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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

小山正太『5→9〜私に恋したお坊さん〜』2話

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小山正太『5→9〜私に恋したお坊さん〜』2話も面白いではありませんか。1話は執拗に”足”から始まる恋物語として描かれていたわけですが、今話においても、靴が重要なモチーフとして登場する。高嶺(山下智久)がプレゼントとして用意した靴を潤子(石原さとみ)に履かせてあげる。嫁入り修行と称して、部屋に閉じ込められて、掃除や食事作りを強いられていた潤子に、だ。この構図によって、今作のスパイスとして童話『シンデレラ』が下敷かれている事に気づく。高嶺の祖母ひばり(加賀まりこ)はしっかりと“意地悪な継母”然としている。原作タイトルでもある「5時から9時まで」という時間制限の設け方も実にシンデレラ的。彼女は確か12時まで限定のお姫様だったはずだ。しかし、思い返せば潤子と高嶺の出会いは、焼香をぶちまけた事に起因しており、それはすなわち『シンデレラ』の和名である「灰かぶり」ではないか。ここで灰をかぶったのが、潤子ではなく高嶺というジェンダーの倒錯も興味深い。2話において幽閉されていたのは確かに潤子であったが、本当に意味で”囚われのお姫様”は家柄に縛られた高嶺なのかもしれない。


音をたてて食事をする事を禁じられていた寺と、いつも外まで笑い声が響く桜庭家の対比がいい。音を封じられていた高嶺が、英会話教室の教師である潤子に恋をして、言葉を、音を取り戻す。手紙や花で想いを伝えていた高嶺が終盤に「好きです」と声に出す。1話分の中で、あらすじの裏側で物語がここまで緻密に運動している、非常に巧みな脚本。オーバーな石原さとみの演技はギリギリのラインでキュートだし、抑え目な山下智久との対比もいい。桜庭家の面々を演じる上島竜平(ダチョウ倶楽部)、戸田恵子、恒松祐里の明るさが非常にいい。寺パートも加賀まりこ小野武彦は当然のように巧いし、子役や修行僧達(ドドんの石田さんが!)もかわいい。やはり、どうしても不安なのが職場パートで、急に話の展開が安っぽくなる(「渋谷出入禁止だろ」とは)のが難だ。原作起因のジェンダーネタを2本も仕込んでいるようなのだけど、そこを処理し切れるリテラシーがあるのか心配です。しかし、今の所、非常に面白いドラマだと思います。