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『おじゃMAP!!』スペシャル「ザキヤマディレクターが撮る!! 香取慎吾&草彅剛の2人旅!!」

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メンバー各々が単体で魅力的なのはもちろんなのだけども、やはりSMAPのメンバーが2人以上揃うと、その画面が異様にグルーヴするような感覚に陥る。なんてことない映像やトークでもずっと観ていられてしまう。もちろん、これはSMAPというグループへの思い入れが大きく左右するのだろうから、興味がない人にとってはつまらないものなのかもしれない。今回の『おじゃMAP!!スペシャルの視聴率も9%ほどで、決して突出した数字ではない。しかし、やはりSMAPを愛する者にとっては極めて特別な回であった。


スキャンダルいじり、行きつけのお店紹介、愛車や自宅の公開、恋愛トーク、路上ゲリラパフォーマンス・・・少なからずジャニーズ事務所を退所したからこそ可能になったのでは、と思われる元SMAPである2人のプライベートの露出。事務所のしがらみを抜けた等身大の香取慎吾と草彅剛を見せていこうとするのだけども、逆説的にそのスーパースター性がクッキリと浮かび上がっていくのがおもしろい。ウン百万の旧式クラシックカーを乗り回し、ウン十万のビンテージ古着やギターを嗜む、偉大なるグレイトアメリカ幻想に憑りつかれた草彅剛の常識外れの金銭感覚。その草彅に呆れ、こちら(視聴者)側の感覚に寄り添う素振りを見せる香取慎吾にしても、あのアンタッチャブル山崎弘也をしおらしくさせてしまうほどの豪邸に住んでいる。テレビで観たことのないようなモザイクのかかり方が、より想像を掻き立て、その偶像性を際立たせる。一部公開された香取の手による芸術作品の圧倒的なオリジナリティも含め、やはり一般人を超越した感性を見せつけられた。やっぱりこの2人は紛れもないスターなのである。


そして、何より番組をリードしていたのは草彅剛のその異様なハイテンションだろう。新しいスタートからくる解放感、そのスタートを親友との共演で始められることへの喜びに満ちていたのだろう。しかし、それでもやはり変人としかいいようのない佇まいで、観る者を圧倒させた。草彅剛のこの”変さ”に、何やら既視感があるなと思っていたのだが、かもめんたるのコントで岩崎う大が過度にデフォルメして演じる奇人変人そのものなのである。かもめんたるファンであれば、ご理解いただけると思うのだが、立ち振る舞い、発声、間など、どこをとってもまさにかもめんたるのコント。時折発される胡散臭い「やっべー」「やっぱり肉はうまいんだよー」の言い方など完全にそのもの。などと思っていると、草彅の口から「冗談ハンバーグ」という言葉が飛び出し、転げ落ちそうになる。そう、かもめんたるが『キングオブコント2016』で披露したコントに

冗談どんぶりぃ

というキラーフレーズが登場するのである。
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まさかのシンクロニシティ。会話の途中で突如として愛犬を猫なで声で可愛がる、という一連のシステマティックな振る舞いに、山崎から「もうコントじゃん」というツッコミが入り、この「草彅剛=かもめんたる説」は補完された。とにもかくにも、草彅剛という男は、かもめんたるのコントの登場人物同様に、圧倒的な異常性ゆえに濃くその存在をこの世に刻む、愛すべき奇人変人なのだ。


その奇人性を受け入れて、どこまでも肯定してみせる香取慎吾の友情が泣かせる。

変な人でさ
変なこと言って、急に変なことやるけどさ
スゴい真面目でしょ!?こんなところが好きです

”しんつよ”とは、現代の最も美しい友情神話の一つである。「夫婦や恋人に近い」「宝物」「自分自身」「もともと同じ樹」といった強い言葉で互いを形容し合う、その崇高さに満ちたエピソードの数々は、おそらくファンの方々がテレビや雑誌などのインタビューから少しずつ集めて形成されてであろうおそろしく充実したWikipediaの項目をぜひともお読み頂きたい。深夜の練習に、ストリートダンスパフォーマンス、豪華セットでの楽曲披露・・・かつて確かに存在したSMAPとしての青春を反復してみせることで、その確かな温もりと眩しさこそが、今後の2人の未来をも明るく照らす、そう確信させられるスペシャルな番組であった。


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