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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

Mac Demarco『Another One』

Another One

Another One

Mac Demarcoの新しい8曲入りEP『Another One』が素晴らしい。一聴してすぐさま特別なレコードになってしまった。もともとソングライティングには定評のあるアーティストだが、今作の楽曲の充実度はただごとではない。とりあえずリードトラックの表題曲「Another One」を聞いてみて欲しい。名曲。


ANOTHER ONE - YouTube
ちなみにはじけんばかりのMJ愛が炸裂したこのビデオも今年度ベスト候補だ。この曲をはじめ、『Another One』にはしっかりと装飾すれば、ヒットチャートを昇り詰めてもおかしくないポップソングがずらり。歌われるのは愛、もしくはその終わりについて。これはもう”ローファイ”とか”インディー”という冠を取っ払い、ブルーアイドソウル、AOR、もしくはポップマエストロと呼ばれるようなレジェンドSSWの音源を聞くかのように、アーバンメロウな心持ちで聞きたいではありませんか。と言いたい所だが、相変わらずな、歪んだ音像の中でドリーミーに回る録音、まるでこどものおもちゃのようなギターのガチャガチャした質感が、ポップソングの美しさ(ひいては愛の儚さ)をギュッと濃縮させ響かせているようにも思える。メランコリーで終わりのない悲しみを、とびきりの笑顔でおどけて鳴らす。全くもう愛さずにはいられないポップミュージックではないか。枠にはまらないまま、やりたいように”美しいもの”を創造し続けるMac Demarcoの在り方にはとことんグッときてしまう。また、今作で特筆すべきは全編にフューチャーされているシンセサイザーだろう。水辺のリゾートを想わせるBREEZIN'な音色も、これからの残暑の季節にピッタリですし、拙い指使いと美しいフレージングがもたらす極上のメロウネスが心の琴線を刺激して止みません。素晴らしいディスコグラフィーを誇る彼のキャリアの中においても、飛び抜けて愛する1枚だ。超絶レコメンドでございます。