読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

原田晃行(Hi,how are you?)ワンマンin明大前マイスペース

f:id:hiko1985:20160314151543j:plain
明大前にある「マイスペース」という多目的ライブカフェで行われた、Hi,how are you?原田晃行のワンマンライブを観たのだ。原田クンというミュージシャンはシンプルに天才なのである。もっとたくさんの人がその事に気付けばいいのに、なんて思いながらも、その天才性を易々とは感じさせてくれない彼のカジュアルさというか、あまりにも等身大な音楽の鳴り方が何よりの魅力だったりもする。原田クンの音楽は世界や社会を歌っているわけでもなく、思春期やら実存との葛藤といったお題目もなく、聞く人を応援するでもないし、共感を呼び込むわけでもなく、流行のリズムや音像が搭載されているわけでもない。そんな”ないものづくし”の中で、ガチャガチャと原田クンの半径数メートルの出来事を歌うだけなのだけども、そこには彼だけのリズムとメロディーがある。その尊さ。音楽を自分の身体に当たり前のように落とし込める人、それが天才なのです。



料金1000円のカフェライブという事で、かなりカジュアルな気持ちで向かった今回のワンマンライブでしたが、思いがけず、実にメモリアルな瞬間に立ち会ってしまったのだ。客入れやリハの時間でのカバーソング披露の後に、1stアルバム『?LDK』収録の1曲目「僕の部屋においでよ」からライブがスタート。そのまま「台風クラブ」「6時と7時」etc・・・と収録順に続けて披露され、今日のライブがハイハワ全曲ライブである事に気付き出すわけです。最高。原田クンの歌も演奏もとてもパワフルで「いいぞー」なんて思いながらずっと聞いていたのだけど、「近鉄」あたりからでしょうか、「当然このままでも最高なのだけど、やっぱり馬淵サンがいるともっといいよなー」なんて少し思う。ハイハワをご存じない方(はこの記事を読まないと思いますが)の為に説明しておきますと、Hi,how are you?はかつては京都の大学生男女デュオだったのです。鍵盤(とたまに歌)を担当していたのが馬淵サン。昨年の大学卒業と就職を機に馬渕サンが活動を停止、現在は原田クンがソロ名義で活動中。原田クンのオリジナルな歌とギターのリズムを水彩画のようなタッチで色付けする馬淵サンの鍵盤の音色がとても良かったのだ。


すると、7曲目「HOMECOMING」の演奏中に、遅れて1人のお客さんが入ってくる。原田クンがとにかくその女の子の方に気を取られているというか、好きな子が来てくれて舞い上がっているような感じではにかんだ笑顔を見せていて、なんなら演奏を止めかねない勢いだったのだけども、そうなのです!その女の子こそが他でもない馬渕サンではありませんか。仕事帰りという彼女がおもむろに「ビデオインアメリカ」から演奏に加わっていく。コートを着のみきたままのOLさんが、おもむろに鍵盤ハーモニカを持ち出して、音楽の一部になっていく瞬間というのがあまりにビューティフルで、まるで映画を観ているみたいだったな。もう本当に胸が一杯になってしまった。馬淵サンがお店に備え付けのピアノで披露する『さまぁ~ぎふと』の楽曲群なんてちょっと涙なしには聞けなかったですよ。1曲目の「NIGHT ON THE PLANET」から

時計を止めて 針を戻して

と歌われるのですから!過ぎ去っていく美しきモラトリアムを記録したあのアルバムを、彼らより少し年上の僕は卒業アルバムを眺めるかのように胸を痛めて聞いたわけだけども、今、青春期を終えた原田クンと馬淵サンもまたそんな風にこの音楽を奏でているのでしょうか。ふぞろいな心はまだいまでも僕らをやるせなく悩ませるのさ。原田クンのカジュアルでパーソナルな歌が、誰もが持ち合わせている思い出、少し大袈裟な言葉を使えば”物語”みたいなものに接続し、普遍性をもったポップソングとして響く。その瞬間の距離の超え方にグッときてしまうのだなぁ。


カセット『MINISTOPDIARY』収録の「市民プール」(名曲!!)まで余す所なく全曲披露されたHi,how are you?の音楽を聞いてみて、改めてその素晴らしさにぶちのめされまてしまった。30年前のさくらももこに「こんな凄い音楽が生まれるよ」と聴かせてあげたいすね!なんてよくわからない感想も飛び出します。CKB「せぷてんばぁ」とかThe Moldy Peaches「Anyone else But you」なんてカバーも泣かせる選曲。いやいや、泣かないぞェ。馬淵サンの所在なさげな佇まいも最高で、原田クンのちゃんとずっと照れている所も好き。後、あの2人から出ている、仲良しというわけではないのだけど”同じものを見てきた”という感じが凄く好きだ。それを見事に言語化したのがあの「日直がずっと続いているみたい」だろう。

youtu.be
とりあえずこのエントリーは読まなくてもいいので、この工藤智之さんによる動画だけでも必ずご覧下さい。終演後のおまけ「クイズ原田晃行100のコト」も楽しかったし、会場やお客さんの雰囲気もろもろ含めて、今年ベストライブはこれでいいなーと3月にして思えるくらいに素敵な出来事でした。2人体制のHi,how are you?、またいつか、どこかで。



関連エントリー
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com