青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

Dr.ハインリッヒ『M-1グランプリ 2018 準々決勝』

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gyao.yahoo.co.jp
今年観た漫才で1番美しいと思った。イワシが炒飯を食べる時に胸鰭を使うとことか、「種がいっぱいあるんやろなー」とヒマワリの顔を覗くとことか、「まぁ焼きそばやわ」とか、「みんな何かを作るメンバー」とか、「この世はすべてはマル」とか、あらゆる細部がツボなのです。発声から立ち姿まで全てが素晴らしいな、と思うのだけども、やっぱりネタが凄い。あくまで2人の人間の"しゃべくり"でありながら、圧倒的な幻想感に包み込まれてしまう。いとしこいし師匠がつげ義春の漫画を漫才として喋っているみたいだ。文学的な発想が、数学的に編み込まれて、様々な円形が綺麗な循環を描いていく。気がつけば「チュドーン」と、"生命の誕生"とでもいうような質感に辿り着いていやしないか。よくよく聞き返せば、冒頭から"トンネルを抜ける"というフレーズが配置されていることに驚愕し、コンクリートの割れ目はもとより、「短かい目になった鉛筆の持つとこを長くする銀色のやつ」にすら"貫通"のイメージが託されていることに震えた。他のネタにしても"実存"をテーマにしたものが多く、双子というほんの少しだけ数奇な運命に生まれついた彼女達なりの、「自己と他者」への思考ノート。そんな珠玉の漫才が生み出されている。


ちなみに今年の3回戦のネタも秀逸なので、ぜひ。何も失ってないのに、何かを取り戻そうとしている。
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