青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

台北旅行記2018

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台北という都市の魅力は、ノスタルジーと未来とが混在となっているところにあるように思う。たまらなく懐かしくて、新しい。東京という街が年老いて行く中で切り捨てていったものが、自然なままにテクノロジーと調和している。猥雑で多様なその有り様は、どこかで誰かが想い描いた未来のよう*1。そして、ノスタルジーを掻き立てるのは、この国に流れる”青春”の匂いだろう。眩し過ぎる陽光、予測できない空模様(なんて雨のよく降る星なのだろう)、甘酸っぱく湿った風、けたたましい音で街中を疾走するバイク、野性味溢れる食事と瑞々しい果実・・・そういったもののすべてが、過ぎ行く青春のワンシーンを彷彿とさせ、訪れる者をフレッシュな心持ちにしてくれるのだ。旅行するなら秋から冬にかけてがベストシーズンなんて説もありますが、個人的には夏を推したい。街全体に流れる夏休みの終わりみたいなセンチメンタルな気分は、あらゆる感性を全方向に開いてくれる。それに、バカバカしいほどの南国の暑さは、どんな日陰者だって陽気に浮かれた気分にさせてくれるのだ。



すっかりお気に入りの店がいくつかできてしまった。3年前に書いた「台湾旅行記」を読み返してみたら、お店の名前がほとんど記載されていないことに気づいた。なんと不親切なことだろう。今回はしっかり店名と最寄り駅を記載して、トピック別に紹介していきたいと思う。ここには書ききれませんでしたが、豆花、葱油餅、葱抓餅、焼麻糬、大腸包小腸も絶対食べておきたい台湾グルメだ。

<魯肉飯>

これぞ台湾を代表するローカルフード。台湾に美味しいものは山程あるが、なんだかんだでこれを食べに来ているような気にもなるのだ。日本でも魯肉飯と名のつくものは食べられるのだけど、ソボロ丼だったり、餡かけ肉だったり、八角が入っていなかったり、そのどれもがはっきし言って偽物。日本で魯肉飯を食べて「こんなものか・・・」と思って貴方!どうかまずは本場を体験してから、魯肉飯という食べ物にジャッジをくだして欲しい。定番中の定番のセレクトですが、まず間違いない2店を紹介したい。


金峰魯肉飯(最寄り駅:MRT中正紀念堂駅)

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やはり信頼できるのは地元のお客で溢れている店だろう。昼時はあちこちからバイクに乗った現地の人々が、テイクアウト弁当を買い求めにやってくる。たいてい並んでいますが、回転率が早いので臆することはありません。キングオブ魯肉飯をとくとご賞味あれ。甘辛く味付けされた肉の脂が、無限にご飯を盗んでいきます。食いしん坊を自覚されている方は、焢肉(豚バラブロック)と魯蛋(煮卵)を追加して、その全部を乗っけてワシワシと白米をかっこみましょう。燙青菜(茹でた空芯菜)も美味です。


黄記魯肉飯(最寄り駅:MRT中山國小駅)

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ライムグリーンの看板が目印。香辛料がガツンと効いた魯肉飯で、「台湾に来たぞ!」と感じさせてくれること間違いなし。ぜひとも追加して頂きたいのは蹄膀肉(豚足)です。プルプルの豚足は一見、しつこそうですが、パクパクいけます。パクチー付きなのもうれしい。鰹だしがきいた花枝焿米粉イカのとろみスープ)も絶品なので、ぜひ。お弁当も美味いです。
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台北の空港にはろくな食事処がありませんので、最終日の夜に買って、空港の待ち時間で食べたりするのがオススメ。


<水餃子/蒸餃>

台湾というと小籠包のイメージが強いのですが、それは観光客向けで、地元の人は水餃子や蒸餃(セイロで蒸した餃子)をこよなく愛しているように感じた。小籠包を出す店は何やらかしこまった場所が多く、価格も高め。よりリーズナブルかつ大胆に食べられる水餃子や蒸餃が断然オススメなのです。ときに日本では定番の焼き餃子。出しているお店も少なからずありますが、台湾ではあまり主流ではないようです。


鴻(最寄り駅:MRT中山國小駅)

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晴光夜市の一角に構える屋台。店名が「鴻」なのか「鴻丸」なのかは謎だが、赤い看板を目印にズンズンと夜市を歩こう。もう一つの目印は、黙々と餃子を茹でる"笠智衆"感のあるおやじさんと遠藤憲一に激似のおかみさん。何店舗かで食べ比べてみたけども、皮も餡もこちらの水餃子が頭ひとつ抜けているように感じた。透けたニラもセクシーだ。日本人用に醤油やお酢も用意されているが、現地の人に倣って、擦りおろしニンニクをダイレクトにつけて食べたい。台北の人々は平日の夜中だろうと、ガシガシ食らっています。


亓家 蒸餃專賣店(最寄り駅:MRT南京三民駅)

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水餃子よりも皮が薄いでの、ペロリといけてしまう蒸し餃子もオススメ。こちらのお店は客層はほとんど地元民、家族やカップルで溢れています。感動的な美味さのエビとヘチマの餃子はマストでお願いいたします。ショウガや辛味がセルフサービスで、地元の人々はこの千切りショウガを山盛りで食べています。



<マンゴーかき氷>

もはや台湾の象徴的存在。台北の人気店「ICE MONSTER」や「Mango Cha Cha」の日本上陸も記憶に新しい。フワフワの氷と高級フルーツであるはずのマンゴーの惜しみないトッピングはもはや革命。
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「ICE MONSTER」も「西門町芒菓冰」も確かに美味しいが、やはりNo.1はこちらのお店だろう。


冰讃(最寄り駅:MRT雙連駅)

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1年中マンゴーを提供しているお店もありますが、冷凍ものを使用しないこちらの「冰讃」はマンゴー収穫期の4〜10月しか営業していません。夏場に台湾旅行をオススメする要因の一つとも言えましょう。メニューは1番人気の芒果雪花冰がマスト。フワフワのミルク氷は、ココナッツ感もあって乳臭さは皆無。アイスクリームやプリンといった添え物はなしで、熟れたマンゴーと練乳だけでシンプルに。人生ベストかき氷です。これだけたっぷりマンゴーが乗って150 元(約600円)というのは、日本では考えられない破格。これはもう滞在中、毎日通うべきでしょう。


<サウナ>

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台湾のサウナはちょっといかがわしい。風俗産業が隠れ蓑されていることが大半で、休憩室で休んでいると、「スペシャルマッサージ?」と訪ねられ、承諾した客は隠し扉の向こうへと消えていくのです。しかし、サウナや風呂だけを楽しむお客が多くいますので、安心して足を運んでみよう。「金年華三温暖」「亜太三温暖」「天龍三温暖」と3つのサウナに足を運んでみたが、基本的にどこも一緒である。値段は12時間で600元(約2400円)とそこそこする。内装は古代ギリシャ調で、彫刻がそこかしこに。110℃越えの湿度の低いカラカラのサウナと10℃以下のキンキンに冷えた広大な水風呂。「亜太三温暖」の水風呂は6℃と表示されていた。そこまで低いと水面から冷気が立ち上るのだ。10秒入っているだけでビリビリと手足が痺れだし、たまらなく退散してしまう。しかし、これが気持ちいい。サウナ自体はあまりよくないし、外気浴もできないのだけど、この水風呂の強烈な冷たさで強引にととのえられ、恍惚の表情へと導かれてしまいます。ちなみに、1番驚いたのはトイレが更衣室ではなく、浴場スペースに鎮座していることです。


<スタンドドリンク>

台湾にはほとんど自動販売機というものがない。そのかわりにスタンドドリンクという文化が定着していて、これがどこで何を飲んでもめちゃウマなのだ。タピオカミルクティーフルーツティー、ヤクルト緑茶、凍頂烏龍茶、ライチウーロン茶・・・・とにかく飲みまくったがどれもが最高。たいていの店で、甘さや氷の量を自由にカスタマイズできます。ビックサイズのタピオカミルクティーを200円で飲めてしまうのはちょっとした衝撃です。ちなみに現地のセブンイレブンではコーヒーの要領で、タピオカミルクティーが注文できますが、やはり専門店に比べると味は落ちます。



<かわいいもの>

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「オークラプレステージ台北 The Nine」(最寄り駅:MRT中山國小駅)のパイナップルケーキ。やや高価なのだが、パッケージが抜群にかわいくて、味も美味。配るにはちと高いので、自分へのお土産としていくつか購入するのを推奨します。ちなみにお土産にオススメなのは「佳德」(最寄り駅:MRT南京三民駅)というお店のパイナップルケーキ。お土産というより地元民に人気のパイナップルケーキで比較的、安価で美味いです。ラズベリーやメロンのケーキもあります。



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おそらく駐車場会社であろう「車麻吉」の看板。車のアイコン化が見事としか言いようがない。徹夜明けにこのデザインを思いついた時、ガッツポーズしたんじゃないかな。





台北のCD屋でジャケ買いしてみたアルバム。最高のジャケットである。帯によると、雀斑(FRECKLES)というバンドのメンバーによる別バンドで、シティポップ、90年代台湾歌謡曲、日本的ネオアコ、という言葉が並んでいる。日本的ネオアコなんて言葉あるんだ、と思ったが、聞いてみるとこれが「まさに!」という感じだった。文句なしに好き。めちゃスウィートなメロディ、台湾語とトロピカルな音像も耳に心地よく、インディーポップファンであれば聞いてみて損はない1枚です。最高の1枚を発掘したぞ、と思っていたら、ココナッツディスク吉祥寺店ですでに取り扱いされていました。さすがです。



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台湾のセブンイレブンにいます、乃木坂46。このキャンペーンは、日本のようなクジではありません。レジ画面に現れるスロットを押して、割引金額が決定するというギャンブル魂をくすぐる企画。あと、台湾のセブンイレブンでは「プレミアムモルツ」のサーバーがあります。
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ちなみに、私が台北を離れたその日に、斉藤飛鳥さんが台北入りし、台湾プロ野球の始球式に登板したらしい。

Lamigoモンキーズには元ヤクルトスワローズのロマン投手が在籍していたので、少し贔屓にしているチームだ。



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店先に置いてあったお猿。口がいい、としかいいようがない。



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このエントリーのトップ画にも選べれているロボットは子ども用のパチンコ機。駅の地下街に5体だけ放置されていた。台湾のSMAPじゃん。いや、そのルックは手塚治虫火の鳥』に登場するロビタ、もしくは『機動戦士ガンダム』のジムに似ている。SMAPだろうとロビタであろうとジムであろうと、もの悲しい気持ちになるではないか。解放してやられねば、とお金を入れてプレイしてみた。これが非常に難易度が低く設定されていて、打つ度にフィーバー。やり終えないくらいビー玉が溢れ出てきてしまったので、放置していまいました。あのビー玉たちが、どこかの見知らぬ子どもに繋がれば幸いです。




日本に帰ってきたら、夏が終わったみたいな顔していた。

*1:たとえば、リドリー・スコットの設計した『ブレード・ランナー』的な未来都市