青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

水曜日のダウンタウン「MONSTER HOUSE」3話

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これぞ、2018年のベストキスシーン。なんて醜く、なんて美しいのだろう。クロちゃんは「愛されたい」と叫ぶ獣だ。まるでこれまで誰からも愛されたことがないかのようだ。その欠落を埋めるようにして、どこまでも貪欲に愛を求めている。蘭ちゃん*1とのキスを成し得た時のあの狂おしいまでの歓喜、あれはもはや単なる性欲を飛び越え、自らの”実存”を初めて認識したかのような振る舞いではないか。

好きだよ、本当にもう・・・
俺は知らなかった
もう・・・本ッ当に
本ッ当わかってるようで
わかってなかった・・・
めちゃくちゃ好きだよ

忘れんなよ
忘れんなよ、俺
忘れんなよ
キスしたよ、忘れんなよ

観ていて、胸の奥がたまらなく苦しくなってしまった。多分、私たちもまた、クロちゃんと同じように寂しくてたまらないのだろう。本当は醜い存在なのだろう。「変な汗出るのはなんでしょうね」というたむらけんじ松本人志の言葉がそれを的確に表現している。獣になれない私たち。社会で適応していくために、私たちが必死で押し殺している部分を、解放し切っているのがクロちゃんという獣なのだ。


しかし、とんでもないシリーズが始まってしまったものである。「愚かで醜く、ゆえに愛おしい人間」という古来からあらゆるストーリーテーラーが言葉の限りを尽くしてきたテーマ。クロちゃんと藤井健太郎は、どこまでも敷居を下げながら、それを表現し尽くしてしまうのではないだろうか。



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*1:ミューズとしか言いようがない