
全部好きやってん 神戸屋の匂いとか
ここ通る時の花屋のおっちゃんの感じとか
たまにオカンがここで花買う感じとか
その匂いとか全部好きやってんなぁ


さらに、高架を走る電車の音。

この音!この音!
この音やねん
“ダダンダダン ダダンダダン”じゃないのよ
“ダダッ ダダッ ダダッ ダダッ ダッ”
最後ダッやねん
っていう思い出とかがあんのよ
ダッで終わってたなぁって子どもの頃の記憶とかあるからさ

場所を通過していく度に、匂いや音が記憶を呼び覚まし、濱家を饒舌にさせる。いざ、イズミヤに訪れると、その勢いはさらに増していく。自転車置き場の柱を触ると手が白くなること、柱にもたれかかって服が白くなってしまったこと、店内に流れる「イズミヤの歌」のメロディ、化粧品売場ではじめて買ったメンソレータムエスカレーターのアナウンス、母親の買い物を待つ間にベンチで読んでいた『ちびまる子ちゃん』8巻、はじめて買ったCD「DEPARTURES」(globe)、特別で贅沢な気分を味わえた喫茶店、はじめて買ったボクサーパンツ、おもちゃ売り場でオカンにねだった「それいけ!ヨッシー」(粘着性のヨッシーの舌!!)・・・これでもかと五感を駆使して場所に宿る記憶を採集していく。そして、フードコートでは「世界一うまいポテト」と再会し、

人生でもっかいこれ食えると思ってなかったです 本当

と涙を零す。イズミヤという場所に訪れることで、濱家は少年時代の幸福な記憶と交感を果たすのだ。

ロケの最後に、お客さんからのイズミヤへのお別れメッセージが寄せられた「思い出写真館」というスポットに訪れる。

最後の思い出に、娘と買い物、楽しみました。81才です

大好きなイズミヤ
子供達はイズミヤで大きくなりました
ありがとうございました

姉がXmasのガラガラ抽選のアルバイトをさせて頂いて
夢で寝言で「ティッシュとキャンディどちらがいいですか?」と
隣の寝室で言っていた30年前が忘れられません
大変お世話になりました

子供が47才に成りました(イズミヤ上新庄店と同い年)

イズミヤが地元の人々にいかに愛されていたかが目の前に立ち上がっていく。ここは、自分と同じように無数の愛おしい記憶が染み込んだ場所なのだということに気づき、濱家は再び目頭を熱くする。食品売り場に降り立った濱家はこう漏らした。

当時のオカンと当時のオレが見えるもん

そう、記憶は場所に宿る。いや、場所が出来事を記憶しているのかもしれない。(そんなロマンティックな思考を小説で実践しているのは保坂和志という作家だが)たしかに記憶というのは人の内側に残るのではなく、それらが行われた場所に消えずに漂っているように思う。その場を訪れることで、内側から思い出していくというよりも、外部から“思い出させられる”という感覚。であるから、その場所が無くなってしまったら失われてしまう記憶もあるはず。「イズミヤの紳士服売り場でオトンのカッターシャツを自分で選んで、それをオカンに採用してもらえるとうれしかった」なんていうささやかな記憶は、イズミヤに訪れねば、思い出せないのではないだろうか。しかし、濱家はこのロケを実行してみせた。思い出せるだけの記憶を、できるだけ詳細に喋りつくし、映像に残したのだ。想いを形に残して、保存すること。それが、忘却の残酷さに抗う唯一の方法であり、創作という行為が途絶えていかない秘密なのかもしれない。

最近のこと(2021/09/08~09/12)

2021年9月8日水曜日

ひさしぶりの在宅勤務。「cafe Europa」という喫茶店でモーニング。わりと近所にあるにも関わらず、平日しか営業していないので、1年間もその存在に気づかなかった。ここも雰囲気があり、珈琲も美味い。店内は冷房が効いておらず少し暑かったのだけど、とても太ったサスペンダーの常連さんらしき人が来店したら、冷房がプスプスと音を立てて入り出した。気遣いのできるお店です。

9時からパソコンの前に座って仕事。昼は家で軽く済ませて、The Beach Boys『Surf’s Up』を聴いて、休憩。「Disney Girls」の美しさにため息。18時まで真面目に働く。Official髭男ismの福井公演の落選のメールが届いて落ち込む。しかし、なんとしても「Shower」を生で聞きたいので、まだ懲りずに申し込む所存。業務を終えて、セブンイレブンに夜ご飯を買いに行く途中で職場の上司に会った。近所には転勤組がたくさん住んでいて、少し気まずいのだ。上司はランニングに出かける様子だった。

『有吉の壁』がお休みなので、プロ野球中継の阪神戦を観る。大阪では阪神戦はだいたい地上波で放送しているからすごい。豆腐とキムチとゆで卵をサントリーの「のんある晩酌 レモンサワー」で流し込み、デザートに井村屋の「ごろろん果肉アップルパイバー」を食べる。これも新作なのだろうか、とても美味しい。10月から空気階段の地上波初の冠番組が始まるという報があって、とても楽しみ。『有吉クイズ』のレギュラー化もうれしい。あと、緊急事態宣言が延長とのこと。Paraviで『想い出づくり。』の3話を観る。田中裕子が断トツだけども、鈍くさい森昌子もかわいい。そして、暴走する柴田恭兵。22時からは『水曜日のダウンタウン』を観た。『キングオブコント』の審査員が変わるらしい。寝る前に昨日の『爆笑問題カーボーイ』を聴く。ネタ合わせの時に田中さんがコンビニで太田さんの分のお菓子も買ってくるくだり、何回聴いても好き。

2021年9月9日木曜日

仕事の精神的疲労がしんどい。車の中で、昨夜のオードリー若林がゲストの『星野源オールナイトニッポン』を聞いた。すばらしき言語化能力のぶつかり合い。『アルコ&ピースD.C.ガレージ』のTKO木本ゲスト回の立ち回りも、様式美という感じで良かった。帰り道はKREVAのニューアルバム『LOOP END/LOOP START』を聴く。気持ちいい音。Benny Singsの新曲「Dancing In The Dark」も聴いた。あと、BTS「Butter(feat.Megan Thee Stallion)」のダンスパフォーマンス動画が最高過ぎて8回ほどリピートして観入ってしまった。Official髭男ismの大阪城ホールの公演に当たってうれしい。

帰宅して、ご飯を食べながら『家、ついて行ってイイですか?』の録画を観る。今、1番好きなテレビ番組かもしれない。今期から始まったテレビドラマ版はちょっと厳しいけども。TVerで観た『霜降りバラエティー』の「石川と佐々木に戻ろう!!大阪リベンジャーズ」がとてもいい企画だった。10月から時間帯降格らしい。テレビ朝日のバラエティーおもしろいんだけども、好きな番組はだいたい終わっていく。『伯山カレンの反省だ!!』の復活求む。『トゲアリトゲナシトゲトゲ』『ぼる塾の煩悩ごはん』『にゅーくりぃむ』『キョコロヒー』『かまいガチ』あたりは気が向いた時に観ています。

『ハライチのターン』を聴いてから寝る。結局この日までにマイクロマジックポテトは手に入れることができなかった。最後のポテトの放流のシーンのイマジネーション、素晴らしい。2人のフリートークの聞いていて自意識が疲れない感じとか、何周か回って今1番身体に合うラジオ。

2021年9月10日金曜日

朝起きてすぐに何かしらのラジオを流すようにしている。話芸で脳みそを起こす。この日は『安住紳一郎の日曜天国』のポッドキャスト版を聴いた。スロベニアという国が異様に蕎麦を消費しているという話。この間の『古舘伊知郎オールナイトニッポンGOLD』で話していた、安住紳一郎古舘伊知郎の「薬局ドリンク売り」を一晩徹夜して完コピした後に「先輩がバラエティーに戻ってきてくれた」と泣いた、という『ぴったんこカンカン』の映像が観たいんですが、どこかに転がっていませんかね。どちらも悪人という感じが好き。安住さんにも古舘伊知郎の『トーキングブルース』みたいなライブをやって欲しいのだけど、才能に溢れながらも局アナサラリーマンに縛られているところも魅力なんだよな。ときに古舘伊知郎とわたしの母親は小学校の同級生らしい。

大塚誠也のSOY JOYの抹茶&マカデミアを食べて、歩いて会社に向かった。ZOOMで参加しないとイベントがあったので営業所で内勤。新入社員が2週連続で事故って落ち込んでいたので、お昼ご飯を奢ってあげた。事故の話を聞く以外、特に話すことなし。喫茶店キーマカレーが温くてあまり美味しくなかった。3時間ほどオンライン上で話を聞いていたのでどっと疲れる。

帰宅すると頭痛。このところ、金曜日を終えると頭が痛くなる。なんとなく買ったものの読んでいなかったスーパーマーケット特集の『dancyu』に目を通す。「スーパーオオゼキ」がとても褒められていた。大阪にはないな、オオゼキ。「コモディイイダ」も「いなげや」も「OKストア」も「サミット」もないな。わたしは長野県にたくさんある「ツルヤ」というスーパーが好き。品揃えが良くて、ワクワクする。「ツルヤ」の軽井沢店はあの『カルテット』にも何度も登場するのだ。インスタで長濱ねるさんがレコードプレイヤーを買ったとBruno Major『A Song For Every Moon』を回していたので、ひさしぶりに聞きたくなり流す。長濱ねるのインスタ投稿にめちゃくちゃ影響を受けていて、彼女が久石譲のコンサートで聞いて感動したという「アシタカとサン」という曲を、最近よく聞いています。劇中のどこで流れていたかまったく覚えていないけどとても美しい曲。人の薦めているものを好きになるのが好きだ。冷蔵庫に入れてある大量のキムチが臭い。このところキムチと納豆と豆腐ばかり食べているのは、来週の月曜日に健康診断なので、健康体に向けての悪足搔きなのだ。ときに、納豆って“小粒”とか“極小粒”ってやつでも、「思っているより全然大きいな」となりませんか。わたしは大粒の納豆って食べたことがないのかもしれません。

2021年9月11日土曜日

何の予定もない土曜日。朝起きてすぐに喫茶店「リヴォリ」へ。1番お気に入りの席が空いていたのでうれしい。週替わりメニューは今週も絶品。豚肉と大葉とチーズのピカタ。焼き玉葱の付け合わせも美味しい。食べ終えても、まだじっくり本を読みたい気分だったのでアイスウィンナーを追加。生クリームが美味しい。神保町にある東京堂書店の店長だった佐野衛が日記や本への想いを綴った『本の気配 書店の棚』を読み終えた。佐野衛が「クラシックはバッハしか聞かない」「バックハウスのバッハの1枚は大切にしないといけない」と書いていたので、Spotifyで検索して、Wilhelm Backhaus『Bach Recital』を聞いた。便利な世の中になった。また、本書には立花隆がよく登場する。『エーゲ 永遠回帰』が読みたくなったので、今度本屋に入ったら買おう。本を読んでいく中で次に読みたい本が生まれてくる。これは読書という体験の中におけるとびきり楽しい効果のひとつ。以前、爆笑問題の太田さんがラジオで紹介していた立花隆が宇宙飛行士たちにインタビューしたものをまとめた『宇宙から帰還』も手をつけていなかったので一緒に読もうと思う。立花隆というと、学のないわたしにはどうしてもまず連想されるのが映画『耳をすませば』での雫の父親に声をあてたあの朴訥とした音だ。立花隆本人も、雫の父親のあの感じのルックスをイメージしてしまう。

三四郎がゲストの『佐久間宣行のオールナイトニッポンZERO』を聴きながら、1週間分溜まった洗濯と掃除を済ませる。週に1回の植物への水やりも土曜日。ウンベラータはずっと元気なのですが、シュフレラは元気がないのでベランダに出してみたら猛暑の日差しであっという間に枯れてしまった。Park Hye Jin『Before I Die』を聴きながら少し散歩をする。「古書 象々」で中川李枝子・山脇百合子『なぞなぞえほん』を300円で購入。詩のような謎々にかわいいイラスト。ぐりとぐらも登場する。対象年齢が4歳からとのことなので、2歳の甥っ子がもう少し大きくなったらあげようと思う。吉田健一の『東京の昔』がハードカバーで置いてあり買いそうになったが我慢。読んだことある本を別版で買い揃える行為は自重しよう。お昼に堺筋本町寄りの北浜にある「ニュー上海」で天津カレー炒飯を食べる。所謂「バカが食う食べ物」ってやつだが、抜群に美味い。量が多すぎるので、夜ご飯を美味しく食べる予定がある人は注意が必要です。北浜には駅の近くに「龍門」という中華屋もあって、ここも天津カレー炒飯が有名らしい。姉妹店なのだろうか。

帰宅して、The Pharcydeの2ndアルバムを流しながら仕事。The Pharcydeを聴くと、いつも「これ好きだと思うからあげるよ」と1stアルバムをくれたバイト先の先輩を思い出す。わりとかっこいいし、人柄もいいのに、なぜかいつも辛酸を舐めているという人生を損しているタイプの人で、その要領の良くなさが好きで、わたしはなついていた。バイト後に真夜中に公園でダベったり、家に遊びに行ってヒップホップのCD
を聞かせてもらったりしていた。冴えない日々だと思っていたが、振り返れば青春そのものだな。

サム・ライミスパイダーマン』をNetflixで視聴。ジョン・ワッツ×トム・ホランドの今のスパイダーマンは最高にキュートで大好きなのだけど、ライミとトビー・マグワイアスパイダーマンはとにかく鬱屈としていて、これはこれで好き。ウェブシューター(手首から放出させるクモの糸)が、発散するこのできなかった性欲の放出にしか見えない。逆さまに宙吊りになってのキスシーンは白眉。昔はビッチが過ぎると思っていたキルスティン・ダンストンのMJだが、田舎のカーストトップが都会で堕ちていく生々しさが、今観ると切実だ。『ゴッドタン』のみなみかわフューチャー回、良かった。

2021年9月12日日曜日

起きてすぐに湯を溜めて、朝風呂に入りながら読書。『エリック・ホッファー自伝』を読み進めた。手に取る本に“盲目” というモチーフが妙に続く。風呂から出て、YouTubeチャンネル『五反田ガレージ』の猫の動画をひたすら観ていた。会長(千住猫)と新入り猫の邂逅を捉えた動画は珠玉で声に出る。会長が実にいじらしい。森田と山根マネージャーの猫への愛情の注ぎ方が素晴らしくて、さらば青春の光がますます好きになってしまう。溜まっていた『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』を聴く。パンサー向井と東ブクロのラジオスターを巡っての争い、最高。

やることがなく、天気も悪く、やる気も沸いてこないので家に引き籠る。マクド月見バーガーUber Eatsで注文。サム・ライミスパイダーマン2』を観ながら食べる。そのままソファーに寝転んで『スパイダーマン3』まで観終える。明日、健康診断なのにすごく身体に悪い生活をしてしまっている。

家から一歩も出ないのもなんなので、近所を少しだけ散歩。Nancy WilsonとCannonball adderleyのアルバムを聴いた。スギ薬局で目薬、セブンイレブンでオマールエ海老のビスクを買って帰り、豆腐と納豆と一緒に食べた。採血があるので、21時以降は何も口にしてはいけないとのことなので、なんだか落ち着かなくなる。テレビで『爆笑問題霜降り明星のシンパイ賞』と『テレビ千鳥』を観る。続けて、Tverで『かまいたちの知らんけど』を観る。これが実に素晴らしくて、最近のテレビでは1番グッときたかもしれない。濱家が37年間通ったスーパーである「イズミヤ上新庄店に別れを告げるという特別編なのだけども、まさに五感と記憶を巡る最高のドキュメント。必見です。スギ薬局で歯磨き粉を買うべきだったな、とチューブを絞る。歯磨き粉は言うほど粉じゃない。

最近のこと(2021/09/01~09/07)

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大阪に来て1年以上があっという間に過ぎていった。大阪という街はとても気に入っていて、このままここに住んでもいいとさえ思っている。しかし、仕事には疲弊していて、どうにも文章が書けない日々が続いている。しかし、書かないとどんどん書けなくなるのが文章。せめて日記くらいは続けていけないものか試してみようと思う。最近は、日記のようなものを好んで読んでいる。大岡昇平『成城だより』だとか三輪亮介『生活記録』とか。やっぱり日記というのは良いのだ。1980年頃に書かれた『成城だより』を読んでいて、そこにちりばめられた固有名詞が煌めいたままであることにはたいへん勇気づけられた。何を読んで、何を観て、何を聴いて、何を食べたか・・・そういったものを書き記すだけでもその人の思考のようなものがぼんやりと形作られるということ。やっぱり、しんどくて1回で終了してしまうかもしれないけども、とりあえず9月からの1週間を綴ってみよう。『大豆田とわ子と三人の元夫』について書かないですか?とたまに聞かれるのですが、いつか書きたいと思います。あと、公開中の『サマーフィルムにのって』のインタビュー記事をCINRA.NETにて書かせて頂きましたのでぜひお読みください。


9月1日水曜日

9月に入り大阪もだいぶ過ごしやすい気候になった。大阪に引っ越して1年経つものの、つい無意識で東京の天気予報もついチェックしてしまう。東京はとても涼しいそうですね。

最近の営業先はもっぱら京都で、週のほとんどを京都で過ごしている。これまで抱いていた京都の特別性みたいなものがどんどん薄れていっている。金閣寺の3文字で胸をときめかせていたあの頃にはもう戻れないのかもしれない。訪問予定をこなしたので、宇治の小倉にある喫茶店「よこやま珈琲」で少し休憩。「うまいコーヒーの店」と書かれた看板がストレートで気にいってしまった。たしかに美味しいコーヒーで、豆を買いに来るお客さんがとても多かった。30分くらい本でも読もうかと思ったが、iPhoneを眺めているだけで時間が過ぎてしまう。Cleo Sol『Mother』を車で聴きながら、大阪に戻る。

帰宅して風呂にお湯を溜める。湯が溜まるまでの退屈しのぎにTwitterのスペースという機能に足を踏み入れてみた。Clubhouseと同じようなものなのだと思う。一人の女性が兎と戯れながら、職場の人間関係などの日常の出来事を喋っている。聞いている人が途中で退席すると、「あー、つまらなかったよね、ショックだな」とぼやくので、出るに出られなくなってしまい、そのままお風呂の中でも聞き続ける。「同棲している彼氏がそろそろ帰ってくる」「“駅に着いた”って」「帰ってきても、内緒で放送を続けてみようかな」「彼の好きなビートルズの“オブラディオブラダ”を流して待っていようかな」などと、興味を引いてくるので最後まで聞いてしまう。

男「ただいまー」
女「おかえり」
男「ん、なに?喋ってるの?」
女「怒った?」

というやりとりの後、「スペースは終了しました」と突然放送が打ち切られるという幕引きで、なんだか気持ちが沈みました。安田大サーカスのクロちゃんが無人島から脱出して家を探すという企画の『水曜日のダウンタウン』を観てから寝た。

9月2日木曜日

この日も京都へ。車中ではFM802で放送されているOfficial髭男ismのラジオ『LANTERN JAM TIMES』を聴いた。ギターの方がオードリー若林正恭の『社会人大学人見知り学部 卒業見込』に感銘を受けたと、オススメしていた。最近リリースされた『Editorial』収録曲のお気に入りのギターフレーズやコード進行などについて解説していて楽しい。『Editorial』は、ずっと待ち続けていた槇原敬之の黄金期に比類するソングライティングと歌唱が詰まったアルバム、とても感激している。この何十年に一度のアーティストの脂が乗った時期のライブを見届けたい!とライブに申し込んでいるのだけども、大阪はおろか福井の会場さえも落選が続いている。諦めずに何度も申し込んでいこうと思います。お昼はセブンイレブンでラップロールグリルチキンタンドリーソースを食べた。美味しいので、最近は週に3回くらいのペースでこれを昼食としている。

帰宅して、『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』での「ダイアン×ダイアン×ダイアン」の録画を観る。楽しみにしていたのだけど、途中で寝てしまったのだ。『SMAP×SMAP』のオマージュをひさしぶりに観た気がする。配信ライブ『ダイアン対かまいたち 見届け人は千鳥さん』でも感じたけども、この3組が揃うと味が濃すぎるのかどう楽しめばいいのかわからなくなってしまう。劇場時代を知っている関西の人は、「あの空気感こそが千鳥、ダイアン、かまいたちなのだ」と思うのだろうか。

GERA放送局での『ランジャタイのサンバイザーラジオ』が9月で終了してしまうとのことで残念。売れて忙しくなったからとのこと。NHKのドラマで伊藤さんが上白石萌音の夫役で出演するというのだから驚きだ。また、ランジャタイによれば『キングオブコント』の準々決勝で1番ウケていたのはジグザグジギーとのこと。わたしがお笑いライブで出待ちしたことのある芸人はジグザグジギーとランジャタイだけですので、胸が熱くなった。ぜひ再び決勝の舞台で観たい。最近のGERA放送局でのオススメは『囲碁将棋の情熱スリーポイント』と『ママタルトのラジオ母ちゃん』です。

9月3日金曜日

天気が悪い日が続き、頭が痛い。車の中で先月末にリリースされたonett『Get Along』を聴く。好きです。週の疲れを労うべく、セブンイレブンで「ねっとり濃厚な味わいまるで濃密芋」というアイスを買って帰る。これが実に美味しい。この「まるで~」シリーズのアイスは爆笑問題田中裕二も推奨する傑作だけども、その中でも燦然と輝くマスターピースではないでしょうか。濃厚、濃密と商品名がくどいのもポイントです。どうにも頭痛が収まらないので、イブプロフェンの頭痛薬を飲む。ソファーに寝転びながら、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』を観た。Kis-My-Ft2のデビュー10周年特集。あまり人に言ったことはないのだけど、わたしはキスマイの藤ヶ谷太輔がけっこう好きなのだ。理由は自分でもよくわからないのだけど、観ているとときめいてしまう。横尾と二階堂を外して5人でのデビューがほぼ決まっていたのだけども、藤ヶ谷・北山が「7人でいきたい」とジャニーさんを説得した、という話には涙腺が緩んでしまった。横尾・二階堂がどうこうではなく、7人より5人のほうが確実にグループとして運営しやすいのは自明なのだけども、理屈じゃなく「この7人なのだ」という無鉄砲さ。キスマイの絆にほだされて、中居くんの何かがうずき出さないかを期待する。しかし、キスマイの最大のヒット曲が「Thank youじゃん!」というのにはズッコケてしまった。1曲でもいいから国民的ヒット曲を彼らに。

せっかくの金曜日なので夜更かしして、Paraviにて筒井ともみ脚本のTBSドラマ『もしも、学校が…!?』(1985)を最後まで観る。『3年B組金八先生』(や『ビューティフルライフ』)でお馴染みの生野慈朗がプロデューサーを務めており、職員室のセットなどはおそらく桜中学の使い回し。なのでルックは初期の金八という感じなのだけど、UFOやピラミッドなどのオカルト要素が満載の不思議なドラマだ。序盤はいまいちノレなかったのだけど、回が進むにつれ引き込まれた。偏差値史上主義の学校教育の中で、落ちこぼれとされたルーザー達が、周りからどんなに虐げられようとも、UFOの到来を懸命に待ち続ける。アナログながら思い切った演出の数々も楽しい。オープニングで先生役を務める三田村邦彦片岡鶴太郎山本コウタローがTHE SCHOOL!というユニットで「人生はコメディ」という楽曲を披露するのだけどもこれがとにかく最高。楽曲は高橋研のペンなのだけども、彼の作ったおニャン子クラブ「真っ赤な自転車」と「じゃあね」も大好きだ。続けて、山田太一脚本の『想い出づくり。』(1981)の視聴を開始。当時26歳の田中裕子があまりにキュート。誰も加入していないような気がするParaviだが、実は宝の山なのである。

9月4日土曜日

起床してすぐさま近所の喫茶店へ。卵サンドとホットコーヒー。すぐに帰ろうと思っていたけど、突然大雨が降り、大きな音で雷が鳴り響く。これはしばらく帰れないぞ、と積んだままになっていた斎藤倫『さいごのゆうれい』を読み終える。

<じだい>って、知ってるかな。
それは、とても、ふしぎなもの。
さわれもしない、目にも見えない。
空気みたいなもんかって?空気なら、吸ってみたら、ここにあるってわかる。
だけど、<じだい>は、わからない。
そのなかにいるときは、おもわない。じぶんが、<じだい>のなかにいるなんて。

斉藤倫のこの独特な句読点使い、なんてかっこいいんだ。こういった固有な文体を手に入れたいもの。そして、ストーリーテリングもさることながら、印象的な細部の書き込み。ずっと心に残るだろうな。読み終えるとちょうど、外は小雨に。お店の人が傘を貸してくれるというが、「近いから大丈夫です!」と固辞する。爽やかに断ったつもりだったが、まずは「ありがとうございます」って言わなきゃダメだったなと小雨に当たりながら反省した。

歩いて天満橋の京阪シティモールへ。ジュンク堂書店藤本タツキ『ルックバック』、ニトリでグラスと珪藻土マットを買う。北浜の「天乃江 あまのえ」という天婦羅屋でランチ。天婦羅はもちろんなのだけど、付け合わせの総菜、漬物、なによりお味噌汁が抜群に美味しい。天かすが入っているのがナイスアイデアだ。天婦羅は塩で食べてもいいし、タレをかけてご飯にのっけて天丼にしてもいいと、カスタムが自由。食事を終えて、そのまま少し散歩。「大阪総合園芸センター」に寄ってみるも、いい出会いはなし。スーパーの「LIFE」に寄って、入浴剤、ピーマン、カボチャ、卵、ボスカフェベース、牛乳、食パンなどを買った。堺筋本町タワーマンションの横にあるは「LIFE」は品揃えが他のところより明らかに良い。ご時世的に出かける気にならないので、散歩とスーパーでの買い物がなによりの娯楽。

帰宅して録画の消化。ドラマ『サ道』と『お耳に合いましたら』を観る。『お耳に合いましたら』8話「青春はすっぱいぞ」は松本壮史の脚本・演出回。素晴らしかった。佐々木役の鈴木仁がかわいくて、とても好き。松本壮史監督のInstagramドラマ『デートまで』に主演していた彼だったとは。

家に籠り続け、FODで福田康脚本の『HERO』のスペシャルドラマと2007年の映画版を観た。何度観ても好きなドラマ。スペシャルドラマは中井貴一堤真一綾瀬はるかと豪華な面々。今、公開している『マスカレード・ナイト』も鈴木雅之×木村拓哉という同じ座組なのだけど、『HERO』の良さって福田康の脚本な気もしていて、なかなか手が伸びない。

9月5日日曜日

起床して、卵サンドとボスカフェベース。掃除と洗濯を済ませて、少し読書。福島智『ぼくの命は言葉とともにある』を読み進めている。天気が良いので、自転車で大正区~西区あたりをサイクリング。「カドヤ食堂総本店」の行列に並んで中華そばを食べる。素材にこだわっているようで、滋味溢れるお味。北区の野田まで走り、「八坂温泉」という銭湯に入る。軟水の水風呂が気持ちいい。サウナ3セットで湯上りにポカリ。番頭のおばちゃんがとても感じが良くて、それだけでまた来たい気持ちになった。

最近の『ハライチのターン』で話題になっている大塚食品のマイクロマジックポテトを探している。マイクロマジックの天然だ、養殖だのくだりは、Panpanyaの漫画のようで実に楽しい。帰りに「阪急OASIS」と「コーヨー」に寄ってみるも、マイクロマジックは見当たらず。どこもハインツ日本のオレアイダポテトが幅を利かせている。こちらも赤いパッケージなのでややこしい。当時のマイクロマジックのCMでは「僕のポテトはチンチンチン チンチンポテト」という光GENJI が歌っていた記憶がうっすらとある。さぞかし当時の男の子を喜ばせたことだろう。昼の中華そばでお腹は空かないものの、無性に甘いものが食べたくなり、南森町の「ミスタードーナツ」で芋のドーナツとオールドファッションを買い、それを夜ご飯とする。なぜかひさしぶりに『千鳥のニッポンハピーチャンネル』が観たくなり、ドラマ「ロングロード」のところを観直す。

9月6日月曜日

会議続きで身体が怠い。昼はセブンイレブンのラップロールタンドリーチキン。18時に発表の『キングオブコント』決勝進出者が気になってソワソワ。やったぜ、空気階段ジグザグジギーアルコ&ピースの返り咲きも観たかったけども、とてもいい10組だと思いました。先週の『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら、夜ご飯は豆腐と納豆とキムチ。とてつもない眠気に襲われてしまい、21時過ぎには寝てしまう。

9月7日火曜日

10時間を超える睡眠のおかげで目覚めバッチリ。この日も京都へ。移動時間が長かったので、『空気階段の踊り場』『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』『宮下草薙の15分』『問わず語りの神田伯山』とラジオを消化。営業のメリットはラジオがめちゃくちゃ聞ける、その一点に尽きます。夕方に大きい商談を終えて、ホッと一息つく。この日も豆腐と納豆とキムチ。テレビではキムタクが納豆へのこだわりを語っていた。帰宅して、少し仕事。パソコンでの作業中もKanye West『Donada』をずっと流していた。仕事を終えて、TVerで『爆笑問題霜降り明星のシンパイ賞』を観る。とても好きな番組なので、終わってしまうのが悲しい。ヤクルトスワローズの奥川投手が素晴らしいいピッチングをしていたようなので、後追いでチェック。



ひさしぶりに日記をつけてみるも、書くのにとても時間を消費することに気づいてしまった。画像やリンクも面倒くさいので止めたにも関わらず、非常に時間を喰われる。これは続く気がしないぞー。

坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』2話


『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマは、ロケーション・インテリア・衣装・音楽・カメラワーク・・・どの要素をとっても、徹底してオシャレな質感に包まれている。画面だけ見れば、さながらトレンディードラマのようなリッチさであるのだけど、描かれているのは、シャワーヘッドに頭をぶつけてしまう、うどんの丼にイヤフォンを落とす、ソファーにカフェオレを零してしまう、些細な誤解でパトカー連行されてしまう・・・といったように実に卑小な人間の営みだ。これまでの坂元裕二作品の登場人物と同様に、”社会の理“のようなものからはみ出してしまう人々の魂は健在のようだ。今話の主役である中村慎森(岡田将生)の理屈っぽく捻くれて、憎まれ口ばかり叩くそのありようは、まさに坂元裕二の描いてきたキャラクターの典型と言えよう。特に、携帯で動物の画像を眺める所作などからも、『最高の離婚』(2013)の主人公である濱崎光夫(瑛太)の魂の転生を思わずにはいられない。光夫が発した

ちゃんとできないんです
色んなことが・・・ちゃんとできないんです


最高の離婚』4話

という小さな叫びが、彼らの生き辛さを象徴している。慎森もまた弁護士という勝ち組人生のようでいて、あらゆることがちゃんとできない。欠落を抱える人だ。

人を幸せにしたら自分も幸せになれることは知っています
洗濯機でご飯が炊けますか?
洗濯機で髪が乾かせますか?
人間にもそれぞれ機能がある
ボクには人を幸せにする機能は備わっていません

子どもの頃からイベントが嫌いだった
みんなが楽しんでいるものに居場所がなかった
あいつら、何はしゃいでるんだって、隅で悪態ついてた

そんな慎森のこんがらがった魂を解きほぐしてれるのが大豆田とわ子(松たか子)という存在であった。人前で携帯を手にかざして「どーもどーも、お世話になっております」と大声で通話する人間への軽蔑を分かち合えてしまうこと。好きなものが一緒であるカップルを描いたのが『花束みたいな恋をした』(2021)であったのなら、大豆田とわ子と慎森は、”嫌いなもの“で結びあったカップルだ。

慎森「犬派ですか?猫派ですか?って聞かれるより嫌い!」
とわ子「紙でピッて手切れるより嫌い!」
慎森「お休みの日は何してるんですか?って聞かれるより嫌い!」
とわ子「ビュッフェのカレーのお玉の持つとこにカレーついてるのより嫌い!」
慎森「椅子に座ってから券売機で食券買ってくださいって言われるのより嫌い!」
とわ子「戦争より嫌い!」

というように、お互いがどれくらい嫌いかを並べ合う時こそ、なにより息がピッタリと合ってしまう。大豆田とわ子は慎森に「この人と出会えたオレ、世界一幸せだ!って思える瞬間があった」とまで言わせる存在だ。その瞬間はおそらく、オレンジのソファーに座っていたあの時間。

いいんだよ
はみ出したって
嫌なものは嫌って言っとかないと
好きな人に見つけてもらえなくなる

という大豆田とわ子からの“赦し”をもらえた瞬間を指すのだろう*1。人のダメなところをおもしろがり繋がっていく。はみ出しと欠落を肯定するその筆致は、『カルテット』(2016)から地続き、おしりを出した子 一等賞なのである(にんげんっていいな)。

みんなおもしろい
みんなのおもしろいところを
みんなでおもしろがって
欠点で繋がってるの
ダメだねーダメだねーって言い合ってて


『カルテット』6話



慎森が食べる犬用の最高級缶詰(ビーフ&チキン)、慎森が愛でるパンダ(白と黒)というように今話を支えるモチーフが、“混ざり合う”であることが冒頭で示唆される。それゆえに画面上には“溶ける”や“混ざる”や“繋がる”といったイメージが溢れている。お風呂の入浴剤、大豆田とわ子が購入する身体が溶けるソファー、バスケットボールのパス、見つめ合う恋の6秒ルール、チーズフォンデュ、恋人繋ぎ、溶き卵(すき焼き専用卵)、ゼロ距離での充電完了、モルック・・・これらは「人は誰かと出会い、混ざり合うことで変わっていく」という物語の結論を支えているのだ。人は誰かに影響されることで、簡単に変われる。カフェでたまたま居合わせた高校生の女の子の勉強風景が、大豆田とわ子に社長を引き受けることを決断させたように。慎森もまた今話において大きく変わっていく。慎森お得意の「〜っているかな?」という嫌味は、今話においてはすべてが反転していくことに気づくだろう。「お土産っているかな?」→今年115歳になる巨匠の作った醤油を持参、「スポーツっているかな?」→ストリートでバスケットボールに励む、「挨拶っているかな?」→こんばんわすき焼き、おはようございます、「人間って走る必要あるかな?」→連行された大豆田とわ子を助けるためのダッシュ、「いちいち離婚した、って言う必要あるかな?」→警察署での「大豆田とわ子の離婚した元夫です」、そして、結婚時代に言えなかった「がんばっているね」の一言を大豆田とわ子にかけることに成功する。慎森は変わっていく。「人を幸せにする機能は備わっていない」はずの慎森に、かつて幸せを与えてくれた大豆田とわ子が混ざり合い、不当解雇に喘ぐ女性を救う正義の弁護士として動き出すのだ。

君は昔も今も頑張っていて
いつもキラキラ輝いてる
ずっと眩しいよ

別れたけどさ、今でも一緒に生きてると思ってるよ

大豆田とわ子と中村慎森の結婚は終わった。失くした時間は取り戻せないし、捨てたものは帰ってはこない。しかし、かつてすべてをわかり合えるような人がいたという決して消えることのない記憶はずっと輝き続け、今を生きる“わたし”に溶け合っているのだ。

*1:ちなみに、『最高の離婚』においては、光夫はこんな風にして、その歪さを結夏(尾野真千子)に赦され、そして別れる。「光生さんは一人が向いてる。 ・・・ほら、逆ウサギだよ。 さみしくないと死んじゃうの。 バカにしてんじゃないよ。 光生さんの、そういう光生さんのところ、好きだし、面白いと思うし。 そのままでいいの。 無理して合わせたら駄目なんだよ。 合わせたら死んでいくもん。 私があなたの中の好きだったところがだんだん死んでいくもん。 そしたら、きっといつか私たち駄目になる。」