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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ジョンのサン『二人の先輩と一つのポリバケツのための小品』

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ジョンのサンの新作CD-R『二人の先輩と一つのポリバケツのための小品』を聞いた。『No,Sir』(2011)

No,sir.

No,sir.

以来の音源という事で良いのでしょうか。名古屋の誇るフリーフォークポップバンドの雄でありますが、HPも更新されていないので、いまいち情報が掴みきれておりません。ファーストアルバムという位置づけの『No,Sir』と何枚かのCD-Rを愛聴しているが、ライブを観た事もなければ、メンバーが何人いるのかも把握していない。しかし、間違いないのはジョンのサンが唯一無二の素晴らしいバンドで、この『二人の先輩と一つのポリバケツのための小品』が大傑作という事です。もう本当に素晴らしい。愛してる。


ジョンのサンの書くメロディーが好き。ユニゾンする歌が好き。”グッドメロディー”とは”歌ごころ”とはこういう事だ、とジョンのサンを聞く度に確信するのです。そして、とても儚い。あの日君が口笛で吹いた幻の名曲、という感じ。本来であればすぐに忘れさられてしまうような煌めきが刻印されている。とびきりの音符が1曲の中で驚くべきスピードで(でもBPMはゆっくりと)惜しげもなく消費されていく。ハッとするような音色もリズムの響きも同様に一瞬姿を現してはすぐに消えゆく。脱臼したような不安定なアンサンブルはグルーヴ、のようなものを明滅させながら、かろうじて1~2分やそこらの楽曲を支えている。寄る辺なさの中でより輝く刹那のメロディーの美しさ。まるで青春そのものみたいな音楽だが、青臭さを微塵も感じさせないインテリジェンスがジョンのサンにはある。選択された歪さ、というのに私は強く惹かれてしまうのだ。


歌詞がとびきりに凄い。詩人である。抜粋した歌詞はありすぎて限がないのでやめておく。1つだけ挙げるならば、「チェーン店で会おうね 近くの」というフレーズがお気に入り。シニカルなようで妙に胸を打つものがあり、2015年の10月はこの言葉を抱えながら眠りにつくようにします。ときに、クレジットを確認して驚いた。てっきり作詞・作曲はリーダーの立石草太が全て手掛けているものと思っていたのだが、少なくとも4人以上のメンバーが均等にペンをとっているではありませんか。しかし、「ジョンのサン節」と呼んでしまいたい奇妙に愛くるしいトーンは、人格を共有するように全楽曲に貫かれている。凄いな。特に全員あんな歌詞を書けるの凄い。立石草太の楽曲がやはり光っているが、鍵盤で作曲されたであろうコード感の吉川英理子の楽曲が個人的にとても好きだ。いや、やっぱり全曲好きだ。


書いていくほどに、ジョンのサンがどういう音楽を奏でるバンドなのかわからなくなってきた。なので、未聴の方はとりあえず聞いてみる事をオススメします。流通アルバム『No,Sir』はamazonなら1200円ほどで買えますし、CD-R作品は1枚500~900円くらいで買えます。なんてお得なのでしょう。都内では高円寺の円盤、千駄木の古書ほうろう堂で購入可能なようです。